2013/6/2

梅雨に入っちゃいましたね~。この時期にしては珍しく
面白そうな映画が続々登場。今回もイチ押しのオンパレードです!

グランド・マスター  監督 : ウォン・カーウァイ  出演 :トニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェン
The Grandmaster  2013年 香港・中国・フランス映画
今週のイチ押し:1930年代、中国の佛山。葉問は裕福な家庭に生まれ、妻子と幸せな暮らしをしていた。彼は中国南部の武道・陳華順の最後の後継者だった。そんな時、北の武術界のトップ宮宝森が佛山にやってくる。彼は引退を決意していて、弟子の馬三を後継に決めていたが、南の拳法を北に伝える人物を探していたのだ。彼の目に適ったのが葉問。そして馬三は武術界をひとつにまとめようと南の各流派を潰しにかかる。それを知った宮宝森は馬三を追い帰した。葉問と金宝森の勝負に訪れたのは金宝森の娘の若梅。彼女は父の敗北を目の当たりにして、葉問に戦いを挑む。六十四手の若梅は僅かの差で勝利。しかし、若梅の中で葉問に対する新たな気持ちが芽生えていた。1937年に日中戦争が勃発。裕福だった葉問の家は没収され、しかも日本軍への協力を拒否した葉問は生まれて初めて困窮に陥る。馬三は日本軍に投降するが、それを知った宮宝森は馬三を破門。逆上した馬三によって宮宝森は殺されてしまう・・
私評:悔いのない人生なんて味気ないわ・・・待ちに待っていた映画。なんたって配給元のGAGAさんのサイトには2年前から掲載されていて、その存在を知っていたのですが、なかなか完成しなかったのです。映画の方はまさにアート。武術指導のユエン・ウーピンのアクション演出のすごさはもちろんですが、長きに渡ってホンモノの武術をトレーニングして身に付けたというキャストの動きが本当に美しい。スローモーションと細かいカット割りで水の一滴、雪の一粒までが計算つくされています。圧巻は馬三と若梅の駅のホームでの決闘シーン。セリフがなくても映像が全てを語る。しびれました!!主演は「インファナル・アフェア」のトニー・レオン。静かなる男を好演!梅若役は20年前の「初恋がきた道」からずっとファンのチャン・ツィイー。34歳になった彼女はさらに美しい。一打必倒の八極拳の宗師役には「レッド・クリフ」のチャン・チェン。そして私の目を引いたのが葉問の妻役のソン・ヘギョ。美しすぎる~!!監督は「花様年華」「2046」のウォン・カーウァイ。相変わらず最小限の言葉で物語を紡いでいます。
くちづけ  監督 : 堤幸彦  出演 : 貫地谷しほり、竹中直人
 2013年 日本映画
今週のイチ押し:自立支援の目的で知的障がい者が集団生活するグループホーム”ひまわり荘”。ここは小児科の国村先生とその奥さんの真理子さん、娘のはるか、そしてスタッフの袴田さんが切り盛りをしている。入居者はテンションが高いうーやんをはじめ総勢4人が住んでいる。ある日、ひまわり荘に漫画家の”愛情いっぽん”がやってくる。彼には知的障がいを持つマコという娘がいた。いっぽんはひまわり荘のボランティアとして住み込むことになった。マコは以前に起きたある事件以来、いっぽん以外の男とふたりきりになると発作を起こしてしまっていたが、なぜかうーやんとはいつも一緒。ふたりの間にはいつしか小さな感情が芽生えてはじめる。そんな時、いっぽんの肝臓がんが発覚する。余命幾ばくもないと知ったいっぽんの唯一の心配はマコの事。自分がいなくなって彼女は大丈夫なのか??一方のうーやんとマコはみんなの前で結婚宣言をする・・
私評:ず~っといっぽんと一緒だった・・・東京セレソンデラックスの伝説の舞台の映画化。この映画でも”うーやん”を演じている宅間孝行が原作・脚本を手掛けている。この話は実際に起きた事件が元になっている。年輩の方が障がい者の家族と50年も過ごしてきたが、自分の命が残りわずかと知った時に・・・。これが宅間をインスパイアしたと言う。障がい者を描くことは非常にデリケートな事だと思いますが、この映画では敢えて偏見の言葉を浴びせたりして決して美化はしていない。そんな中でも笑いの要素もたくさん盛り込んで、物語は衝撃のクライマックスへ。見ていてとても辛かった。悲しくて涙が止まらなかった。だけど、悲しみを引きずることはありませんでした。マコ役には映画初主演となる「スウィングガール」の貫地谷しほり。障がいをもちながらもピュアな心を持つ女性を好演!愛情いっぽん役は「山形スクリーム」の竹中直人。大袈裟すぎるくらいの彼の演技が私にはツボでした。その他、「貞子3D」の橋本愛、「蒲田行進曲」の平田満、「ふがいない僕は空を見た」の田畑智子、麻生祐未、岡本麗などなど・・。監督は「SPEC」「はやぶさ/HAYABUSA」の堤幸彦。
オブリビオン  監督 : ジョセフ・コシンスキー  出演 : トム・クルーズ、モーガン・フリーマン
Oblivion  2013年 アメリカ映画
今週のイチ押し:2077年。地球はエイリアンの攻撃を受けて壊滅。なんとか戦いには勝利するが人類は土星の衛星であるタイタンに移住をしていた。しかし、ジャックは妻のヴィクトリアと一緒に地球の上空1000kmのステーションに住み、地球の無人偵察機のドローンを管理していた。地上に降りてはヴィクトリアと通信をしながら監視をする毎日。しかし、最近ジャックは見た事もない女の夢を何度も見ていた。そんなある日、ジャックはエイリアンの残党がドローンの燃料電池を狙っていると思われる遭難信号を受け取る。ジャックは現場に向かうと、突然攻撃を受ける。なんとか脱出をしたもののなぜか敵はジャックを生け捕りにしようとしていた。そしてまた、数日後、謎の飛行物体が地上に墜落した。指令本部の命令を無視して現場に向かったジャックはカプセルに入った人間を発見。しかも、その中の一人はジャックの夢に出てくる女だった・・
私評:終わらせるんだ・・・トム・クルーズが久々に選んだSFアクション映画。相変わらずすごいアクションシーンを自分でこなすトムはたいしたもんです。しかし、この映画の一番の面白さは先が読めない展開。物語が23転して意外な方向に突き進んでいきます。しかし、その意外さを裏付ける伏線がしっかり敷かれているのが良いです。そして映像のクオリティの高さが抜群です。スカイステーションからの景色だけでもすごいのですが、バトルシップで飛び交う地上の映像は驚異的でした。バトルシーンの迫力もハンパないです!主演は「アウトロー」のトム・クルーズ。映像が凄すぎるせいかいつもの”出しゃばり”感がなくてグッドでした。謎の美女ジュリア役は「慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコ、謎の組織のリーダー、ビーチ役は「ダークナイト・ライジング」のモーガン・フリーマン。そしてヴィクトリア役はこれまた美しいアンドレア・ライズブロー。監督は「トロン・レガシー」のジョセフ・コシンスキー。
ポゼッション  監督 : オーレ・ポールネダル  出演 : ナターシャ・カリス、ジェフリー・ディーン・モーガン
The Possession  2013年 アメリカ映画
クライドは妻と3か月前に別れたバスケットボールのコーチ。目下の彼の楽しみはふたりの娘と週末を過ごす事。新しい家を買ったクライドは娘たちの良い父親であり続ける事を誓った。そんなある日、クライドは娘たちとガレッジーセールに立ち寄った。そこで次女のエミリーはアンティークな箱を見つけ、気に入って購入した。箱には厳重な鍵が施されていたが、その日の夜エミリーは箱を開けてしまう。それ以来、エミリーに変化が起こる。口数が減り、突然激昂することも。虫も殺せなかったエミリーがなぜ??元妻のステファニーは娘の異常は自分たちの離婚のせいだと思っていた。そんなある日、エミリーの担任教師が窓から転落して原因不明の死を遂げる。箱がエミリーに悪影響を及ぼしていると感じたクライドは箱を遠くに捨ててしまうが、エミリーはヒステリックに家を飛び出してしまう。そしてエミリーは箱のありかを嗅ぎつけ、ふたたび手に入れる。クライドは考古学者に箱を調べさせたところ恐ろしい事が判明する。その箱はユダヤ人の手によって作られた、邪悪な存在を封じ込めるための呪いの箱だった・・・・
私評:俺の娘から出ろ!!・・・これは実際に起こった話がベースになっている。ネットオークションに出された謎の箱。これを手にした者はみんな忌まわしい事件に巻き込まれた。その箱の根源はユダヤ人が作った呪いの箱・・・。そして映画では箱の中の”何か”が少女に取りつくのです。そしてユダヤ人のラヴィが悪魔祓いの儀式を行うのですが、この展開はまさにホラーの名作「エクソシスト」。最後に家族と邪悪な何かとの戦いのシーンは壮絶でした。そして最後の締めはホラーならではの・・(以下自粛)。こんなおいしいホラーネタを製作しようとしたのはホラー界の大御所(?)のサム・ライミ。さすがです!役者陣は有名なメンバーはいません。しかし、一番の注目は悪魔に憑かれた少女を演じる新星ナターシャ・カリス。エクソシストのリンダ・ブレアを上回る怖い演技です。クライド役は「ウォッチメン」のジェフリー・ディーン・モーガン、母親役は「崖っぷちの男」のキーラ・セジウィック、そして超可愛い長女役マディソン・ダヴェンポートちゃん。監督は「モルグ」のオーレ・ボールネダル。
リアル 完全なる首長竜の日  監督 :黒沢清  出演 : 佐藤健、綾瀬はるか、中谷美紀
 2013年 日本映画
1年前の自殺未遂が原因で昏睡状態になっている淳美。彼女の意識の中に入り込むと言う「セイシング」に挑んだのは彼女の恋人の浩一。淳美の意識の世界に辿り着くと彼女はいつものように机に向かって連載の漫画「ルーミー」を書いている。締め切りを気にしている淳美はいつになく苛立っている。そして彼女は浩一に子供の時に彼女が書いたという首長竜の絵を探してほしいという。セイシングが終わると浩一の前に幻覚が現れる。淳美が書いた漫画のおぞましい死体とびしょ濡れの少年が浩一に付きまとう。2回目のセイシング。なぜか部屋の床が水浸し。セイシングを重ねるたびに現実の世界のネタを意識下の淳美に伝える。そしてついに彼女が閉じこもっていた部屋を出た。辿りついたのは15年前にふたりが住んでいた島だった。目覚めた浩一は実際に島を訪れるが・・・・
私評:生まれた時からずっと一緒にいるような気がする・・・予告編を見た時にチープなSF映画のような気がした。しかも、首長竜って・・・。かなり退いていました。ところがこの映画の監督が黒沢清だと知って俄然見たくなった。そして初日の映画館は・・・ガラガラに空いていた。前半の彼女の深層意識でのやりとりや、そこで浩一がシンクロして引きずりだした現実の描き方は素晴らしい。ホラーチックでいて、しかもリアル。また、意識下で聞こえるノイズもなんだか普通の世界と違っているような・・・。物語の途中のどんでん返しも素晴らしく、思わず膝を叩いてしまったほどだ。しかし、最後の最後で首長竜がでてきて大暴れするシーンはなんだか監督に自己満足だったような気がした。面白かったんだけど80点かな~・・・。主演は「るろうに剣心」の佐藤健と「ハッピー・フライト」の綾瀬はるか。このふたりが同じ人物なのですがいる場所によってキャラクターが違うという難役を見事に演じています。そしてちょっとミステリアスというか不気味な女医役は「阪急電車」の中谷美紀。脇役陣はオダギリジョー、染谷将太などなど・・・。監督は「トウキョウソナタ」の黒澤清。余談ですが・・・。昨夜(と言うか深夜)黒澤清のドラマ「贖罪」がWOWOWで放送されていたので見たのですが、これがすごい作品でした!


前回の記事も読んでね~!



I Love Movieに戻る