2006/3/24

ひさびさのレビューです。観たい映画はてんこ盛りなのですが
全然観切れていないんです。今回のイチ押しは南米の衝撃作と
アカデー賞でもノミネートされた感動作。

戦場のアリア  監督:クリスチャン・カリオン  出演:ギョーム・カネ、ダイアン・クルーガー
Joyeux Noel

2005年 フランス・ドイツ・イギリス映画

今週のイチ押し:1914年、第一次世界大戦下のフランス北部の小さな村デルソー。フランス・スコットランドの連合軍とドイツ軍が壮絶な戦いを繰り広げていた。フランス軍のオードベル中尉は家族の写真を胸に、クリスマスを家族と過ごすことを願っていたがドイツ軍の塹壕に接近した彼の軍は予断を許さない状況になっていた。そしてクリスマスがやってくる。ドイツのソプラノ歌手のアナは徴兵された夫ニコウラスに会うため、ドイツ軍司令部にやってきた。慰問のために彼女は歌を披露したいと申し出る。そしてふたりは舞台で再会し愛を確かめ合った。その後、ニコウラスは大量のクリスマスツリーを持ってデルソーに赴いた。クリスマスツリーに見とれるフランス軍。その時、スコットランドの兵の中からバグパイプの音楽が聞こえてくる。そして国境を越え、兵士たちが「きよしこの夜」の大合唱を始めた・・
私評:今日だけは戦争をやめませんか?クリスマスなんだから・・・この話って実話なんですよね。この映画を見て思ったのは戦争を好んでやっている人間は上層部の一握りだけ。戦場の兵士たちはほとんどが平和を愛していた。そして奇跡の夜に起きた「クリスマス休戦」。つい今しがた迄銃を向け合っていた男たちが肩を抱き合い、酒をあおり、そしてサッカーに勤しむ。その時の彼ら素晴らしい笑顔がとても印象的でした。そしてこの奇跡が本当に美しく、そして感動的に描かれていました。物語の素晴らしさは折り紙つきですが、この映画で私の目を釘付けのしたのが「トロイ」のダイアン・クルーガー。「ナショナルトレジャー」の時はパッとしませんでしたが、この映画のダイアンはめちゃめちゃ美しいです。そして(吹き替えなのですが)彼女が戦場の真っ只中でアリアを歌うシーンは本当に感動。このシーンはしっかり脳裏に焼きついています。オートベル中尉を演じるのは「ザ・ビーチ」のギョーム・カネ(ギョームは私生活でダイアン・クルーガーと結婚してるんですよ〜。)監督は新人のクリスチャン・カネオンです。GWに公開なのですが、どうせならクリスマスシーズンに観たかったな〜・・。おススメの感動作です。
スピリット  監督:ロニー・ユー  出演:ジェット・リー、中村獅童
Spirit  2005年 アメリカ映画
1910年、上海では史上初の異種格闘技戦が行われていた。中国の代表フォ・ユァンジャは屈強の男たちを次々と凪ぎ足していく。そして4人目の相手、日本人の田中と向かい合った・・。30年前の天津。フォは病弱な少年だった。同情を営む父は誰からも尊敬されていたが、フォには戦術を教えなかった。しかし、フォは独学で武道を学んでいく。やがて彼は誰もが一目を置く武道家となった。しかし、彼はその力を間違ったベクトルで使っていた。そして同じく武道家のチンと決闘をし、ついには彼を殺してしまう。そしてその事件は更なる悲劇を引き起こした。悲しみと罪悪感に苛まれたフォは当て所もなくさ迷い歩き、危うく命を落としそうになるが山村の村のスンおばあさんと盲目の少女ユエツーに助けられた。山村に居ついたフォはそこで真の強さとは何か?そして無意味な争いは失うだけで何も得ることがないと悟る・・・・
私評:報復はまた、新しい報復を生む。やめなさい・・ジェット・リーも42歳。しかし、彼の体の切れの良さは衰えを知らない。今回もまさにマーシャルアーツ映画なのですが、彼の美しいまでの戦いぶりに見とれてしまいました。フォ・ユァンジャは実在の人物で、中国ではかなり尊敬されている人間らしい。この映画は映画用に設定が変わってはいるものの「武」の精神について懇々と語っている。フォの母親が語っていた「武道とは己自身に勝つこと」という言葉に辿り着くまでに、彼は本当に時間を要するのですが、それゆえに彼の言葉には重みがあったのでしょうね。感動するマーシャルアーツ映画と出会いました。日本からも中村獅童と原田眞人が出演。この映画の中村獅童はかなり良いですね。そして原田眞人は「ラストサムライ」と同じキャラでちょっと笑えた。フォの父親役は「マトリックス2&3」でサングラスの用心棒を演じたコリン・チョウ。監督はハリウッドでもその名を轟かせた「フレディVSジェイソン」のロニー・ユー。アクション監督は「マトリックス」のユエン・ウーピン。衣装はアカデミー賞受賞のワダエミも噛んでいます。映画のエンドクレジットで流れるGLOBEの歌は不評のようですが、私は意外とOKでした。
イーオン・フラックス  監督:カリン・クサマ  出演:シャーリーズ・セロン、マートン・ソーカス
AEON FLUX  2005年 アメリカ映画
西暦2011年、殺人ウィルスの蔓延により人類の99%が死に絶えた。しかし、トレバー・グッドチャイルドが開発したワクチンによって滅亡の危機は避けられた。生き残った500万人の人類は外界と壁で隔てられた都市ブルーニャで完璧な生活を送っていた。グッドチャイルドの末裔トレバーは秩序維持のために圧制を敷いていたが、そんな彼らに歯向かう反政府軍「モニカン」が台頭し始める。モニカンの中でも屈指の戦士がイーオン・フラックスだった彼女には結婚したばかりの妹ユナがいたが、彼女はモニカンの分子と間違えられ殺されてしまう。彼女の復讐を誓ったイーオンは、モニカンの司令塔ハンドラーの指示によりトレバーの抹殺に向かう。しかし、トレバーに銃を向けた途端、彼は別の名前でイーオンを呼んだ。その瞬間彼女の頭の中に覚えのない彼との記憶が蘇る。いったい、自分は誰なのか?イーオンは疑問を抱えながらも任務を遂行しようとする・・・・
私評:アマチュアね・・・この映画にストーリーのよさを求めてはいけない。この映画はシャーリーズ・セロンを鑑賞するための映画なのです。終始ボディコン衣装に身を包んだ彼女が、時には力強く、そして時には艶かしく画面いっぱいに暴れまわります。その美しいお姿を拝んでいるだけで私は大満足。シャーリーズ・セロンって首が長いな〜とか、姿勢が良いな〜とか、足が長いな〜とか・・、とにかく彼女の一挙手一投足に目が釘付け。そして近未来のSF映画ということもあって映像もかなり凝っています。そして映画の時間も93分と短いのでサクッと見られるのがまたグッド。主演はモンスターと呼ばれる殺人鬼、セクハラと戦うシングルマザーを演じた後、こんなアクション映画をこなしてしまうオスカー女優シャーリーズ・セロン。美しさだけじゃないです。そしてトレバー役は「ボーン・スプレマシー」のマートン・ソーカス。彼の弟役でジョニー・リー・ミラー。イーオンの同僚のモニカンシサンドラ役を演じるのは「ホテル・ルワンダ」でドン・チードルの妻を演じオスカー候補になったソフィー・オコネドー。そしえハンドラー役は名女優フランシス・マクドーマンというオスカートリオの女優陣も要注目。監督は「ガール・ファイト」で注目された女性監督カリン・クサマ。
メルキアダス・エストラーダ 3度の埋葬  監督・主演:トミー・リー・ジョーンズ  出演:バリー・ペッパー、メリッサ・レオ
The Tree Burials of Melquiades Estrada  2005年 アメリカ・フランス映画

テキサス州メキシコ国境の町。狩をしていたふたりはコヨーテを発見し射殺。その現場に近づいた二人は無残に食い荒らされたメキシコ人の死体を発見する。彼の名はメルキアダス・エストラーダ。メルキアダスはメキシコから不法侵入してきたのだが、その人柄の良さを買われ牧場で働くピートに拾われ、カウボーイとして働いていたのだ。ピートとメルキアダスは深い友情で結ばれていた。生前メルキアダスは「自分が死んだら故郷のヒメネスに埋めてくれ」とピートに話をしていた。ピートは変わり果てた友人の姿に愕然とする。保安官には調査が終わったら死体を渡して欲しいと依頼するが、ピートの言葉を無視して保安官はメルキアダスの死体を共同墓地に埋葬してしまう。そんな時、メルキアダスを殺した男が国境警備隊のマイクだと知ったピートは、マイクを拉致し、メルキアダスの死体を掘り出させ、ヒメネスに向かった。酷暑の中、死体はどんどん腐っていくが・・・・

私評:これがヒメネスだ。間違いない・・・・トミー・リー・ジョーンズの初監督作品。彼はこの映画でカンヌ国際映画祭の最優秀主演男優賞を獲得した。この映画って人間同士の友情触れ合い、主人公たちそして旅で出会う人たちの人生を描いた感動作であると同時に、(私的には)かなり笑える作品でした。トーミー・リーの惚けた演技、そしてこれは「ホラー映画か!?」と思わせるようなエグイ映像。しかし、そういった演出も私はすごく気に入りました。果たしてこのたびの終わりにはどんな結末が待っているのか?予想外の展開に私はビックリしてしまいながらも、感動してしまいました。(ちなみにカンヌで脚本賞も獲得しています)主演はトミー・リー・ジョーンズ。すっかり老齢になった彼ですが、渋みをましてますます良いキャラになってきました。そしてマイクを演じるのはバリー・ペッパー。彼なくしてこの映画は語れません。強烈な個性をもった役者です。そして脇役陣も良い面子が揃っています。特にジャニュアリー・ジョーンズ、メリッサ・レオ、ヴァネッサ・バウチェの3人の女優は素晴らしかった!それにしても長いタイトル。いまだにタイトルをちゃんと覚えられません・・(笑)
アブノーマル・ビューティ  監督 : オキサイド・パン  出演:レース・ウォン、ロザンヌ・ウォン

Abnormal Beauty

 2004年 香港映画

大学で美術を専攻するジンは誰もが羨む才色兼備。美術の才能も兼ね揃えていたが、なぜか自分の作品に物足りなさを感じていた。そんなある日、彼女は交通事故の現場に遭遇。そこで彼女は被害者の女性に向けてシャッターを切った。写真を現像した彼女は自分の作品に足りないものに気付いた。それは「血」だった。沸き起こった欲望を抑えられずジンは死体の写真集を買ったり食用の鶏を自らの手で殺したりと異常な行動に出てしまう。そして極めつけはビルの屋上から飛び降りた少女の写真を激写。彼女はまさにエクスタシーの頂点を極めていた。そんな彼女に救いの手を伸ばしたのは友人のジャスミンだった。そしてジンは救われた。しかし、彼女には思いも寄らぬ恐ろしい魔の手が伸びていた・・・

私評:これぞオキサイド・パン監督の映画。ミュージックビデオのように懲りに凝った映像。そしてビートの効いた音楽。音楽がヒロインの感情に合わせどんどん変わっていきます。そして前半のジンの奇行に振り回されていたかと思ったら、物語は後半まったく違う方向に爆走し始めます。その時頭に浮かんだのがヒッチコックの「サイコ」。まあ、話の内容は全然違うんですけどね・・。主人公のジンと友人のジャスミンを演じるのは香港で超人気の姉妹レース&ロザンヌ・ウォン。しかし、このふたりはただのアイドルではありません。同性愛の設定だし、鶏の首は撥ねるし、マスターベーションはするし・・。日本のアイドルにここまでできる人はいないでしょう?そして物語は怒涛のラストを迎えます。オキサイド・パンの次の作品は「The Eye2」。これは絶対に見に行かなくちゃ!

隠された記憶  監督:ミヒャエル・ハネケ  出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ
Hidden  2005年 フランス・オーストリア、ドイツ、イタリア映画
テレビのキャスタージョルジュは妻のアン、そして息子のピエロの3人暮らし。ある日、彼らの家に一本のビデオが届けられた。それは彼らの家の前に固定されたカメラがただじっと、彼らの家を映していた。それ以来、ビデオは何度も届けられる。家の外観を映していた映像はいつしか彼のプライベートの領域に近づいていく。そしてあるアパートのドアの映像が映し出された。居ても立ってもいられないジョルジュはそのアパートを訪ねるが、そこの住人はジョルジュの少年時代に関わりがあった男だった。ビデオを送ってきたのは彼だと決め付けるが・・・。しかし、彼との再会はジョルジュの少年時代の消えたはずの記憶を蘇らせた。それは彼にとっては「無邪気な悪戯」だったが・・。そんなある日、息子のピエロが行方不明になってしまう・・・・
私評:「ピアニスト」を思わず「気持ち悪い映画」と表現してしまった私ですが、今回の「隠された記憶」はキャッチコピーの「ラストカットに全世界が驚愕」という言葉に釣られて、気に掛けておりました。そんな時、タイミング良くYUKI君からフランス映画祭でのこの作品の上映に誘われ見に行ってきました。相変わらず淡々とした運びの映画で、途中睡魔に襲われること数回。しかし、「驚愕のラスト」を見定めるために必死に映像を追いかけておりました。すると突然のエンドクレジット。「え!何だったの??」「何がどうなって、誰がどうしたの??」考えれば考えるほど分からない。とにかくこの映画のオチはいまだに謎です・・・。誰か映画が公開されたら見に行って、私に秘密を教えてください。しかし、すごくショッキングなシーンあります。その時は会場から悲鳴が・・(マジです)。主演はすっかりおじさんになったダニエル・オートウィユとすっかりおばさんになったジュリエット・ビノシュ。それにしてもジュリエット・ビノシュの太り方は尋常じゃないです。お尻の大きさも然ることながら、あの二の腕の太さ!これが一番ショッキングでした(笑)


前回の記事も読んでね〜!



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