今回は普通すぎる話なのになぜか心に残る邦画の傑作と
ハリウッドの感動作!
横道世之介 | 監督 : 沖田修一 | 出演 :高良健吾、吉高由里子、伊藤歩 | |||
2012年 日本映画 | |||||
今週のイチ押し:1987年、横道世之介は故郷の長崎を後にして、大学進学のために東京へとやってきた。右も左も分からない世之介にとって東京はまさに未知の大都会だった。大学の入学式で世之介に声を掛けてきた倉持とずるずるとサンバサークルに入ったり、隣の席に座った阿久津唯という女子と話をしたり、高級ホテルのボーイの仕事に就いたり上々のスタートを切った。そんなある日、世之介はパーティガールの千春に出会う。ひと目で彼女が好きになった世之介だったが・・・。そんな話を人違いで声を掛けた加藤に聞かせる世之介。結局、加藤は5%の割引のために世之介を教習所に誘った。無理やり友人にされた感はあるが加藤は世之介とつるむ様になった。ある日、教習所で知り合った睦美にダブルデートに誘われた加藤は、世之介声を掛けた。そこに現れた睦美の友人の祥子はなんととびきりのお嬢様!しかも、彼女はひと目見て世之介を気に入ってしまう。その日以来、祥子は世之介にぞっこん。ある日、祥子に高級なプールに誘われた世之介は、そこで千春に再会する・・ | |||||
私評:世之介~!!大好き~!!・・・なんとも不思議な映画。話は世之介と言う一風変わった田舎者の青年が何人かと出会い、彼らとそんなに特別でもない日常を共有しただけ。しかし、世之介の「気取らなくて」「人懐っこくて」「ポジティブで」、そして「友人のためには本当に一所懸命」ところが彼らの心に沁みて行く。そして映画では16年後に登場人物たちが、それぞれ世之介について語っているのですが、とても楽しそうで・・・。私も最初は世之介が「うるさくて」「遠慮知らず」な男にしか見えなかったのですが、映画を見終えた後、私は彼が大好きになっていました。会って話をしたくなりました。不思議なキャラクターですね。そしてなぜか、うっすらと涙が溢れてきた。何故なんだろう??世之介役は「ソラニン」の高良健吾。彼の世之介は最高です!祥子役は「ロボジー」の吉高由里子。この祥子役はとにかくステキで、お茶目ですごくかわいい。こんな彼女が見たかった!その他、「GANTZ」の伊藤歩、池松壮亮(あのラストサムライの少年が、こんなに大きくなったのか!)「るろうに剣心」の綾乃剛などなど・・・。監督は「南極料理人」の沖田修一。 | |||||
フライト | 監督 : ロバート・ゼメキス | 出演 : デンゼル・ワシントン、ドン・チードル | |||
FLIGHT | 2012年 アメリカ映画 | ||||
今週のイチ押し:ウィップ・ウィトカーはオーランド発、アトランタ行きの飛行機に颯爽と乗り込んだ。彼はこの機の機長。しかし、彼は昨夜大量の酒を飲み、寝起きにもビール、そしてコカインを服していた。しかし、彼の操縦テクニックは抜群で、機体は悪天候の中で見事に雨雲をよけた。機体は安定し、ウィップは操縦桿を副操縦士に任せてしばし睡眠をとった。しかし、突然機体は急降下を始める。目覚めたウィップは最悪の状況を理解すると、あらゆる手段を使って急降下を止めようとするが機体の落下は止まらない。そして究極の手段に出たウィップはなんとか機体を不時着させるが、着陸のショックで彼は気を失ってしまう。目が覚めると彼はヒーローだった。乗員乗客102人のうち、死者は乗務員2名を含む6名。被害は最小限だったと言えよう。しかし、ウィップの体内から非常に高い数値のアルコールが検出される。その事が世に出れば、彼は刑務所行きだ。退院後に祖父の農場に身を隠し、禁酒を誓って家じゅうの酒を全部捨てるが、酒への誘惑を断ち切れない。そんな時、彼は病院で知り合った薬物中毒のニコールと再会する・・ | |||||
私評:おい、ハーリンを呼べ!!・・・この映画を勝手にパニック映画みたいに取り違えていた私はちょっとビックリの展開でした。確かに前半の航空機事故のシーンはすごいのですが、物語の本編は事故の後、ウィップと“酒”との戦いがメイン。その凄まじい演技を観て、彼が今年のオスカー候補に選ばれた理由も分かりました!色々な出来事でウィップが落ち込むたびに酒に逃げてしまう。そして長い人生を彼は酒に対する言い訳をしてきたので、逃げ口上もお手の物。しかし、そんな「嘘」で塗り固めた人生をどうやって打破していくのか?最後に彼は究極の選択をするのです。私も酒が大好きなので気をつけなくちゃ・・・。この映画の監督のロバート・ゼメキスと言えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で有名ですが、この作品はどちらかと言うと彼の「フォレスト・ガンプ」や「キャスト・アウェイ」に近い作品かもしれません。この映画の最後は、意外な展開ではあったのですが、心に沁みるステキなシーンでした。主演は「デンジャラス・ラン」のデンゼル・ワシントン。酒との渇望と同時に嘘をつくことへの葛藤を同時に演じるなんて・・やっぱり彼はすごい役者です!彼の弁護士役には「オーシャンズ11」のドン・チードル、ウィップの友人でドラッグの調達人には「アルゴ」のジョン・グッドマン、そしてオニール役は「シャーロック・ホームズ」のケイリー・ライリー。 | |||||
草原の椅子 | 監督 : 成島出 | 出演 : 佐藤浩市、吉瀬美智子、西村雅彦 | |||
2013年 日本映画 | |||||
大手カメラメーカーの営業、遠間憲太郎は大学生の娘の弥生とふたり暮らし。そんなある日、夜中に突然、取引先の「カメラのトガシ」の富樫社長から「助けてくれ」という電話が入った。彼の窮地を救った事がきっかけでふたりは親友になった。遠間にとって50歳にして初めてできた親友だった。そして遠間はタクシーの中から見かけた篠原貴志子に一目惚れしてしまう。彼女は陶器店を営んでいて、陶磁器などまったく分からない遠間は10万円もする皿を買ってしまう。また、娘の弥生がバイト先の上司を連れてくる。不倫だと勘違いして感情的になっていた遠間だったが、彼には別れた妻と彼女が育児放棄したために心を閉ざしてしまった4歳になる子供・圭輔がいると言う。弥生の説得もあり、休みの日だけ圭輔を預かる事にした。そしてその事を富樫に話すと、彼の実家のある瀬戸内海の島に圭輔と一緒に来るようにと誘われる。徐々に心の距離を縮めて行く遠間と圭輔。そんな時、かつて遠間の会社が主催した写真コンクールで受賞した青年の鍵山が自分の写真集を持って訪れる。そこに写っていたのはパキスタンのフンザの写真。この写真が遠間を圭輔を、そして富樫と貴志子に不思議な運命をもたらす・・・・ | |||||
私評:ザウルス・・・宮本輝さんの原作は読んでいましたが、映画にはまた違う感動がありました。圭輔と言う媒体を通してさらに絆を深めていく遠間、富樫、そして貴志子。不思議な縁で結ばれた4人だけど、それぞれが問題を抱えている。事の大小はあるけれど、誰もがそこで立ち止まってしまうわけにはいかない。だけど、一歩踏み出すのはとても怖い。人生の再生のための勇気をもらう方法のひとつは、もしかしたら大自然に抱かれる事なのかもしれない。この話に出てくるパキスタンのフンザは「最後の桃源郷」「この世の果ての村」などと呼ばれているとおり、美しくも気高いところ。そんな自然の圧倒的な存在感の前でひと皮むける彼らがとても素敵でした。日頃、自分が抱えているちっぽけなストレスなんか吹っ飛んでしまいました!主演は「のぼうの城」の佐藤浩市、「東京家族」の西村雅彦、「GIRL」の吉瀬美智子、そしてまったくの新人の貞光泰風君。その他、すごく印象的だったのが圭輔の母役の小池栄子。気持ち悪すぎですが、彼女の女優としての技量を感じました!監督は「八日目の蝉」の成島出。 | |||||
レッド・ライト | 監督 : ロドリコ・コルテス | 出演 : キリアン・マーフィー、ロバート・デ・ニーロ | |||
Red Lights | 2012年 スペイン・アメリカ映画 | ||||
大学で物理学を教えているマーガレットと助手のトムはありとあらゆる超常現象の解明するのが仕事。その日も、片田舎に出向いていた。その家で発生するポルターガイスト現象、そして交霊会での不可思議な出来事についても、彼らはあっさりと解明してしまう。そしてショーで荒稼ぎをするインチキ霊能者も彼らにそのタネを暴かれてしまう。そんな時、かつてスプーン曲げなどで一世風靡をした盲目の超能力者のサイモン・シルバーが超能力ショーを開始。地元にもやってくると知ったトムは調査をしようと申し出るが、なぜかマーガレットはそれを頑なに拒んだ。彼女はかつて、彼との勝負に敗れていたのだ。単身でシルバーのショーに出向いたトムは、そこで恐るべき現象を目の当たりにする。シルバーの視線を感じた瞬間、会場の照明がスパークしたのだ。しかも、その直後、研究室で倒れたマーガレットがそのまま帰らぬ人になってしまったのだ。それらは果たしてシルバーの超能力なのか??・・・・ | |||||
私評:その時、あなたはメガネを掛けていた??・・・この映画のスタートでふたりが解明する超常現象のタネはすごく面白くて、人をも殺すという超能力を持つというカリスマとどのように対決するのか?という興味が俄然湧いてきた。しかし、物語はいきなり違う方向へと動き始める。そしてシルバーの謎が解き明かされるのですが、「それじゃあ、あれはなんだったの??」という疑問が・・。そして更なる驚愕の事実が明かされるのですが、あまりに常軌を逸した答えだったので、私は思わずポカーンとしてしまいました。しかし、その事実が明らかになってもいくつかの「なぜ??」が置き去り。なんだか最後はモヤモヤが残ってしまいました。あとの事はご自由に考えてくださいというオチなのでしょうか??もう一回この映画を見れば、そんな伏線があるのかもしれません??主演のトムを演じるのは「バットマン」シリーズのスケアクロウ役が印象的なキリアン・マーフィ。シルバー役には大御所「世界にひとつのプレイブック」のロバート・デ・ニーロ、マーガレット役には「アバター」のシガニー・ウィーバー。監督は「リミット」のロドリコ・コルテス。 | |||||
逃走車 | 監督 : ムクンダ・マイケル・デュウィル | 出演 : ポール・ウォーカー | |||
Vihicle 19 | 2012年 南アフリカ映画 | ||||
ヨハネスブルクの空港でレンタカーを借りたアメリカ人のマイケルは、別れた妻のアンジェリカに5年ぶりに会うためにこの地へとやってきた。しかし、飛行機の到着は遅れ、頼んでいた車も頼んでいた車とは違う車種で散々だ。仕方なく、車に乗り込み妻の元に電話をするが、以前に酒に溺れて車で事故を起こしたマイケルに対する妻の言葉は冷たかった。その時、聞きなれない着信音が車内に響く。そこにあった携帯電話をとると「誰にも知られるな」と男が話しかける。しかも、シートの下にあったのは拳銃。一体何事なのか??実はマイケルは国外に出る事が禁止されていた。ここでトラブルを起こすわけにはいかないマイケルは車を捨てて歩こうとするが、ふたたび携帯が鳴る。相手はすでにマイケルの事を調べていて、彼の弱みを突く。仕方なく、相手の言うとおりに車に戻ったマイケルは、さらにショッキングな物を発見してしまう。縛られた女性がリアシートの後ろから飛び出してきたのだ。実は彼女は検事で人身売買の調査をしていて、犯人を特定していたのだ・・・・ | |||||
私評:よし、決めたぞ!ファック・ユー!!!・・・いきなり公開が決まったこの映画。先日、新宿で「ゼロ・ダーク・サーティ」を観た時に、たまたま予告編を観たのです。あそこで見なかったら、きっと見逃していただろうな~。この作品の売りは全編が車内で撮影されている映像。(さすがにラストシーンは外に出て、上から車を映していましたが・・)それゆえに、彼がどんな車に乗っているのかも分からない。一回、車にある細工をするシーンがあるのですが、その時に車の全身がガラスに映るシーンがあり、「おお、こんな車だったんだ!」と変な感動をしてしまった。と言う事で、この映画はずっとマイケルとドライブしている気分になれます!ちょっと無理があるかなと思いきや、映像はすごく自然な感じでした。カーチェイスのシーンもかなりの迫力です。85分と言うこじんまりした時間もイイ感じ。主演は「ワイルド・スピード」シリーズのポール・ウォーカー。運転はほとんどスタントを使わずに自分でやっているというから驚きです。その他に南アフリカの役者が数名出ていますが、この映画のほとんどはポール・ウォーカーの独壇場。まあ、ローバジェットの作品でもあるので・・・。監督は南アフリカのムクンダ・マイケル・デュウィル。 | |||||