2014/5/25

今年ももう少しで折り返し。なんて早いんでしょう!
今回は感動の名作が2つイチ押しになっています。

青天の霹靂  監督 : 劇団ひとり  出演 : 大泉洋、柴咲コウ
 2014年 日本映画
今週のイチ押し:売れないマジシャンの晴夫は20年近くも小さなバーでしょぼい手品を見せながらバーテンダーをして生計を立てている。ブレイクした後輩からは見下され、安下宿に戻ると雨漏りで部屋中がびしょ濡れ。自分自身の人生にほとほと嫌気が差していた。それに追い打ちをかけるかのように警察から父親の正太郎が死亡したという連絡を受けた。高校を卒業して以来、会っていなかった正太郎の遺骨を引き取り、ホームレスだった正太郎が住んでいたブルーシートの掘立小屋を訪ねると、そこには若かりし正太郎と生まれたばかりの晴夫の写真があった。その時、急に青空に稲光が走り晴夫に直撃した。目を覚ました晴夫はそこに落ちていた新聞の日付で自分が昭和48年にいる事を知る。ひょんな事で浅草の演芸場に入り込んだ晴夫は悦子という女性とコンビを組んでステージに立つ事に。しかし、彼女は妊娠していて、その相手はチンという名のマジシャン。それは晴夫の父、正太郎だった・・・
私評:ありがとう・・・素晴らしい!色々な意味で本当に素晴らしい映画でした。ストーリーはちょっとベタだけど日本人が大好きな浪花節的ドラマ。笑いも涙も感動もてんこ盛りのエンターテイメントです。そして映像がとてつもなく美しい。昭和の日本の大きな空や真っ赤な夕焼け、そして浅草のごった返した風景などなど、前のめりになってしまうくらい素敵な映像でした。そして極め付けはキャストです。晴夫役は「探偵はバーにいる」「清須会議」の大泉洋。コメディのイメージが強い彼ですが、今回は思い切り泣かせてくれます。悦子役は「47RONIN」「容疑者Xの献身」の柴咲コウ。この映画のコウさんはとにかく美しい!優しく、真の強い昭和の女を好演!そして正太郎役は「パコと魔法の絵本」の劇団ひとり。この3人のアンアンブルの素晴らしいのなんのって。そして浅草の演芸場の支配人役は「蒲田行進曲」の風間杜夫、産婦人科の医者役は(チョイ役ですが)「テルマエ・ロマエ」の笹野高史。誰もが完璧なキャスティングです。しかし、一番の驚きはこの映画を監督した劇団ひとりです。彼の原作本「陰日向に咲く」も大好きな映画ですが、今作はそれを上回る素晴らしい映画。原作の力はもちろんですが、彼の演出の素晴らしさには脱帽です。今年の上半期でナンバー1の映画となりました。
マンデラ 自由への長い道  監督 : ジャスティン・チャドウィック  出演 : イドリス・エルバ、ナオミ・ハリス
Mandela Long way to Freedom  2013年 イギリス・南アフリカ映画
今週のイチ押し:1918年生まれのネルソンは家族に誇らしく思われる男になろうとしていた。家族から反発されてひとりで都会に出るが、白人至上主義のヨハネスブルクは決して住みよい町ではなかった。やがて弁護士になったネルソンはいわれのない事で白人に訴えられた黒人の被告人を次々と救い、その名を馳せて行く。そんな彼が1944年にアフリカ民族会議(ANC)の設立に参加する。1948年に就任したマラン首相はアパルトヘイト(人民隔離政策)を打ち出すが、マンデラは反アパルトヘイト運動の先頭に立ち、時には強引な行動をする事に。それが元で妻のエブリンは彼の元から去って行った。1960年、黒人は常にパスを持ち歩くと言う新法律に対してデモが起きると、警官はデモ隊に発砲し多くの死者を出す事に。それまでは非暴力を掲げてきたANCも一部は武力闘争に参加。翌年にネルソンは「民族の槍」という軍事組織を指揮し、首謀者のネルソンはテロリストとして指名手配されてしまう・・・
私評:人は憎む事を覚える。それならば愛する事も学べるはずだ・・・「アナと雪の女王」の大ヒットのディズニー配給の作品。「アナ」がヒットしたので手抜きになってしまったのか宣伝がイマイチでしたが、やはり偉人の伝記的映画は面白い。しかも、つい最近まで存命だったマンデラ大統領は私も良く知る人物。しかし、彼の人生がこれほどまでに波乱万丈だったとは知りませんでした。それにしても南アフリカという国はつい最近まで、これほどモラルがない国だったのかと改めて知らされましたね。獄中のマンデラを救うために世界中で湧き起こった運動の映像は実際の物を使用。デモ、クーデター、そして音楽ライブなどで民間人が国を動かしたと言っても過言ではない。そのムーブメントが一番感動でしたね。実際に音楽で訴えかけたU2がこの映画の主題歌も担当しています。マンデラ役は「プロメテウス」の宇宙船の船長「パシフィックリム」の長官役などが印象的なイドリス・エルバ。満を持しての主演です。マンデラの2番目の妻ウィニー役は「28日後・・・」「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」のナオミ・ハリス。監督は「ブーリン家の姉妹」のジャスティン・チャドウィック。2時間30分の壮大なる人間ドラマ、おススメです。
オー!ファーザー  監督 : 藤井道人  出演 : 岡田将生、怱那汐里、佐野史郎
 2014年 日本映画
由紀夫は普通の高校生。しかし、他の高校生とかなり違う生活をしている。実は彼には4人の父親がいるのだ。彼の母親は未婚だが、妊娠した時に4股を掛けていたのだ。4人の男たちは、別れるよりはと共同生活の道を選んだ。大学教授の悟、体育教師の勲、気さくなギャンブラーの鷹、そして元ホストの葵と由紀夫の共同生活は他人から見れば不可思議だが、抜群のバランスを保っていた。学校に行けば多恵子という同級生が由紀夫に執拗に付き纏りついている。そんなある日、鷹に連れられてこの町のフィクサーである富田林の営むゲームセンターに出かけた由紀夫は、葵の元いた店の常連の女とキスの最中の男のカバンをすり替えられる現場を目撃してしまう。夢中で男を追いかけるが、由紀夫は彼を見失ってしまう。その後も空き巣に入られたり、富田林に脅されたり、不登校の同級生の家で事件に巻き込まれたりと次から次へと事件に巻き込まれてしまう・・
私評:飛べ~!・・・伊坂幸太郎のベストセラーの映画化です。それにしも地味な宣伝でしたね。配給が世界のワーナーだからあそこまでできたけど・・・。原作は読んでいなかったのですが伊坂流のテンポの良さと、奇妙なキャラクターが良い感じで描かれています。いくつもの「??」が後半にどんどん明かされていく展開はミステリーファンにはワクワクできると思います。ギュウギュウに面白みが詰め込まれたストーリーがお見事です。主演は「偉大なる、しゅららぼん」の岡田将生。彼って演技は上手くないのですが、如何せんルックスが良いですからね~。多恵子役は「許されざる者」の怱那汐里。彼女が今回は天然の女の子を好演。父親4人衆は佐野史郎、宮川大輔、河原雅彦、そして村上淳。意外やこの4人がけっこう合っています。その他、やくざの親分役で柄本明が登場。この人って本当に名バイプレイヤーですね。監督は無名の新人が大抜擢。藤井道人26歳です!
惨殺のサイケデリア  監督 : ダニー・パン  出演 : ラウ・チンワン
Fairy Tale Killer  2012年 香港映画
警察に連行された白粉を顔に塗りたくった妙な男“ン”。彼は人を殺したと自白する。その被害者の名前を聞きだした警察は自宅を訪ねるが、彼は存命でピンピンしていた。担当のウォン警部補はンを釈放し、適当に報告をあげた。翌朝、前日に元気だった男が遺体となって発見される。腹を引き裂かれ、臓物の中には妙な物が・・・。ンの自宅を訪ねるとそこに彼の姿はなく、そこにはある童話の奇妙な絵が大量にばら撒かれていた。やがて、その童話をモチーフにした第2、第3の殺人事件が起こる。ウォン警部補は昇進試験を控え心中穏やかではない。障害を持っている息子に対しても親らしい事が出来ていない。それに加えて今回の事件が起こり、ウォン警部のチームのメンバーからも非難が寄せられるが・・
私評:3分間で3つの選択・・・シネマート六本木で絶賛開催中の「パン兄弟の極限ミステリーの悦楽」の一本です。パン兄弟と言えば「The Eye」という超怖いホラー映画の監督。今作はその弟、ダニー・パンの監督作品です。率直な意見は「雑」な映画です。雰囲気はイイ感じで出ているのに、なんだか納得がいかない。設定に無理があり過ぎ。警察の活躍がまったくない・・・。こんな犯人ひとりを捕まえるのに警察チームの5人が寄ってたかっても勝てないなんて・・・。まあ、大公開されない理由はこの辺りにあるのでしょうね。また邦題の「惨殺のサイケデリア」ってのがいただけない。原題の「Fairy Tale Killer」の方がずっと良いのに・・、と文句ばかりです。主演はラウ・チンワン。私は知りませんが香港では人気の俳優らしい。私の目を引いたのは精神に病を持つ女(だけど名前が分かりません)。狂女ぶりがハンパないです。今回の企画で4本が公開されているのですが、他の3本はどうなんでしょう??気になるところです。


前回の記事も読んでね~!



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