2005/2/6

続々と新作が公開され、追いつけませ〜ん。
ウイーク・デーも映画館に通わなくちゃ・・・
今回のイチ押しは韓国の過激なハードボイルド作品です。

復讐者に憐れみを  監督:パク・チャヌク  出演:ソン・ガンホ、シン・ハギュン、ペ・ドゥナ
Sympathy For Mr.Vengeance  2002年 韓国映画
今週のイチ押し:聾唖のリュは病弱な姉と二人暮し。彼女は腎臓を患い移植をしなければならなかった。リュは迷うことなく自分の腎臓を提供したが、血液型が違い、手術ができなかった。しかも、彼は仕事を解雇され退職金の1千万ウォンが手元に残った。その金を元に臓器の闇取引組織に会いに行ったリュは金を奪われ、片方の腎臓までとられてしまう。その事をGFのヨンミに話すと彼女は解雇した社長の娘を誘拐し、身代金を取ることを提案する。誘拐は見事に成功。しかし、その誘拐が自分のためだと知ったリュの姉は、リュに戒めの手紙を残し自決してしまう。身代金は手に入れたものの姉を失ったリュは姉を故郷に埋めに行くが、その時、事故から誘拐した娘が死んでしまう。娘を亡くした社長ドンジンは娘の復讐を誓うのだった・・・・
私評:お前は優しいヤツだろ。だからオレの気持ちが分かるだろう・・・「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督が"復讐3部作"の第一弾として撮ったのがこの作品。「オールド・ボーイ」は2作目になります。「オールド・・」でもそうでしたが、徹底したリアリティを強烈なハードボイルド・タッチで描いている。誰もが不快に思うであろう描写を、これでもかというほどに描ききっている。映像だけではなく、「音」でまで不快を与えてくる。しかし、その不快は「怒りの表れ」なのです。この映画のタイトルが示すとおり「復讐者」に「復讐をする理由」がある。しかし、その復讐は「新たな復讐」を生む。映画の前半はどうのダラダラしていて、ドミノの最初の駒を弄んでいるような展開。しかし、最初の駒が倒れると最後まで一気に畳み込んで行きます。かなり、強烈な映画でした。娘を殺された社長役は「殺人の追憶」のソン・ガンホ。今回はいつものユーモアはまったく表に出さない。リュ役は「JSA」での演技が光ったシン・ハギュン。そしてヨンミ役は「ほえる犬は噛まない」のペ・ドゥナ。今回はかなりアブナイ女役ですが、演じきっています。ソン・ガンホに拷問されるシーンは強烈でした・・(顔は見せないのですが・・)。倒れ始めた悲劇のドミノ倒しの最後には何が待ち受けているのか?何とも遣る瀬無い気持ちでいっぱいになりました。エンド・クレジットで流れる音楽と一緒に聞こえるソン・ガンホの声。この演出も私的にはかなり強烈でした・・・。
あずみ2 Death or Love  監督 :金子修介  出演:上戸彩、高島礼子、栗山千明、平幹二郎
Azumi 2  2004年 日本映画
戦国時代。戦をなくすためと信じて徳川の刺客となっている少女あずみ。数々の戦いで仲間を失い、今は"ながら"とふたりになってしまった。そんな彼らを敵方である豊臣の刺客が襲う。そんな彼女の次なるターゲットは真田昌幸。確実に彼の懐に近づいていた。そんなある日、彼女は野党の一行と出会う。彼らは追っ手に襲われていたあずみたちを助けてくれたのだ。その中の一人、銀閣はかつてのあずみの仲間で淡い恋心を抱いていた"なち"と瓜二つだった。戦いでカラカラに乾いていたあずみの心に、人の血が通い始める。そして彼女の心は「自分の使命」と「人並みの幸せ」の間で動き始める。しかし、残酷な運命は彼女を再び戦いの中に引きずり込んでいく。そして新たな刺客が次々と彼女を襲う・・・・・
私評:「オレは平和のために人を斬ってきた」「あなた、その家族のことを考えた事があるの?」・・・少女にして刺客のあずみに続編が登場。前作の北村龍平監督はアクションを前面に出し、あずみはまるでスーパーマンのように描かれていたが、今回は金子修介監督に替わり、人間味溢れるあずみになっている。戦闘マシーンとして育てられた彼女が、恋に揺れ、そして人間の本来求める幸せについて思い悩むくだりは金子修介らしさが出ていて良かったです。なんたって「ガメラ」をあれだけのドラマにしてしまう人ですからね!あずみは前作に続き上戸彩が演じます。今回はアクションだけではなく、ドラマ部分でかなりの演技力も要求されていますが、見事にこなしています。もちろん、前作に負けないくらいのアクションもふんだんに盛り込まれています。しかも、かなり色っぽいシーンも・・・。この映画の中では彼女の存在が本当に大きいので、あとの人物は全部脇役なのです。前作から引き続き"ながら"を演じる石垣佑磨、井上勘兵衛役は北村一輝。銀閣役の小栗旬、金閣役は遠藤憲一は前作とは違う人物で再登場。そして新たな布陣として真田昌幸には平幹二郎、彼の愛人にして懐刀の女が高島礼子、甲賀の女忍者に栗山千明。今回は女同士の戦いも見所です。果たしてあずみが最後に選ぶのは「Death」or 「Love」?? 
きみに読む物語  監督 : ニック・カサヴェテス  出演:ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス
The Notebook  2004年 アメリカ映画
養護施設の窓から夕日を眺めながら佇む、ひとりの老女がいた。彼女は老人性痴呆症にかかっていて、だんだんと人格も壊れ始めていた。そんな彼女の元に通い本を読む男がいた。彼が語るのは1940年代のアメリカの小さな町で起こった、ひと夏の恋物語。町の木工所で働くノアはその夜、美しいアリーを見つける。裕福な家庭で育ち、夏の間だけこの小さな町にやってきた彼女に、ノアは果敢にアタックをした。そしてふたりは恋に落ちた。湖の近くにある、壊れかけた大きな屋敷をいつか買い取る夢を語るノア。しかし、アリーの両親はその恋を認めず、アリーは彼女の家のあるチャールストンに帰されてしまう。最後の最後に喧嘩をしてしまったため、ノアは必死に手紙を書くがその手紙はアリーの母親が横取りし、アリーの手には届くことはなかった。そして何年かが過ぎた。ノアは戦争に出向き、そして除隊後は待望の湖の家を手に入れた。一方、アリーは新しい恋をしていた。南部の富豪のロンと婚約を交わし、結婚式を間近に控えたある日、アリーは新聞でノアの記事を発見する。いてもたってもいられなくなったアリーは久しぶりにノアを訪ねる・・・・
私評:私、この物語を知っているわ・・・アルツハイマーになってしまった妻のために、自分たちの物語を読んで聞かせる夫。そしてその時は彼女の顔が輝きを増し、そして小さな奇蹟が起こるのです。物語の冒頭で主人公が「私は普通の男だけれど、ひとつだけ誇れるのはひとりの女性を思い切り愛したことだ」というのですが、本当にすごい恋愛です。そして物語の最後に、この本の「ある謎」が語られ涙・・・。そしてラストは、まさに男女の愛の究極の最後(と私は思っている)シーンで締めくくられます。私はこういう展開に弱いので、またしても涙・涙・・・。若いときのふたりの恋愛は意外と月並みな物語かもしれない。でも、その愛が激しければ激しいほど、晩年になったふたりにも思い入れることができるのでしょうね。こんな風に一途に誰かを愛し続けることは、本当に美しいと思わせてくれる映画でした。若かりしノアとアリーを演じるのはほとんど無名のライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムス。フレッシュなふたりの演技は爽やかで気持ちよかったです。そしてふたりの老後はジェームズ・ガーナーとジーナ・ローランズ。若かりし日の写真で「大脱走」時代のガーナーの絵を使っていてちょっと笑えた・・。そしてノアの父親役でサム・シェパードが実に味わいのある演技を見せてくれます。そしてアリーの母親役でジョアン・アレン、ロン役で「Xメン」のジェームズ・マーズデンが登場。監督はジーナ・ローランズの息子、ニック・カサヴェテスです。映画の後のケミストリーの映像は不要ですね・・・
東京タワー  監督:源孝志  出演:黒木瞳、岡田准一、寺島しのぶ、
Tokyo Tower  2004年 日本映画
透と詩史:詩史はCMプランナーの夫を持つ41歳の主婦。彼女自身も青山の一等地でセレクトショップを経営している。そんなある日、詩史の友人が自分の息子を店に連れてきた。その瞬間二人は恋に落ちてしまう。ふたりは密かに密会を続ける。透はいつも詩史からの電話を待っていた。お互いの本当の気持ちを伝えることができないまま、詩史はついに透を別荘に誘った。ふたりだけの至福の時に浸っていたが・・・・。
耕二と喜美子:ふたりの出会いは耕二が警備のアルバイトをしている駐車場。家族の不満を山のように抱える喜美子と耕二はいつしか短い時間のデートを重ねるようになった。しかし、耕二には由利というGFがいたのだ。また、高校時代の同級生と同窓会で出会い、彼女に付きまとわれていた。そんな中で耕二の喜美子への想いも少しずつ醒めていく。そして耕二への思いを募らせすぎた喜美子が出た行動とは・・・・・・・・
私評:恋はするものじゃなくて、落ちるものなんだ・・・・江國香織原作の新しいメロドラマが映画になった。(敢えてメロドラマという言葉を使っています)こういうドラマと言えば、オジサンと若い娘の「不倫」が定番だったけど、時代は変わっています。今や、40過ぎの「美しい熟女」が若い男を落としてしまう。映画を観るまで「ありえない」と思っていたのですが、黒木瞳、寺島しのぶのふたりなら「ありえる」と納得してしまった。特に黒木瞳は本当に美しいですよね〜。彼女が45歳だなんて信じられません。そんな彼女と恋に落ちるのがV6の岡田准一。彼はとってもいい雰囲気を持った青年ですね。「木更津キャッツアイ」でしか、彼の演技は観ていなかったのですが今回の映画を観ていて「水も滴るイイ男」だと認識しました。黒木瞳とふたりで画面に納まるとまさに美男美女のステキなツーショットになるのです。一方、松本潤と寺島しのぶの方は、もうちょっと泥臭いのですが、逆にリアルなんですね。彼らの展開を観ていて「あるある、こういうの・・」って納得するシーンが幾つかありました。こういう日本の「メロドラマ」って見ていて恥ずかしくなる事が多いのですが、この映画はとても良くできていた。それは洗練されたセリフや、美しい映像、そしてこの映画にピッタリの男と女が見事に融合して作り上げた極上の「メロドラマ」だからなのです。それらを包み込むように流れるノラ・ジョーンズの歌も素晴らしいです。あ〜、私もあんな風に窓から東京タワーが見える部屋に住みたいです・・・
スパイ・バウンド  監督:フレデリック・シェンデルフェール  出演:ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ
Spy Bound  2004年 フランス映画
フランスの情報機関DGSEは衛星監視システムが捕らえたひとりの男を追い詰め殺した。彼の体内からはチップが検出される。DGSEのジョルジュは仲間と新しい任務に就いた。それはアフリカの内戦地に武器を密輸している最大手の武器商人の取引を中止させる事だった。彼は船で武器を運搬していたため、その船を沈めるのが今回のミッションだった。一方、武器商人の家にベビーシッターとして潜入していた女スパイのリザは、船のカサブランカへの入港予定日を探り出した。ついに作戦を実行に移す直前、スイスのアメリカ領事館員と名乗る男が「船には手を出すな」と警告してきた。一体、情報はどこから漏れたのか? しかし、作戦は実行され成功を納めた。リザはこのミッションが終わり次第、スパイを辞める事を決意していた。「普通の生活に戻りたい。」それが彼女の願いだった。ところがスイスの空港でリザの所持品からヘロインが見つかり、彼女は投獄されてしまう。それは彼女に与えられた新たなミッションのための伏線だった・・・・
私評:早く子供が欲しいの・・・けっこう地味に公開されているこの映画ですが、これといった派手さはないものの、要所のツボをしっかり押さえた手堅い作りの映画になっています。アクションシーンもどことなくお上品で、いかにもフランス映画という感じがします。しかし、この映画は実在のモデルがいて、大半は彼女の手記から作られていると言う。こんなドラマチックな展開が実際に起きているなんて・・・。恐ろしい世の中です。ただ、色々な要素を詰め込みすぎた感があり、途中で登場人物の繋がりが分からなくなってしまった。映画を見る前にチラシやパンフレットの系図を見ておくと良いかも知れません!?主演はヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチ夫妻。さすがに息もピッタリです。モニカはいつもだとセクシーな役どころが多いのですが、今回はそういう部分をすっぱり切り落として女の悲しみのようなものを見事に体現していました。ヴァンサンはクレジットでは一番最初に名前が出るのですが、やっぱりモニカの脇役・・。監督は全然名前も知らなかったフレデリック・シェンデルフェール。劇場作品2作目だそうです。
着信アリ2  監督:塚本連平  出演:ミムラ、吉沢悠、瀬戸朝香
 2004年 日本映画
保育士の杏子はカメラマンを目指す尚人と付き合っている。友人のまどかの強引な誘いもあり、杏子は尚人が働く中華料理店にやってきた。その時店主の娘メイフォンの携帯が鳴った。その電話をとった店主はまもなく悲惨な最期を遂げた。しかも、同じ着メロの電話がまどかの元にも入った。ルポライターの孝子はこの事件が1年前の「死の予告電話」と関わりがあるのではないかと嗅ぎまわっていた。そして尚人にインタビューをして、死の着メロを聞かせた。それは事件の夜、まどかの電話に掛かってきたものと同じだった。ちょうどその頃、杏子はまどかと携帯のテレビ電話で話をしていた。その時、まどかの背後に怪しい影を杏子は見つけ、まどかの家に向かうがときすでに遅く、まどかは悲惨な姿で絶命していた。そしてついに杏子の携帯に「死の予告電話」が掛かってきた。孝子は事件の発端が台湾にあることを突き止め、単身台湾を訪ねた。そこには彼女の別居中の夫ユー・ティンがいたのだ。そして杏子と尚人も孝子の後を追って台湾に到着した。そこで彼らは生きながらに口を糸で縫われ、しかも生き埋めにされた少女リー・リィの事件を知る・・・
私評:雨の水曜日に部屋を真っ暗にしていると2時22分に枕元に立つ女の子。その子は口を縫われているけど「遊ぼ。」って言うから断ったらダメ・・・三池監督の「着信アリ」の続編です。物語はまさに前作の後の話で、前作で刑事役で登場した石橋漣治が引き続き、事件に絡んでいる。今回は前回の「予告電話を受けると3日で死ぬ」というテイストを引きずりながらも、物語の舞台を強引に台湾にしているため、かなり無理が多い。そのために登場させたピーター・ホーなんか、完全に浮いてしまって・・・。そして前作で有耶無耶になっていた結末も、余計に分からない展開にしてしまった。シナリオは正直って失敗でしょう。しかし、ホラー映画の醍醐味は随所に散りばめてあって、ちょっとしたドキドキを味わいたいのであればその欲求はある程度満たされるかもしれません。主人公のミムラって私は知らないのですが、イマイチ華がないと思いませんか?ルポライター役の瀬戸朝香は私的には合格でした。そしてまたまた、「貞子」みたいなキャラクターが登場するのですが、そろそろ飽きてきましたよね・・・。そして映画の最後は、またしても有耶無耶。どうなっちゃうの?? 


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