2011/5/8

GWはできる限り映画を観ようと思ったのですが
思ったほどは観れず・・・イチ押しは新しいファミリー像を問うドラマと
切ない女たちの悲劇。

キッズ・オールライト  監督:リサ・チェロデンコ  出演:アネット・べニング、ジュリアン・ムーア
The Kids Are All Right  2010年 アメリカ映画
今週のイチ押し:18歳のジョニは大学進学を控えた女の子。彼女は弟のレイザーとふたりの母親ニックとジュールスの(ゲイ夫婦)の4人暮らし。ジョニはニックの娘で、レイザーはジュールスの子供だったが、ふたりは同じドナーの精子を使って妊娠していた。18歳になって自分の出生の秘密を知る権利を得たジョニは思い切って“遺伝子上の父親”に連絡をしてみた。彼はレストランのオーナーとして成功しているポールという独身男性。ジョニは彼に好感を抱いた。しかし、子供たちがポールと会っている事を知ったニックとジュールスは納得がいかない。さっそくポールを自宅の食事会に呼び、さっさと縁を切るつもりでいた。しかし、ジュールスが最近始めた景観デザイン(ガーデニング)の商売にポールが興味を示し、その場で商談が成立してしまう。しかも、仕事でポールの家に通い続けるうちにジュールスは彼に惹かれ、ついにふたりは関係を持ってしまう。一方のニックは父親のいなかった家庭の中で、しっかり者を演じてきたが、本物の男の登場に家庭を乗っ取られたような恐怖と嫌悪を抱いていた。そんなある日、ポールは一家をディナーに招待する。そこでニックはジュールスとポールの浮気を見抜いてしまう・・・
私評:家族だから正直に言うわ。ごめんなさい・・・今年のアカデミー賞でいくつもノミネートされていてとても気になっていた作品。そもそもレズビアンのふたりが同じドナーの精子を使って子供をそれぞれ作って4人で住んでいるというスタート時点で、この家族の複雑さが分かる。だけど、そこで展開されていく話はどの家族にも共通する事なのです。たとえどんな環境でも愛し合う者同士が一緒に暮らしてこそ家族。その絆は“血”ではないのです。しかし、この不安定ながらもバランスが取れていた家族に“遺伝子上の父親”というウィルスが紛れ込み、それぞれの家族を蝕んでいく・・。また、このポールって男がイイ奴なんです・・。果たして彼らは元の幸せを取り戻せるのか??主演はこの作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされた「バグジー」のアネット・べニング、そして彼女のパートナー役は「めぐりあう時間たち」のジュリアン・ムーア。今回は脱ぎまくります!?ポール役にはアカデミー助演男優賞にノミネートされた「シャッター・アイランド」のマーク・ラファロ。ジョニ役は「アリス・イン・ワンダーランド」のミワ・ワシコウスカ。彼女ってめっちゃキュートですね。そしてレイザー役は「ダレン・シャン」のジョシュ・ハッチャーソン。完璧なまでのキャスティングです。監督は女性監督リサ・チェロデンコ。
八日目の蝉  監督:成島出  出演:井上真央、永作博美
 2011年 日本映画
今週のイチ押し:1993年、横浜地裁。ここでは誘拐事件の裁判が行われていた。被告人は野々宮希和子。彼女は秋山家の生まれたばかりの長女を誘拐し4年間も逃亡を続けたのだ。希和子は最後に秋山家の夫婦に”謝罪”ではなく”感謝”を述べて法廷を去った。元々、秋山家の主人・丈博と希和子は不倫の関係にあった。しかも、希和子は丈博の子供を堕胎していた。そんな彼女に妻の恵津子は罵倒を浴びせたのだ。そして希和子は秋山家に忍び込んだ。赤ん坊に目をやるとなんと赤ん坊は希和子にほほ笑んだ。そのまま希和子は発作的に赤ん坊を抱えて駈け出した。赤ん坊には薫という名を付けて各地を転々とする希和子。そしてふたりの間には母子の確実に愛情が芽生えていった・・。秋山恵里菜は21歳の大学生。誘拐事件後、本当の両親に抱きしめられても、彼女は困惑するばかりだった。彼女にとって母親は希和子。困惑は両親も同じ事。いつまで経っても懐かない恵里菜に母親の恵津子は憤りさえ覚えていた。大学に入り両親の元を離れて暮らす恵里菜に女性記者の千尋が近寄って来る。彼女は誘拐事件の事を本に書きたいというが・・
私評:その子はまだご飯を食べていないんです。お願いします!・・・・強烈な映画でした。2時間30分という時間があっという間。映画は佐和子の逃亡の日々と恵里菜の現在が交互に描かれていく。この映画に出てくる女たちはみんな被害者で、しかも可愛そうな女ばかり。しかし、彼らの不幸の種をまいているのは甲斐性のない男たち。そもそも発端は不倫をしながら子供を作った男なんですから・・。しかも、この映画には佐和子、恵里菜の他にも不幸を抱えた女たちが出てきます。そしてその誰もが印象的なのです。ただ、可愛そうなだけではない。彼女たちには幸せになって欲しい・・そんな思いが湧き起こってきました。そして私的には完璧すぎるラスト。回りくどい演出を避けて”バン!“と終わる最後、大好きです。また、音楽の使い方も憎いくらい良いんです。そして極めつけはラストで掛かる中島美嘉の歌・・最高でした!!恵里菜役は今までの明るいキャラから一転、暗い女を演じきった「花より男子」の井上真央。そしてある意味、気持ち悪い佐和子を演じるのは「人のセックスを笑うな」の永作博美。今回、映画の中で自ら髪をバッサリ。この作品への意気込みを感じました。その他にも小池栄子、余貴美子、森口瑤子、市川実和子らが、悲しくもちょっと気持ち悪い女を熱演。監督は「フライ・ダディ・フライ」の成島出。(上記に”気持ち悪い“という表現を何度かしていますが、これは良い意味で気持ち悪いのです。それくらいインパクトがあるという事です)
岳 -ガク-  監督:片山修  出演:小栗旬、長澤まさみ
Anti Christ  2011年 日本映画
長野県警北部警察署の山岳遭難救助隊に新たに赴任してきたのは椎名久美。彼女はある秘めた思いを抱いてここに配属を希望したのだ。その初日、クレパスに男性が落ちた。救助に向かった救助隊と久美を待っていたのは島崎三歩という男。彼は世界中の山を制覇した山登りのエキスパート。そして誰よりもこの辺りの山を知っていた。そんな彼は山岳救助ボランティアとして登山者を見守っていたのだ。やる気は誰にも負けない久美だったが、現実は厳しかった。次々と見せつけられる山の厳しさ、そして死体の数々。山の中での自分の無力さを見せつけられた久美は、おおらか過ぎる三歩の言動に反発を抱きはじめる。そんな中で自らの不注意で滑落事故を起こしてしまった久美は、ヘリコプターの達人の牧から「アマチュア」という厳しい言葉を浴びせられる。救助隊長の野田から三歩の知られざる過去を聞かされた久美は次第に三歩に心を開いていく。そんな中、冬の北アルプスで多重遭難が発生する・・・・
私評:また、山に戻っておいでよ~!!・・・・面白い映画でした。さながら「海猿」が海のエキスパートなら「岳」は山のエキスパートの話。両作品とも相通ずるものがあるのですが、強いて違うところを挙げれば「海猿」は男の世界で「岳」には久美というヒロインがいる事ですかね。それにしてもこの映画は映像が美しい。どこまでも続く雲海、夜明けの山々、そして四季折々の美しい自然。これもこの映画の楽しみ方。そして、冬山は想像を絶する世界。そんな中までカメラを持ち込んで撮影したクルーの方たちは、ほんとうに大変だったでしょうね・・。この映画もシリーズ化して欲しいです。主演は「クローズZERO」の小栗旬。今回はまったく今までと全く違う飄々とした三歩のキャラクターを見事に演じていました。そして久美役は「隠し砦の3悪人」の長澤まさみ。最近、この作品の番宣でバラエティとかにも出ていましたが、やっぱり彼女はスクリーンで本領を発揮します。今回の久美役は久々に当たり役だったと思います。その他、佐々木蔵之介、市毛良枝、石田卓也、渡部篤郎らが脇を固めます。監督は片山修。
塔の上のラプンツェル  監督:バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ  日本語声の出演:中川翔子
Tangled  2010年 アメリカ映画
昔々、太陽の滴が地上に落ちて金色の花が咲きました。その花には魔法の力があり病気を癒す力がありました。花は何世紀も咲き続け、近くに王国ができました。ところがその国の王妃は出産を控えて重い病気に掛かっていました。王妃のために家臣のひとりがその花を見つけ持ちかえると、王妃は回復して可愛い女の子ラプンツェルを産みました。しかし、花の力で長く生きてきた魔法使いのゴーテルはラプンツェルを誘拐し森の奥の塔に連れていきました。そしてゴーデルは自分の娘としてラプンツェルを育てました。なぜなら、ラプンツェルが歌うと彼女の髪が輝き、花と同じ魔力が生まれたからです。外は危険だと言われ、ずっと塔の上で暮らしていたラプンツェルは外の世界をまったく知らずに美しい女性に育って行きました。しかし、毎年彼女の誕生日に空に現れる無数の灯の正体が知りたくて仕方ありませんでした。そんなある日、盗賊のフリン・ライダーが塔に現れました。長い髪を巧みに使ってフリンを捕らえたラプンツェルは、彼が持ってきた鞄と引き換えに外の世界へ連れ出してほしいと取引をしました・・・・
私評:ようやくめぐり会えた運命の人・・・・これはディズニーアニメ50作品目という記念すべき映画。私は3Dの吹き替え版で観ました。最初は全然、食指が動かなかったのですが、とにかく周りの評判が良くて、「やっぱり観ておこう!」という気持ちになった作品。観て良かったです!この作品はディズニーが得意とする“お姫様”の物語。歴代の「白雪姫」「シンデレラ」そして最新の「プリンセスと魔法のキス」などのプリンセス同様、ラプンツェルも好奇心旺盛で、元気いっぱいの女の子。また今回は3Dという事もあり、アクションシーンもふんだんに取り入れられていて、しかもそれらがとても美しいのです・・。女性にはかなりの確率でウケるストーリーだと思いますよ。そして私が声を大にして言いたいのが、吹き替えの中川翔子の素晴らしさ。彼女は本当に才能豊かな女性です。また、今回のラプンツェルとはかなり相通ずる部分があるのかも??監督は「ボルト」のバイロン・ハワードと今回長編初監督のネイサン・グレノ。やっぱりディズニーはすごいっす。
劇場版クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦  監督 :増井壮一  出演:矢島晶子、ならはしみき
The Runaways  2011年 日本映画
ある日、しんのすけの前にレモンという可愛い女の子が現れた。彼女がしんのすけに見せたのはなんと、憧れのアクション仮面からのメッセージ!すっかりその気になったしんのすけは、レモンの元でスパイになるための訓練を開始した。そしてようやくアクション仮面からの指令が届いた。内容はアクション仮面の大事な正義のカプセルが盗まれてしまったために、レモンと一緒にスパイになりそれを取り戻してほしいというのだ。向かった先はヘーデルナ王国のヘガデル博士の研究所。だけど、よくよく話を聞いてみるとこの博士、悪い人じゃないみたい。なんとそれらはすべてヘーデルナ王国の隣のスカシペスタンの支配者ナーラオとヨースルのふたりの陰謀だったのだ。しかも、アクション仮面も偽物!だった!おまけに野原家はみんな捕らえられてしまう・・・・
私評:しつこい臭いで街は壊さず人だけ撃退・・・毎年コナンとセットでやってくるこの作品は、相も変わらず、高校2年生になった甥っ子と一緒に観に行きました。(余談ですが彼女ができたと写メを見せてもらいました。おじさんはうれしいよ)という事で甥っ子と一緒に見るのも11回目となりました。毎回、手を変え品を変えて笑いと感動を届けてくれるこの作品。今回もお下劣なギャグと一緒に家族の愛情と勇気を見せてくれました。今回の作品の中では、往年のホラー映画の名シーンがパロディで出てくるんです。子供には訳が分からないでしょうが、私は思わずニヤリとしてしまいました。今回の監督はきっとホラーファンだ!唯一、不満と言えば春日部防衛隊の風間君、ねねちゃん、まさお君、ぼーちゃんの出演シーンが少ない事ですかね~。(マニアックな不満ですが・・)ラストはしんちゃんも大ピンチ!果たして・・声優陣はいつものしんちゃんは矢島晶子、みさえ役はならはしみき、ひろし役は藤原啓治、ひまわり役はこおろぎさとみ。ゲスト陣は今回主題歌も歌っている関ジャニ∞の村上信五と大倉忠義。まあ、関西弁は上手いのですが・・・監督は「クレヨンしんちゃん」の映画で絵コンテを担当していた増井壮一。
名探偵コナン 沈黙の15分  監督 :静野孔文  出演 : 高山みなみ、山崎和佳奈
 2011年 日本映画
都営地下鉄の新線が開通した。式典に参加した都知事は新型車両に乗り込んだ。しかし、都知事の周りには警護の人間が異常に多い。なぜなら、何者かから爆破予告が出ていたのだ。ちょうどその頃、江戸川コナンとその一行は高速道路を走行中だった。地下鉄と並行するトンネルに差し掛かった時、コナンは不審な人物を発見した。彼の手には発信機らしきものが・・、しかもこのトンネルは地下鉄と並行して走っていたのだ。コナンの大活躍によって被害は最小限に抑えられたが、予告通り地下鉄は爆破されてしまう。しかし、この事件は犯人の次なる標的の序曲でしかなかった。コナンたちは今回の事件の発端は、地下鉄に同乗していた都知事が国道交通大臣だった頃に異例の速さで建設をした新潟県の北ノ沢ダムにある推理した。さっそく一行は現地へと向かった・・・・
私評:このおっさん、しゃべるのがすげー遅いぞ・・・今年もコナンの季節がやってきました。(レビューが遅くなりましたが・・)今作は15作目という事で、タイトルにも“15”を引っ掛けているのですね。しかし、今回もコナンはテッパンの面白さでした。特にアクションシーンが多くて、アニメならではの派手な演出は大満足でした!しかも、さすがのコナンもラストは大ピンチに。果たしてコナンは助かるのか??最初に書いたセリフの部分は・・今回戦場カメラマンの渡部陽一が刑事役で登場するのですが、その渡部に対してのセリフ・・・場内は大爆笑でした。大ヒット作品なので来年も同じ時期に公開決定しています。声優陣は高山みなみ、山崎和佳奈らいつものメンバーが揃いました。毛利小五郎の声はいつのまにか神谷明から小山力也に変わっていたのですね。そして今回の主題歌はなんとB’sなんです!コナンを舐めちゃいけませんよ。監督は静野孔文。
GANTZ PERFECT ANSWER  監督 : 佐藤信介  出演 :二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子
 2011年 日本映画
おこりんぼう星人との戦いで友人の加藤を失った玄野はガンツの100点めにゅーを獲得し、加藤を蘇らせるため必死に戦っていた。一方、現実の世界では加藤の弟の歩を玄野に好意を寄せる同級生の多恵と一緒に支えていた。ガンツの世界での戦いが徐々に熾烈になっていき、多恵と歩は玄野の癒しになっていた。そんなある日、トップモデルの鮎川の元にガンツを小さくした黒い玉が届けられた。そこに浮んだ使命を彼女は無意識で行っていたのだ。それは人を殺めガンツの世界に送り込むことだった。やがて、彼女自身も・・・。彼女が送り込んだのはかつてガンツの世界で戦い、100点めにゅーで現世に復帰したメンバーたちだった。一方、玄野の家に突然加藤が現れる。しかし、玄野は違和感を感じていた・・。不可解な状況の中でメンバーの鈴木が100点を集め加藤を復活させる事に成功。やはり玄野家に現れた加藤は別人だった。さらに、黒服星人との戦いでは現実の世界が巻き添えを食い多数の犠牲者も出てしまう。いったい、ガンツに何が起きているのか?そしてガンツが次に挙げたターゲットはなんと多恵だった・・・・
私評:小島多恵 特徴・よわい、好きなもの・玄野君・・・前作では謎だらけの中でメンバーに選ばれた玄野や加藤らの戦いのシーンがメインになっていたが、今回はそれらの謎が解けるというので楽しみに見に行きました。元々原作のコミックも読んでいなくて、何の情報もなく映画を観て楽しめたのですが、続編は話が複雑に絡み合い物語が転がって行きます。しかし、肝心の部分の解明がされず、なんとなく・・といった感じで話が終わってしまった。まあ、オチはなんとなく読めてしまったのですが・・。タイトルが”Perfect Answer”だったので期待していたのですが、パーフェクトではなかったですね。それでもアクションはかなり気合が入っていて、特に地下鉄内でのバトルは大興奮。日本もやればできるじゃないか!!主演は前作に引き続き二宮和也、松山ケンイチ。やっぱりこのふたりは上手い!そして前作ではあまり出番のなかった吉高由里子が今回はキーパーソンとして大活躍。そして新たなメンバーとしてトップモデル役で伊藤歩、ガンツの真相を追う男として山田孝之が加わりました。監督は前作に引き続き、佐藤信介。


前回の記事も読んでね~!



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