2007/2/4

相変わらず映画が見れない。週末も諸事情でなかなか映画館に行けない。
でも、とりあえず今回も3作品観ました。しかも、全部邦画です!!

魂萌え!  監督:阪本順治  出演:風吹ジュン、三田佳子、寺尾聰
 2007年 日本映画
今週のイチ押し:武蔵野に住む関口隆之と敏子の夫婦。ふたりには11女の子供がいた。その日、隆之は長年勤めた会社を定年退職。敏子は突然に隆之が差し出した手を取り、ぎこちなく握手をした。それから3年後、隆之は心臓発作で急逝してしまう。アメリカに行っていた長男の彰之は緊急帰国をするが、葬儀が終わると急に実家での同居を申し出る。しかも、隆之の遺産分配までちゃっかり計算している。敏子はすっかり面食らってしまう。そして隆之の携帯に伊藤と名乗る女から電話が入る。生前、俊之は毎週「蕎麦の会」に行っていたが、実はその会にはほとんど参加していなかったのだ。蕎麦の件が嘘だと知った敏子は、彼が伊藤と名乗る女と浮気をしていたことまで見抜いてしまう。四十九日の夜、またしても息子に腹を立てた敏子は家を出て、ひとりカプセルホテルにチェックインする。そこで敏子は宮里と名乗る不思議な老女に出会う・・
私評:今日、あなた以外の人に誘われました・・・私の大好きな桐野夏生さんの原作が映画化された。桐野さんと言えば「OUT」のようなミステリーが有名ですが、この「魂萌え!」は彼女と同年代の女性、強いては全ての女性にエールを送るような作品で、男の私もとても気持ち良く読んだ作品です。良き妻で、良き母であったはずの自分が夫の死を境に今までの自分の人生を否定されるような出来事に次々と遭ってしまう。そんな彼女が今までの自分という殻を破って、新たな人生を歩き始める。そしてそんな彼女の周りに集まってくるおかしな人たち。そして敏子は最後に何を見つけるのか??この映画の一番の肝は敏子を演じる女優の技量。しかし、最初にこの作品の映画化を聞いたとき、主演が風吹ジュンだと聞いてすばらしいキャスティングだと思いました。50でも艶っぽい女じゃないと敏子はだめなのです。そして敏子の学生時代からの友達がまた、素晴らしいキャスティング。今陽子、由紀さおり、藤田弓子って最高でしょう??そして敏子の子供に田中哲司、常盤貴子、敏子の浮気相手には林隆三、敏子が泊まるカプセルホテルの謎の老女は加藤治子、そこの支配人役は豊川悦史、夫の浮気相手を三田佳子(彼女がまた素晴らしい!)そして実は○○だったという夫役には寺尾聰という素晴らしいキャスティング。監督は「亡国のイージス」の阪本順治。彼は「イージス」みたいな大作より、こういう作品の方が、味わいがあって好きです・・。
どろろ  監督:塩田明彦  出演:妻夫木聡、柴咲コウ、中井喜一
 2007年 日本映画

戦乱の世、天下を我が手に入れることを望む武将醍醐景光は48の魔物と禁断の契約を結んだ。彼が見返りに魔物たちに差し出したのは、まもなく生まれてくる彼の子供だった。20年後・・、相変わらず戦乱が続く中で、盗みをしながら生き延びる者がいた。女だてらに男装したその者は、居酒屋で両腕に刀を仕込んだ男“百鬼丸”と出会う。百鬼丸は踊り子に化けていたい魔物を切り殺した。すると、彼の右足がはずれ、新たに生え変わってきた。琵琶法師の話では百鬼丸は寿海という医師に育てられた。寿海は手も足も目も鼻も口もない子供を拾い育てた。そして寿海は死に際に、百鬼丸に彼の体を盗んだのは48の魔物だと知らされた。百鬼丸は自らの体を取り戻すために、魔物を一匹ずつ葬っていたのだ。盗人は百鬼丸に興味を持ち、共に旅をすることにした。そして盗人は百鬼丸から「どろろ」という名前を盗むが・・・・

私評:お前が泣いていいのは、本当の男に出会ったときだけだよ・・・・手塚治虫のあの名作が実写化されると聞いて、最初は「なんでそんな無茶をするんだ・・」と思いました。しかも、よりによってなんで「どろろ」なの??そして妻夫木と柴咲コウのキャスティングもすごく不安でした。ところが、この映画の予告編が出来上がって、劇場で観てみたらけっこう良くできている。これはちょっと期待できるかも??そして実際に本編を観てみたら・・、けっこう面白かったです。しかし、ちょっと文句をつけたいのはラストの百鬼丸と醍醐の戦いのシーン・・・。もうちょっと凝っても良いんじゃない??ネタばれになるから細かくは言いませんが、あのシーンは思い切り退いてしまいました・・。主演の妻夫木聡は百鬼丸のイメージに合わせて、テンションを抑えた良い感じの演技。しかし、ぶっ飛んだのは柴咲コウの演技です。まさか、彼女がどろろをここまで演じられるなんて、誰が想像できたでしょう??笑わせてくれるし、泣かせてくれるし・・。本当に彼女はすごい!その他、醍醐役は中井喜一、その妻役は原田美恵子、寿海は原田芳雄、琵琶法師役は中村嘉葎雄、その他、瑛太、麻生久美子、土屋アンナなどなど、私の好きな俳優がずらり。監督は「害虫」「黄泉がえり」の塩田明彦。
ユメ十夜  監督 : 実装時昭雄、清水崇 他  出演 : 小泉今日子、安部サダヲ、松山ケンイチ
 2007年 日本映画

第一夜・・・作家の百聞は妻のつぐみと二人暮らし。窓から見えるハイカラな観覧車を眺めながら、百聞は机に向かうが筆は一向に進まない。ある朝、つぐに可愛がっている金魚が死んでしまう。新しい金魚をせがむつぐみを百聞は愛おしく許すのだった。百聞はつぐみに何度となく時間を尋ねるが、時間の流れの速さに驚いてしまう。いや、時間が逆に遡っているのかもしれない。すると、つぐみは畳の上に静かに横たわり、百聞に別れを告げる。「あなたは百年可愛がってくれたんだから、あと百年、待っていてくれますか??」
第二夜・・・一人の男が部屋に入ってきた。すると彼の目の前に、一人の和尚が現れ彼を罵倒する。和尚は男が以前は侍だったと告げる。「侍なら悟れないはずはない・・・」男は何を悟ろうとしているのか??時計が次の刻を打つ前に悟らなければ。それができなければ侍らしく死のう・・・。しかし、和尚はますます男の神経を逆なでする。いつしか、男の中には殺意が・・・・

私評:こんな夢を見た・・・漱石の作品も私は好きで読破しているのですが、この「夢十夜」はとても異色の作品です。というか、漱石からの謎掛けなのです。私が初めてこの本を読んだのは高校生のとき。その時はこの作品に対して、狐に摘まれたような「呆気なさ」と「摩訶不思議」な感じを抱きました。そしてそれから二重数年が経ち、この映画を映画で見る事になったのですが、果たして100年前の漱石が振った謎は解けたのでしょうか?私は今また、原作を読み直しています。この漱石のとんでもない作品のために素晴らしいスタッフとキャストが集まりました。監督は「ウルトラマン」シリーズの実相寺昭雄、「犬神家の一族」の市川昆、「呪怨」の清水崇、「蛇女」の清水温、「ケータイ刑事」の豊島圭介、「イン・ザ・プール」の松尾スズキ、「リンダ・リンダ・リンダ」の山下敦弘、「蛇イチゴ」「ゆれる」の西川美和、「地獄甲子園」の山口雄大などなど・・・。これだけの監督を使えるのも漱石の作品だからでしょうね。出演者も豪華です。小泉今日子、うじきつよし、堀部圭亮、香椎由宇、市川実日子、阿部サダヲ、藤岡弘、、緒川たまき、ピエール瀧、松山ケンイチ、本上まなみ、石坂浩二・・・どうです。これだけの面子を一気に見れるのもこういう映画の楽しみ。作品ごとに好き嫌いはあるけれど、そこはオムニバスですからね。ちなみに私は第九夜の西川美和の作品が一番好きです。


前回の記事も読んでね〜!



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