2005/6/11

1ヶ月ぶりの更新です。引越しがあったので、映画館ともすっかり疎遠になっていましたが
これから取り戻します!!しかし、今回は人の生死を扱う映画が多かったな〜・・。
イチ押しはイ・ウンジェの遺作。ドロドロの恋愛劇です・・・。

スカーレット・レター  監督:ピョン・ヒョク  出演:ハン・ソッキュ、イ・ウンジェ
Scaret Letter  2004年 韓国映画
今週のイチ押し:刑事のギフンが今日担当した事件は、とある写真館の店主の殺人事件。容疑者は彼の妻のギョンヒで、単なる痴情が絡んだ事件だと思われた。しかし、この事件は謎が謎を生み混迷の中にギフンを誘っていく。一方、ギフンには愛すべき妻スヒョンがいた。彼女は妊娠中で、ギフンは子供の誕生を心待ちにしていた。しかし、彼はその一方でスヒョンの音大時代からの友人のテヒとも逢引を重ねていた。彼は何度もテヒと別れようとするが、執拗なまでのテヒの想いが彼を惑わし、そして引き止めていた。しかも、テヒもギフンの子供を宿したという。そんな中でギフンが担当した殺人事件は、意外な展開を見せる・・
私評:私の願いがひとつ叶ったわ。あなたと一緒に朝まで居られた・・・この映画に描かれている男と女の絡み合いは、まさに「情念」という言葉がピッタリ。この映画の恋愛は白粉を塗りたくったようなオシャレな恋愛ではない。あまりに、ドロドロな関係ではあるのですが、私の中では完全に否定することができない世界でした。刑事ギフンはエゴイストで、優柔不断だけど、彼の行動を心から否定できない自分がいる。そしてギフンとの恋に身も心も捧げ、共に堕ちていくことを願うテヒの心情もめちゃめちゃ理解できた。車の中でのふたりのやり取りは、恐ろしさを越えて美しくも見えてしまった・・。そして映画の最後に語られる、もうひとつの「嘘」。これらの展開は本当にストレートに描かれている。しかし、その真っ直ぐさがこの映画の一番の「恐怖」でした。テヒを演じたイ・ウンジェはこの作品を最後に今年の2月に自殺。そんな彼女のイメージがこの映画のテヒと重なって、私は「更なる恐怖」を覚えずにはいられませんでした。そして純朴、真面目なイメージが強かったハン・ソッキュが実にいやらしく、そして惨めな男を好演。このふたりが描き出す壮絶な「男と女の絡み」は、まさに究極。最後にイ・ウンジェの冥福を祈ります・・・。
バタフライ・エフェクト  監督 :エリック・ブレス、マッキー・グルーバー  出演:アシュトン・カッチャー、エイミー・スマート
The Butterfly Effect  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:エヴァンは少年時代、突然記憶が途切れてしまう「ブラックアウト」に何度も陥った。そしてその空白の時間に起きた「何か」のせいで幼馴染のケイリーとも、離れ離れになってしまう。精神科医の勧めで日記を書いていたエヴァンは、大学生になったある日、急に少年時代に「ブラックアウト」した時の記憶が蘇る。そして過去のその場にトリップして、その場でエヴァンは過去を書き変えてしまう。当然のように未来も書き変えられてしまう。そしてより完璧なパラレル・ワールドを作るため、そして自分が心から愛しているケイリーと結ばれるため、エヴァンは何度となく過去へのトリップを試みるが、事態は悪化するばかり。そして大好きなケイリーにまで不幸が襲い掛かろうとしていた。最後にエヴァンが試みた「究極」の手段とは??・・
私評:ブラジルで蝶が羽ばたくと、中国で嵐が起きる・・・・タイム・スリップする主人公の話は数々あれど、次々と過去を書き換えパラレルな未来を築いてしまうというのが、この映画の面白いところ。過去を弄ったがために未来が書き換わってしまい、またそれを戻すためにふたたび過去へ・・。過去へのトリップの方法はどうあれ、この物語の発想がとても面白かった。そしてラストのエヴァンのとる行動が、私はすごく気に入りました。実はこの映画にはもうひとつのエンディングのバージョンがあり、アメリカ版のDVDにはしっかり、それが納められているらしい。こちらもとても気になるところですね。主演は映画での評価より、デミ・ムーアとの色恋沙汰で有名になってしまった、アシュトン・カッチャー。そしてヒロインはエイミー・スマート。めちゃめちゃテンポの良い演出を手掛けた、二人の監督は、あのホラーの名作(?)「デッドコースター」の脚本家だったのですね・・。実は私、こういうタイム・トラベルの映画が大好き。なかでも「あなたに恋のリフレイン」とか、つい最近公開された「Re:Play」なんかも面白かった。しかし、究極は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズですよね。
ミリオンダラー・ベイビー  監督・出演:クリント・イーストウッド  出演:ヒラリ−・スワンク、モーガン・フリーマン
MillionDollar baby  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:LAのダウンタウンで小さなボクシングジムを営む初老の男フランキーは、優秀なトレーナー。今、彼が手塩にかけて育てているのは、ビッグ・ウィリーのリングネームを持つ若者。しかし、世界タイトルマッチを急ぐウィリーは、じっくりとその機会を待つフランキーの元を去ってしまう。そんな時、フランキーの元にマギーという31歳の女性が訪ねてきた。プロボクサーを目指す彼女は、フランキーのコーチを受けたいと願うが彼は女性のコーチはしないと無碍に断ってしまう。しかし、マギーの真摯な態度に負けたフランキーはマギーのコーチを買って出る。その成果が実りマギーは次々と対戦相手をリングに沈めていく。そしてついに彼女は世界タイトルまで登りつめる。相手は汚い戦法が売りのドイツ人ボクサー"Blue Bear"だった。満員のラスベガスの試合会場では、彼女のガウンに刺繍された「モ・クシュラ」の大声援が沸き起こっている。そして運命のゴングが打ち鳴らされた・・・・
私評:Always Protect Yourself ・・・・今年のアカデミー賞で主要4部門を獲得した話題作が満を持して公開された。これが何とも強烈な「人間ドラマ」でした。人間が生きていく上で、何度か訪れる大きな選択を描いている。主人公のフランキーとマギーは、人生を賭けた選択をして、それは全てが最良に思えたのに・・・。まさに人生で最良の瞬間から、地獄へとまっ逆さまに突き落とされるこの展開で、大きな悲しみに打ちひしがれた。フランキーが最後に『選択する』行為は、決して正しいこととは言えない。しかし、その時の、マギーの笑顔が私の胸を締め付けた。辛すぎるよね・・。これは本当に涙なしでは、観ることができない映画です。しかし、どんな瞬間であれ『人生はいとおしい』と思えた。そして『人生は美しい』と思えた。監督・主演は人生の酸いも甘いも知り尽くしたクリント・イーストウッド。この映画の演出は、やはり長い人生を生きてきた人だからこそ描けるのでしょう。そして「ボーイズ・ドント・クライ」に続き、2度目の主演女優賞に輝いたヒラリー・スワンクは本当に素晴らしかった。まさに、彼女のために作られた映画と言っても過言ではないでしょう。そして脇からしっかりとこの映画を支えるモーガン・フリーマンの暖かく、そしてちょっととぼけた演技が素晴らしかった。アカデミー作品賞も納得の映画でした!
機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者 監督:富野由悠季  声の出演:飛田展男、池田秀一、古屋徹
A New Translation  2004年 日本映画
地球連邦政府とジオン公国の宇宙戦争から10年が過ぎた。モビルスーツを使った壮絶な戦いを終え、表面的には平和が訪れたように見えたが、いまだにスペース・コロニーの住民と地球に住む人々の間の確執は続いていた。スペース・コロニー、グリーンノア2に住む少年カミーユ・ビダンは連邦軍人と諍いを起こし、最新鋭のモビルスーツ、ガンダムMk-2 を盗み出し反地球連邦軍組織の「エゥーゴ」へと身を投じた。そこでカミーユがあったのは、クワトロ・バジーナ大尉。彼の元の名はシャー・アズナブルだった。ガンダムを奪われた地球連邦のエリート軍団「ティターンズ」はカミーユの両親を人質に取り、惨殺をしてしまう。「ティターンズ」への復讐を誓ったカミーユは「エゥーゴ」の戦いに参加。そして地球上へと到達したカミーユが出会ったのは、伝説のモビルスーツ「ガンダム」のパイロット、アムロ・レイだった・・・・・
私評:お前ら、待てよ!こんな事をするから、みんな死んじゃうんだろうー!!・・・・ついにガンダムも新しい時代を迎えました。私はどちらかというと「ガンダム」より「ヤマト」世代なのですが、「機動戦士ガンダム」のTVブームを終えて劇場版が公開された頃からファンになりました。この「ガンダム」も亜流の作品があり、最近の「新機動戦士・・」とかは全然見ていないのですが、今回の「星を継ぐ者」はオリジナルの「機動戦士がダム」のアムロ、シャー、ブライトなどが登場するので、私も思い切りアニメの世界の浸ってしまいました。しかし、この「Zガンダム」シリーズは全50話からなっていて、いわゆるこのシリーズの総集編になっている。もちろん映画用に新しい解釈や映像が追加されているのですが、さすがに全部を見るのはキツイですね〜・・。しかし、今回の作品はそんな長いシリーズの「序章」を95分にまとめ上げ、見事な出来ばえになっています。この映画は全3部作になっており、エンドクレジットのあとに続編の「恋人たち」の予告編が入っていました。これも絶対に観に行かなくちゃ!! そういえば、私の甥っ子(もう11歳になりました)もガンダムが大好きらしいので、今度遊びに来た時にはガンダムのトークで盛り上がれそうです。(笑) 
ザ・インタープリター  監督:シドニー・歩ラック  出演:ニコール・キッドマン、ショーン・ペン
The Interpreter  2005年 アメリカ映画
アフリカのマトボ共和国では独裁者のズワーニが大統領の座につき、民主化を目指す者たちは、ことごとく殺されていた。国連に務めるシルヴィアはマトボ生まれで、5年前からマトボの言語である「クー語」の通訳として働いていた。ある夜、通訳のブースに荷物を取りに戻ったシルヴィアは何者かがクー語でズワーニの暗殺を企てている会話を聞いてしまう。以来、彼女の周りで不穏な動きが始まる。危険を察知したシルヴィアは自身の保護を当局に申し出た。彼女の護衛についたのはシークレットサービスのケラー。彼はシルヴィアが何か秘密を持っていると直感する。実は彼女はマトボに住んでいたときに悲痛な経験をしていたのだ。ケラー自身も最愛の妻を数週間前に亡くしたばかりで、彼女の心の傷を察知し始める。そして彼女を守ることが己自身を取り戻すことと考え始める・・・
私評:「私を守るために来たのではないの?」「いや、君を調べるためさ」・・・我が女神様、ニコール・キッドマンは今回も神々しいまでの美しさで、私はその場にひれ伏してしまいそうになりました。彼女がアフリカのマトボ生まれという設定はちょっとばかり無理がありましたが、そんな事は気にしてはいけません。そして彼女と相対するのが超個性派男優のショーン・ペン。このふたつのビッグネームが揃うだけで、映画ファンは観なくちゃいけない映画??しかし、それだけでは留まらないのがこの映画。なんたって監督はこういうサスペンスと社会問題の組み合わせ映画の巨匠シドニー・ポラック。彼は役者としてもショーン・ペンの上司役で登場します。特に前半部分は説明が多いのですが、そういう部分もサクサクと分かりやすく描き出す、彼の手腕はホンモノです。そしてついにマトボの大統領がやってくるあたりで映画の興奮も最高潮!!いや〜、最後の最後まで目が離せない映画でした。そしてもちろんニコール様の美しさにまたしてもKOされた私でした・・。
海を飛ぶ夢 監督:アレハンドロ・アメナバール  出演:ハビエル・バルデム、
The Sea Inside  2004年 スペイン映画
ラモン・サンペドロは25歳の時に海に飛び込んで頭を強打し、首から下が完全に麻痺してしまった。以来、20数年間彼は家族に支えられ、ベッドの上だけで人生送っていた。そしてラモンは、自らの命を絶つことで自由を取り戻す決意をする。尊厳死を支援する団体を通して知り合った女性のフリアと出会い、彼は自らの価値観をすべて吐露する。そして、フリアはラモンが書き続けた詩に感動し出版を勧める。ラモンは広く世間に自分の尊厳死を公表するのだった。そのニュースを見た主婦のロサは、居ても他ってもいられずラモンを訪ね、彼に死なないで欲しいと懇願する。そしてついに彼の尊厳死をめぐる裁判所の判決が言い渡される。ラモンの希望は棄却されてしまったのだ。そしてついに彼は自らの手で死ぬ方法を見つけ出す・・・・
私評:僕はいつでも海にいけるさ。想像の翼で・・・・・『尊厳死』と言うものについて、深く考えさせられる映画でした。この映画を観ていて「人間の価値」について考えさせられた。主人公は首から下が不自由で、家族の助けなしでは生きていけない自分に「価値を見出せない」でいる。私も人間は生きているだけで価値があると思っていますが、仮に自分が彼の立場だったら??としみじみと考えてしまった。しかし、自分本位の考え方を捨てて、誰か一人でも自分に生きていて欲しいと思ってくれる人がいる限り、人は生き続けなければいけないのですよね。この映画の中で、私の心を一番揺さぶったのはラモンを支える、彼の父、兄、兄嫁、そして甥の姿でした。そして映画が終わった後、私を更なるショックが襲った。なんとこの映画は実話に基づいて作られていた。私はてっきり映画の中だけの話だと思っていたのですが、この映画の主人公の、実在のモデルがいたのです。恐ろしいことですね・・。主演はバビエル・バルデム。彼は実年齢よりかなり上の役を演じたのですが、魅力的な俳優でした。監督は「アザーズ」のアレハンドロ・アメナバル。この作品は本年度、アカデミー最優秀外国語作品賞を受賞しました。当分、人が死んでしまう映画は見たくないです・・。
デンジャラス・ビューティ2  監督:ジョン・パスキン  出演:サンドラ・ブロック、レジーナ・キング
Miss Cogeniality 2  2005年 アメリカ映画
ミス・アメリカ・コンテストでの大活躍ですっかり有名人になってしまったグレイシー・ハートは事件現場でも名前を叫ばれ危うく犯人を取り逃がしそうになる。そんな彼女にFBIが与えた新しい仕事はFBIの広告塔となり、広く世間にアピールすること。最初は断ったグレイシーだったが、恋人に去られ職務を受けることに。またしても、美しく変身したグレイシーは、いまや全女性の憧れの的。TVに出版にと大忙し。しかし、そんな時親友のミス・アメリカが誘拐されるという事件が発生。別の用件でラスベガスに飛んだグレイシーは彼女の奪還のため動き始める。新しいパートナーのサム・フラーと喧嘩を続けながらも二人は着実に事件の核心に迫っていた・・・・
私評:これが本当のグレイシー・ハートよね・・・いや〜、私はめちゃめちゃ面白かった。サンドラ・ブロックが悪乗りしすぎというご意見もありますが、私から見れば「良くぞここまでやってくれた!」という感じ。今回はビューティーな彼女から、元の彼女に戻るシーンがカッコ良いんですよ〜。そしてラスベガスで変な衣装を着けての大暴走も、私はおなかを抱えて笑ってしまいました。そして彼女の新しいパートナー役のレジーナ・キングが、ぶっ壊れる瞬間もサイコーでした。彼女のティナ・ターナーもどきは必見かも??そしてやはり前作から登場のウィリアム・シャトナー、ヘザー・バーンズ、アニー・ハドソンも大活躍。ただ、残念だったのは前作のマイケル・ケインが出てこなかったことですね・・。まあ、今回はサンドラの、サンドラによる、サンドラのための映画なので、彼女のファンには大満足の作品でしょう!監督は「リーマン・ジョー」のジョン・パスキン。それにしてもこの映画、観客が全然入ってなくてこんなに早く打ち切られるなんて・・・残念!!エンド・クレジットのNG集も面白いよ!
四日間の奇蹟  監督:佐々部清  出演:吉岡秀隆、石田ゆり子、尾高杏奈
 2005年 日本映画
敬輔は幼少の頃からピアノの才能を開花させ、一流のピアニストとしての道を進んでいた。しかし、彼は銃撃事件に巻き込まれ、生まれながらに脳に障害を持つ幼い少女を庇ったために左手に怪我を負いピアニストとしての道を断たれてしまう。事件の最中で両親を失った千織を引き取った敬輔は彼女の天才的な音楽性を見出し、彼女にピアノを教えた。ふたりは日本各地で慰問演奏の旅をしていた。そんなある日、ふたりは脳の研究所がある療養所を訪ねた。ふたりを出迎えたのは真理子という女性。実は彼女は敬輔の高校時代の後輩で、彼女はその頃から敬輔に憧れていて、今回の誘致を言い出したのも彼女だった。そして千織のピアノは療養所の患者の心を癒した。ところが外で遊んでいた真理子と千織を落雷が襲う。とっさに千織を庇った真理子は意識不明の重傷を負ってしまう。目を覚ました千織は敬輔にそっと告げた。「私は真理子です」・・・
私評:信じるというのは神が人間に与えたとても大事な感情だとは思わないか・・・実は私はこの映画の原作の大ファンで、本を読みながら泣いてしまったほど・・。この映画はその原作にかなり忠実に作られています。(ヘリコプターの事故が落雷に変わったのは納得・・)そして何よりもこの映画で良かったのは敬輔、真理子、千織のキャラクターがピッタリだったことです。ナイーブな青年を演じさせればピカイチの吉岡秀隆、そして「解夏」でも好印象だった石田ゆり子。このふたりの配役は私的にはサイコーでしたね。そして驚いたのが千織を演じる尾高杏奈ちゃんです。障害児の演技をする一方で、真理子が憑依した時の、大人の演技の両方を見事に演じ分け、しかもピアノの演奏も素晴らしい。まさに千織を演じるにふさわしい少女でした。全編に散りばめられたピアノの曲も良い感じでしたね〜。ただ、原作を読んだ私は映画ならではの、もうひと捻りが欲しかった気もします。共演は西田敏行、松坂慶子、中越典子。監督は「半落ち」の佐々部清です。
オペレッタ狸御殿  監督:鈴木清順  出演: チャン・ツィイー、オダギリジョー
 2005年 日本映画
がらさ城の城主、安土桃山は自分がなんでも一番でないと気が済まない。今日も予言者のびるぜん婆々に尋ねた。「この世で一番美しいのは誰だ?」しかし、びるぜん婆々の答えは安土桃山の嫡男、雨千代だと答えた。たとえ自分の息子であろうと、自分が一番でないと気が済まない安土桃山は手下に、彼を迷えば生きて帰れないという霊峰・快羅須山へ棄てることを命じた。その頃、雨千代は不思議な森に足を踏み入れていた。そこで彼は狸のお姫様と出会い、ふたりは一瞬で恋に落ちてしまう。狸の森に雨千代がいると知った安土桃山は彼を追って森へとやってくる。そしてついに雨千代を追い詰めた桃山が突き出した剣は、なんと狸姫の胸を貫いてしまう・・・・・
私評:♪ソーダー水の雨が上がって〜レモン色した〜たそがれの時〜♪・・・鈴木清順の最新作はなんとも懐かしい匂いのする映画でした。清順ブランドを前面に出した絢爛豪華な色彩の世界のセットはいかにも彼らしい。そしてそんな華やかな舞台には、それにまさる俳優が必要となるのですが、この絵にピタリと納まっているのが(清順監督に「最高のベッピンさん」と言わしめた)チャン・ツィイー!彼女の顔が大画面いっぱいに映し出されるたびに、会場内で「かわいいわね〜・・」という女性の声が。私もまったくの同意見。今どき日本人だって「お姫様」を演じられる人はいませんよね。そして「水も滴る雨千代様」を演じるのがオダギリジョー。彼も独特の良い雰囲気を持っていますよね。その他にも薬師丸ひろ子、由紀さおり、平幹二郎などの豪華共演陣+デジタルで蘇った美空ひばりも登場します。(たぬき楽団のメンバーの中に永瀬正敏が紛れています。お見逃しなく!)かなりビックリするようなチープな演出も清順ブランドという事で・・・。私はかわいいチャン・ツィイーを見られただけで十分です・・。


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