2005/1/31

今週もイチ押し候補の作品ばかり。最後の決め手は
主演女優でした・・・

ステップフォード・ワイフ  監督:フランク・オズ  出演:ニコール・キッドマン、グレン・クローズ、ベット・ミドラー
The Stepford Wives  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:全ての女性の憧れ、ジョアンナはテレビ業界の敏腕プロデューサー。女性上位で男を凹ます彼女の企画は大当たりが続く。しかし、彼女の最新の番組に出演した男は大事な恋人を失くし、銃を乱射!!その責任は当然ジョアンナに向けられ、彼女は職を失ってしまう。昨日までの輝くばかりの笑顔も失せ、失意に落ち込む妻のため夫のウォルターは新たな土地でのスタートを決意する。彼が選んだのはステップフォードという高級住宅地。そこは緑豊かで立ち並ぶ家も立派な建物ばかり。しかし、この土地で何よりも「不思議な存在」はこの街の妻たちだった。誰もがブロンドで、従順で、笑顔がステキで、協調性があって、夫が望めば昼間でも激しいベッドを共にする。そんな中で作家のボビーだけはジョアンナの意見に同意していたが・・。そしてついにジョアンナはこの街の謎を突き止めるが、事件には裏の裏があって・・・??
私評:黒い服がカッコイイなんて思っている女性は、この町ではあなただけよ・・・ニコール・キッドマンの新作がついにやってきた。しかも、めちゃめちゃ笑えるコメディ映画。しかし、この映画の原作には「儚い男の願望」がギュウギュウ詰め込められているのです。100点満点の美貌の女性を、それこそ「リモコン」で自由自在に操れたらどんなに良いでしょう。男だったら誰もが、少なくとも一度は心に描いた夢でしょう?ステップフォードはまさにそんな男たちのパラダイス。そんな街にやってきたニコール様がだんだんとこの街に馴染んでついには・・・。この映画では彼女の7変化を見ることができます。ファンならずとも楽しめる所です。そしてこの街のリーダー的な妻を演じるのがグレン・クローズ。彼女が壊れてます!笑えますよ〜。そして彼女の夫で、この街の男たちのリーダーでもある怪しい男を演じるのが、なんともピッタリのクリストファー・ウォーケン。ウォルター役はマシュー・ブロデリック。そして作家のボビー役はベット・ミドラー。しかし、彼女も・・・??原作は「ローズマリーの赤ちゃん」のアイラ・レヴィン。原作はかなり怖いミステリーのようです。実はこの映画は70年代にキャサリン・ロス主演で映画化されています。今までなかなか見ることができなかった映画ですが、この映画の公開にあわせてDVDが出ましたので、この機会にぜひ観てみましょう。監督はフランク・オズです。 
レイ  監督 :テーラー・ハックフォード  出演:ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン
Ray  2004年 アメリカ映画
17歳のレイ・チャールズ・ロビンソンは、ひとりでシアトルへとやってきた。音楽の才能が認められたレイはゴッシーらとバンドを組み大忙しの毎日。しかし、彼は二束三文の金でこき使われ、ギャラの大半はゴッシーとマネージャーのマーリーンが騙し取っていた事を知り、レコード会社と契約をしてひとりで町を出た。2年後、彼はバンドと一緒にツアーにまわっていた。このメンバーの中には彼が心を許す仲間もできたが、レイはここで「薬」の味を覚えてしまう。1952年、レイはアトランティック・レコードと契約をするがこの頃の彼の音楽は「物まね」に過ぎなかった。そんな時、彼に転機が訪れる。ゴスペルシンガーのデラ・ビーという女性との出会い。そして彼は彼女への愛の歌としてゴスペルを斬新にアレンジして捧げたのだった。その歌「I've got a Woman」は彼の名を一躍有名にした。翌年にはレイはデラ・ビーと結婚。一見、幸せに見えた二人だったが、ある日デラ・ビーはレイが「ヘロイン」を使用している事を知ってしまう。彼女の願いも跳ね除けてレイは薬を常用し続けた。しかし、彼が鬱になっているとき、頭をよぎるのは少年時代の情景だった。厳しくも彼を優しく愛した母親。そして事故で死んでしまった弟のジョージ。レイ・チャールズは音楽でも超有名になり、次々とヒット曲を作るが、薬を絶つことができなかった・・・・・・・
私評:あなたは強くなったし、貧乏でもない。でも、あなたの心は盲目のままよ・・・私が初めてレイ・チャールズの音楽を聞いたのは、かなり大人になってからです。「アンチェイン・マイ・ハート」や「我が心のジョージア」などなんとなく聴いた事があったのですが、彼のアルバムをしみじみと聞いたのは20歳を過ぎてから(つまり、1980年代)です。それまでポップス一辺倒だった私でしたが、ちょうどアメリカでは「USA For Africa」の企画で"We are the World"がヒットして、いわゆるポップス、ロック、カントリー・ミュージック、フォークソング、そしてソウル・ミュージックの大御所が一同に介し、そのメンバーの中に彼はいたのです。その独得の歌い方、そしてピアノは私のハートを魅了しアルバムを何枚も買い込み、彼の音楽漬けになっていた頃がありました。しかし、今日まで私は彼の音楽は知っていても、バック・グラウンドはまったくと言って良いほど知りませんでした。盲目であるだけで、かなりのハンディキャップであるというのに、彼はその他にも数々のハンディを克服してあれだけの人になったのですね。映画はほぼ全編が彼の音楽で覆い尽くされている。そしてそれらの音楽が実に気持ち良いのです。レイを演じるのはアカデミー賞の最有力候補のジェイミー・フォックス。レイを演じられるのは、恐らく彼を置いて他にはいないでしょう。歌唱力はもちろん、ピアノもめちゃめちゃうまい。オスカーは彼で決定でしょう。監督は「愛と青春の旅立ち」のテイラー・ハックフォード。彼はかなりのレイ・チャールズのファンであるらしく、細部にわたってまで気遣いが行き渡っています。レイ・チャールズはこの映画の製作にも携わっており、ジェイミー・フォックスを自分の息子と讃えて、映画の完成を楽しみにしていたそうですが、完成を前に他界してしまいました。そういう意味でもこの映画は「彼の魂」の映画と言えるかもしれません。
ライフ・イズ・コメディ  監督 : ステファン・ホプキンス  出演:ジェフリー・ラッシュ、シャリーズ・セロン
The Life and Death of Peter Sellers  2004年 アメリカ・イギリス映画
1950年代の初頭、ピーター・セラーズはBBCラジオの人気番組「グーン・ショー」の人気者だった。しかし、彼は映画界への進出を考えていたが、オーディションではあっさり落とされてしまう。しかし、彼はある作戦で映画出演の切符を手に入れた。その後、その特異なキャラで人気を博した彼は、そうそうたる顔ぶれの中から英国アカデミー賞の主演男優賞を獲得した。そして彼はソフィア・ローレンとの共演の機会を得た。彼女にメロメロになったピーターは、猛然とアタックをするがソフィアは「あなたは家に帰るべき」とピーターを相手にしなかった。それでも諦められないピーターは妻と子供たちに、彼らよりソフィアを愛していると告げ愛想をつかされる。残されたピーターは孤独を味わうが、ロジャー・ムーアに紹介されたアヤシイ占い師に励まされ元気を取り戻す。そんな時、ピーターにハリウッド進出のためブレイク・エドワーズの映画の脇役の話が転がり込む。クルーゾー警部を演じたピーターは評判を呼ぶが、彼はその映画の自分の演技を好きになれずにいた。そんな折、新進気鋭の監督スタンリー・キューブリックから映画の主役の話が舞い込んでくる。しかも、ひとり4役という信じられない設定。そのタイトルは「博士の異常な愛情」だった・・・・
私評:ぼくは映画の役でどんな人にでもなれるけれど、映画が終わると空っぽになってしまうんだ・・・ピーター・セラーズの代表作といえば、「ピンク・パンサー」という人も少なくないと思います。実は私のそう思っています。しかし、彼はこの映画の自分の演技を嫌っていたのですね・・。本当に皮肉なことですよね。元々、彼は変装が得意で最初の頃の映画では奇抜な衣装とメイクで、その都度とんでもない人になりきって演じていたけれど、「ミスター・空っぽ」は戻るべき本来の自分のキャラクターをしっかりと持っていなかったというのがこの映画の面白い主題です。私的にはピーター・セラーズと言えば「天才的なコメディアン」だったのですが、この映画を見てちょっと考えが変わりました。彼の破天荒な人生は、まるで子供のよう。しかし、そんなキャラクターだからこそあの演技ができたのでしょうね。しかし、この映画は実在の人物の名前が次々と(しかも、まだ健在の人ばかり)出てくるので面白いですよ。ピーター・セラーズを演じるのはジェフリー・ラッシュ。かなり悪乗りしていますが、まさにピーターってこんな男だったのでしょうね。彼の最初の妻のアンはエミリー・ワトソン。2番目の妻で女優のブリット・エクランド役は、やっぱり美しいシャーリズ・セロン。ブレイク・エドワード監督には曲者俳優のジョン・リスゴー。キューブリック役はスタンリー・トゥッチ。そしてソフィア・ローレン役のソニア・アキーノがとっても魅力的でした。ちなみにピーターの長男役の男の子は「アザーズ」でニコール様の息子を演じた不気味な子でした・・・
オペラ座の怪人  監督:ジョエル・シュマッカー  出演:ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム
The Phantom of the Opera  2005年 アメリカ映画
1919年のパリ。廃墟となった劇場でオークションが始まった。かつては栄華を讃えたこの劇場にやってきた老紳士のラウルとバレエ教師のマダム・ジリーはお互い小さく挨拶を交わすが・・・。1870年、オペラ座では奇怪な事件が起きていた。プリマドンナのカルロッタのリハーサル中に突然、幕が彼女めがけて落下したのだ。このことに腹を立てたカルロッタは降板を宣言。突然の降板に皆はざわめくが、ジリーの推薦で彼女の代役にたったのは若く美しいクリスティーヌだった。その夜、ステージで喝采を浴びた彼女は幼馴染のラウルとも再会を果たし、最高の夜を迎えていたが、彼女に影ながら音楽を教え続けていたオペラ座のファントムによって地下深く連れ去られてしまう。クリスティーヌはファントムを、死んだ父が使わした「音楽の天使」だと信じていた。しかし、彼女は地下で彼の正体を知ってしまう。ちょうどその頃、劇場の支配人たちはファントムから手紙を受け取っていた。その内容はオペラの主演にクリスティーヌを置く事だった。しかし、支配人たちはファントムを裏切りカルロッタを主演にして公演を決行。ファントムの怒りを買い、ついにオペラ座で殺人事件が起きてしまう。・・・
私評:そして音楽が私の心に溢れた〜♪・・・・いまや知らない人はいないであろう超有名なミュージカル「オペラ座の怪人」。その舞台が映画化された。私は劇団四季の舞台を見たことがあるのですが、今回の映画は映画の持てる力をフルに引き出した素晴らしい作品に仕上がっていた。美しいセット、衣装も映画ならではのもの。特に1億5千万もしたというあのシャンデリアは一見の価値ありです。ファントム役のジェラルド・バトラーは、私的にはちょっと力不足だったのですが、クリスティーヌ役のエミー・ロッサム、そしてラウル役のパトリック・ウィルソンは素晴らしかった。エミリー嬢はスクリーンで何度か観ていましたが、今回はまさに彼女の本領が発揮された作品でしょう。まずは、歌唱力!あのむずかしい歌を、しかも美しい声で見事に歌い上げます。そしてバレエもお手の物。彼女のキャスティングはこの映画の一番の見所でしょう。そしてラウル役のパトリックがまた、歌がうまい!!しかも、かなりのイケメン。今後が楽しみです。そしてもうひとり注目はカルロッタ役のミニー・ドライバー。こんなブチ切れた演技もできるんですね〜。歌は吹き替えらしいのですが、彼女のコミカルな演技は要注目です!!監督は「フォーン・ブース」のジョエル・シュマッカー。彼の今までの作品のラインナップを見ると本当に幅広いジャンルを扱っています。こんなミュージカルでも、見事に作り上げてしまうなんて・・・
スーパーサイズ・ミー  監督・出演:モーガン・スパーロック  出演:
Supersize Me  2004年 アメリカ映画
感謝祭の休暇中、監督のモーガン・スパーロックは肥満症に悩む二人の女性が、ファーストフード店を訴えたということを知った。自分も大好きなファーストフードが、肥満の原因??それならと彼は自らの体を使って人体実験に挑んだ!それは1ヶ月間ファーストフードだけを食べ続ける事。ルール1:ファーストフード店に存在するものしかオーダーしてはいけない。ルール2:"スーパーサイズ"を勧められた、断らない。ルール3:全てのメニューを必ず1度は食べる。ルール4:朝・昼・夜3食全て残さず食べる。この無謀な挑戦は、彼の体を確実に蝕み始めた・・・・ ・・
私評:本当に有害なのか?僕で実験してみよう。スーパーサイズ・ミー!・・・日本のマクドナルドは幸か不幸か「スーパーサイズ」というのはありませんが、あんな巨大なサイズのものをオーダーするアメリカ人の気が知れません。フライド・ポテトはMサイズだって、けっこうお腹いっぱいになるのに、スーパーサイズはその3倍くらいあった。あれは異常です。まあ、アメリカに行った事がある人はよくご存知だと思いますが、向こうの食事のサイズはハンパじゃない。まさにスーパーサイズ。日本では到底考えられない大きさの料理が出てきます。あれじゃあ、肥満になって当然でしょう!私がこの映画を見るに当たって、ひとつの実験を試みました。それは「スーパーサイズ・ミー」を見た直後にマクドナルドで腹いっぱいハンバーガーを食べる事(笑)。簡単にクリアできました。こんなの「スプラッター映画を見た後に、ミートソースを食べる」より、全然楽です・・(笑) これってファーストフードが悪いというより、食事に限界値を定めない消費者の無知さが原因ですよね〜。ちなみに私もマクドナルドを含むファーストフードは大好き。週に2−3回はお世話になっております。ちなみに今日のお昼も「ファーストキッチン」でした!


前回の記事も読んでね〜!



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