今週末は春物映画が一気に公開されるので今週分までは
すべてアップ!イチ押しは学校内法廷ミステリー、青春合唱映画、
そしてハートウォーミングなロードムービー。
ソロモンの偽証 前編・事件 | 監督 : 成島出 | 出演 : 藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈 | ||||||
2015年 日本映画 | ||||||||
今回のイチ押し:現代。ある中学校に赴任してきた若い女性。彼女はここの中学の卒業生で、1990年に起きた事件の当事者。この学校の校長は代々、この話を生徒に聞かせてきた。現・校長は言い伝えではなく当事者から話を聞きたいと言い出す。1990年12月25日。大雪が降った翌日、涼子と友人の健一はウサギ小屋の当番。しかし、正門には大嫌いな先生がいたのでふたりは裏門を乗り越えた。そこでふたりは不審な物を発見する。雪に埋もれていたのはクラスメイトの柏木卓也だった。先生に報告し、警察がやってくる。死因は自殺と断定された。年が明けたある日、涼子の元に一通の手紙が届く。そこには告発状と書かれていて、卓也は自殺ではなく同学年の大出俊次らが屋上から突き落としたのだと書いてあった。そしてその現場を密告者は見たという。ところが同じ内容の手紙は校長の元にも届いていた。警察と相談した結果、密告状の存在を隠す事が決まった。ところが2月に入るとテレビ局にも密告状が届き、マスコミが騒ぎだす。しかも、添えられていた手紙には、その密告状は涼子の担任の森内先生宛で、彼女が破いて棄てた物だと書かれていた・・ | ||||||||
私評:私たち、本当の事が知りたいんです・・・。ベストセラー作家宮部みゆきの作品の中でも最高傑作との呼び声が高い小説が映画化。原作は文庫本6冊という大作。それゆえに今回は「事件編」と「裁判編」という2部での公開となりました。私は、「まあ、序章だから」くらいの軽い気持ちで観に行ったら掴みからすごいテンションと迫力で映画の世界にグイグイ引き込まれてしまった。原作を読んでいない私はもちろん犯人も分からない。しかし、全編で登場した人物がみんなどこか変なんです。このあと、物語がどのように転がっていくのか?裁判の結果は??そして犯人は??早く後篇が見たいです!!!生徒たちは1万人の応募者の中からオーディションと研修を経て選ばれた33人の若者たち。有名・無名、演技経験のある・なしに関わらずこの映画のために選抜したというのは前代未聞でしょうね。涼子役はこれが初演技という藤野涼子。この映画の主人公の名前をそのまま芸名にしました。そして脇役になっている大人たちの顔ぶれがすごい。佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、小日向文世、黒木華、尾野真千子、重松豊・・・。最強です。監督は「八日目の蝉」「ふしぎな岬の物語」の成島出。 | ||||||||
くちびるに歌を | 監督 : 三木孝浩 | 出演 : 新垣結衣、恒松祐里、木村文乃 | ||||||
2015年 日本映画 | ||||||||
今回のイチ押し:長崎県の小さな島にひとりの女性が降り立った。彼女の名前は柏木ユリ。親友の松山ハルコが産休になるため、臨時教員として久しぶりに故郷に戻ってきたのだ。かつてユリは才能ある若きピアニストとしてその名を馳せたが、あるコンサートを突然ボイコットして以来、世間に姿を見せていなかった。ユリは合唱部の顧問になるが、やる気はまったくなし。しかも、彼女はピアノを弾かないという条件でこの仕事を請け負っていた。コンテストの課題曲が「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」に決まり練習も本格化してくるが、ユリのテンションは変わらない。そんな時、部員のひとりサトルの美声をユリは聴き止める。しかし、彼には自閉症の兄・アキオがいて、仕事場への迎えをしている。その日はサトルは練習で迎えが遅れアキオは行方不明になってしまう。しかし、偶然アキオを見つけたのはユリだった・・・。合唱部の部長のナズナは人一倍元気な女の子。しかし、彼女は父親に捨てられたという過去を持っていた・・ | ||||||||
私評:先生~!笑って~!!・・・いいな~、こういう青春映画。合唱の青春映画といえば「うた魂」なんて作品もあったけど、方やコメディタッチ、そして今回の作品はけっこうシリアス。だけど、クライマックスの合唱の大会が始まると感動のつるべ打ち。怒涛の涙を搾り取られました。生徒たちが抱える問題や葛藤、そしてユリ自身が抱えるトラウマ。それらを力に変えて歌に託す。素晴らしい!音楽ってやっぱり本当に分かりやすいコミュニケーション・ツールですよね。エンドクレジットでかかるアンジェラ・アキの歌を聴いたら、さらに感動が深まりました。主演は「BALLAD名もなき恋のうた」の新垣結衣。彼女もすっかり大人。今回は影のある役で笑顔を封印していたのですが、最後に最高の笑顔を見せてくれます。ハルコ役は「すべては君に逢えたから」の木村文乃。合唱部の中心人物、ナズナ役は新人の恒松祐里、桑原役は下田翔大。その他、桐谷健太、木村多江、石田ひかりなどなど。監督は「ソラニン」「陽だまりの彼女」の三木孝浩。彼の作品は安定感があるな~・・・。 | ||||||||
シェフ 三ツ星フードトラック始めました | 監督・主演 : ジョン・ファブロー | 出演 :ジョン・レグイザモ、ソフィア・ベルガナ | ||||||
Chef | 2014年 アメリカ映画 | |||||||
今回のイチ押し:ロサンゼルスの三ツ星レストランの総料理長のカールは常に斬新な料理を創作しているが、頭の固いレストランオーナーは彼の新しい料理を否定し、定番のコースを出すことにこだわっている。そんなある日、彼の店に料理評論家のラムジーがやってくる。気合充分で彼を迎える準備をしたカールだったがオーナーは5年間変わらないいつもの料理を出させた。結果、彼の評価は散々。しかも、よく分からないツイッターでラムジーに対して汚い言葉のメッセージを返すと、それがリツイートされどんどん拡散。おまけに、ラムジーと大喧嘩をしている動画がアップされ、ついにカールは居場所をなくしてしまう。そんな時、別れた妻のイネスと息子のパーシーと一緒に出かけけたマイアミで、以前からイネスから提案されていたフードトラックのアイデアを思いつく。中古のトラックを入手したカールは前の店の同僚のマーティン、そしてパーシーと一緒にトラック営業をしながらLAを目指す。パーシーのWEB宣伝も功を奏してトラックの前にはいつも行列ができるようになるが・・ | ||||||||
私評:さすがは俺の息子!・・・面白い!正直、こんなに面白いとは思わなかった。才能豊かなシェフががんじがらめの生活から抜け出し、始めたフードトラック・ビジネスで、新たな発見をしていく。仕事にかまけて交流がなかった息子の夏休みを使って、大陸横断の旅をして新たに親子の絆を深めていく。そして立ち寄る先々の名物料理を平らげては、新たな料理に盛り込んでいく。トラックの商売では「サンドウィッチ」メインなのですが、レストランにいた頃は手間暇かかったフレンチメニューもゾロゾロ。これらがすべて美味しそう。中でも私が思わず生唾を呑んだのが、クロームッシュ。見ているだけでお腹が鳴ってしまいました。監督&主演は「アイアンマン2」のジョン・ファヴロウ。見事な包丁さばきも見せます。マーティン役は「ムーラン・ルージュ」のジョン・レグイザモ、イネス役は「マチェーテ・キルズ」のソフィア・ベルガラ、レストランのオーナーは大御所のダスティン・ホフマン。そして「アイアンマン2」の繋がり?でスカーレット・ヨハンソン&ロバート・ダウニーJrも登場します。映画を見終えた後は、気分爽快、お腹もペコペコ。おすすめです! | ||||||||
幕が上がる | 監督 : 本木克英 | 出演 : ももいろクローバーZ、黒木華 | ||||||
2015年 日本映画 | ||||||||
高校2年生の高橋さおりは演劇部の次期部長に就任するが、演劇部内での自分の方向性を決めあぐねている。さおりが用意した新入生歓迎のためにの舞台「ロミオとジュリエット」は誰も見向きもしてくれなかった。そんな彼女たちにアドバイスをくれたのは新人教師の吉岡。実は彼女は元々舞台女優で、ちょっと前は「演劇界の女王」と呼ばれていたのだ。さおりは吉岡に顧問になってくれるよう頼み込む。同級生のユッコ、ガルル、そして1年後輩の明美らと吉岡のアイデアの「自画像」という舞台を成功させたさおりは、吉岡から演出に専念したほうが良いと推される。一流の演劇学校から転校してきた中西も加わり、彼女のアイデアから演目を「銀河鉄道の夜」に決めたさおりは、一気に台本を書き上げる。そして合宿練習でさらにスキルアップした部員たちは地方予選の舞台に立つが、ミスを連発してしまう。それでもなんとか予選を通過し県大会に進んださおりたちに、吉岡からの手紙が・・・・ | ||||||||
私評:どん帳アップ、5秒前・・・今回は熱い青春映画をふたつ見て、だいぶアドレナリンが分泌されました。若いって、それだけでいいですよね~!今作は主演が「ももいろクローバーZ」という事でアイドルの学芸会レベルの作品なんだろうとタカを括って見に行ったら、めちゃめちゃいい作品。しかも、原作は人気劇作家の平田オリザのもの。かなり気合が入っています。ちょっと残念なのは、時間の関係で彼が演出した舞台が端折られていたこと。全部見たかったな~。そしてももクロのメンバーはみんな演技も上手い。平田オリザのセミナーにも参加していたらしいのですが、本当に彼女たちの持っているポテンシャルは測りしれません。ももクロメンバーは百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏香、そして佐々木彩夏。とても個性的なメンバー。そして彼女たちを盛り上げるのが先生役で登場の「ちいさな家」の黒木華。彼女の演技、サイコーです。そして私が個人的に好きな志賀廣太郎さんが教師役で登場。あの渋い声で教科書を朗読するシーンは良かった~。監督は「踊る大捜査線」の本木克英。映画の最初の方で本木監督の「サマータイムマシーン」をパロって、夏菜子ちゃんが持っている台本のタイトルが「ウインタータイムマシーン」になっているのが笑えました。 | ||||||||
ミルカ | 監督 : ラケーシュ・オームブラカーシュ・メーラ | 出演 : ファルハーン・アクタル、ソナム・カプール | ||||||
Bhaag Mirlha Bhaag | 2014年 インド映画 | |||||||
1960年、ローマオリンピック。陸上400メートルの世界記録保持者、インドのミルカ・シンは国の期待を一身に浴びてレースに挑んだ。しかし、コーチの掛け声が彼のある過去とシンクロして一気に失速。結果、4位に終わってしまった。帰国後、ミルカはインドとパキスタンの友好親善試合にインドの団長として出向くよう言われるが、彼はこれを頑なに拒否。当時の首相から派遣された大臣は、ミルカを育てたコーチを伴い説得に向かった。道中の汽車の中でふたりのコーチはミルカの過去について語り始める。そしてなぜ、ミルカがパキスタン行きを拒んでいるかが次第に明らかになっていく。1947年、イギリスから独立した後、インドとパキスタンは分断された。幼いミルカが住んでいた村ではこの分断に伴う悲劇が起こったのだ・・・・ | ||||||||
私評:走れ!ミルカ!・・・インドの国民的英雄であるミルカ・シンの真実の物語です。昨年のインド国内のアカデミー賞で14部門を独占した作品です。それにしてもこの映画は(というかインド映画は)長い。2時間33分の大作です。しかし、作品が面白かったので”退屈”はさほど感じませんでしたが腰痛持ちの私にはちょっと辛い(苦笑)。そしてインド映画ならではの“歌って!踊って!”のシーンももちろん入っています。これがないとインド映画じゃない??ミルカの激動の人生、そしてその成功はとても感動的です。そして私が知らなかったインドとパキスタンの分断の際に起こったシク教徒たちの悲劇は見ていて辛かった・・・。主演はファルハーン・アクタル。彼は歌手、テレビ司会者としてインドでは有名らしい。この映画のために鍛え上げた体脂肪5%の肉体はすごいです!そして出演シーンは少ないですが、ミルカが恋する女性ビーロー役のソナム・カプールが美しいのなんのって・・・。あと、日本大会のシーンで日本代表のランナー役は武井荘だそうです。全然気付かなかったけど・・・。監督はラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラってめちゃ長くない?? | ||||||||
アナベル 死霊館の人形 | 監督 : ジョン・R・レオネッティ | 出演 : アナベル・ウォーリス、ウォード・ホートン | ||||||
Annabelle | 2014年 アメリカ映画 | |||||||
医学生のジョンと臨月が近いミアは若い夫婦。その日、ジョンはミアが以前から探していたビンテージ人形をプレゼントした。彼らの隣の家には年配の夫婦が住んでいたが、彼らの娘は失踪していた。そんなある夜、ミアは隣の家の悲鳴を聞く。様子を見に行ったジョンはなんと血だらけになって飛び出してきた。それは隣の夫妻の血だった。家に戻り救急車を呼んでいたミアの背後から男が近づき、彼女の腹に刃物を突き刺した。そこに駆けつけた警察によって男は射殺され、彼と一緒に犯行に及んだ女もビンテージ人形を抱いたまま射殺された。女は隣家の失踪中の娘のアナベルでふたりはカルト教団で悪魔を崇拝していたのだ。お腹の子供は奇跡的に助かり、ジョンとミアは元気な女の子を授かった。ミアは最期にアナベルが抱いていた人形を捨てるようにジョンに頼んだ。事件が起こった家から引越しをしたふたりは、高級アパートで新しい生活を始める。荷物の整理をしているとダンボールの中から捨てたはずの人形が姿を現す・・・ | ||||||||
私評:私が死んで子どもを助けるの・・・最近見たホラー映画の中でも群を抜いて怖かったのが「死霊館」。その映画に登場した曰く付きの恐ろしい人形「アナベル」がスピンアウト作品として作られました。この実在する人形は悪霊力が強く、今でも週2回のお祓いが必要だそうです。今回は「死霊館」の前日譚になるのですが、映画用に作られたフィクション。怖さは中くらいでしょうか。ビックリするようなシーンはけっこう予告編で使われていて、新たな驚きはありませんでした。しかし、アナベル人形自体にかなりインパクトがあるので、あの顔を見ているだけで怖いかも?ラストの30分は怪奇現象が次々と起こるので面白かったですが、ここも正直勢いで押し切った感じ。しかし、この映画をテレビで、しかも小さい音で観たら全然怖くないだろうな~・・。主演は「X-MEN:ファーストジェネレーション」のアナベル・ウォーリス。(なんとアナベルさん!)ジョン役は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のウォード・ホートン、夫婦の引越し先で出会った優しい隣人役は「そして夜は明ける」のアルフレ・ウッダード。もちろん製作には「死霊館」の監督、ジェームズ・ワンが名を連ねています。監督はワンの元で撮影監督を務めてきたジョン・R・レオネッティ。 | ||||||||