2011/2/20

今回はちょっと中休み??新作2本を紹介です。
イチ押しは野望と欲望に駆られた男たちの物語・・

ウォール・ストリート  監督:オリバー・ストーン  出演:マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフ
Wall Street Money Never Sleeps  2010年 アメリカ映画
今週のイチ押し:インサイダー取引で投獄され、8年間の刑期を終えたゴードン・ゲッコー。しかし、彼の出所日に迎えは誰もいなかった。2008年、ウォール街で働く青年、ジェイコブは順風満帆な生活を送っていた。しかし、アメリカの経済を転覆させるほどの大事件が起こる。ジェイコブの働く証券会社が急激な業績の悪化で破綻してしまったのだ。しかも、ジェイコブが父のように慕っていた経営者のルイス・ゼイベルが地下鉄のホームから身を投げて自殺してしまったのだ。失意のどん底にいたジェイコブは大学で開催されていたゴードンの講演会を訪ねた。彼は出所後に昨今の金融業界の強欲さを指摘し、大恐慌以来の、いやそれ以上の金融危機を予言していた。ジェイコブの恋人はなんとゴードンの実の娘。しかし、彼女は父親を毛嫌いしていたのだ。ジェイコブはゴードンに“取引”を持ちかけた。それはゴードンと娘の橋渡しを条件に、ゼイベルを死に追いやった張本人である業界の黒幕、ブレトン・ジェームズに復讐を遂げる事だった・・・
私評:あの男を信じてはダメ・・・前作「ウォール街」は私の大好きな映画のひとつ。野心に駆られた男が、己の力を信じてどんどん成りあがっていく。そしてその野心が行きすぎた時に、ついには足をすくわれてしまう・・。このどんでん返しはため息が出るほど衝撃だった。それから25年経ち、ついにその映画の続編ができた。前作と決定的に違うのは、原題がネット文明である事。情報操作もネットで行われてしまう。映画の始まりでは20世紀の遺物みたいだったゴードンが、この世界でものし上がって行くのです。そして彼の金儲けのためのアンテナは21世紀でも大活躍していく・・。しかし、この映画のラストはちょっと残念だった。毒のある映画が得意なオリバー・ストーンがこんな甘々の最後にするとは・・・。これで続編はもう作られないでしょう。主演は「ウォール街」でオスカーを獲ったマイケル・ダグラスが今回も金儲けのカリスマを好演。若きウォール街の野心家の青年には大作への出演が目白押し、「トランスフォーマー」のシャイア・ラブーフ。彼の恋人役には「17歳の肖像」のキャリー・マリガン、そして悪どい手立てでウォール街を引っ掻き回すブレトン役には「ノー・カントリー」のジョシュ・ブローリン。その他、イーライ・ウォラック、スーザン・サランドン、フランク・ランジェラなど大物が脇を固めます。監督は「JFK」「プラトーン」のオリバー・ストーン。監督の出演シーンも探してみてください。
ヒアアフター  監督:クリント・イーストウッド  出演:マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス
Hereafter  2011年 アメリカ映画
フランスの人気キャスターでジャーナリストのマリーは恋人と一緒に東南アジアを訪れていた。朝の買い物に出掛けたマリーはそこで巨大な津波に巻き込まれてしまう。奇跡的に生き残ったマリーは、水の中で見た不思議な光のビジョンが心に焼き付いて離れない。マリーは独自に光の謎を調査し始める・・。サンフランシスコの工場で働くジョージはかつて“霊能力者”として一世風靡していた。しかし、死者との対話に疲れ、いまはひっそりと暮らしていた。そして彼は人生を再スタートするために料理教室に蚊帳い始める。そこで彼はメラニーという女性に好意を寄せるが・・・。仲良しの双子マーカスとジェイソン。しかし、ジェイソンは交通事故で命を落としてしまう。以前から薬物依存症だった母親はそのショックでさらに病状が悪化し、マーカスは里親に出されてしまう。もう一度ジェイソンと話したいと思ったマーカスは霊能者を訪ね歩く・・。そして運命に導かれるかのように、3人はロンドンのブックフェアを目指す・・・・
私評:その帽子はもう被るな。それは僕の帽子だから・・・・ここ数年、この時期になるとクリント・イーストウッドの映画が公開される。もう80をとうに超えているのに、この人は実にアグレッシブで、新しいジャンルの映画に挑戦し続けている。そんな監督が今回選んだテーマは“人間の死”。そしてヒアアフター=来世について。あの世を見てしまった女性と霊と会話ができる男と兄の死を体験した少年が、それぞれのスタンスで人間の死について向き合うのです。死んだらどうなるか?なんて丹波哲郎みたいな話ではなく、それぞれの死をどう受け止めるかを問う作品です。捕らえ方は人ぞれぞれだとは思いますが、私はどうも着いていけませんでした。しかし、偽霊能者がゾロゾロ出てくるところは笑えた!主演は「インビクタス 負けざる者たち」に続いてもイーストウッド作品出演のマット・デイモン。マッチョな彼がちょっと暗いサイキックというのも、なかなかのキャスティング。マリー役は「スパニッシュ・アパートメント」「ハイテンション」んぽセシル・ドゥ・フランス。そしてジョージの兄役は「200本のたばこ」のジェイ・モーア、メラニー役は「ヴィレッジ」「ターミネーター4」のブライス・ダラス・ハワード。クリント・イーストウッド監督の次回作は元FBI長官エドガー・フーパーの半生記との事。そちらも楽しみです!


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