1月もそろそろ終わると言うのに、まだ10本くらいしか見れていません。
行きたい気持ちはやまやまなのですが・・・
今回の一押しは周防監督11年ぶりの映画。すごいです!
それでもボクはやってない | 監督:周防正行 | 出演:加瀬亮、瀬戸朝香、役所広司 | |
2007年 日本映画 | |||
今週のイチ押し:面接をその日に控えた徹平は満員電車の中で痴漢に間違えられてしまう。話せば分かってもらえると思っていた徹平だったが、彼は警察に引き渡され取調べを受けることに。容疑を否認し無実を主張する彼に対して警察も当番弁護士も耳を貸さない。ついには担当刑事に自白を迫られ拘留されてしまう。一方、徹平の無実を信じる母と徹平の親友の達雄は、弁護士を雇いなんとか徹平の無実を晴らそうとする。その仕事を引き受けたのは元裁判官の荒川と新人女性弁護士の須藤だった。検察庁でも徹平の無実の主張は受け入れられず、ついには起訴されてしまう。こうして無実の徹平をめぐり家族と、彼を支援する仲間たちの長く厳しい戦いは始まる。しかし、刑事事件で起訴された場合、裁判での有罪率はなんと99.9%だという・・ | |||
私評:十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰するなかれ・・・周防監督の「Shall we dance?」以来11年ぶりの監督作品です。今までの彼の作品のような軽いエンターテイメント作品とはまったく違う、日本の裁判を真っ向からぶった切る社会派作品となっていました。2時間30分の映画なのですが、とにかく興奮しっぱなし。実際にこの映画のような事例は幾つもあり、そのために戦っている「無実」の人たちもいるという。もし、私が満員電車の中でたまたま前に立った女性に何もしていないのに「痴漢」扱いされてしまったら・・・。考えただけでも恐ろしいです。痴漢行為は許しがたい犯罪です。被害者は計り知れない傷を負い苦しんでいることでしょう。しかし、そのための「冤罪」をこうむる苦痛も計り知れないのです。しかも・・・。この先は映画でお楽しみください。主演は「硫黄島からの手紙」でも熱演を見せていた加瀬亮。(私は彼の主演作の「アンテナ」が好きです)普通の青年を普通に演じられる彼は、ある意味すごい役者かも・・。新人弁護士役には瀬戸朝香。彼女の女性からの視線で見る「痴漢裁判」がこの映画の面白さのひとつ。そして「Shall we dance?」に引き続き出演の役所広司がグッドです。憎らしい刑事役の大森南朋、徹平の親友役の山本耕史、母親役のもたいまさこ、別件で痴漢裁判を受けている光石研ほか、一癖もふた癖もある役者が勢ぞろい。特に男性は必見の映画かも?? | |||
愛の流刑地 | 監督:鶴橋康夫 | 出演:豊川悦史、寺島しのぶ | |
2007年 日本映画 | |||
過去に注目された作家の村尾菊治が、警察に逮捕された。彼は情事の最中に愛人の入江冬香を絞殺したのだ・・・。二人が出会ったのは1年前の秋。京都に取材に行った村尾が知り合いの祥子に紹介されたのがきっかけだった。以前より村尾の作品の大ファンだった冬香の、控えめな物腰に村尾はたちまち魅せられてしまい、サラリーマンの夫と3人の子供を持つ冬香に気を遣いながらも「また会ってほしい」と告げるのだった。数日後、京都にふたたび訪れた村尾は冬香に会った事で新しい作品が書けそうだと話す。その事に感激した冬香は涙を流し、いつしか二人は唇を重ねていた。それ以来、ふたりの密会は続いた。すっかり官能的に変身した冬香の姿を、村尾は新作「虚無と熱情」に注ぎ込んだ。春になり冬香の夫の転勤で川崎に移住した冬香は、ますます村尾との密会を重ねていく。そしてふたりは冬香の誕生日の日に箱根に旅行に出かける。その夜もふたりは激しく求め合うが、その最中に冬香は「殺して、首を絞めて」と懇願するのだった・・・ |
|||
私評:あなたは死にたくなるほど人を愛したことがあるのですか!?・・・なんだかシノプシスを書いていて恥ずかしくなってしまうような内容ですが・・(笑)。私は渡辺淳一作品をけっこう読んでいます。彼の作品の「官能的な部分」と「それ以上に結びついた心」の描き方がすごく好きですね〜。言葉にするとなんとも艶かしくなってしまうのですが、体から繋がりを持って、気持ちがそれを超えていくと言う展開って頭の中ではあり得ないという感じなのですが、この映画の二人を見ていて「それもあり得る」と思えてしまいました。ある意味言葉を映像が超えた感じですね。それを体現した豊川悦史と寺島しのぶのふたりは本当に素晴らしいと思いました。また、ふたりの裸が綺麗なのです・・。また、ふたりのラブシーンで「ボカシ」の替わりに景色を重ねる演出は良かったですね〜。そしてビックリだったのが寺島しのぶの実の母親である富司純子が、冬香の母親役で出演しているのです。また、検事役の長谷川京子のセクシーさにもメロメロ。(演技は下手ですが・・)その他、陣内孝則、仲村トオル、佐藤浩市、津川雅彦などが脇をしっかり固めます。そしてやはり脇役なのですが「スウィングガール」の貫地谷しほりが良い演技を見せます。監督は鶴橋康夫。 | |||
悪夢探偵 | 監督・出演 : 塚本晋也 | 出演 :松田龍平、hitomi、安藤政信 | |
Nightmare Detective | 2006年 日本映画 | ||
摩訶不思議な死体が立て続けに発見される。被害者はベッドの上で自らの体を切り刻んで死んでいる。一人目は若い少女。部屋はロックされていてまさに密室状態。そして二人目は妻が横に寝ているベッドで自らの首をカッターで切り続けた。ところが二人の遺留品から意外な共通点が発見される。ふたりが死ぬ直前に「0」という人間と電話で話をしていたのだ。キャリアを脱し現場の担当になった女性刑事の霧島は、この「0」がふたりになんらかの暗示をかけて殺したのでは?という疑念を抱く。さらに彼女は事件の鍵はふたりが死ぬ直前に見ていた「夢」にあると考えていた。霧島は警察が常識では考えられない事件に遭遇したときに頼る「悪夢探偵」の影沼に会い協力を依頼するがあっさり断られてしまう。彼はその特殊能力で人間の薄汚い本質を目の当たりにして、絶望を抱えていたのだ。しかし、そんな時霧島のパートナーの若松が「0」とコンタクトをしてしまう・・・・ |
|||
私評:俺はいつから死のうと考えていたんだ・・・・久々に本格的な「日本製サイコパス」映画を観た。これはかなり強烈な映画でした。しかも、監督は私の好きな塚本晋也。彼の映画らしい手持ちカメラを使った近距離からのリアルな映像と(劇場でしか味わえない)轟音で観客をぐいぐいと引っ張っていきます。ちょっとカメラが揺れすぎるのが気になりますが、それも裏を返せばリアリティ。「低予算のホラー映画はこうやって作るんだぞ!」というお手本みたいな映画ですね。特に出演者の表情をすごく近い位置から撮影して、恐怖を煽る演出はサイコーでした。監督の塚本は映画の中で「0」役を演じていて、これがまたはまっています。悪夢探偵役は(すっかり優作に似てきた)松田龍平。そして今回の注目は霧島役のhitomiです。役者ではないのでセリフは下手なのですが、やはり彼女は絵になります。顔も美しいし、そしてあの見事なプロポーション。若松役は安藤政信!彼のまじめな好青年役と、夢の中でのぶち切れた演技のギャップがすごいです。その他、大杉蓮、せえり、原田芳雄など脇役も豪華です! |
|||
マリー・アントワネット | 監督:ソフィア・コッポラ | 出演:キルスティン・ダンスト、アーシア・アルジェント | |
Marie Antoinette | 2006年 米・仏・日合作映画 | ||
1770年、オーストリアの一人の少女がフランスの皇太子に嫁ぐため屋敷を発った。彼女の名前はマリー・アントワネット。その時、彼女はわずか14歳だった。彼女と結婚したのはルイ・・オーギュスト。後にフランス王なるルイ16世だった。奔放自由に生きてきたマリーにヴェルサイユのしきたりは驚くことばかりだった。結婚したマリーは周囲の人々から世継ぎを作ることを強いられる。しかし、オーギュストはマリーを抱くことができず二人の間にはいつまでも子供ができなかった。しかも、それはマリーのせいだと宮殿の中ではゴシップネタになってしまう。そんな虚しさを紛らかすかのようにマリーは豪華な宝石、ドレス、スイートに夢中になっていく。しかも、王妃である彼女のわがままは全てがまかり通ってしまう。彼女は取り巻きの影響もあり、その甘美な世界にどっぷりと漬かってしまう。その頃マリーはスウェーデンのフェルゼン伯爵と出会い、たちまち恋に落ちてしまう・・・・ | |||
私評:パンが食べられないのならケーキを食べればいいのに・・・なんて言うわけないでしょう!!・・・・マリー・アントワネットと言えば、贅の限りを尽くし人民に多大なる苦労を与え、ついにはギロチンで露と散った女王という悪女のイメージでした。しかし、今回の映画はとにかく全てがマリーの目線で描かれているので、私が思い描いていたマリーとは違う人物になっていました。歴史の教科書を鵜呑みにしてはいけません。これが本物かもしれません。それにしてもこの映画の映像の華やかなのなんのって・・・。きらびやかな宝石、ゴージャスなドレス、色とりどりのスイーツ、そして本物のヴェルサイユ宮殿の中での撮影。特に女性にはため息が出るくらいのアイテムが次から次へと出てきます。男の私はすぐに金額を気にしてしまったのですが・・・(笑)主演は映画によって「ブス」に見えたり、「めっちゃ可愛く」見えたりするキルスティン・ダンスト。今回のマリー・アントワネット役ははまり役でした!!無垢な少女、ぶっ飛んだティーン・エイジャー、恋する女、母親、そしてラストはフランス王妃としての凛とした表情を見事に使いこなします。ルイ15世の愛人役は(私の大好きなイタリアの映画監督)ダリオ・アルジェントの娘、アーシア・アルジェント。ルイ16世役はコッポラ・ファミリーのひとりジェイソン・シュワルツマン。その他には映画界の大御所女優ジュディ・デイビスらが脇を固めます。監督は「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラ。彼女はやっぱりすごい! | |||
ラッキー・ナンバー・セブン | 監督:ポール・マクギガン | 出演:ジョシュ・ハートネット、ルーシー・リュー | |
Lucky Number Seven | 2005年 アメリカ映画 | ||
人気のない駐車場で一人の男が射殺された・・。部屋の中に入ってきた3人の男。しかし、一人の男が両脇の男を殺し、目の前に座っていた男に野球の硬球を投げつけ殺害・・。そして空港のロビーで疲れた男の傍に車椅子の男が近づいてくる。彼は20年前の事件を語り始める。八百長で勝つはずだった競馬に大金をつぎ込んだマックス。彼は息子を駐車場に残しひとり競馬場に向かった。しかし、彼が買った馬はゴール直前で転倒し、彼の金は賭けた金は露と消えた。資金を借金していたマックスはその金が返せず賭博の元締めに拉致されてしまう。しかも、妻と子供も・・。そこまで話すと車椅子の男は疲れた男を殺した・・・なぜ??・・・スレブンはついてない。失業し、アパートは取り壊され、恋人は去り、強盗には鼻を折られた。彼は友人のニックを訪ねるためにNYに飛んだ。留守だったニック宅に入り込んだスレブンはニックと間違えられ、街を仕切るボス=アンソニーの元に連れて行かれる。しっかり脅迫されてアパートに戻ったスレブンを今度はボス=アンソニーと対立するラビ=シュロモの手下が迎えにくる。しかも、どちらの部屋にも空港で男を殺した男スミスがいた・・・・ | |||
私評:お前も俺も帰れない・・・・なんだか一度も予告を見ないうちに始まったこの映画。偶然チラシを見たら、なんとも豪華な顔ぶれが並んでいる。そして監督は「ホワイト・ライズ」のポール・マクギガン。これは見るしかないでしょう!たぶん、上に書いたシノプシスを読んでも何のことやらさっぱり分からないと思いますが、これがこの映画の前振りなのです。これから物語が2転3転どころか4回も5回もひっくり返って、最後はなるほどと締めくくってくれます。とにかく映画の最初から伏線となるようなアイテムや出来事が盛り込まれていますので、最初から気合を入れて観ましょう!主演はそうそうたる顔ぶれを迎え撃つジョシュ・ハートネット。彼ってあまり華がないけど確実な演技をしますよね。そして彼が一目ぼれする隣人役にはルーシー・リュー。今まで観た彼女の出演した映画の中で、一番キュートで可愛いです。そしてふたりを囲むのがブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、そしてベン・キングスレイという超大物たち。誰もが主演を張れる大物ですが、今回はバックアップに回っています。そして「プラダを着た悪魔」の後に見ただけに、ギャップがすごかったスタンリー・トゥッチ!!どんでん返しが好きな方にはお勧めの映画です!! | |||