2005/5/8

今日でGWも終わり。今回のイチ押しは不思議なウルグアイの映画と
大ヒット日本映画のスピンオフ。どちらもオススメです。

ウィスキー  監督:フアン・パブロ・レベージャ  出演:アンドレス・パソス、ミレージャ・パスクアル
Whisky  2004年 ウルグアイ、アルゼンチン、ドイツ、スペイン
今週のイチ押し:ウルグアイのとある町に、小さな靴下工場がある。そのオーナーのハコボは、初老の無口な男。今日もいつもの時間に家を出て、ポンコツの車で町まで走り、いつもの店で朝食をとる。工場につくと、いつものように彼の忠実な右腕として働く女性マルタがいる。毎日が絵に描いたように同じで、ふたりは仕事を切り盛りしていく。そんなある日、1年前に亡くなったハコボの母親の墓を建てるため、ブラジルからハコボの弟のエルマンが訪れてくることになった。ハコボはマルタに、エルマンがこちらに滞在している間だけ、夫婦のフリをしてくれと申し出る。マルタは少し考えただけでOKを出した。こうしてエルマンを欺くための工作が始まる。ふたりの記念写真、結婚指輪、そして同棲生活。果たしてふたりはエルマンを騙しとおすことができるのか??・・・
私評:写真を撮りますよ〜。はい、ウィスキー!・・・・なんとGW中に2回も観に行ってしまいまいた。それくらい面白い映画です。ウルグアイでは今までに60本しか映画が製作されていないのだそうです。その中の貴重な一本がこの映画。しかも、この一本が本当に素晴らしい映画なのです。主人公のハコボもマルタも無口で、ふたりのシーンは、挨拶以外はほとんどセリフがない。それに引き換えエルマンはすごいお喋り。こんな3人がドラマを作っていく。たとえ偽装夫婦であっても、一生懸命になっているマルタがだんだんときれいになっていく。美容院に行ったり、化粧をしたりと大奮闘するのですが、そんなことにまったく無頓着なハコボ。そんなふたりのやり取りが可愛くもあり、苛立たしくもあり・・。しかし、この映画は後半に怒涛の展開をみせます。ラストは思わず「やられた!」という感じでしたね。しかし、こんなに無口で目立たない、どこにでも居そうな普通の出演者たちの物語が、こんなにも強烈な印象を残すなんて、本当に映像の力というのはすごいとあらためて思い知らされた映画です。この作品は昨年度の東京国際映画祭のグランプリと主演女優賞を獲得。また、カンヌでもオリジナル視点賞と国債費評価連盟賞を受賞。納得の成果です。ハコボ役はアンドレス・パソス。そしてマルタ役はミレージャ・パスクアル。(ダイアン・ウィーストをもっと地味にした感じ)このふたりの飄々とした演技が印象的。監督はフアン・パブロ・レベージャとパブロ・ストール。劇中でマルタが見せる逆さ言葉は、本当にミレージャ自身の得意技なんですって・・・。
交渉人 真下正義  監督 :大広克行  出演:ユースケ・サンタマリア、寺島進
Negotiator  2005年 日本映画
今週のイチ押し:クリスマス・イブ。警視庁のホームページがハッキングされ、謎の人物からのメッセージが書き込まれた。「真下刑事 出ておいで・・・」そんな時、東京都内の地下鉄TTRで事件が起こる。コンピューター制御の「独立型運行制御システム」がダウンしてしまったのだ。しかも、最新の次世代実験車両「クモ」が運転手もいないのに動き始める。なんと犯人はハイテクを駆使した装置を使い、遠隔で車両を動かしていたのだ。暴走する車両は乗客を乗せた地下鉄に混じり暴走し、TTRの管理室はパニックに陥る。一方、室井の指示で真下を始めとする、"交渉課準備室"も動き始める。そしてTTRの本部室に仮設本部を構えた真下らに犯人から電話が入る。犯人は葛西の公園で小さな爆発のデモンストレーションを行ったあと、TTRの車両基地も爆破。しかし、犯人の最終的な目標は別にあった。真下のネゴシエーションから、次第に犯人の輪郭が浮かび上がってくるが・・・・
私評:ぼくは犯人とは違います・・・・「踊る大捜査線」のスピンオフ作品ということで、製作が決定した時からどうも気乗りがしなかった映画ですが、予告編で地下鉄を乗っ取った犯人と交渉人の戦いと言う事で、まさに「日本版 サブウェイ・パニック」だと知り、今度は逆に期待してしまった映画。ところがこの映画は、期待以上に素晴らしい映画でした。コンピューターを駆使したハイテク事件は、その奇抜な手口に驚かされる。TTRの新型車両の持つ、特殊な機能を逆に利用するというのがまず、面白い。そして交渉を重ねるネゴシエーターと地上で走り回る刑事やSATの隊員たちのチームワークも面白いし、そして真下と恋人の雪乃の展開も「踊る・・」ファンには気になるところ・・。2時間ちょっとの映画ですが、最後の最後まで息が抜けない、まさに「珠玉のサスペンス・アクション映画」でした!真下正義役はユースケ・サンタマリア。私は彼をあまり好きではないのですが、この映画のキャラは良かったです!TTRの総合指令長には國村隼、地上を走り回るヤクザな刑事役は(この人以外に誰がいる!)寺島進、そして雪乃役の水野美紀、室井役の柳葉敏郎他、「踊る・・」のキャストも続々登場します。監督は「踊る大捜査線」「スペース・トラベラーズ」の本広克行です。8月に公開される「容疑者 室井慎次」への伏線も映画の中で描かれています。エンドクレジットの後に、予告編らしき展開が・・・??
ひとまず走れ!  監督:チョ・ウィソク  出演:クォン・サンウ、ソン・スンホン
Make It Big!  2001年 韓国映画
韓国のとある高校にいつもツルンデいる3人の男子学生がいた。そのひとりソンファンはアメリカでギャングとして活躍したこともある(?)大ボラ吹きの男。そして出張ホストとして夜な夜な腰を振るウソプ。そしてもうひとりはビデオカメラと個人のホームページに情熱を傾ける、他のふたりとは正反対のインドア派のジノン。ある日、この3人にとんでもない事件が起こる。彼らがドライブしていた車の上に大きな袋と、血だらけの男が降ってきたのだ。しかも、袋の中には数え切れないくらいの米ドルの札束が・・。ひとまず金をいただくことにした3人は男の処分を考えていた。しかし、彼らが相談中に男は姿を消してしまう。男は近くの病院に逃げ込み、一命は救われた。その事件を担当することになった刑事のジヒョンは、警報装置が稼動した高利貸しの家に調査に向かうが、そこでは何もなかったかのように追い返されてしまう。しかし、病院の男に咬み傷をつけたのはこの家の犬だと確信した。そしてこの家の外に落ちていた車の破片を辿り、ついにジヒョンは3人の高校生に辿りつく。3人はひとまず逃げることにした・・・・・
私評:Happy Birthday to me・・・韓流ブームに乗って、次々と公開される韓国映画たち。この映画も2001年の作品なのですが、TVドラマ「天国の階段」のクォク・サンウと「夏の香り」「秋の童話」のソン・スンホンが登場するというだけで、かなりのヒットを飛ばしている映画です。映画自体の感想はとにかく突っ走る映画でした。なんだか訳の分からないうちに事件に巻き込まれ、走り続ける高校生たち。そして強盗、刑事、そしてジノンのHPファンの女の子まで巻き込んで、物語は怒涛のクライマックスへとなだれ込んでいきます。しかし、この「勢い」が今の韓流映画の象徴ですね。クォク・サンウとソン・スンホンはまさにイケ面だし、マッチョだし、女の子たちがキャーキャー言うのも納得。ジノン役のキム・ヨンジュンは映画の中では「印象の薄い男」役なのですが、私の中ではかなり印象に残っています。そして注目は「バンジー・ジャンプする」「オー!マイDJ」のイ・ボムス。今までの彼のイメージとは全然違うチンピラ刑事役を好演!とにかく彼が走り回ります!!そして紅一点のイム・ジョンウンがめちゃカワイイ〜!!監督は撮影当時若干25歳だったチョ・ウィソク。映画を観終えたあと、ひとまず走ってみたくなる作品です!?
PTU  監督:ジョニー・トー  出演: サイモン・ヤム、ラム・シュー
PTU  2003年 香港映画
Police Tactical Unit=香港警察特殊機動部隊。その任務は、夜の繁華街の平和と安全を守ること。この日も隊員たちはホー隊長指揮の下、街を巡回していた。その頃、組織犯罪課のサァ刑事は街のチンピラのリーダーマーを挑発。そしてその日起きた殺人事件の容疑者らしいマーの部下を追っていた。しかし、アクシデントからサァは拳銃を紛失してしまう。そのことを知ったPTUのホー隊長は、上層部への報告なしにサァ刑事と一緒に拳銃探しを始める。その頃、チンピラ・グループのリーダー、マーが敵対勢力に殺されてしまう。マーがマフィアのボスの息子だったことから特捜課CIDのチョン刑事が捜査に乗り出す。こうしてPTU、CID、サァ刑事に加え、マフィアまでがあいまみれ、壮絶な夜が明けようとしていた・・・・
私評:午前4時には、香港は血の海だ・・・香港のタランティーノという異名を持つジョニー・トー監督の作品。彼のハードボイルドはとてもリアルだ。銃の使い方や、チームの戦いのフォーメーションなども凝りに凝っている。中でも特にリアルなのは、人の殴り方。劇中ビンタの嵐を受けるチンピラが、泣き出すシーンは本当に泣いているのでは?と思ってしまいました。しかし、リアルさを追い求めると、事件は意外な事から始まり、なんとも腑抜けたエンディングにもなりえる。それがリアルと言えばそれまでなのですが、フィクションの映画なのだからもうちょっと波乱があっても良いのでは??実は私は「ザ・ミッション」を見たときも同じ思いをしました。かと言ってつまらない映画なのかというと、全然そんな事はありません。90分を切る短い時間内に見所がギッシリと詰まっている。ホー隊長を演じるのは「トゥーム・レイダー2」のサイモン・ヤム。そしてサァ刑事を演じるのは、香港の六平直政??ことラム・シュー。彼みたいな役者が主役を演じるってすごいです。なんだかんだ言いながらも、次回のジョニー・トー作品もきっと見るんだろうな〜・・・


前回の記事も読んでね〜!



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