2015/2/28

毎度のことですがレビューが間に合いません。今回もしっかり2週間遅れ。
この続きも今夜書かなくちゃ・・・イチ押しは天童荒太のベストセラー、
NYの街並みと音楽が心地良いインデペンデント作品、そして号泣の青春映画。

悼む人  監督 : 堤幸彦  出演 : 高良健吾、石田ゆり子、大竹しのぶ
 2015年 日本映画
今回のイチ押し:人が死んだ現場で不思議な祈りを捧げる青年がいた。彼の名前は坂築静人。彼はその行為を「悼んでいる」と言う。今日も彼は幼い少年が、彼の兄がいたずらで運転した車に轢かれた現場で悼んでいた。そこにいたのは週刊誌のルポライターの蒔野抗太郎。蒔野はなんとなく彼に興味を覚えた。その日も静人が悼んでいると、彼を見ている女がいた。彼女の名前は奈儀倖世。彼女は夫殺しの罪で逮捕されたが犯行前の異常な夫の行動のビデオが見つかり、減刑されて、4年の刑期を終えて釈放されていたのだ。しかし、事件には想像を絶する裏があった。いつしか静人と行動を共にするようになった倖世。しかし、彼女の傍らにはいつも死んだ夫の霊が付き纏っていた。一方、静人の母親の巡子は末期の癌で自宅療養中。そんな時、娘の美潮は交際中の男から、静人のことを理由に別れを告げられる。ところが彼女は彼の子供を妊娠していた・・
私評:息子のことを忘れないで!もっと悼んで・・・天童荒太の原作は大好き。それがたいそう気に入ったので、普段は見に行かない「舞台」も見に行きました。(こちらは向井理、小西真奈美)こちらもすごく良かった。そして満を持して映画化。監督は舞台と同じく「トリック」の堤幸彦。これがすごく良かったです。と言うか、今まで見た「悼む人」の媒体の中で最高でした。東北の町を歩き、悼み続けるシーンも映像になるとその壮大さがさらに伝わってくる。人の死と向かい合うことは本当に辛いことですが、送る側の辛さはもちろんこの世を去っていく者の一番の辛さは、やはり忘れられてしまうことでしょう。(今のところ)鵜澤家は私で打ち止めになっているので、私の後で悼んでくれる人は甥っ子だけになってしまいます。しかし、それを押し付けるわけにもいかず・・・。少なくとも私が生きている限り、先に旅立った家族・祖先を悼んで行きたいと思います。静人役は「横道世之介」の高良健吾。彼はいい雰囲気を持っていますよね。倖世役は石田ゆり子、蒔野役には椎名桔平、巡子役は大竹しのぶ、美潮役は貫地谷しほり、そして倖世の夫役には井浦新太。全員が素晴らしい演技を見せます。心を掻きむしられる作品ですが、また時間を置いてから観てみたい。
はじまりのうた  監督 :ジョン・カーニー  出演 :キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ
Begin Again  2013年 アメリカ映画
今回のイチ押し:ニューヨークの場末のバーでギターの弾き語りをしていた売れないミュージシャンのスティーブは突然ひとりの女性をステージに誘った。彼女の名前はグレタ。イギリス人の彼女は恋人のデイブとの共作が映画の主題歌に採用され、それを機にふたりでアメリカにやってきたのだ。しかし、デイブひとりにスポットが当てられグレタはあくまでも、デイブのガールフレンドでしかない。しかも、彼が浮気をしたため彼女は家を飛び出し、旧友のスティーブの元に身を寄せていたのだ。バーのカウンターで酔っ払っていた音楽プロデューサーのダンは自分が築いた会社からお払い箱にされ荒れていた。彼が目指す音楽が見つからずここ数年ヒットがない。そんな時、彼の耳に飛び込んできたのがグレタの歌。彼は彼女の歌に言い知れぬ感銘を受け、思わず彼女に語りかけた。そして一緒に音楽を作ろうと誘うが・・
私評:街中でレコーディングだ!・・・私の大好きな「ONCE ダブリンの街角で」での監督の最新作。キャストも有名人を使えるようになりました!しかし、今回の作品もアメリカでは小規模で公開されたのですが話題が話題を呼んでどんどん拡大。結局はかなりの興収を得た作品。やっぱり音楽が話のメインになっている作品は好きですね~。今回の話はNY中でゲリラ演奏をしてそれをレコーディングするというハチャメチャな展開なのですが、軽快な物語の展開とそこで紡がれていく「音楽」が本当に心に気持ちいいんですよ。サントラが欲しい!!主演は相変わらずシャクレている「ラブ・アクチュアリー」のキーラ・ナイトレイ。彼女はキュートで可愛い。しかも、歌が上手い。ダン役は「アベンジャーズ」のマーク・ラファロ、そして彼の妻役は「マルコヴィッチの穴」のキャサリン・キーナー。監督は「ONCEダブリンの街角で」以来7年ぶりの作品となるジョン・カーニー。良い映画でした・・。
きっと、星のせいじゃない  監督 : jジョシュ・ブーン  出演 :シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルコート
The Fault In Our Stars  2014年 アメリカ映画
今回のイチ押し:ヘイゼルは肺がんのステージ4。常に酸素ボンベをキャリアに乗せて装着している。学校にも行けないが彼女だが、両親からの溢れる愛情には精一杯応えていた。そんなある日、ヘイゼルは若いガン患者の集いに出席。そこで彼女はオーガスタス(ガス)と出会う。ガスもかつては骨肉腫に蝕まれ、左足の膝から下を切断。今はすっかり回復しているという。そんな彼がヘイゼルに言い寄ってくる。生い先短い自分に恋愛などはないと思っていたヘイゼルだったがユーモアたっぷりで、しかも彼女の事を思ってくれるガスに惹かれていく。そんなふたりの共通の話題はヘイゼルの愛読書の「an imperial Affliction」。その本の中でヘイゼルが抱いていた疑問についてガスは作家のヴァン・フォンテーンの秘書に問い合わせると、なんと返事が。しかも、ホンテーン本人から今住んでいるアムステルダムに来ないかという誘いが!重い病のヘイゼルには無理かと思われたが、ガス、そして両親の手配でアムステルダムを訪れた・・
私評:ガンが転移して、全身クリスマスツリーみたいだよ・・・不治の病を抱えたヒロインと彼女を支えるボーイフレンド・・。こんな構図の作品はけっこう辛い涙が必要なのですが、この映画はちょっとばかり違っていた。もちろん病気との闘いもしっかり描かれているのですが、先が短いからこそ青春を、そして恋愛を完全燃焼させようとする主人公の姿は、胸が熱くなりました。私はヘイゼルよりガスの行動に涙。なぜ、彼があんなにヘイゼルのために頑張ったのか?そして彼が本当にいいヤツなんだとしみじみ思いました。その瞬間涙が大量放出されました・・・。ヘイゼル役は「ダイバージェント」のシャーリーン・ウッドリー。正直言って、「ダイバージェント」の時はあまりパッとしなかったのですが、今作の彼女は素晴らしかった!ガス役は「キャリー」のアンセル・エルゴート。ふたりのアンサンブルが最高!ヘイゼルの母親役は「ジュラシックパーク」のローラ・ダーン、そしてヴァン・フォンテーン役は「アンチ・クライスト」「プラトーン」のウィレム・デフォー。監督はジョシュ・ブーン。
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ  監督 : サム・テイラー=ジョンソン  出演 : ダコタ・ジョンソン、ジェイミー・ドーナン
Fifty Shades Of Grey  2015年 アメリカ映画
冴えない女子大生のアナは風邪をひいたルームメイトの代理で若き大富豪のクリスチャン・グレイを訪ねた。アナに興味を持ったクリスチャンは彼女のバイト先に現れて、彼女をオフィスに誘った。そこで彼はアナに彼の秘密を打ち明けた。彼は人を愛することができず、ただ自分の欲望を満たすためだけに女性たちと「契約」をしていたのだ。そして彼の秘密の部屋に案内される。そこには拘束具、鞭などのSM器具が所狭しと並べられていた。アナに「契約」の話を持ち出すが、アナはバージンであることが分かりクリスチャンは驚きと同時に、アナに特別な感情を抱く。そしてふたりは特別な夜を過ごした。しかし、アナはクリスチャンを挑発するかのように契約の話をはぐらかした。征服欲の塊のクリスチャンは執拗にアナに契約を迫るが、アナはするりとかわしていく。しかし、アナの中でもクリスチャンに対する愛情が溢れ出していた・・
私評:「アナスタシア」「クリスチャン」・・・全世界で1億部を売ったというこの作品。私は映画館で予告を見るまで存在さえ知らなかった。予告編を見たとき更なるショック。これはSM映画か??実際のストーリーは完璧で他人を服従させる天才と純真で愛を信じる乙女のラブゲーム。グレイの得意な性癖にもたじろがずに挑戦的なアナ。しかし、彼女の行動も彼を愛するがゆえのもの。圧倒的に上位に立っていたグレイがいつしかアナと対等になり、そして・・・。傲慢な男を手玉に取るアナの行動はかなりスカッとします!ラストシーンは最高にクールでした。主役のアナを演じるのはダコタ・ジョンソン。存在さえ知らなかったのですが彼女のキャスティングは大成功。グレイ役はジェイミー・ドーナン。彼についてもまったく情報なしだったのですがかなりのはまり役。監督は「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」のサム・テイラー=ジョンソン。彼女の夫は「キックアス」「ゴジラ」のアーロン・テイラー=ジョンソン。それにしても・・・、この映画の中でまっくろな大きなボカシが何度も登場します。普通に白くボカしている所もあるのに・・。私の推測ですが直前まで動画が入手できず、映倫の審査に引っかかったのでは?あれは一気に気分が削がれます。
マッハ!無限大  監督 : ブラッチャヤー・ピンゲーオ  出演 :トニー・ジャー、ジー・ジャー・ヤーニン
 2013年 タイ映画
タイのジャングルで象のコーンと一緒に慎ましく暮らしているカーム。そんな彼のもとにスチャートという男が現れコーンを売ってくれと言われるがカームはそれを断った。しかし、カームが町に行っている間にコーンは盗まれてしまう。コーンを追ってスチャートの家に乱入したカーム。しかし、カームの目の前にあったのはスチャートの死体。そこに警察もやってきてカームは殺人の疑いをかけられてしまう。しかし、5年前の事件でカームをよく知るインターポールのマークの機転でカームはその場から逃げるが、何者かの指示でカームはバイクの集団に追われる。追っ手をかわしてカームはようやくコーンの居所を突き止める。そこには国際的な犯罪組織を牛耳るLCが運営する地下格闘組織。そこにスチャートのふたりの姪、マークも加わり壮絶なバトルが開始される・・・
私評:ワイヤーを使います!CGを使います!・・・1作目の「マッハ!!!」はそれらを使わないというのが売りだったけど、今回は逆手にとってかみんな使っています。しかし、要所はしっかりノースタント、ノーCG、ノーワイヤーのアクションも組み込まれています。始まってすぐにバイク軍団とのバトルがあるのですが、これがすごい迫力。絶対にけが人が出ています。そして地下組織のNo.2との戦いは壮絶。今までに見たこともないガチバトルでした。マジで痛そう。ラストの爆破のシーンは・・・ふざけ過ぎです!!エンドクレジットはジャッキー・チェンの映画を意識してかNG集。これがまた、すごいんです。主演はハリウッド映画「ワイルド・スピード」にも出演が決まったトニー・ジャー。彼が初めて日本に来たとき、試写会で本人を見たな~。スチャートの姪っ子の一人ピンピン役は「チョコレート・ファイター」のジージャー・ヤーニン。悪の組織のボスは「アイアンフィスト」のRZA。監督「チョコレート・ファイター」「トム・ヤン・クン!」のプラッチャヤー・ピンゲーオ。
ムーミン 南の海で楽しいバカンス  監督 : グザヴィエ・ピカルド  出演 :高山みなみ、かないみか 
Moomins on the Riviera  2014年 フィンランド・フランス映画
ムーミン谷で小さな幸せの中で暮らしていたムーミン一家。しかし、ムーミンのガールフレンドのフローレンの提案で、ムーミンパパ、ムーミンママ、そしてミーと共にリビエラを目座すことに。彼らの行く手に待ち構えていたのはとてつもなく大きな波。気が付くと彼らは無人島の大きな木の上に打ち上げられていた。夜になり、浜辺で語り合っていたムーミンとフローレンは対岸の美しい夜景に驚く。そこはリビエラ!ようやく高級リゾート地に着いた一行は大きな建物に入っていく(ウエルカム!と書かれていたから)。そこは超高級ホテル。何を勘違いしたのかホテルのマネージャーは彼らを最高級のスイートルームに案内した。リゾートですっかり舞い上がっているフローレンは見るもの聞くもの全てに大興奮。そしてひとりの金持ちのプレイボーイ、クラークが彼女に言い寄ってくる。フローレンはカジノで大金を稼いで(隠すところが小さな)最新の水着を買う。一方、ムーミンパパはひとりの貴族と意気投合する・・
私評:こんな贅沢は必要ないわ・・・この作品は原作者のトーベ・ヤンソンの生誕100周年記念作品。昔、まだ私が子供だった頃、日曜日の夜は妹と一緒に「ムーミン」を見ていました。私はスナフキンが好きでしたね~。あのギターを弾きながら歌う「おさびし山」の歌は今でも口ずさめます。その後も何度かテレビで放送されてきましたが、私は1960年代の後半から1970年代の前半に放送された岸田今日子版が好きです。それから40年近く経ってムーミンが映画になったというのでちょっと恥ずかしかったのですが見に行きました。それにしてもムーミン一家のあのマイペスーなところが良いですね。能天気だけどちょっと見栄っ張りのパパ、能天気で倹約家、ガーデニングが得意なママ、夢見がちな自惚れ少女フローレン(テレビ版はノンノンだった)、そして心配性だけど真っ直ぐな心を持つムーミントロール。彼らの絶妙なバランスが良いんです。今回は新たなキャラクターとしてクラーク、モモンガ公爵、映画スターのオードリー・グラマー、猫しか好きになれない犬のピンプルなどが登場します。主演のムーミントロールの声は「名探偵コナン」の高山みなみ。ゲストとしてさまぁずのふたり、木村カエラが参加しています。監督はグザヴィエ・ピカール。


前回の記事も読んでね~!



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