2016/4/3

花粉症なので映画鑑賞が辛い事もしばしば・・特効薬ができないかな?
今回のイチ押しは昭和の名作とDCこみっくの反撃作品??

蜜のあわれ  監督: 石井岳龍  出演 : 二階堂ふみ、大杉漣、真木よう子
 2016年 日本映画
今回のイチ押し:老作家は赤い服を着た愛くるしい娘と向かい合う。庭を眺める娘を見て作家はスケッチを始める。そこに描かれていたのはまっ赤な金魚。彼女は自分に赤井赤子と名前を付けた。退屈すぎると彼女は出掛けてしまい、作家は執筆に戻った。夕刻に帰った赤子は野良猫に尾びれを裂かれてしまう。老作家は唾で修繕を試みると元通り。上機嫌になった赤子は無邪気に踊ってみせた。そんなある日、作家の講演会に出掛けた赤子は白い服の儚げな女、田村ゆり子と出会う。具合が悪くなったゆり子は赤子から水筒の水をもらう。すると水筒には「犀」の文字。ゆり子はそれが老作家の物だと見抜いた。実はゆり子はかつて老作家に原稿を見てもらった事があり、好意以上の物を抱いていたが、彼女はすでにこの世の人ではなかった・・
私評: あれが出るのはホットな時なの・・・原作は室生犀星。私は二十歳くらいの時にこの本を読んだのですが、以来何度も読んでいるお気に入り。犀星版の「痴人の愛」ですかね。老作家とはもちろん犀星自身の事。晩年になって理想と妄想、そして自分の中で尽きてきた男としての性(性欲だけではなく)にすがりつくような内容です。老いは誰にでもやってくるけどただ受け入れるのではなく、こんな風に空想の中でもしがみついて行くのって、私的にはステキな事だと思うのですが・・・。赤子役は「地獄でなぜ悪い」「私の男」の二階堂ふみ。この役は彼女以外にはできないかも??それくらいピッタリの役。老作家役は日本一のバイプレイヤーと言っても過言ではない大杉漣。ゆり子役は「そして父になる」の真木よう子、ビックリするくらい芥川龍之介にそっくりの「悼む人」の高良健吾、そして金魚屋のおやじ役には「あん」の長瀬正敏という超豪華な顔ぶれ。監督は「狂い咲きサンダーロード」「五条霊戦記」の石井岳龍(石井聰互)。
バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生  監督 : ザック・スナイダー  出演 :ベン・アフレック、ヘンリー・カビル、
Batman V Superman Dawn of Justice  2016年 アメリカ映画
今回のイチ押し:メトロポリスの議員フィンチはスーパーマンの力に疑問を抱いている。且つてゾッド将軍との闘いで街は甚大なる被害を被った。今は我々サイドにいるスーパーマンが敵に回ったら我々は無力だと。そんな彼の力を非難する男がもうひとり。彼の名はブルース・ウェイン。かつてのスーパーマンの闘いの際に、彼の所有するビルが破壊され従業員が多数、命を落としたのだ。そんなふたりを引き合わせたのが若き天才事業主レックス・ルーサー。彼は秘密裏にゾッドが地球に持ち込んでいた「クリプトン」を手に入れていた。それはスーパーマンの力を封じ込める力を持った石だった。一方、フィンチはスーパーマンを議会に呼び出すが、その場で爆発事故が起こり多くの死者が出る。咄嗟の事でスーパーマンも未然に防ぐことはできなかった。そしてレックス・ルーサーはスーパーマンの育ての親のマーサを誘拐し、スーパーマンを呼び出しバットマンを殺すことを要求するが・・
私評:みんなが同じ気持ちでいるかしら・・・ついにDCコミックもキャラクター連合軍の映画を作り始めました。一足先に「アベンジャーズ」でマーベルが行っているのでDCファンはまさに待ちに待った作品。しかも、最高のふたりが激突します。しかし、パワーでは生身の人間のバットマンが敵うはずもない。特殊アーマーを着ても差がありすぎ。最強の敵が現れてもバットマンは何もできず・・。この構図がマイナスですかね。そして突然正体を現すワンダーウーマンがステキすぎる。彼女の昔の写真に写っていた最強戦士たちが、この後どんどん出てくるのでしょうね。バットマン役は「ゴーン・ガール」のベン・アフレック、スーパーマンは「コードネームUNCLE」のヘンリー・カヴィル、ロイス・レーン役は「アメリカン・ハッスル」のエイミー・アダムス、マーサ・ケント役は「ストリート・オブ・ファイアー」のダイアン・レイン、そしてものすごい印象を残すレックス・ルーサー役は「ゾンビランド」「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ。監督は「300」「マン・オブ・スティール」のザック・スナイダー。
無伴奏  監督 : 矢崎仁司  出演 : 成海璃子、池松壮亮、斉藤工
 2015年 日本映画
1969年、女子高生の響子は制服廃止の紛争を校内で行っていた。そんな時、友人たちと訪ねた「無伴奏」という喫茶店で彼女は大学生の渉、祐之介、そして彼のGFのエマと出会う。目標もなく学生運動に加担していた響子は、全く違う人種の渉に興味を持ち、徐々に惹かれていく。4人で過ごす時間が徐々に増え学業に身が入らない響子。そんな時、渉の姉の勢津子と引き合わされる。渉と勢津子の間にはただならぬ雰囲気が漂っている。渉は響子を好きだと言ってくれるが、なぜか彼の心が遠く感じてしまう響子。高校を卒業して予備校に通い始めた響子は、相変わらず3人とつるんでいる。そんなある夜、響子は渉と祐之介の秘密を知ってしまう。ショックを受けるがその事までも受け入れようとする響子。そしてエマが祐之介の子どもを身籠った事を発表する。しかし、恐ろしい事件が起こってしまう・・・
私評:ふたりが初めてキスをした時の月は、まだアメリカ人の足跡がなかったんだよ・・・昭和の匂いがプンプンする作品です。クラシック音楽を聴く喫茶、そこでたばこの煙を燻らせながら語り合う。一昔前の日常に当時では考えられないような非日常が響子に降りかかる。とても静かな映画なのですが所々、心臓をギュッと締め付けるような衝撃的なシーンがあります。映画の随所にかかるクラシック音楽も印象的です。個人的にはとても好きな映画です。主演は最近パッとしなかった「罪とか罰とか」「山形スクリーム」の成海璃子。元々、演技力がある彼女が久々に本領発揮です。(だけど、どうせなら中途半端に隠さずに『乳』を出してしまえば良かったのに・・・)渉役は「海を感じるとき」「紙の月」の池松壮亮、祐之介役は「愛と誠」の斎藤工。このふたりの濃厚な濡れ場は気持ち悪くもあり、美しくもあり・・・。エマ役は遠藤新菜。あと、キャストでビックリしたのが響子の母親役の斉藤とも子。昔の青春スターもすっかりおばさんでした。監督は「スイートリトルライズ」の矢崎仁司。
あやしい彼女  監督 : 水田伸生  出演 : 多部未華子、倍賞美津子
 2016年 日本映画
下町の商店街を闊歩するのは73歳のパワフルばあちゃんのカツ。彼女の毒舌には正直、街中が拒絶反応を起こしている。彼女の自慢と言えば女手ひとつで育てた娘、幸恵が有名雑誌の編集長をしている事。しかし、実は幸恵は編集長から外されたばかりだった。孫の翼はバンドに夢中だが幸恵には批難されている。しかし、カツはいつも翼の見方だった。そんなある日、カツと幸恵は大喧嘩をしてカツは家を飛び出してしまう。偶然目に入った写真館に飛び込んだカツはそこで写真を撮る事に。写真館を出たカツは引ったくりに会ってしまう。なんとか取り押さえた男のヘルメットに映った自分を見てビックリ仰天。そこに若々しいカツが映っていたのだ。これはお天道様がくれたチャンスと前向きに受け取ったカツは、美容室、ブティックと周り「やりたい事」を模索するが、結局は幼なじみの次郎の銭湯へと向かう。ひょんな事で次郎の家に住むことになったカツは、咄嗟に節子という名前だと答えるが・・
私評:ありがとう、お母さん・・・韓国映画「怪しい彼女」の日本版リメイクです。オリジナル作品は私の大好きな作品。これがどのように日本用に料理されているかが楽しみだったのですが、基本的にはほとんど同じ。強いて言えば幸恵役がオリジナル版では男だった事。しかし、この変更は作品にとって大きなプラスとなりました。母と娘だからこそ分かりあえるシーンがあるのですが、そのシーンは本当に泣けました。あと、この映画のマストアイテムが音楽。昭和の名曲がたくさん使われていて、特に「悲しくてやりきれない」のシーンは泣けますよ・・。主演はTVでの「デカワンコ」「ドS刑事」などでコメディエンヌとして活躍中の多部未華子。歌もめちゃくちゃ上手いです。カツ役は「復讐するは、我にあり」「楢山節行」の倍賞美津子、幸恵役は「めがね」「かもめ食堂」の小林聡美、二郎役は「幕が上がる」の志賀廣太郎。その他、要潤、北村匠海、温水洋一などなど。監督は「舞妓Haaaaan」「綱、引いちゃった」の水田伸生。
のぞきめ  監督 : 三木康一郎  出演 : 板野友美、白石隼也、入来茉理
 2016年 日本映画
テレビ局で編集の仕事をしている彩乃は、偶然残業中に起こった死亡事故(?)の現場に行く事になりカメラを回し自ら実況をした。アパートの非常階段で亡くなった青年は腹から下がよじれていて口に中には大量の泥が入っていた。事件の調査をする事になった彩乃は、被害者の恋人の和代と会い、話を聞くとふたりは大学のサークルの合宿で出掛けた時に遭遇した奇妙な出来事以来、何者かに常に見られているような感覚に襲われていたという。彩乃は彼らが出掛けたという場所に恋人の信二と一緒に出掛ける。しかし、和代の写真に写っていた村落はなく、そこは大きな湖があるだけだった。その時、信二はある物を見てしまう・・・。信二はこれらの現象が「のぞきめ」の仕業ではないかと調べ上げる。そしてふたりは「のぞきめ」に詳しい民俗学者の四十澤を訪ねるが・・
私評:私は何もできないけど、ぜんぶ聞いてあげる・・・つい最近原作本を読んだのですが、これがとても面白かった。正直言ってホリプロが元AKBの板野友美押しで作った作品だから・・と見下していたのですが、けっこう良くできた映画で怖さもしっかり伝わってきました。しかし、原作とはベースだけが一緒で内容は一新されています。この映画を見た後は、自分の周りの隙間が怖くなるかも??いかにもありそうな話なのでよけいに怖いかもしれません??主演の板野友美は一生懸命頑張っている感はあるのですが、お世辞にも上手いとは言えない演技。だけど、怖がる演技はかなり良い。信二役は「GANTZ」の白石隼也、和代役は「海の金魚」の入来茉理、子供ながら怖い演技を見せるのは「ガッチャマン」の石井心愛ちゃん。その他、つぶやきシロー、東ちづる、吉田鋼太郎。監督は「トリハダ」シリーズの三木康一郎。
Mr.ホームズ  監督 : トム・コンドン  出演 : イアン・マッケラン、ローラ・リニー
Mr. Holmes  2015年 イギリス・アメリカ映画
かつては希代の名探偵と謳われたシャーロック・ホームズも齢を重ねて93歳になっていた。今では一線を離れドーバー海峡が見える家で養蜂をしながら暮らしている。しかし、彼にはある未解決の事件があった。それは30年前。ある男が妻は流産をし、その死んだはずの子どもたちと話をしていると言うのだ。しかし、調査をしていくと妻が夫に殺意を抱いているのでは?という疑問が湧いてきた。しかし、ホームズの判断ミスによって彼女が死んでしまったのだ。その事件を境に彼は探偵業から離れ、盟友のワトソンとも別れていたのだ。年齢のせいで記憶も混濁してくるが、日本を訪ねた事をきっかけに事件の謎が綻びはじめる。そこでホームズは家政婦の息子のロジャーを助手として、再び事件に挑むが・・
私評:いま謝らないと、一生後悔するぞ・・・シャーロック・ホームズの晩年をコナン・ドイルは描かなかった。しかし、彼は49歳で探偵業を引退、その後は養蜂をしていたというのは小説に書かれているし、日本との由縁も描かれている。その辺りはホームズファンもニヤリとさせられる展開。そして過去の事件の核心に迫るとボケていた脳もフル回転。そして最後にはほっこりさせるエピソードで締めくくられます。気難し屋のホームズの新たな一面を垣間見ることができますよ。しかし、過去の事件があまりパッとしないのがこの作品の弱点かもしれません。シャーロック・ホームズを演じるのは「ホビット」シリーズのイアン・マッケラン。充分おじいちゃんの彼ですが、さらに年上のヨボヨボじいさん役。特殊メイクまでしています。家政婦役は「ラブ・アクチュアリー」のローラ・リニー、日本人ウメザキを演じるのは我らが真田広之、そして驚きの演技を見せるロジャー役はマイロ・パーカー。監督は「ドリーム・ガールズ」「トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン」のトム・コンドン。
スイートハート・チョコレート  監督 : 篠原哲雄  出演 : リン・チーリン、池内博之、福地祐介
Sweethert Chocolate  2015年 日本・中国映画
中国からの留学生のリンユエは雪の北海道で救助隊の守と出会う。彼の友人で上司の総一郎の自宅の旅館に泊まっていたリンユエは3人で楽しい時間を過ごす。守はリンユエに猛烈にアタックをかけ彼女のそんな守に惹かれていた。総一郎も彼女に好意を抱いていたが、彼はそっと見守る事にした。守はいつかチョコレートの店を開きたいとリンユエに夢を語った。そんな時、事故が起こり守は命を落としてしまう。出会いから10年が経ち、リンユエは上海でチョコレート店を開き繁盛している。総一郎も救助隊を離れ、上海で画商をしている。相変わらずリンユエに好意を抱いているが言い出せずにいる。10年経っても彼女は守の事を思い続けていた・・
私評:守さんのチョコレートの味は自分で見つけたい・・・日本と中国の合作です。実はこの映画は2012年に作られたのですが、日中関係の悪化に伴い公開が延期されたという曰く付き。純愛映画なのですが、リンユエと総一郎がなんだかとってももどかしい。それがこの作品の良さなのでしょうが、個人的にはけっこうイライラ(苦笑)。しかし、北海道、そして上海の映像の美しさには、ため息が出ました。そして個人的には主人公のリンユエの可憐さにKOされました。演じるのは「レッド・クリフ」で周瑜の妻を演じたリン・チーリン。美しすぎます・・・。総一郎役は「S 最後の警官」の池内博之、守役は福地祐介。その他、山本圭、左時枝などなど。監督は「起終点駅 ターミナル」「深呼吸の必要」の篠原哲雄。


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