2006/2/7

父の看病ですっかり映画館離れをしてましたが、
合間を見てなんとか2週間8本。親不孝者〜!!
「ミュンヘン」と「タブロイド」は次回に回します。

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々  監督:マルク・ローテムント  出演:ユリア・イェンチ、アレクサンダー・ヘルト
Shopie Scholl Die Letzten Tage  2005年 ドイツ映画
今週のイチ押し:1943年。ヒトラーの政権も末期を迎えたミュンヘンでヒトラーの独裁政治を批判する地下組織があった。彼らは「白バラ」と呼ばれ、ビラを配ったりスローガンを壁に書いたりと非暴力のレジスタンス活動を繰り広げていた。兄のハンスとともに活動に参加していた若き女性ゾフィーは今日も印刷所へと足を運んだ。そしてハンスによるミュンヘン大学の構内にビラを置くという大胆不敵な作戦に同意した。翌日、ふたりは手際よくビラを配り始めた。最後の余ったビラをゾフィーは階上からばら撒き、教室から溢れ出した生徒にまぎれて逃げ出そうとした・・その時、用務員の通報により彼らはゲシュタポに逮捕されてしまう。尋問官のモーアとの駆け引きが続くが、ある証拠が彼女の家で見つかってしまう。罪から逃れられないと知ったゾフィーは一転反撃に出る。それは彼女が信念と誇りを持って活動に参加したという叫びだった・・
私評:最善のことをしたと信じているわ・・・みなさんはゾフィー・ショルという女性をご存知だろうか?私は以前にたまたまヒトラーの書物を読んだ時、彼女の存在を知りました。21歳の若さでこの世を去った美しきレジスタンス。しかし、今回の映画はドイツが自らの歴史の恥部にメスを入れた問題作。映画が始まり5分後には緊張が始まり、一気に最後まで見せる映画作品としての面白さはもちろん、壮絶なまでに自らの正義を貫き通したゾフィーとハンス、そしてクリストフの3人の散りざまに震えてしまいました。映画の最後は画面が真っ暗になってしまうのですが、そのシーンが一番恐ろしかったです。この映画の一番の見所はゾフィーを演じるユリア・イェンチェの演技でしょう。(彼女はこの映画とちょっと関連する「ヒトラー最期の12日間」にも出演しています。)彼女のまっすぐな眼差しと、一度だけ見せる弱さを完璧なまでに演じています。そしてもうひとり印象的だったのが威圧的な裁判長を演じたアンドレ・ヘニング。本当に憎いです。殺してやりたいくらい・・。(笑)ゾフィーが何度か見上げた青空。私も映画館を出て、すぐに空を見上げた。そして彼女が残した最後の言葉を噛み締めた「太陽は輝き続ける・・」
ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女  監督:アンドリュー・アダムソン  出演:ジョージー・ヘンリー、ティルダ・スィントン
The Chronicles of Narnia: The Lion, The Witch and the Wardrobe  2005年 アメリカ映画
今週のイチ押し:第2時世界大戦下のロンドンは敵国の戦闘機の空襲が耐えなかった。ぺベンシー家の4兄弟姉妹、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーは戦渦を離れ田舎に住むカーク教授宅へと疎開した。ある日、末っ子のルーシーは扉の開いていた部屋の大きな洋服ダンスを見つけた。何かの導かれるようにタンスの奥へと入っていったルーシーはいつしか雪の森に足を踏み込んでいた。そこで彼女はタムナスという名の下半身が羊の半獣人と出会う。気の良いタムナスはルーシーを持て成し、この国が「ナルニア国」であること、そして白い魔女の手によってこの国がずっと冬であることを伝える。現世に戻ったルーシーは兄姉にナルニアのことを話すが相手にしてもらえない。しかし、彼らも導かれるかのようにナルニア国へと到達する。そしてビーバーから彼らがナルニア国の救世主であること、そして戦いのためにアスランが動き始めたことを知らされる・・
私評:覚悟はできています・・・まさにファンタジー映画です。しかも、ディズニーが作っているのでエグイシーンはまったくなし。血もほとんど出てきません。それが逆に物足りないと言えば物足りないのですが・・。しかし、途方もない壮大な物語が見事に映像になっているのを見て、私は鳥肌が立ってしまった。迫力満点の映像はもちろんですが、じつに細かいところまで綿密に作り上げられています。特にナルニア国の動物たちがめちゃめちゃリアル。これは何度観ても楽しめる作品だと思いますよ。そして「ナルニア国物語」自体は7部作なのですが、今回の話はこれで一応完結しています。従って「LOTR」や「ハリー・ポッター」のように次の作品をイライラと待つ必要はありません。(笑)主演の4人の兄弟姉妹はそれぞれ魅力的で、とてもナイスなキャスティング。白い魔女のティルダ・スゥイントンは「コンスタンティン」での大天使ガブリエル役が印象的でしたね〜。監督は「シュレック」のアンドリュー・アダムソン。
オリバー・ツイスト  監督:ロマン・ポランスキー  出演:ベン・キングスレイ、バーニー・クラーク
Oliver Twist  2005年 アメリカ映画
孤児のオリバーは自分が生まれた救貧院に戻された。そこには空腹を抱えた子供たちが溢れている。ある日、お粥のお替りを要求するくじに負けたオリバーは貧窮院の委員たちを怒らせて、追放処分になってしまう。そんな彼を引き取ったのは葬儀屋のサワベリー。主人のお目には適ったものの、先輩の少年の嫌がらせに遭い、オリバーはついに彼に殴りかかってしまう。そしてオリバーはひとりサワベリーの家を抜け出し、ロンドンを目指して歩き始める。ロンドンに辿り着いたオリバーは疲れ果てていた。そんな彼に声をかけてきたのはドジャーという名の少年。彼はロンドンの裏通りにある家へと彼を連れて行く。そこの家の主のフェイギンはオリバーを優しく迎え入れるが、そこは泥棒の巣窟だった・・・・
私評:あなたの優しさは決して忘れません・・・・私が少年だった頃「オリバー」という映画を観てひどく感動した。実は「オリバー・ツイスト」はこの作品のリメイク。当時イギリスでは超人気者だった「小さな恋のメロディ」のマーク・レスターとジャック・ワイルドが主演で、悪役で私の大好きなオリバー・リードも出演していた。そして約30年の時を経て新しい「オリバー・ツイスト」を観たのですが、すごく面白かった。どんなに辛くても感謝の心を忘れないオリバーが出会う様々な人々。そして彼らと紡ぎだす小さな幸せを大事にする少年の物語は私の心を癒し、そしてつい忘れがちな「感謝の気持ちを大事にすること」をしっかり心に刻み込んでくれた。物語の後半でフェイギンと再会するシーンは涙が溢れて止まりませんでした。物語の素晴らしさももちろんですが、壮大なセットやふんだんに使われたエキストラなど、古き良き大作映画のテイストもしっかり味わえます。なぜ、今「オリバー・ツイスト」なのかは映画を観れば一目瞭然。こんな時代だからこそ「オリバー・ツイスト」なんです!?監督は「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー。前作とはガラリと雰囲気の違う映画ですがこれまた、素晴らしい作品です。フェイギン役はオスカー俳優ベン・キングスレイ。そしてオリバーを演じるのは本当に素晴らしい演技を見せるバーニー・クラーク少年。面白かったです〜!!
単騎、千里を走る。  監督:チャン・イーモウ  出演:高倉健、寺島しのぶ
Riding Alone for Thousands of Miles  2005年 中国、日本映画

小さな漁村でひとり静かに暮らしている高田剛一の元に、息子の嫁の理恵から電話が入る。息子の健一が病院に入院したというのだ。息子とは10年以上前に気まづい喧嘩をして以来会っていなかった。剛一は息子の病院に駆けつけたが息子は彼と会うことを拒んだ。打ちひしがれた剛一に理恵は一本のビデオを渡した。それは健一が中国に渡り伝統的な演劇を撮影したものだった。しかし、俳優のリーは体調の悪さから彼の十八番の「単騎、千里を走る。」を披露できず、次回健一が来た時にきっと見せると約束した。そんな折、理恵から健一がガンであることを知らされる。居ても立ってもいられない剛一は、単身中国へと旅立ち、健一の約束を自分が果たそうとリーに会うことにした。しかし、リーはある事件で捕まり今は刑務所に居るという。無理だという現地のガイドを必死に口説き落とし、彼は一歩ずつ歩みを進めていくが・・・・

私評:まさにあなたが「単騎、千里を走る」じゃないか・・・高倉健というのは本当に不思議な役者です。決して演技が上手いとは思えない。しかし、不器用な男を演じさせると最高に輝きを放つのです。そんな彼も昔はスーパーヒーローでしたが、最近は普通のおじさんを見事に演じています。そんな無骨な男が流す涙の威力は原爆並みで、私はいつも健さんにもらい泣き。今回も健さんが泣くたびに私もボロボロ泣いてしまいました。物語自体はかなり強引だし、あまり捻りもないのですがこの映画はこれで良いのです。とにかく健さんの、健さんによる、健さんのための映画なのです。そしてそんな健さんを盛り立てるのが素朴で心優しい中国の人々。まさに、カサカサに渇いてしまった心にじんわりと水分を与えてくれるような映画でした。監督は「HERO」「初恋のきた道」のチャン・イーモウ。日本の部分の監督は「鉄道員」の降旗康夫が担当しています。そして嫁の理恵役は「赤目四十八瀧心中未遂」の寺島しのぶ。健一の声だけで出演するのは中井貴一。
レジェンド・オブ・ゾロ  監督 : マーティン・キャンベル  出演:アントニオ・バンデラス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
Legend of Zorro  2005年 アメリカ映画

カリフォルニアがアメリカの31番目の州になろうとしている1850年。あとは住民の投票箱が届けられれば万事うまく行くはずだった。ところが悪名高いジェイコブが邪魔をする。そんな時に颯爽と現れたのは正義のヒーロー、ゾロ!投票箱を奪い返して知事へと返還した。マスクを取ったゾロ=アレハンドロは愛する妻エレナの元へとまっしぐら。人々のために戦い続けてきた彼だったが愛する妻と息子のために、正義の味方を引退する約束をしていた。しかし、カリフォルニアが州として認められるまでの3ヶ月間は引き続きゾロでいたいというアレハンドロの言葉にエレナは激怒。彼は邸から追い出されてしまう。翌日、エレナは街で怪しげな男たちに襲われる。彼らはエレナにある取引を持ちかける。そんなある日、フランスからやってきたアルマン伯爵の邸のパーティに出向いたアレハンドロは、アルマンの隣で美しく着飾ったエレナを見て愕然とする・・・・

私評:もう一度、マスクをつける勇気を・・・前作からもう7年も経つのですね。当時はまだ駆け出しだったアントニオ・バンデラス、そしてほとんど無名だったキャサリン・ゼタ・ジョーンズはこの作品でブレイクして、今ではすっかり有名人。しかし、そんなふたりが同じ役柄でスクリーンに戻ってきたのは嬉しいですね。そして前作に負けるとも劣らないアクションシーン&小気味の良い笑いに私はかなり満足しました。敢えて苦言を言うなら途中でけっこう長い中弛みがあったのが残念。でも、そんな不満も後半の畳み込むようなアクションシーンが吹っ飛ばしてくれました。そのアクションもCGを最小限に抑えた生身のアクションだから面白いのです。昔の活劇映画を観ているようでした。そして今回からゾロ・ファミリーに入ったのが息子のホアキン。彼を演じるのが若干11歳のアドリアン・アロソン。彼が実に良いです!そして今回の宿敵アルマンを演じるのは「ブレス・ザ・チャイルド」のルーファス・シーウェル。イヤラシ〜イ悪役は彼の得意。監督は前作に引き続きマーティン・キャンベル。彼の次回作「007 カジノ・ロワイヤル」も楽しみですね。

最終兵器彼女  監督:須賀大観  出演:前田亜紀、窪塚俊介、貫地谷しほり
The Last Love Song on This Little Planet  2005年 日本映画
シュウジとちせは付き合い始めたばかりのぎこちないカップル。付き合ってはいるがお互い何をすれば良いのかも分からず、交換日記をしている。そんなある日、シュウジは親友のアツシと彼のGFの明美の3人で札幌へと遊びに出かけた。本当は一緒に来るはずだったちせとは、前の日にちょっと気まずい事件があったのだ。その時、突如無数の戦闘機が空を覆い爆撃が始まった。逃げ惑う人々。その時不思議は飛行物体が戦闘機を次々と落とし始める。なんとそれは不思議な翼をつけたちせだった。彼女は自衛隊が日本を救うために開発した「最終兵器」だった。そんな彼女を見た後もシュウジのちせへの気持ちは高まる一方だった。しかし、敵はついにちせを標的にして彼らが住む小樽の攻撃を開始する・・・・
私評:シュウちゃんに会えて本当に良かった・・・日本の特撮技術はどんどん良くなっていきますね〜。この映画の特撮シーンも(お金が掛かっていない割には)かなり良くできていました。しかし、チープさも出てしまうのが日本映画。この作品は大人気のアニメがオリジナルで、ストーリーの良さは折り紙つきなのですが、映画は薄っぺらな感じがしてしまった。そんな中で注目すべきは前田亜紀ちゃんの演技です。あまり笑わない役なのですが、そんな女の子だからこそ、たまに見せる笑顔が素晴らしいのです。そして演技の上手さはもはや言うまでもない。この映画は彼女の独壇場です。そして彼女の友人役は「スウィングガールズ」の演技が印象的だった貫地谷しほりが登場。彼女は今後も要注目です!それに引き換え酷いのがシュウジを演じる窪塚俊介と自衛隊員の渋川清彦。セリフ回しが下手すぎ。せっかくの亜紀ちゃんの素晴らしい演技をぶち壊して行きます。(笑)監督は「ブリスター」の須賀大観。「デビルマン」よりは全然良いですよ!(褒めてない??)


前回の記事も読んでね〜!



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