2008/5/18

今回も良い作品ばかり。どれをイチ押しにしても
良いくらいなのですが、敢えて社会派映画を・・
個人的な思い入れもあるのですが・・・

ハンテ ィング・パーティ  監督:リチャード・シェパード  出演:リチャード・ギア、テレンス・ハワード
The Hunting Party  2007年 アメリカ映画
今週のイチ押し:かつては戦場リポーターのサイモン。しかし、彼は過去に生放送中にぶちキレて、スターの座から転落したのだ。サイモンの相棒のカメラマンだったダックは今ではNYのスタジオカメラマンで金にも女にも不自由をしない生活を送っている。ボスニア紛争から5年後の2000年。ダックは記念式典のためにふたたびこの地を訪れた。そんな彼の前にふたたびサイモンが現れる。彼はあるネタを掴んでいた。彼は500万ドルもの賞金が掛かっている戦争犯罪人のフォックスの居所を知っているという。かつての「戦友」サイモンの誘いに乗り、同行することになったダック。そしてダックと供にこの地にやってきた駆け出しのテレビプロデューサーのベンジャミンも同行することに。3人の男の危険極まりない旅が始まった・・
私評:テレビで視聴者が見るのは上辺だけ。本当の戦争はここでしか分からない・・・・昨年、ボスニア紛争で起きた惨劇について書かれた本を読んだ。(ミーシャ・グレニー著「ユーゴスラビアの崩壊」)ここに書かれていた内紛の内容は悲惨を通り越して、この世の地獄のようだった。その後、マイケル・ウィンターボトム監督の「ウェルカム・トゥ・サラエボ」を見直したりして、昨年、私の中でちょっとしたサラエボ症候群があったのです。そして挑んだ今回の映画は、まさに戦争のど真ん中で走り回っていたTVキャスターが、重要戦犯を追うというストーリー。作品の中では戦争中の大量虐殺(それこそ子供や妊婦まで)、集団レイプなどの生々しい演出も出てきます。そして重要戦犯と国家の癒着らしきものが見え隠れしたり、謎の組織、戦犯を神と崇める民族・・・などの実際に起こってきた事実がしっかり描かれています。しかし、重い映画の中に笑いも盛り込まれているのがこの映画の良いところ。103分間、息を抜く箇所はありません。主演は「シカゴ」のリチャード・ギア。ワイルドでぶち切れのキャスターを演じても彼は似合うんです。ダック役は「ブレイブ ワン」のテレンス・ハワード、ベンジャミン役は「イカとクジラ」のジェシー・エイゼンバーグ。そして裏世界に生き、戦犯と繋がっている謎の女役は「ナショナル・トレジャー」のダイアン・クルーガー。チョイ役ですが彼女の美しさは際立っていました。監督はリチャード・シェパード。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド  監督:ポール・トーマス・アンダーソン  出演:ダニエル・デイ・ルイス、ポール・ダノ
There Will Be Blood  2007年 アメリカ映画
一攫千金を夢見る山師ダニエルは鉱山労働者として鉱山や石油の発掘を行っている。彼は商談の場に幼いひとり息子のHWを伴い、その場の心緒を良くすることに勤めていた。そんなある日、彼は「牧場の下に油田が広がっている」という情報を入手する。さっそくHWとパートナーのフレッチャーを伴いアメリカ西部の小さな町、リトル・ボストンを訪れた。そこでダニエルは安価に土地を買占め、石油堀のやぐらを築いていく。そして見事に石油を掘り出したダニエルは莫大な財産を手中にした。そんな彼を疎ましく思う男がいた。その町で熱心に布教活動を行っていたイーライ牧師だ。実は彼は狂信的な精霊派教会のカリスマであったが、ダニエルが町にもたらした石油による富がイーライの偉大なる脅威になると思ったからだ。そんな時、石油のやぐらが爆破炎上する事故が起こる。その事故が原因でHWは聴力を失ってしまう・・・・
私評:どんな手を使っても成功するのは私だ・・・今年のアカデミー賞でダニエル・デイ・ルイスが主演男優賞を獲得したのがこの作品。それも私を惹きつけた要因のひとつですが、何よりも監督が「マグノリア」「ブギーナイツ」のポール・トーマス・アンダーソンだと言うのがこの映画を見に行った理由です。今までの彼の作品とはまったく毛色の違う映画ですが、端々に彼らしさも感じられました。(ラストで変なものが空から降ってきたりはしませんが・・)中でもオープニングから20分間に及ぶサインレントの演出はかなり印象的でした。そしてこの映画の最大の見所は二人の役者の、恐ろしいまでにリアルな演技です。まずはダニエル・デイ・ルイスがいかにも胡散臭い山師から、欲望と野心に駆られ破滅していく男を実にリアルに演じています。そしてもうひとり、イーライ牧師を演じるポール・ダノの怪演。人々を次々と信者に取り入れていくその語り口、そして完全にイッちゃってるあの目・・・。怖かったです。さすがは今年のアカデミー賞で騒がれた作品だけのことはありますが、見終わった後は、かなりブルーになりました・・
最高の人生の見つけ方  監督 : ロブ・ライナー  出演 :ジャック・ニコルソン、 モーガン・フリーマン
The Bucket List  2007年 アメリカ映画
自動車修理工として46年間働き、愛する妻と子供たちに囲まれて生きてきたカーター。そんな彼の元に妻から電話が入る。先日受けた検査の結果が癌であることを知らされる。一方、大金持ちで鼻持ちならない男エドワード。彼は会社を次々と買収し金儲けに余念がなかった。ところがある病院の買収のために会議の席で、彼は吐血してしまう。彼が入院したのはエドワード自身が買収した病院。彼はコスト削減、売り上げアップのためにどの病院にも個室は作らず、二人部屋と決めていた。そしてカーターとエドワードは同じ病室に入ることになった。最初は折が合わなかった二人だが、徐々に距離が縮まっていく。ある日、カーターは学生の時に授業で課題として出された「棺桶リスト」を書き始める。それは死ぬまでにやっておきたい事のリスト。それを見たエドワードは自分のしたい事もリストに載せ、すぐに実行しようとカーターに持ちかける。そして年寄りコンビの壮大なるアドベンチャー始まった・・・・
私評:世界一の美女にキスをする・・・良いですね〜、こういう映画。なんだかやってる事はハチャメチャなんだけど夢がある。人生の最終コーナーを回って最後の直線に入ると、ほとんどの人は失速するのでしょうが、こんな風にすごいラストスパートで最後まで全力疾走できたら、さぞかし痛快でしょうね。それをJ・ニコルソン、M・フリーマンがやるから余計に面白いんです。もちろん、めちゃめちゃ笑える映画なのですが、闘病生活のリアルな苦痛シーンがあったり、家族との感動的な話があったりと、まさに泣いて笑って感動できる一粒で3度おいしい映画なのです。スピーチのシーンは涙が止まりませんでした。そして最後にこの映画は「死ぬため」にする事ではなく、「生きている」からこそすべき事を私たちに教えてくれます。主演は「ディパーテッド」「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソンと「ミリオンダラー・ベイビー」のモーガン・フリーマン。実はこの二人、初共演です。監督は「スタンド・バイ・ミー」のロブ・ライナー。余談ですが・・・この映画で「コピ・ルアク」という極上のコーヒーの薀蓄が出てくるのですが、このネタは「かもめ食堂」を見た人にはすでにおり込み済み。それゆえに、ちょっと笑えなかった私です・・(残念!)
王妃の紋章  監督:チャン・イーモウ  出演:チョウ・ユンファ、コン・リー
Curse of the Golden Flower  2007年 中国映画
中国、五代十国、後唐の時代。9月9日の重陽節を前にして国王と第2王子の傑が王宮に帰ってくる。王と王妃の間はとっくの昔に冷めていて王妃は継子である皇太子と不義を交わしていた。病気がちな王妃のために国王は特別な薬を煎じて、王妃に飲ませていた。しかし、その薬の中には猛毒の「トリカブト」が少量ずつ混入されていた。密偵により毒のことを知った王妃だったが、彼女は薬を飲むことを止めなかった。彼女はその事を第2王子の傑にだけ打ち明けた。そして彼女の大きな企みも・・。一方、皇太子は母との関係と断ち切り宮廷医の娘と王宮から出て一緒になることを考えていた。そして重陽節の晩餐の席に向けて、上辺だけは平和そうな王家の家族は、それぞれ策略を練り上げていく・・・・
私評:花は咲かすわ・・・・中国の巨匠チャン・イーモウが贅の限りを尽くした映画を作った。中国映画で50億円ってすごい金額です。黄金の宮廷セット、庭に敷き詰められた黄色い菊の花と、通路には何キロにもなる絨毯・・。そして極めつけは中国映画ならではのすごい数のエキストラ。これは大画面で見ておきたいと思って映画館まで行ってきました。このスケールだとハリウッドならばみんなCGにしてしまうのでしょうね。その壮大なセットの中で紡がれる王家家族の血で血を洗う殺し合い。その真っ赤な血が黄色い菊の花や黄金のセットに飛び散るのですが、それがまた妙に美しいのです。ただ、この映画で刃と刃が擦れあうシーンが冒頭にあるのですが、その音が私は苦手で歯が浮いてしまいました・・。王妃を演じるのは、かつてはチャン・イーモウ映画の常連で最近はハリウッド映画「マイアミ・バイス」にも出演しているコン・リー。そして国王役はチョウ・ユンファ。(なんだか見た目だけじゃなく、演技まで千葉真一に似ていると思ったのは私だけ??)傑役は「頭文字D」のジェイ・チョウ。彼のアクションもすごいです!!皇太子役は「山の郵便配達」のリウ・イェ。絢爛豪華なこの作品は大画面で見ておいて良かったです。


前回の記事も読んでね〜!



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