2011/2/13

2月はガンガン映画を観ています。今回のイチ押しは
サスペンス映画がふたつ。どちらも秀作です。

ザ・タウン  監督・主演:ベン・アフレック  出演:レベッカ・ホール、ジェレミー・レイナー
The Town  2010年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ボストンのチャールズタウン。ダグをリーダーとする強盗の一味が銀行を襲った。完璧なまでに計算された計画に、今回はイレギュラーな事態が起こった。仲間のひとりジェムが女性支店長のクレアを人質に取ったのだ。逃走に成功しクレアを解放するが、彼女がチャールズタウンの住人あることを知り、彼女の口封じが必要となった。ダグはクレアが何を見たかを知るために、彼女に近づいた。しかし、クレアは十分すぎるくらい怯えていた。優しく接するダグにクレアは好意を抱きはじめる。そしてダグも彼女の洗練された知性に惹かれていく。やがて、ダグはクレアと新しい人生を歩み出すため、強盗を辞めようと決意する。しかし、強盗グループの黒幕である花屋のファーギーはその事を許さず、クレアに危害を与えるとダグを脅す。そしてFBIも徐々にダグに迫っていた。クレアを守るためにダグは最大級の強盗に参加する。それはボストン・レッドソックスのスタジアム襲撃だった・・
私評:今日みたいな晴れた日に会いたい・・・ボストンは世界一銀行強盗が多い町なのだそうです。しかし、映画のエンドクレジットで「犯罪数は世界一だけど、住んでいる人は良い人です・・」みたいなエクスキューズがあります。全米ではいきなり1位を獲ったこの映画ですが、私も思い切りこの映画にはまりました。まずは、銀行強盗のシーンのテンポの良さ。巧妙に計算された強盗シーンを見事に描いています。銃撃シーンはマイケル・マン監督もビックリするくらいの大迫力です。そしてダグとクレアの心情の移り変わりの描き方も素晴らしいです。しかし、何よりの見せ場はこの映画のキャスティングです。主演は監督も兼ねる「パールハーバー」のベン・アフレック。彼の幼なじみでトラブルメーカーのジェムを演じるのは「ハートロッカー」のジェレミー・レイナー。彼の悪ガキぶりはサイコーです。クレア役は「プレステージ」のレベッカ・ホール。その他、「ユージュアル・サスペクツ」のピート・ポスルウェイト、「アダプテーション」のクリス・クーパーなどなど、良い役者がゾロゾロ出てきます。ベン・アフレック・・只者じゃないな!
ブローン・アパート  監督:シャロン・マグアイア  出演:ミシェル・ウィリアムズ、ユアン・マクレガー
Blown Apart  2008年 イギリス映画
今週のイチ押し:ロンドンのイーストエンドに住む“若い母親”。彼女は爆弾処理犯の夫と4歳の息子の3人暮らし。夫は仕事柄、常に緊張状態で妻は気を使い続けいている。その夜、夫は急な仕事で呼び出された。妻は息子を預けひとりパブに飲みに出掛けた。そこで彼女に声を掛けてきたのは新聞社に勤めるジャスパー。彼は公団に住む若い母親の部屋の窓から見える、美しい建物に住んでいた。そのまま、ふたりは関係を持ってしまう。メイデーの日、熱狂的なサッカーファンの夫は息子を連れてアーセナルの試合を観にスタジアムに出掛けた。彼らを見送った若い母親はジャスパーと再会する。彼もスタジアムに向かう途中だったが、予定を変更して彼女の公団の部屋を訪れた。ソファで愛し合うふたり。やがて、テレビでサッカーの試合が始まる。次の瞬間、爆音とともにテレビの映像が乱れる。スタジアムが爆弾テロに遭い、大惨事となったのだ。ジャスパーとともに若い母親はスタジアムに向かうが、修羅場と化したスタジアムに夫と息子の姿はなかった。罪悪感に苛まれ、ボロボロになった彼女を夫の上司のテレンスが慰める。ジャスパーは独自のルートで事件を追うが、そこには驚くべき事実が隠されていた・・・・
私評:警察は何かを隠している・・・この映画は都内では2館だけの上映で、しかもあまり宣伝が行き届いていないので知らない人も多いのでは?私はチケットをいただいたので、見に行ったのですが正直、チケットがなければ見逃すところでした。(この映画の濡れ場のシーンのせいでR15になってしまったからでしょうか?)いや~、この映画は面白いです。情事の最中に最愛の息子を亡くした母親の再生の物語と同時に、テロ事件の裏に潜む意外な真相が明らかにされていきます。ボロボロになってしまった母親が立ち直る唯一の方法は事件の真相を知る事。ビデオに写っていたテロ犯の家族と接触したりととんでもない行動に出ます。サスペンスとしてもかなり良くできた映画でした。ラストの展開はちょっとだけ<??>だったのですが、まあそれも“あり”かなと・・・。若い母を演じるのは「ブロークバック・マウンテン」のミシェル・ウィリアムズ。彼女の素晴らしい演技をみせてくれます。ジャスパー役は「ムーラン・ルージュ」のユアン・マクレガー。テレンス役は「ロビン・フッド」のマシュー・マクファディン。監督は「ブリジット・ジョーンズの日記」のシャロン・マグアイア。
パラノーマル・アクティビティ2  監督:トッド・ウィリアムズ  出演:スプレイグ・グレイデン、ケイティ・フェザーストーン
Paranormal Activity 2  2011年 アメリカ映画
カリフォルニアに住むレイ一家。彼らが旅行から戻ると家じゅうが荒らされていた。しかし、なぜか何も盗まれてはいなかった。事態を重く見たダニエルは家の中の6か所にカメラを設置した。家の中での怪奇現象は徐々にエスカレートしていく。乳母のマーティンが留守番をしていると突如、赤ん坊のハンターの部屋で大きな物音がした。彼女は香を炊き、家を清めようとするが、その行為を怒ったダニエルに解雇されてしまう。次に被害に遭ったのは妻のクリスティだった。彼女の目の前でキッチンに吊っていた鍋が落下したのだ。そして娘のアリもハンターと留守番中に家から閉め出されてしまう。そしてついに事件は起こった。飼い犬のアビーが夜中に突然、吠えだしそして倒れてしまう。瀕死のアビーをダニエルとアリが病院に連れていくと、留守番をしていたクリスティに何者かが襲いかかる。必死にハンターを守ろうとするが、目に見えない何物かはクリスティを階段から引きずり降ろし、地下室へと連れ込んだ。家に戻ったダニエルとアリは豹変してしまったクリスティを見て驚く。そして解雇をしたマーティンに助けを求める。果たして彼女の提案とは・・・・
私評:映画の後に衝撃の映像があります、エンドクレジットの最後までご覧ください・・・低予算で大ヒットをしたホラー映画の第2弾。「第2章 TOKYO NIGHT」という亜流も出ているのですが、このシリーズは全部映画館で観ています。部屋の中のノイズや、どこからともなく聞こえてくる物音はやっぱり映画館ならではの音響で楽しみたいです。90分くらいの映画なのですが最初の30分はなんともたいくつなファミリービデオを観させられます。しかし、それを過ぎるとドッキリの連続で、最後まで一気に突っ走っていきます。しかも、1作目としっかりリンクしていくんですね・・・。ですから、いきなり2を観ないで1をちゃんと観ましょうね。エンドクレジットの後の衝撃映像は・・・やられた!!って感じです(苦笑)。それを見せるために引き留めたのか!!パラマウント映画さん、ジョークが過ぎますよ・・。クリスティ役はテレビシリーズで活躍するスプレイグ・グレイデン。そして注目は娘のアリ役のモリー・イフラムちゃん。けっこう美人です。そして1作目のケイティ役のケイティ・フェザーストンが、今回もキーパーソンとして登場します。監督はトッド・ウィリアムズ。
リセット  監督 :ブラッド・アンダーソン  出演:ヘイデン・クリステンセン、タンディ・ニュートン
Vanishuing On 7th Street  2010年 アメリカ映画
映画館の映写技師のポールは、暗い部屋の中で頭にライトを付けて暗い部屋で仕事をしていた。その時、突然停電が起こり、館内は真っ暗に。そして次の瞬間、さっきまで賑わっていた映画館からすべての人間が消えていた。医師のローズマリーは懐中電灯を手に病院内を探し回るが、人の気配がない。やがて、手術中の男を見つけるが、周りに医師はいない、やがて、彼もローズマリーの目の前で忽然と消えてしまう。翌朝、ルークは消し忘れたろうそくの火の元で目を覚ます。仕事に出掛けるが、町の中に人の姿はまったくなかった。しかも、彼の背後で旅客機が墜落した。72時間後、電気は復活せず町は闇に覆われている。夜の時間が長くなり、午前11時なのに空は真っ暗だ。ルークは煌々と光を放つ一軒のバーを発見する。その店は自家発電で電気を賄っていた。そこにはすでに先客がいた。ジェームズと言う少年は教会に助けを求めて出て行った母親を待っていたのだ。そこにローズマリー、ポールも加わる。彼らは襲いかかって来る闇から逃れるため、懐中電灯、蛍光リングなどを駆使して脱出を試みるが・・・
私評:私は存在している・・私は存在している・・・闇に覆われると体が消えてしまう。暗闇のなかに現れる謎の影が人々を襲うのです。原因は明らかにされないまま、話はどんどん進んでいきます。闇から逃れるには“光”を持つしかない。単純な発想ではあるのですが、この話の元になっているのは“ロアノーク島集団失踪事件”。この事件は1587年に島の住民が全員、忽然と消えてしまったという事件で、未だに解明されていないのです。実際にこの事件で残された謎の言葉が映画に出てきたりもします。意外と単純な内容だけに、映画が分かりやすく、しかもその恐怖が伝染してきました。闇というのは、やはり人間にとっては恐怖の対象ですね。主演のルーク役は「スター・ウォーズ」のヘイデン・クリステンセン。(アナキン・スカイウォーカーを演じた彼が、息子のルークの名前の役と言うのは粋なジョークなのでしょうか??)ローズマリー役は「M:I:2」のタンディ・ニュートン。そしてポール役は「ハプニング」のジョン・レグイザモ。(ハプニングとリセットは共通点がありますよね)監督は「マシニスト」のブラッド・アンダーソン。
あしたのジョー  監督 :曽利文彦  出演 : 山下智久、伊勢谷友介、香里奈
 2011年 日本映画
貧しいドヤ街にひとりの青年が辿り着く。彼の名前は矢吹丈。街の食堂で食事をしていると町のチンピラが流れ込んでくる。彼らの狙いは店の客の丹下団平だった。食事の邪魔をされた丈はチンピラ達を次々と叩きのめしていく。そんな彼に団平は天性のボクシングの才能を見出した。しかし、丈は少年院に送り込まれてしまう。そこで丈は現役のプロボクサーの力石徹と出会う。院内で大暴れをした丈を力石はいとも簡単に叩きのめすが、団平がハガキでレッスンをしたジャブだけは力石にヒットした。少年院の中でボクシング大会が行われる事になり、丈と力石はリングで戦う事になる。そこで丈は団平から叩きこまれたクロスカウンター一発で、力石と引き分けに持ち込んだ。やがて、力石は出所して、丈も無事に出所。丈は団平の元で本格的なボクシングを始める。ノーガードからのクロスカウンターで丈は快進撃を続ける。力石も世界戦を目前としていたが、その前に丈を倒すと宣言する。そして力石の過酷な減量が始まった・・・・
私評:おっさん、俺にまた明日ってやつを教えてくれ・・・矢吹丈は小学生だった私のヒーローでした。毎週、本屋に駆けつけて「あしたのジョー」を読むのが楽しみでした。特に力石徹との戦いは小学生ながら男同士のプライドと友情に萌えておりました。私だけでなく多くの男性が「あしたのジョー」信者でしょう!この名作を無謀にも実写映画化すると聞いて、最初は退いてしまった私ですが、好奇心には勝てず、初日の1回目を観に行きました。正直な感想は「よくここまで作ったな!」と感心しました。原作を越えるなんてことは到底無理ですが、作品の要所を押さえて、しかも良い感じで見せ場も作り、しっかりとした映画になっていました。特にボクシングの試合のシーンはかなりの迫力でした。しかし、原作にはなかった白木葉子の過去っていうのは必要だったのかな~??矢吹丈を演じるのはジャニーズの山Pこと山下智久。しかし、あの矢吹丈を演じるというのはすごいプレッシャーだったと思いますよ・・。めちゃめちゃ頑張っていました。力石を演じるのは「13人の刺客」の伊勢谷友介。フェザー級からバンタム級に体重を落として臨んだ計量シーンの彼の体は必見!!デ・ニーロも真っ青の極限の体を作りました。(CGじゃありません!)丹下団平役は「SP」の香川照之。特殊メイクで団平になりきっています。彼の見た目で退いてしまう人もいるかもしれませんが・・・私はOKでした。白木葉子役は「パレード」の香里奈。まあ、彼女に演技力は期待しませんが、佇まいはみごとにはまっていました。監督は「ピンポン」「ICHI」の曽利文彦。
コリン Love Of The Dead  監督 : マーク・プライス  出演 :アラステア・カートン
Colin  2008年 イギリス映画
ロンドンの町はゾンビで溢れ大混乱になっていた。コリンはなんとか友人のダミアンの家に辿り着いた。しかし、そこに彼の姿はなかった。そこでコリンは自分の右腕から血が滴っているのに気付いた。彼はゾンビに噛まれてしまったのだ。次の瞬間、ゾンビとなったダミアンがコリンに襲いかかる。必死の抵抗の末、コリンは持っていたハンマーでダミアンの頭を打ち砕いた。しかし、コリンの体はすでにゾンビ菌に冒されていて、彼の意識はだんだん遠のいていく。朦朧とした意識の中でコリンは目を覚ます。外に出たコリンは猛烈な空腹感に襲われ、気付くと彼は人肉を貪っていた。街を徘徊するコリンをふたりの男が襲う。卑劣な人間はゾンビを襲い、金品を奪っていたのだ。しかし、それを見ていたのはコリンの姉のリンダ。彼女はコリンを救いに来るが、なんとリンダの手をコリンは噛んでしまう。リンダはコリンを捕らえ、彼の意識を取り戻すため母親に会わせようとするが、コリンが元に戻る事はなかった。やがて、リンダも死を迎えゾンビとして生まれ変わる。コリンはふたたび街を徘徊し始める。そして武装した“ゾンビ狩り”集団に襲われてしまう。それでもコリンは歩き続ける。そしてついに辿り着いたのは彼が恋人と過ごしたアパートだった・・・・
私評:この映画はゾンビが主人公なのでセリフが本当に少ないんです・・・この映画の売りは“製作費がなんと£45(約5,800円)”と言う事。監督、スタッフ、キャストともノーギャラで、持ち寄って作ったため、基本的には製作費はゼロ。かかった費用はビデオテープ代と、みんなで食べたビスケットの費用との事。なんたって、ビデオテープも古いmini-SDで、画面サイズも最近めっきり見なくなった4:3の画面なんです。画面の汚さもまあ、そういう理由だから仕方ないのですが・・・。しかし、低予算のゾンビ映画にありがちな、”だた、血だらけの映画“ではなく、ゾンビ映画にラブストーリーを盛り込んだというのがこの映画の特徴。ちょっと感動してしまいました・・。でも、低予算ゆえにダラダラと撮り続けた映像を延々と観させるのはどうなんですかね。97分の映画なのですが、60分くらいにまとめた方が良いと思うのですが、いかがでしょう。主演のコリンを演じるのはもちろん無名のアラステア・カートン。製作・監督・脚本・撮影・編集を手掛けたのはこの映画がきっかけでハリウッドからもオファーがあったというマーク・プライス。


前回の記事も読んでね~!



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