2016/2/7 

やっぱり溜まってしまうレビュー。今回も3週間分です。

キャロル  監督: トッド・ヘインズ  出演 : ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ
Carol  2015年 アメリカ映画
今回のイチ押し:1950年代、ニューヨーク。デパートの玩具売り場で仕事をするテレーズは、娘のためにプレゼントを買いに来たブロンドの美しい人妻キャロルに目を留める。キャロルはテレーズのおすすめのおもちゃを購入するがその場に手袋を忘れてしまう。テレーズはそれを自宅に送付するとキャロルからお礼とランチの誘いの電話が入る。テレーズに断る術などなかった。キャロルは夫のハージとの離婚問題で揉めていて、娘のリンジーの養育権を巡って醜い争いをしている。後日、キャロルがテレーズを自宅に招き入れると、その場にハージがやってくる。実はキャロルは以前にも親友のアビーと逢引きをした事があり、ハージはふたりの関係を疑っていたのだ。その場から逃げるかのように車で西へ向かうキャロルとテレーズ。いつしかふたりは体の関係を結んでしまう・・・
私評: 心に従って生きなければ、人生は無意味よ・・・原作は「太陽がいっぱい」のパトリシア・ハイスミス。まだ、女性同士の恋愛なんてご法度だった時代に「恋」を貫くふたりの女性の話です。ストーリーをざっくり聞くとあくびが出そうな内容なのですが、美しい映像、そして何より魅力的なふたりのヒロインに翻弄されました。禁断の恋の味は甘いんですよね~。それに抗えない気持ちがビシビシと伝わってきました。キャロル役は「ロード・オブ・ザ・リング」「ブルー・ジャスミン」のケイト・ブランシェット。映画の前に生の彼女の舞台挨拶を見た事でさらにテンションが上がりました。さすがはオスカー女優です。テレーズ役は「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラ。彼女が本当に美しいです。その他、カイル・チャンドラー、サラ・ポールソンなどなど。監督は「エデンより彼方に」「アイム・ノット・ゼア」のトッド・ヘインズ。
パディントン  監督 : ポール・キング  出演 :サリー・ホーキンス、ニコール・キッドマン
Padinton  2014年 イギリス映画
今回のイチ押し:一昔前・・、イギリスの冒険家のクライドはペルーのジャングルで熊の夫婦と出会う。世話になったクライドは彼らにロンドンに来るよう勧めた・・・それから数十年、熊の夫婦と甥っ子はジャングルの中で楽しい毎日を過ごしていたが、突然の地震で叔父は死亡。甥っ子は叔母の勧めでロンドンへと向かった。駅で途方に暮れていた子熊に声を掛けてきたのはブラウン一家のお母さん。そこで彼は「パディントン」と名付けられた。ミスター・ブラウンと娘のジュディとは最初はうまく行かなかったが、パディントンの誠実さが彼らの心も溶かした。しかし、パディントンを狙う謎の影があった。それは博物館で剥製を作る事に執念を燃やしているミリセント。彼女はブラウン一家の近所のカリーさんを丸め込んでパディントン捕獲に向かう。しかし、彼女がパディントンを追うのにはある秘密があった・・
私評:ロンドンの人は優しいから必ず家を探してくれる・・・ニコール・キッドマンが観たいというだけの理由で観に行ったら、これがまた面白い作品でした。この作品の原作者はマイケル・ボンド。イギリスのみならず世界中で大ベストセラーとなっています。(実は私は知りませんでした。)しかし、言葉を話す熊がいきなりロンドンで人間に馴染む・・・、こんなにありか??と思っていたのですが、私は何の違和感もなく映画の世界に。そしてパディントンの周りで起こる事件がこれまた面白い!子供映画とバカにすることなかれ!私はかなり楽しみました。Mr.ブラウン役は「アイリス」のヒュー・ボネヴィル、Mrs.ブラウン役は「Godzilla」のサリー・ホーキンス、家政婦のバードさん役は「マンマ・ミーア」のジュリー・ウォルターズ、そして悪役のミリセント役は「ムーラン・ルージュ」のニコール・キッドマン。良い味出してます!!監督はポール・キング。
シーズンズ  監督 : ジャック・ぺラン、ジャック・クルーゾ  出演 : ジャコウウシ、タイリクオオカミ、パイソン
Seasons  2016年 フランス映画
2万年前。地球は氷河期を迎えていた。そんな極寒の環境でも生きる術を見出した動物がいた。そして氷河期が終わると地球上には太陽の暖かな日差しが注いだ。そして地球上には多くの「森」ができた。そこは動物たちの天国。動植物たちは互いにバランスを保ち共存していた。それぞれの動物が子孫を残すため、そして子供たちを育てるため壮絶な戦いが繰り広げられる。しかし、そんな環境を破壊したのは人間。人間は木を伐採し田畑を作った。野生の動物の中でも人間の家畜として、ペットとして、そして家族として姿を変える物たちも現れる。しかし、そんな中でも動物たちは環境に順応し新たな道を見出していく。ある物は森から田畑へ、そしてある物は山へと生存の場を変えていく・・
私評:今からでも間違いは正せるのです・・・こういうドキュメンタリーって映画館の大画面で観てなんぼという気がします。今回はさらに高画質にこだわっていて、その美しさたるや筆舌に尽くしがたい。そして今回の作品は動物の生態を探るだけではなく自然保護問題、人間との共存など、まるで学校の授業のよう。このシリーズで人間が役者として登場したのは初めてじゃないかな??そんな中で狼の狩りのシーンは大好き。そして2万年の地球環境の移り変わりをCGと実写を交えてリアルに描き出します。日本での公開版のナレーションは女優の木村文乃と笑福亭鶴瓶。このふたり、なかなかグッドでした!監督は役者としては「ニュー・シネマ・パラダイス」の大人のトト役が印象的だったジャック・ペラン、もうひとりは「オーシャンズ」のジャック・クルーゾ。
殺されたミンジュ  監督 : キム・ギドク  出演 : マ・ドンソク、キム・ヨンミン
 2014年 韓映画
ソウル市内を必死に逃げ回る女子高生。彼女は黒ずくめの男たちに拉致され、無残に殺された。しかし、彼女の死は大きく取りざたされることもなかった。1年後、その事件の実行犯の一人が拉致された。訳が分からない男はただわめき散らすが、「昨年の59日を覚えているか?」という質問に我を取り戻す。そして自白した内容を紙に書かせた。1年前の事件の関係者は次々と拉致され、逆らう者には拷問をして自白させる。しかし、拉致犯のメンバーたちはリーダーの男の過激すぎる行動に徐々に嫌悪感を抱き始める。メンバーは誰もが韓国社会に不信を抱く者たちばかりで、自分たちの行動は『正義』と信じ行動をしていた。そのバランスが崩れたとき・・
私評:北朝鮮よりはマシだ・・・この監督の作品は独特の色がある。今回は復讐劇。リーダーの娘が殺され、彼に雇われたのは社会の落ちこぼれたち。その怒りに任せて、そして彼らの天誅が正義と信じていたのですが・・・。復讐は何も生まない??いや、復讐の連鎖を産むのです。そして映画は思わぬ展開になっていきます。映画は次々と実行犯を捕えては拷問から自白に追い込むというシーンが続きます。拷問シーンとかはもっと残酷かと思ったらけっこうおとなしめ。この監督らしからぬ映像でした?ところがうまく行っていたと思われた『天誅』が思わぬところから綻んでいきます。私的にはかなりドラマチックな作品でした。チームリーダー役は「FLU 運命の36時間」「悪い奴ら」のマ・ドンソク。その他、キム・ヨンミン、イ・イギョンなどなど。監督は「嘆きのピエタ」「絶対の愛」「弓」など問題作を次々と送り出すキム・ギドク。
白鯨との闘い  監督 :ロン・ハワード  出演 : クリス・ヘムズワース、ベンジャミン・ウォーカー
In The Heart Of The Sea  2015年 アメリカ映画
若き作家、ハーマン・メルヴィルは全財産を持参して一人の男の元を訪ねた。彼は鯨捕鯨船エセックス号の元乗組員で、唯一の生存者トム・二カーソン。最初は固く口を閉ざしていたトムは妻の勧めもあり、あの航海の事を語り始める・・・。それはトムにとって初の航海だった。船長は地元の貴族のポラード、そして一等航海士は叩き上げのチェイス。外洋に出る前に一頭の鯨を捕え、幸先の良いスタートを切った一行だったが、それ以降はまったく鯨を見ることがなかった。ある港に立ち寄ったポラードとチェイスは赤道付近で鯨の大群を見たという情報を得る。しかし、そこには見た事もない怪物がいたという。怪物によって彼らの船は破壊され船長は片腕を失っていた。しかし、エセックス号は赤道に向けて航行を開始。そこで彼らはとんでもない怪物と出会う・・
私評:私はその行為を一生恥じて生きてきたのだ・・・世界的な名作「白鯨 モービー・ディック」が書かれるまでのお話です。実は「白鯨」は実際に起きた事件がベースになっていた。船乗りと鯨の戦いのシーンは本当にすごい迫力。CGとライブアクションが見事に融合しています。ところがこんな迫力のシーンは映画の半分までで、そこから先は単調なサバイバルが延々と続いていきます。ドラマチックと言えばそれまでですが・・・。予告編のイメージとはだいぶ違いましたね。チェイス役は「RUSH プライドと友情」「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワース、ポラード役は「リンカーン/秘密の書」のベンジャミン・ウォーカー、メルヴィル役は「007 スペクター」のベン・ウィショー。その他、キリアン・マーフィー、ブレンダン・グレイソンなどなど。監督は「アポロ13」「ビューティフル・マインド」のロン・ハワード。


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