2005/5/2

GWなのに、どこにも出かけない私は映画三昧。劇場はもちろん
DVDも観まくりです。不健康だな〜・・・

クローサー  監督:マイク・ニコルズ  出演:ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ
Closer  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ロンドンの人ごみをかき分けるように、赤い髪の若い女、アリスが歩いている。そして反対側からはヨレヨレのコートの男、ダン。ふたりはひと目でシンパシーを感じた。しかし、その時歩道から出たアリスは車に跳ねられてしまう。ダンはアリスを病院まで運んだ。幸いけがは軽く、すぐに病院を出たふたり。それがアリスとダンの出会いだった。そしてふたりは一緒に暮らすようになった。新聞の死亡コラムを書いていたダンは、アリスをモデルにした小説を出版することに。その小説のポートレイト撮影が行なわれた。シャッターを切るのは新鋭のカメラマンのアンナ。ダンはその場で彼女に恋をしてしまう。しかし、その場にアリスが現れ、ダンとアンナは気まずい雰囲気になってしまう。そんなある日、ダンはインターネットのSEXサイトで女に成りすまし、アンナの名前を語ってチャットをしていた。その相手はラリー。すっかり、その気になったラリーは水族館で待ち合わせをした。しかし、偶然そこに居合わせたアンナ。それがラリーとアンナの出会いだった。この4人は不思議な運命の糸に導かれ、複雑に絡み合っていく。それぞれの思惑通り、彼らは愛を手に入れることができるのか??・・・
私評:ハロー、ストレンジャー・・・正直、こんなに面白い映画だとは思いませんでした。とにかくこの映画は4人の会話だけで成立している。まるで、舞台を見ているようでした。それもそのはず、この映画の監督は舞台出身のマイク・ニコルズなのだ。とにかく、4人の会話は強烈なまでにストレート。そしてお互いの感情を思い切りぶつけ合うのです。それらの言葉は、相手を鋭く傷つけたり、はたまた優しく包み込んだり。4人はそれぞれ「愛」についての考え方が違っていて(これは当然だと思うのですが・・)、それぞれがすごく興味深くて面白かった。しかし、私的にはすごく意外な結末で、なんとも納得のいかないエンディングでした。ところが、よくよく考えてみるとそれはただ単に「私が求めていたエンディング」と違っているだけで、実はこういう展開がリアルなのだと思いました。今風の男と女の「かけ引き」を勉強するにはバイブル的な映画になりうるかも?? そしてどん底まで叩き落されても、また人は人を好きになる生き物なのですね。出演はジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、クライブ・オーエン、そしてナタリー・ポートマン。4人が4人とも素晴らしいですよ。また、4人が私の抱いている彼らのキャラクターとは違うキャラを演じているのが素晴らしい。特にナタリー・ポートマンは素晴らしかったです。ゴールデン・グローブ最優秀助演女優賞も納得の演技。そして全編に流れるメロウな音楽も私のお気に入りです。映画のラストでダンが見つける、ある名前。私はこのシーンがすごく好きです。
愛の神、エロス  監督 :W・カーウァイ、S・ソダーバーグ、M・アントニオーニ  出演:コン・リー、アラン・アーキン
eros  2004年 フランス、イタリア、ルクセンブルグ、アメリカ、中国
The Hand : 仕立屋のチャンは、かつて多くのパトロンを抱え一世を風靡した元高級娼婦のホアの服を抱えいつものホテルへとやってきた。病床のホアはチャンとの出会いを懐かしそうに話しはじめる。「あの時の私の手を覚えている?」当時、見習いだったチャンは、親方の命令でホアに服を届けにきた。通された部屋で待っていたチャンの耳に、隣の部屋で激しい情事を交わす声が聞こえてくる。男が帰った部屋に通されたチャンは、先ほどまでこの部屋で行なわれていた光景を想像してしまい、ズボンの前を隠したままホアに近づく。まるで子供を挑発するような彼女の美しい手の中でチャンは果て、彼はホアの家を飛び出して行った。それ以来、チャンはホアのお気に入りの仕立屋となった。そして彼の手は彼女の体の全てを知り、いつでも最高の服を彼女のために作り続けた。しかし・・・・・・
私評:たくさんの女に触れないと、いい仕立屋にはなれないわ・・・この映画は3つの物語のオムニバス。しかも、カンヌでグランプリを獲った香港のウォン・カーウァイ、アメリカのスティーブン・ソダーバーグ、そしてイタリアの巨匠ミケランジェロ・アントニオーニの3人が監督を手掛けている。それぞれの監督が描くエロスは、まったく違うアプローチでした。私は今までのウォン・カーウァイの映画は、どうも苦手だったのですが今回の映画は素晴らしかった。まさに、エロイ映画。今回、40分くらいの短編だったのが良かったのかも?ソダーバーグの作品は正直言って、イマイチ。かなり眠かったです。夢に出てくる裸の女に悩む男と、彼の話を聞く精神分析医の話なのですが、これはもうコメディ。そしてトリのアントニオーニの作品は、彼の多くの映画でとり上げられている「不毛の愛」がテーマとなっているので、往年の彼の作品(「情事」「欲望」)などをご覧になっている方は、思わずニヤリとしてしまうかも? 舞台となるトスカーナの景色は本当に美しい。そんな真っ青な海に全裸の女が現れても、不思議とエロは感じない。しかし、男女間の深い溝、そして老いることの悲しさなど、かなりテーマは重いです。出演者はコン・リー(美しいです・・)、チャン・チェン、ロバート・ダウニー・Jr、アラン・アーキン、クリストファー・ブッフホルツ、ルイザ・ラニエリなど、くせのある役者ばかり。やはり映画自体も一筋縄では行きません。
レジェンド 三蔵法師の秘宝  監督:ピーター・パウ  出演:ミシェル・ヨー、ベン・チャップリン
天脈傳奇  2002年 中国・香港・台湾映画
チンタオで活躍する曲芸師の姉弟のインとトン。彼らの出し物"The Touch"は今日も大勢の観客を魅了した。同じ頃、泥棒のエリックは冷酷な大富豪のカールの依頼である宝物を盗み出した。しかし、それが「敦煌の心臓」という伝説の石だという事が分かり、再びエリックは石を奪い、インの元へと向かった。実はインの一族は古くから敦煌にあると言われている三蔵法師の秘宝を見つけ出し、そしてチベットの寺に戻すことを使命とされていたのだ。エリックは昔の恋人のインにその石を託すが、カールはインの存在を知り、石を求めて追いかけてくる。ところが、インに子ども扱いされた彼女の弟のトンが、石を持って恋人のリリーと共に一足先に敦煌へと旅立ってしまう。ふたりを追ってインとエリックも敦煌へ向かうが行く先々でカールが罠を仕掛けてくる。そしてついに彼らは、様々な謎を解き秘宝へと辿り着くが・・・・
私評:血なくして心臓は打たず・・香港の人気女優ミシェル・ヨーが主演のアクション映画。しかも、私の好きなお宝探し映画とくれば、これは見なくちゃいけないでしょう!地味に公開されている作品ながら、なかなか面白い映画でした。「ナショナル・トレジャー」と比べれば、いささか迫力が落ちてしまうけれど、そこはバジェットが少ない分、致し方ないでしょう。しかし、この映画はハリウッドの超大作ではありえない、幾つもの見所があります。まずはミシェル・ヨーの生身のアクションです。「ナショナル・・」のニコラス・ケイジと違って、彼女は本格的なアクション女優ですからね。素手の戦い、曲芸の数々などなど数々のアクション・シーンをスタントマンなしで行なっている。やはり彼女のアクションはスゴイです。そして凝りに凝ったセットの数々。特に冒頭の「ザ・タッチ」の公演シーンは見応えがあります!そして中国ならではの壮大な自然を生かしたロケ。しかし、唯一中国が舞台なのに、全編英語というのはどうも違和感があるのですが・・・。主演のミシェル・ヨーは今回初めて製作総指揮も兼ねています。ハリウッド映画への対抗意識がビンビン感じられます。エリック役は「シン・レッド・ライン」のベン・チャップリン、そして悪役カールを演じるのは「ヴァン・ヘルシング」のドラキュラ役が印象的だったリチャード・ロクスバーグ。監督は「グリーン・ディスティニー」で撮影監督を務め、今回初監督となるピーター・バウ。
レモニー・スニケットの
世にも不幸せな物語
 監督:ブラッド・シルバーリング  出演: ジム・キャリー、エミリー・ブラウニング
Lemoney Snicket's A Series Of
Unfortunate Events
 2004年 アメリカ映画
ブラウニー家の3人の子供たちはそれぞれユニークな才能を持っている。姉のヴァイオレットは天才的な発明家。長男のクラウスは本の虫で、読んだ本は全て暗記している。そして末娘のサリーは不思議な言葉で姉兄とコミュニケーションをする、「歯が丈夫」な女の子。しかし、3人に突然不幸が襲う。なんと彼らの自宅が火事になり、両親が揃って焼死してしまったのだ。両親は3人に遺産を遺すが、まだ幼い彼らは親戚のオラフ伯爵に引き取られていく。しかし、オラフの目当ては彼らのお金だけで3人を馬車馬のようにこき使い、ついには彼らの命を狙い始める。次から次へと襲いかかって来る危機に3人は力を合わせて立ち向かう。しかし、オラフは執拗なまでに彼らを追い詰める・・・・
私評:ブーブーダーダ(これはサリー語です)・・・・この映画は完全に「ハリー・ポッター」を意識して作られていますね。主人公の3人は、魔法は使えませんが、頭脳を駆使して次々と襲い来る危機を回避していく。そんな世にも不幸せな3姉弟妹の活躍がこの映画の一番の見所。しかし、そのひとつひとつはイマイチ迫力に欠けています。特撮にも力は入っているのですが・・・。しかし、私はこの3人のキャラクターが気に入ったので、楽しく映画を観ることができました。長女のヴァイオレットを演じるのは「ゴーストシップ」の幽霊の女の子が印象的だったエミリー・ブラウニング。彼女の大人っぽい雰囲気がイイです!!長男役は「ロード・トゥ・パーディション」でトム・ハンクスの息子を演じたリーアム・エイケン。そして末っ子のサリーは双子のホフマン姉妹。この子がめちゃ可愛いんです〜。オラフ伯爵を演じるのはこういう濃いキャラクターはお手の物のジム・キャリー。クドイです!弾けています!!でも、これがジム・キャリー節!!そして実に地味な役でメリル・ストリープが登場。彼女はこういう役もできるんですよね〜。おまけにダスティン・ホフマンがほんのチョイ役で登場。しかも、彼はノン・クレジット。監督は「シティ・オブ・エンジェル」のブラッド・シルバーリングです。
バッド・エデュケーション  監督 :ペドロ・アルモドバル  出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、フェレ・マルチネス
Bad Education  2004年 スペイン映画
若き映画監督のエンリケは、すでにいくつもの作品で成功を収めその名を世に知らしめていた。そんな彼の元に少年時代の親友のイグナシオが訪ねてくる。彼は売れない役者で、エンリケに仕事が欲しいと申し出る。また、彼は自らが書き上げたシナリオを持参しエンリケに売り込みをした。その物語は二人の少年時代の話だった。神学校時代に強く魅かれあっていたエンリケとイグナシオ。二人は禁断の恋に落ち、そして訪れる悲しい別れ。エンリケはイグナシオのシナリオにどんどん引き込まれながらも、あまりに変わってしまった友人に戸惑いを隠すことができない。このシナリオを映画化することを決めたエンリケは、イグナシオと共にまさに自伝的な作品の製作を開始した。そしてエンリケはイグナシオのある秘密に辿りつく。それはあまりにも、悲しい秘密だった・・・・・
私評:こんなの序の口だよ・・・アルモドバル監督作品は頭で理解するのが難しい。これは「オール・アバウト・マイ・マザー」でも、「トーク・トゥ・ハー」でも同じだった。この映画では「愛情」「怒り」「遺恨」「欲望」などのさまざまな感情が主人公たちを突き動かしていく。それはなんだか恐怖でもあり、快感でもあるのです。そんな感情に揺り動かされ、そして翻弄されていくふたりの男の感情を掴み取れるかどうかが、この映画を楽しめるかどうかの境界線のような気がします。しかし、それは言葉で説明するには、あまりにも危険な感情かも?実は私は男と男の肉体関係は苦手です。もちろん、そういう恋愛を否定するわけではありませんが、私個人が生理的に受け付けないのです。それがいくら美しい男でも・・・。それゆえこの映画のふたりの関係がどうしても受け入れられなくて・・・。これは本当に私個人の思いです。私が印象的だったのはイグナシオ少年が「ムーン・リバー」を歌うシーン。この美しい声も人を惑わすのか??監督はいまや名実共に有名なペドロ・アルモドバル。実は私は「トーク・トゥ・ハー」がすごく好きで、すでに3回観ています。しかも、見れば見るほど味わいが出る。しかし、「バッド・エデュケーション」は、正直何度も見たくはないですね・・。主演は「モーター・サイクルズ・ダイアリー」のガエル・ガルシア・ベルナル。彼の女装はすごくエキゾチックで美しいですよ。そして劇中で歌う「ケサス・ケサス・ケサス」は悩殺!そしてエンリケを演じるのは「アナとオットー」のフェレ・マルティネス。


前回の記事も読んでね〜!



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