2008/2/17

今回も邦画が多いです。でも、どれもイチ押しにできる作品。
その中でベストセラー小説の映画化とオヤジ応援映画が
イチ押しになりました!

チーム・バチスタの栄光  監督:中村義洋  出演:竹内結子、阿部寛
 2008年 日本映画
今週のイチ押し:難易度が高く、成功率は60%と言われている心臓のバチスタ手術。しかし、この難しい手術を26回連続で成功させたチームがいた。ところが、彼らの手術が3回連続で失敗。果たしてこの失敗は事故なのか?病院内で内部調査を任されたのは心療内科の田口だった。彼女はチーム・バチスタの7人に聞き込みを行い、『事故』と報告書を提出する。しかし、彼女の報告を一刀両断する男が現れる。彼は厚生労働省の白鳥というなんともいけ好かない男。彼はこれらの術死は『故意』であり、『殺人』だと決め付ける。そんな白鳥と再度聞き込みを行う田口は、彼らの複雑な人間関係を垣間見ることに・・・・
私評:再鼓動がなかったときの恐怖は、そこにいたのもでなければわからない・・・私はこの小説のファンです。原作者は元外科医の海堂尊。それが実写化されると聞きとても楽しみにしていました。映画は主人公の田口を中年男性から女性に置き換えた以外は、ほとんど同じ。つまり、私は最初から犯人を知った上でこの作品を見たのです。ところが、これが実に面白かったです。笑いをたくさん盛り込み、ただのミステリーにするのではなくエンターテイメント作品に仕上がっているのです。チーム・バチスタのメンバーはほぼ、原作どおりだったのですが、田口・白鳥の凸凹コンビがめちゃめちゃ笑わせてくれました。田口役は竹内結子。彼女も懐が深い女優です。白鳥役は絶好調の阿部寛。いやらしい感じがグッド!チーム・バチスタは吉川晃司、池内博之、玉山鉄二、井川遥、田口浩正、田中直樹、そして佐野史郎。監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋です。
結婚しようよ  監督 : 佐々部清  出演:三宅裕司、真野響子、松方弘樹
 2008年 日本映画

今週のイチ押し:香取卓は不動産会社に勤める真面目で平凡なサラリーマン。専業主婦の妻・幸子と詩織、歌織というふたりの娘の4人家族。卓が常にこだわっているのが4人揃っての夕食。これは香取家のルールだった。しかし、年頃の娘たちはそれぞれの道を見つけ始める。偶然、卓が家に連れてきた若者の充に詩織は恋をしてしまう。大学の卒業を控え、就職まで決まっていた詩織はいつしか・・・。そして次女の歌織はバンドに夢中になっている。そして彼女は「マークU」という店のオーディションを受けることに。「マークU」のオーナーの榊は歌織たちの音楽を気に入り採用することにしたが彼は歌織のギターに見覚えがあった。それは父の卓のギターだった。実は榊と卓は大学時代の同級生で若いときにデュオを組んでいたのだ・・・

私評:土産にもらった〜サイコロ二つ♪ 手の中で振れば〜また振り出しに♪・・・またしても昭和を回顧させる映画。映画のタイトルはご存知の方も多いと思いますが、吉田拓郎の大ヒット曲。拓郎は私より、もうちょっと年上の方たちにかなりの信者がいます。(私はちょっと遅れてから彼の歌を聴き始めたのですが、当時は強烈なインパクトを受けました。)この映画はそんな拓郎世代のお父さんのお話です。自分が信じてきたことが、本当に正しかったのか??自分の子供の育て方は本当に正しかったのか??そんな不安は親なら誰もが抱く事かもしれません。この映画の卓も理想と現実のギャップに苛まれるのですが・・。私も昔はギターをジャカジャカかき鳴らして歌っていたのですが、今じゃ一介のサラリーマン。こうやって拓郎や当時のミュージシャンの歌を聞くと懐かしさと同時に、ちょっと寂しさを感じるんですよね。それはあの頃のがむしゃらで夢もたくさん持っていた自分を思い出すからなのです。「夢なんて今さら・・」と思えてしまうからなのです。この映画は最高のハッピーエンドなので、「よし、俺だって!」というパワーが貰えました。そして帰り道に何気なく口ずさんでいたのは、もちろん吉田拓郎の歌でした。卓役は三宅裕司。彼はナイスなキャスティングでした!そして妻の幸子役は真野響子。娘には「ラブコン」の藤澤恵麻と「中ノ森BAND」のAYAKO。その他、金井勇太、岩城滉一、松方弘樹などなど・・。監督は「夕凪の町 桜の国」の佐々部清。
やわらかい手  監督:サム・ガルバルスキ  出演:マリアンヌ・フェイスフル、ジェニー・アガタ
IRINA PALM  2006年 イギリス・フランス・ベルギー・ドイツ・ルクセンブルク映画
マギーはロンドン郊外に住む未亡人。息子のトムとサラはオリーという息子がいたが、オリーは重い病気。マギーは孫のために住み慣れた家も売り払っていた。ところがオリーの病は悪化の一途でこのままでは命が危ない。彼を救うには6週間以内にオーストラリアで手術を受けなければならなかったが、渡航費を含めた多額の費用が必要となった。息子夫婦にはそれだけのお金を工面することができないと判断したマギーは、自分で何とかしようとする。そんな彼女の目の前に飛び込んできたのは歓楽街の「接客係り・高給」の張り紙だった。しかし、そこはセックスショップで、彼女に与えられた仕事は壁の穴から差し込まれる男性の性器を手でイカせる仕事。しかし、彼女の滑々した手は次々と男をイカせ、ついには彼女のブースの前には行列ができるほどの人気を得てしまう。ところが、そこで働いているところを息子に見つかってしまう・・
私評:テニス選手は「テニス肘」、でも、あなたは「ペニス肘」よ・・・この映画見たかったんです。というのも、主演のマリアンヌ・フェイスフルは私にとって特別な女性なんです。最初に彼女を知ったのは、かの有名なミック・ジャガーの恋人だったため。ところが、後年彼女が出したアルバムが素晴らしくて、彼女を歌手として好きになったのです。ところが、そのアルバムを出す前に彼女はドラッグ中毒で路上生活をしていた・・などなど、とにかくエピソードが多い女性。そんな彼女が、この映画のようなテーマの作品に出る!なんだかよく分からない期待が沸き起こりました。ところが、この映画のマリアンヌはとにかく息子と孫に愛情を注ぐ質素なおばちゃん。その辺りはちょっと期待はずれだったのですが、徐々にマギーに変化が・・・??こんなテーマの作品ですが全然イヤらしさはなく、そのシーンはむしろコミカル。そしてラストはなんだかとってもハッピーな気分になりました。共演は「アンダー・グラウンド」のミキ・マノイロヴィッチ、そしてなんだかとっても懐かしかった「狼男アメリカン」のジェニー・アガター。監督は新人のサム・ガルバルスキ。
母べぇ  監督:山田洋次  出演:吉永小百合、浅野忠信、
 2008年 日本映画
昭和15年。野上家は貧しいながらも笑いの絶えない家族。しかし、ある夜、ドイツ文学者である父の滋が治安維持法違反で検挙されてしまう。反戦を唱えたというのが理由だ。残された妻の佳代、娘の初子、照美は悲しみにくれていたが、そこに滋の教え子である山崎がやってくる。彼は面会申請の手続きを事細かに調べあげてきたのだ。彼のなんとも言えない柔らかな雰囲気は3人に笑顔を取り戻した。足蹴に通いつめやっと思いで滋との面接の機会を得た佳代。しかし、滋はやつれ果てていた。滋がいつ戻るか分からないので佳代は教員として働き始める。警察官であった佳代の父親、型破りな神戸の叔父、そしていつも家族に力を貸してくれる滋の妹の久子らに支えられながら、佳代は必死に娘たちを育てていく。そしてついに日本はアメリカを相手に戦争を始めるが・・・・
私評:あの世でなんか父べえに会いたくないって!・・・なんとも悲しいお話です。次から次へと襲い来る不幸にもめげず、必死に娘たちを育てる母親。戦前の貧しい一家の話ですが、これは私たちが語り継いで行かなければならない「昭和」の風景なのかもしれません。山田洋次監督の映画は本当に「リアル」です。それは「男はつらいよ」「学校」「たそがれ清兵衛」などの時代劇でも、しっかり描かれている。しかし、今山田監督がなぜこの作品を選んだのか??それは時代の変わりが急速すぎて、昭和の良さがすごい勢いでなくなっていっているからではないでしょうか?映画館にはお年寄りが多く、みんなあの時代を思い出して泣いていました。主演は相変わらず美しい吉永小百合。彼女の水泳シーンは必見!山崎役は実はちゃんと演技ができると証明した浅野忠信。娘役は志田未来、佐藤未来の「未来」コンビ。(おねえちゃんはミライ、妹はミク)そして叔母の久子役は「武士の一分」の壇れい。監督は名匠山田洋次。泣きたい人には超おススメです。


前回の記事も読んでね〜!



I Love Movieに戻る