2005/3/27

今回は新作4本。タイの心に優しいノスタルジー映画に
私はメロメロでした。タイ版の「小さな恋のメロディ」?
しかし、どれもイチ押しにしたいくらい良い映画ばかりでした・・

フェーンチャン ぼくの恋人  監督:コムグリット・ドゥリーウィモン 他  出演:チャーリー・タライラット、フォーカス・ジラクン
 2003年 タイ映画
今週のイチ押し:ぼくの名前はジアップ。今日は友人の結婚式だったが、母親から幼馴染の女の子のノイナーが結婚するという電話が入る。ノイナーとはもう、十数年会っていない・・。ノイナーとぼくは幼馴染。一軒の店を挟んで両隣りに住んでいたぼくたちはいつも一緒だった。小学生になってもぼくはノイナーや女の子とばかり遊んでいた。でも、ぼくはガキ大将のジャックが率いる男の子たちと遊びたかった。ある日、ぼくは勇気を出してジャックたちの遊び場に出かけた。サッカーの試合で人数が足りなかったジャックはぼくを引き入れ、そして試合には大勝利!ぼくの株は一気に上がった。でも、ノイナーの事も放ってはおけず、ぼくは女の子たちと男の子たちの間を行ったり来たり。でも、ジャックはそんなぼくを許してくれず、ぼくはジャックと大喧嘩をしてしまう。女の子たちとの遊びでは決して味わえない冒険やスリルがジャックたちと一緒なら味わえる。ぼくはジャックに詫びを入れたが、彼はボクに3つの条件を出した・・・
私評:♪初めて会った日に愛が生まれていた 僕の頭の中は君でいっぱい・・・タイで作られた少年時代のノスタルジーを描いた作品です。国は違っても、幼い頃の思い出は似ているのですね。私の少年時代は男の子たちと真っ黒になるまで走り回って、女の子は入り込む余地がなかったのですが、同じアパートに住んでいたK子ちゃん(アルファベットに置き換えても読みは一緒だ・・)が、たぶん初恋なんだろうな〜。一緒に公園でブランコに乗ったりした記憶が断片的に残っています。でも、私はやっぱり男の子同士で集うことに楽しみを見出し、ある時期から女の子と一線を隔してしまったんですね。K子ちゃんとはそれ以来遊んだ事がない・・。でも、成長するとちゃんと女の子に帰っていくのですが(笑)。この映画のジアップは、まさにあの頃の私でした。なんだか自分のドラマを見ているようで、嬉しかった・・。この映画に出てくる少年少女たちはみんな個性的で、すごく可愛いです。また、大人たちはタイで80年代に活躍した青春スターや、ミュージシャンが演じているそうです。そういう意味ではタイ人にとっては、さらに懐かしさを味わえる映画なのでしょうね。監督はなんと6人いて、共同で作り上げているのだそうです。私にとっては、とても大切な映画になりそうです・・・
コーラス  監督 :クリストフ・バラティエ  出演:ジェラール・ジュニョ、ジャン=バティスト・モニエ
Les Cholistes  2004年 フランス映画
世界的な指揮者のモランジュは、母親の葬儀のために久しぶりに帰郷した。そこで彼は寄宿舎にいた頃の友人と再会を果たした。そして二人は「池の底」と言う名の問題児ばかりが集まっていた寄宿舎で出会った音楽の教師マチューの話に辿りついた。当時、モランジュは寄宿舎でも屈指の問題児だった。そこに舎監としてマチューが赴任してきたのだ。なんでも力で生徒を押さえつけよとする校長の教育方針に疑問を抱いたマチューは生徒たちに合唱を教えてコミュニケーションを図ろうとする。彼のアイデアは大きな成果をもたらし、生徒たちは次第にマチューに懐き始める。中でもモランジュの美しい声はマチューをも魅了し、彼はめきめきと上達。しかし、校長はある日突然コーラスの授業を中止するようマチューに言い渡す。しかし、彼らは校長の目を盗んで練習を重ねていく・・・・・
私評:彼は特別のパートを歌います・・・・問題児が音楽を通じて教師と心を通わす。意外と在り来たりな題材なのですが、私の心にすごく響いたのは「音楽そのもの」が持つ不思議な魅力とその強さです。特にジャン=バティスト・モニエ少年の歌声の美しさは、極上の幸せを感じさせてくれます。前評判で「ディーバも涙する歌声」と言われていましたが、マジで私も彼の歌声に震え、涙を流してしまいました。そして少年たちは今まで見失っていた情熱のやり場を「コーラス」に見出していく。90分間の短い作品ですが、そんな表現の仕方がとても上手いと思いました。マチュー先生を演じるのは「バティニョールおじさん」のジェラール・ジュニョ。笑いも涙も見事に見せる彼の演技は素晴らしかった。モニエ少年は歌声だけでなく、容姿も美しいまさに天使のような少年。しかし、彼の美しいボーイ・ソプラノも変声期と共に聞けなくなるのでしょうね・・。そして現在のモランジュを演じるのは「ニュー・シネマ・パラダイス」のジャック・ペラン。彼はこの映画の製作も兼ねています。監督はこの映画が長編デビューになるクリストフ・バラティエ。映画を見た後は速攻でサントラ盤を買ってしまいました・・。
天上草原  監督:塞夫、麦麗絲  出演:ナーレンホア、ニンツァイ
Heavenly Glassland  2002年 中国映画
8歳の少年フーヅは両親と離れ、その事がショックで口が聞けなくなっていた。そんな彼を引き取ったのはフーヅの父親と監獄で一緒だったモンゴル族のシェリガンだった。シェリガンはフーヅを自分の故郷である山へと強引に連れて行った。そこにはシェリガンの元妻のポリマーと弟のテンゲリが住んでいた。山の家はテントのような作りで、そこには電気もなければ電話もない。一面に広がる大草原と山羊と羊がいるだけ。しかし、フーヅは優しいポリマーとテンゲリに心を開いていく。しかし、兄が捕まったあと元兄嫁と暮らしていたテンゲリはポリマーに恋心を抱いていた。しかし、シェリガンの登場で、彼の中のバランスが崩れてしまう。そして彼が選んだのは「解放軍」への入隊だった。そして彼は草原を去っていった。そんな中でフーヅは少しずつ元気を取り戻していく。そんなある日、彼らの元に、顔を隠した客人が訪れる・・・・・
私評:モンゴル人は約束を必ず守るんだ・・国が変わっても、文化が違っても人間は繋がりあっていこうとする動物なのですね。この映画でも離婚した夫婦、そして両親と離れた少年というバラバラの登場人物が、紆余曲折を経ながらもお互いに繋がりあっていく。ましてや彼らは日本に住む私たちとは違って、余分なものを持たない。その削ぎ落とされた一個の人間たちの、まさに裸のぶつかり合いがこの映画の見所かもしれません。そして言葉では言い表せないほどのモンゴルの山の美しさ・・。夏の山はどこまで緑で、そして夜は満天の星空。そして冬の寒さは想像を絶する。しかし、そんなところに住んでいるからこそ、培われる人間性ってあると思いました。それは本当の「清さ」であり「強さ」でもあるのです・・。登場する人たちはまったく知らない人ばかり。監督は塞夫、麦麗絲の夫婦。最後にモンゴル独得の風習や生活がたくさん盛り込まれています。その辺りもお見逃しなく。
オオカミの誘惑  監督:キム・テギュン  出演:チョ・ハンソン、カン・ドンウォン
Romance of their own  2005年 韓国映画
ごく普通の女子高生ハンギョは父の死をきっかけに母親の住むソウルにやってきた。大都会のソウルでは、まったく垢抜けないハンギョだったが、ある事件がきっかけで彼女の高校の女子高生の憧れの的へウォンと、隣の高校の超人気者テソンのふたりが彼女に恋をする。自分自身で冴えない女の子だと信じていたハンギョはこの状況にあたふたするばかり。しかしテソンンはハンギョを「姉さん」と甘えてくるし、へフォンは「自分の女」と強引にデートに連れまわす。ふたりの男の壮絶な戦いが始まる。しかし、テソンにはある秘密を隠していた。しかも、へフォンに執拗に近づいてくる女まで登場して、3人の関係はまずまず複雑になっていく・・・
私評:彼女には知らせないで。30歳になっても、40歳になっても・・・韓国で一番ホットなイケメンふたりが、冴えない女の子を巡って・・。これは女の子には夢を与える物語かもしれませんね〜。実際、ハンギョ役のイ・チョンアはふたりのイケメンのファンの女の子たちの嫉妬から詰め寄られたりもしたそうです・・。でも、この物語もひと昔前の少女漫画でよく取り上げられた題材ですよね。そんなコテコテのラブ・ストーリー。しかし、今までのコリアン・シネマのラブ・ストーリーと決定的に違うのは、監督が「火山高」のキム・テギュンだという事。それゆえ格闘シーンが多く(しかも、雨の中)思わず「火山高」を思い出してしまいました。しかし、そんなシーンを盛り込むことでストーリーがダラダラせず、良い感じに仕上がっていたと思います。イケメンのふたりはTBSの安住アナにそっくりのチョ・ハンソンと今、韓国で「恋人にしたい男性No.1」に輝いたカン・ドンウォン。ラストは韓国のラブ・ストーリーに定番(?)のように悲しいシーンが盛り込まれていました。面白かったです!!


前回の記事も読んでね〜!



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