2013/3/3 Part 1

2週間分を2回に分けてドドーンとアップ。
今回は全部イチ押しにできるほどの名作ぞろい。しかし、一つだけ選んだのは
怒涛の殺戮&スプラッターのド級アクション映画

ジャッジ・ドレッド  監督 : ピート・トラヴィス  出演 :カール・アーバン、オリヴィア・サールビ
Judge Dredd  2012年 イギリス、南アフリカ映画
今週のイチ押し:近未来のアメリカでは核戦争後、人々は一部の汚染されなかった土地の超高層ビルが立ち並ぶ都市に移り住んだ。しかし、小さな都市に8億人の人が住み、そこの犯罪の数も異常だった。そんな町で秩序を守るのは裁判官でもあり陪審員でもある「ジャッジ」と呼ばれる者たち。犯罪現場のその場で刑を執行できる特権を持っているのだ。ジャッジの中でも優秀なドレッドに、その日、新たな任務が課せられた。新米のジャッジで超能力者でもあるカサンドラの実地演習だ。ふたりは通報を受け「ピーチツリーズ」と言う名の200階建ての超高層ビルへと向かった。しかし、そこはママと呼ばれる情け容赦ないボスが仕切る悪のスラム街だった。ママの腹心の男を逮捕したふたりだったが、ビルを封鎖され閉じ込められてしまう。そしてママ一味はふたりを抹殺にかかる。意を決したドレッドとカサンドラは、逆に彼らを葬るために怒涛の反撃に出るが・・・
私評:彼女は合格だ・・・・ジャッジ・ドレッドと言えばシルベスタ・スタローンが主演の作品がありましたが、これはかなり酷い作品で原作のコミックのファンが怒ってしまったという。今回の作品もネットの評価は最悪。しかし・・・、これが私的にはめちゃめちゃ面白い映画でした!なんたって凄いのが重火器を使った強烈な銃撃戦。映画館ならではの耳を塞ぎたくなるくらいの大音響が良い!そして超スローモーションの3D映像!悪人たちが扱っているドラッグが「スローモー」と言う名で投与されると自分の周りがスローモーションになったような感覚になるのですが、そんな状況にゆっくりと飛んできて肉を引き裂く銃弾、そして超高層ビルからのスローモーションでの落下など、今までの3Dとはひと味違った醍醐味があります。しかも、かなりのスプラッター!!ドレッド役は「ボーン・スプレマシー」のカール・アーバン。彼は終始ヘルメットを被っているので映画の中で素顔を出しません!カサンドラ役は「JUNO/ジュノ」のオリヴィア・サールビー。彼女もすごく良いんですよ・・・。監督は「バンテージ・ポイント」のピート・トラヴィス。
世界にひとつのプレイブック  監督 : デヴィッド・O・ラッセル  出演 : ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス
Silver Linigns Playbook  2012年 アメリカ映画
最愛の妻の浮気現場を見て心のバランスが壊れてしまったパットは8か月にも及ぶ病院生活を終えて、ようやく家に帰ってきた。彼は当然のように、妻と一緒に暮らすつもりでいたが、彼女はパットに接近禁止令を出し家を売って出て行ってしまった。職も失ったパットだったが、彼はなぜか前向きで心と体を鍛えればきっと妻は帰って来ると信じていた。そんなある日、彼はスティービー・ワンダーの曲に異常な反応を示す。それはパットの結婚式の時の曲である、彼女の浮気現場で流れていた曲なのだ。そんな時、パットは友人のロニー夫妻のディナーに誘われた。その席で彼はティファニーと言う一風変わった女性と引き逢わされた。彼女は最近夫を亡くして心が壊れたままになっていた。翌朝、ジョギングをしていたパットの元にティファニーが現れる。噛み合わない会話が続くが、最後には年下のティファニーに説教をされる始末。セラピーの先生から、彼女に優しくすべきと勧められたパットはティファニーを夕食に誘う・・・・
私評:俺は家族でイーグルスの試合が見たいだけなんだ・・・見る前からかなり良い作品との評判を聞いていたし、アカデミー賞の主要6部門すべてにノミネートされたこの映画。やっぱり期待した通りの素晴らしい映画でした。この映画に出てくる人たちってみんなちょっとだけ心が壊れている。パニックになったり、自暴自棄になったり、家族不和だったり・・・。そんな彼らが立ち直るには何が必要なの?という答えが“愛”なんですね。とってもありきたりな答えだけど、この映画の中では「言いたい事を言い合っても最終的にはみんなで仲良く一緒にいる事」が描かれている。それがこのキャラクターたちだから最高の結びとなるわけ。そしてこれまたベタだけどパットとティファニーが参加するダンス・コンペティションもなんだかとっても幸せな気分にしてくれます。そしてその後の展開も・・・。主演は「ハングオーバー」シリーズのブラッドリー・クーパー、そしてティファニー役はこの作品で見事オスカーを手にした「ボディ・ハント」「ハンガー・ゲーム」のジェニファー・ローレンス。迷信を信じてノミ屋で一発当てようとする父親役は「タクシードライバー」のロバート・デ・ニーロ、「アニマル・キングダム」の時とは正反対で心配性の母親を演じるジャッキー・ウィーバー、そしてパットの精神病院の友達が「ラッシュアワー」のクリス・タッカー。監督は「ファイター」のデヴィッド・O・ラッセル。
きいろいゾウ  監督 : 廣木隆一  出演 : 宮崎あおい、向井理、柄本明
 2012年 日本映画
田舎の古い一軒家に暮らす夫・ムコこと武辜歩とツマこと愛子(旧姓妻利)。小説家のムコは執筆の傍ら週に何度か老人施設にも行っている。ツマは専業主婦で近くの畑で野菜を育てている。隣に住んでいるのはアレチさんとセイカさん老夫妻。いつもズボンのチャックが空いているアレチさんは、最近ボケてしまって冷や奴にミロをかけてしまう奥さんのセイカさんをとても愛している。近所の駒井さんの家には9歳になる男の子の大地がいた。彼はある事件が元で学校には行かなくなっていた。そんな彼を執拗に追い回しているのが自称ジェニーこと洋子だった。子供のころから体が弱かったツマは絵本の“きいろいゾウ”が好きで、空想の世界でゾウと一緒に旅をした。以来、彼女には聞こえないはずの生物の“声”が聞こえるようになっていた。そんなある日、ムコ宛てに差出人の名前のない手紙が届いた。それが気になり不機嫌になったツマをムコは海へと連れて行った。そこでムコは彼の心にずっと淀み続けている、彼の叔母の話をしだした・・・・
私評:どうかムコさんを返してください・・・ご存知の方もいるかと思いますが、私はこの映画の原作者の西可奈子さんの大ファンです。彼女の小説の主人公たちってすごくインパクトが強く、そしていわゆる変な奴ばかりなのです。そんな人たちだからこそ醸し出せる人間臭さや優しさを描くのが上手いんですね。もちろん「きいろいゾウ」も数年前に読んでいます。映画は原作の雰囲気を壊さないように丁寧に作られているのですが、原作を読んだ時に刻まれた“インパクト”が強すぎて、映画の出演者を頭の中の人物に置き換えるのにちょっと苦労しました。そして映画の中で何度か使われる長回しの1ショット撮影はすごく効果的。特に海に向かうツマとムコが車の中でやり取りするシーンは素晴らしいシーンです。これは主人公のふたりの演技力があったからこそ成し得た演出です。ツマ役は国民的女優宮崎あおい。今回はすっぴんで変な髪形といういかにも西可奈子の原作に出てきそうな妙なキャラ。だけど、可愛すぎちゃうんですね。ムコ役は「BECK」の向井理。彼もすごく良いのですが、あおいちゃんの前だとやっぱりインパクトが弱い。その他、柄本明、松原智恵子、濱田龍臣、本田望結、リリー・フランキー。そしてツマだけが聞こえる庭の木々や動物、虫たちの声を演じているのは大杉漣、柄本祐、安藤サクラ、高良健吾という贅沢な面々。監督は「ヴァイブレータ」「やわらかい生活」の廣木隆一。最後に・・・あおいちゃんと理君の関西弁ってどうなんですかね??私はどうも違和感が・・・。
ムーンライズ・キングダム  監督 : ウェス・アンダーソン  出演 : ブルース・ウィリス、、エドワード・ノートン
Moonrize Kingdam  2012年 アメリカ映画
ここはアメリカのニューイングラン沖にある小さな小島。のんびりとしたこの島で、ちょっとした事件が起こる。12歳の少女スージーがボーイスカウトの少年サムと一緒に駆け落ちそしたのだ。草原で落ち合ったふたりはこの島の原住民のクックチョー族が大移動した道のりを辿ることにした。そして目的地はサムにとって憧れの地。ようやく辿り着いた美しい入り江にサムは「ムーンライズ・キングダム」と名付けた。一方、ふたりの駆け落ちを知った島民は大騒ぎ。ボーイスカウトのウォード隊長、島で唯一の警官のシャープ、そしてスージーの両親はそれぞれふたりの捜索を始める。しかし、シャープとスージーの母親は不倫中!厳格なスージーの父親は、娘が誘惑されたとウォードに喰ってかかる。そして本土からやってきた冷酷な福祉局は、サムには精神鑑定や電気ショック療法をした後に、施設に入れると言っている。小さな島の事件は徐々に大きくなっていくが・・・・
私評:スージーがいなきゃ僕の人生は無意味だ・・・ダメな大人たちばかりが揃った島で子供たちが起こすキセキ。この映画を見ていてまず、頭に浮かんだのが「小さな恋のメロディ」。子供同士が結婚宣言をして大人たちを振り回す映画ですが、「小さな恋のメロディ」も「ムーンライズ・キングダム」も子供たちが真剣に愛を謳いあげているのにも関わらず、大人たちはそれらをネガティブに捉えて、仲を引き裂こうとする。ところが・・・!!しかし、映画はハッピーな方向に矛先を変えていきます。その心地良さと言ったら・・サイコー!全編に散りばめられた耳に心地よい音楽たちもサイコー!そしてとんでもなくビッグな俳優たちがスター性をまったく感じない普通のおじさん、おばさんを嬉々と演じています。シャープ役は「ダイ・ハード」のブルース・ウィリス、スーザンの父には「ゴースト・バスターズ」のビル・マーレイ、母親には「ファーゴ」のフランシス・マクドーマン、ウォード役は「ボーン・レガシー」のエドワード・ノートン、そして福祉局員には「ナルニア国物語」のティルダ・スウィントンという最強の布陣。そして驚きの子役はサム役のジャレッド・ギルマンとスージー役のカーラ・ヘイワード。ふたりとも演技経験がないというから驚きです。特にカーラちゃんはおじさんもドキッとするくらいセクシーでした。監督は「ライフ・アクアティック」「ザ・ロイヤルテネンバウムズ」のウェス・アンダーソン。


前回の記事も読んでね~!



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