2013/2/3

あっという間に1月が終わってしまいました。今年はスロースタート。
イチ押しはアカデミーでも話題の感動作とトムの最新作!

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日  監督 : アン・リー  出演 :スラージ・シャルマ、イルファン・カーン
Life Of Pi  2012年 アメリカ映画
今週のイチ押し:カナダ人のライターがインド系カナダ人のパイ・パテルを訪ねた。パイが彼に語り始めたのは信じられない話だった・・。1960年代初め、パイはインドで父親が経営する動物園で動物たちと触れ合い、勉強も、恋愛も謳歌していた。しかし、16歳になったパイに転機が訪れる。家族は動物たちと一緒にカナダに移住する事になったのだ。日本の貨物船に乗り異国を目指すが、船は嵐に遭遇し沈没してしまう。救命ボートにしがみついていたパイはシマウマ、オランウータン、ハイエナ、そしてリチャード・パーカーと言う名のベンガルタイガーと大海に投げ出された。弱肉強食の船上でトラ以外の動物はすべて淘汰される。そしてパイとトラだけの長い航海が続く。家族を失くして悲しみのどん底に陥りながらも、非常食でなんとか命を繋ぐパイ。そして凶暴なベンガルトラの襲撃をかわしながら彼の旅は続いた・・
私評:神よ、こんな試練をなぜ与えるのですが・・・今年のアカデミー賞で11部門もノミネートされている作品。トラと一緒に漂流する話って、奇想天外すぎてまったく想像ができなかったのですが、とてもリアリティがあり、しかも力強いストーリーでした。そしてこの映画で圧巻なのが映像です。神秘的で、美しくて、そして壮大な映像は3Dで観るべきです。そしてCGで作られた動物たちがとってもリアルです。パイ役はこの作品まで演技経験がまったくなかったというスラージ・シャルマ。現在のパイ役は「スラムドッグ$ミリオネア」のイルファン・カーン。そしてほんのチョイ役ですがコック役でフランスの名優ジェラール・ドパルデューが登場します。監督は台湾出身のアン・リー。それにしてもこの監督の作品ってすごい振り幅ですよね。台湾時代の「ウェディング・バンケット」、私の好きな「楽園をください」、アカデミー賞10部門にノミネートされたアクション映画「グリーン・ディスティニー」、アカデミー監督賞を獲った「ブロークバック・マウンテン」、そして禁断のラブストーリー「ラスト・コーション」、そしてこの映画ですよ。しかも、どれもが面白い。あらためて、すごい監督です。
アウトロー  監督 : クリストファー・マッカリー  出演 : トム・クルーズ、ロザムンド・パイク
Jack Reacher  2012年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ピッツバーグの郊外で、白昼5人の男女が射殺された。捜査の結果、警察は元米軍のスナイパーのジェームズ・バーを逮捕した。外れた弾丸と同じ物が彼の部屋から見つかり、コインパーキングの25セントコインから彼の指紋が発見されたのだ。確信を持って彼を犯人と断定した警察は、バーに対して自供書類へのサインを求めるが、彼は「ジャック・リーチャーを呼べ」と回答した。リーチャーは元々、陸軍のエリートで2年前に退役してからは姿をくらましていた。そんな彼がドンピシャのタイミングで姿を現す。しかも、彼の目的はバーを葬るためだった。ところがバーは護送中に囚人たちから暴行を受け昏睡状態に陥っていた。バーの弁護を請け負っていたのはヘレン。彼女の父は検事で、父親に対してヘレンは反発をしていた。ヘレンはリーチャーを弁護側の捜査員として雇い、今回の事件の捜査に当たらせた。すると、そこに数々の疑問が浮上する。また、リーチャー自身も何者かによって罠を仕掛けられる・・
私評:本当に良いのか?後悔するぞ・・・めちゃめちゃカッコイイ~!!トム・クルーズが、また新しいキャラクターと出会いました。きっとこれはシリーズ化されますね!なんたってこの作品の原作はすでに17作品もリリースされています。いつもながらのアクションシーンもこの映画の楽しみですが、謎解き、そして悪党たちとの頭脳合戦もこの映画の見所。こういうサクッと見れる映画って大好きです。主演は「ミッション:インポッシブル」のトム・クルーズ。今回もノースタントでアクションをバンバンこなしています。ヘレン役は「サロゲート」「タイタンの逆襲」のロザムンド・パイク。彼女の父親役は「ラム・ダイアリー」のリチャード・ジェンキンス。そして射撃場のおっさんでリーチャーに協力するキャッシュ役には名優ロバート・デュヴァル。彼がめちゃめちゃカッコいいんです~!!監督は脚本家として活躍しているクリストファー・マッカリー。
燃えよ!じじィぃラゴン 龍虎激闘  監督 : デレク・クォック  出演 : ウォン・ヤウナム、ブルース・リャン
 2010年 香港映画
不動産会社に勤めるゲンチョンは虚弱体質で仕事もできないダメ社員。そんな彼が今回与えられた仕事は都市開発のために、ある寂れた村の買収交渉だった。村に着いたゲンチョンは子供をからかった事がきっかけでその兄のトンチンガイに痛めつけられる。そんな彼を救ったのがソンというじじぃ。彼の弟子になろうとゲンチョンは彼を追っていくと、彼はある茶屋に入っていった。そこはクェイという若い女の子が母の後を継いで経営していてソンと、もうひとりのじじぃセンもそこで働いていたのだ。かつてここはふたりのじじいの師匠であるローが営むクンフーの道場だったが、ローは武術大会で受けた傷が原因で昏睡状態になり、この店の2階で30年も眠り続けていた。体よく追い出されたゲンチョンは仕事のクライアントを訪ねるとそこにいたのは、かつてゲンチョンが苛めていたマン。彼はアメリカで大成功を納め、しかもクンフーで体を鍛えて、昔の面影はまったくない。マンはゲンチョンを連れて茶店を訪ね、ソンとセンを痛めつける。そんな時、突然ローが目を覚ました・・・・
私評:戦わなければ負けない。しかし、戦うからには勝て!・・・いいな~、この映画のノリの良さ。70年代、香港で一大ブームになったクンフー映画のオマージュ的作品。なんたって当時アクション映画で主役を張っていた60歳にもなるじじいたちが勢揃い。しかし、ブルース・リーの死後に突然バブルのように去っていったクンフー映画のブーム。主演だった彼らは脇役に回り、ついには銀幕から去っていったという不遇もあった。しかし、そんな経験が彼らの演技に味わいを加えている事は間違いない!しかも、当時を彷彿させるようなアクションを見せてくれるのです。なんだか涙が出そうでした。そして最後のバトルは意外な結果だったけど、なんだかとっても心がほっこり。ステキなシーンでした。ゲンチョン役は「イップ・マン」のウォン・ヤウナム。じじぃ軍団はソン役は「必殺ドラゴン鉄の爪」等で70年代のクンフー映画を牽引し、チャウ・シンチーの「カンフー・ハッスル」で見事な復活をしたブルース・リャン。今でもすごい体の切れです!セン役は「上海ドラゴン英雄拳」「空飛ぶギロチン」のチェン・クアンタイ。監督はデレク・クォック。
ストロベリーナイト ~インビジブルレイン~  監督 : 佐藤祐市  出演 : 竹内結子、西島秀俊、大沢たかお
 2012年 日本映画
中野東署の管内で殺人事件が起こり、バーで一緒だった姫川と菊田が現場に向かった。被害者は暴力団龍崎組傘下の「仁勇会」の下部組織「六龍会」の構成員の小林。多数の刺し傷と左目がたてに切り裂かれた死体は5日前と3日前に起きた殺人事件と同様の手口だった。3つの事件の被害者はすべて龍崎組の構成員のため内部抗争の可能性が高いと目されていた。そんな時、偶然忘れ物を取りに戻った姫川は「小林を殺したのは柳井健斗」というタレこみの電話を受けるが、管理官の橋爪から「柳井健斗には一切触れるな」という命令が下される。納得がいかない姫川とそのチームは単独で捜査を開始。そして9年前のある事件に辿り着く。柳井の部屋の張り込みをしていた姫川は、そこを訪ねてきたマキタという男に出会う。実は彼は龍崎会の若頭の牧田勲だった・・・・
私評:こんなの正義じゃない・・・2年前にテレビの単発ドラマとしてスタートした「ストロベリーナイト」。やがてテレビシリーズとなり、今回ついに映画化された。その人気の理由は主人公の姫川玲子という今までにない女性刑事のキャラクターにある。拭いきれない暗い過去を持つ彼女が刑事になり、そのトラウマと戦いながら一本義に正義を全うする姿がカッコいいんです!事件もけっこう血生臭い、ドロドロした話が多くて・・・。そして今回の映画ですが、ミステリーとしての楽しみも然ることながら、姫川と牧田の危険な関係、そして菊田との微妙な関係など人間ドラマもしっかり描かれています。そしてこの映画のこだわりが「雨」。ラストシーン以外はほとんど雨で、事件の陰惨さや重く湿った姫川の心情を現す素晴らしいアイテムになっています。主演は「はやぶさ」「チームバチスタの栄光」の竹内結子。最近はちょっとコミカルな役が多かったのですが、姫川役は彼女にピッタリ!牧田役には「終の信託」の大沢たかお、菊田役は「CUT」の西島秀俊。このふたりのキャラクターが対照的です。その他、TVシリーズからお馴染みの小出恵介、宇梶剛士、丸山隆平、高島政伸、生瀬勝久、そして小憎らしい武田鉄也。映画版のみの出演で染谷将太、金子賢、そして三浦友和!すごいメンバーです。監督は「キサラギ」の佐藤祐市。
つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語  監督 : 行定勲  出演 : 阿部寛、小泉今日子、野波麻帆、怱那汐里
 2012年 日本映画
伊豆大島でかつては妻の艶と一緒にレストランを営んでいた松生春二。しかし、今、艶は病身で病院のベッドに身を横たえ最期の時を迎えようとしている。松生はかつて艶が関わった男たちに連絡を取っている。艶の従兄で彼女が12歳の時に彼女を強姦して処女を奪った作家の石田。彼は艶との事を本にして賞をとった。そして艶の元夫の太田。彼はアパートのオーナーで不動産屋の女店員と情事を重ねている。そして艶の愛人だったと思われる男、橋川。彼と艶はメールでお互いを求めあっていたが、橋川は1年前に失踪している。島でスナックを経営している茅原優は、艶にストーカーのように追い回されていた。彼には今、百々子という美容師の恋人がいる。しかし、彼の子供を連れた女が本土からやってきた。一方、松生の元妻の山田早千子と娘の麻千子も、艶の見舞いのために大島へとやってきた・・・・
私評:結局、お前を愛したのは俺だけだ。ざまー見ろ!!・・・なんだかこの映画のストーリーはとても書きづらい。上に書いたのはそれぞれホンのさわり程度。石田と太田については映画の中では彼ら本人ではなく、石田の妻、そして太田の情事の相手が主役。しかし、それぞれの話の女たちを淡々と描いたこの映画は深い人間ドラマと言うより、ドロドロした愛欲、裏切り、嫉妬、そして掴みきれない不安定な愛が描かれている。各チャプター毎に女が登場するのですが、それぞれ違った重荷を抱えて生きているのです。1章目に登場は小泉今日子。彼女が荻野目慶子とひと悶着起こすシーンは必見。あのフェイント、凄すぎます!第2章は野波真帆。50男たちを掌で転がす女をセクシーに演じます。第3章は風吹ジュン。夫をとられた妻役。彼女の海辺の号泣シーンはすごい!第4章は真木よう子。彼女は最近出演作が多いですね。今回はけっこう奥手で大人しい女役。そして第5章は大竹しのぶと怱那汐里が母子を演じます。演技に拘る行定監督(「世界の中心で愛をさけぶ」「今度は愛妻家」)がこの錚々たる女優たちをすごい女に化かします。そして物語のナビゲーターでもある松生役は阿部寛。周りの女優が上手すぎて彼が目立たないくらい・・・。しかし、この映画の艶ってすごい女です。あれだけ好き勝手に生きて、男たちを翻弄して、だけど最後まで松生に愛されて・・・。女性が見るとまた違う感想なのかな~・・
DOCUMENTARY OF AKB48 少女たちは涙の後に何を見る?  監督 : 高橋栄樹  出演 : AKB48
 2012年 日本映画
2012年のAKB48は、出すCDは軒並みミリオン、東京ドームでの3日間の公演を行うが、その応募数はなんと84万通。不動のエース前田敦子の卒業など盛りだくさん。しかし、そんな彼女たちの周りからカメラはひと時も離れない・・・・
私評:私が女優になると言う夢をかなえる事でAKBに風穴を開けたい・・・何だかんだ言ってもメディアが常に追いかけるのはAKB48。とにかく彼女たちの露出はハンパない。そんな彼女たちの日常、そして舞台裏にカメラが密着して生の声、そして生の舞台裏を見せてくれるのがこの映画。このドキュメントは実は3作目で2作目は劇場で、1作目はWEBで観ました。ところがこれがまた、実に面白かった。そして今回の第3段はさらに面白い。2012年のAKB48の最大の事件と言えば前田敦子の卒業ですが、それが他のメンバーにどんな影響を与えたのか?そして週刊誌のネタになりHKTに異動になった指原莉乃。つい最近、峰岸みなみもスクープされ話題になりましたが、AKB48の“恋愛禁止”に関わる話や、総勢325名にもなるAKBファミリーの頂点で“総監督という立場で少女たちを統率する高橋みなみなど、表舞台の彼女たちではなく、裏の彼女たちを見る事ができのがこの映画。AKB48のファンならずとも一見の価値がある映画です。2013年、少女たちはどんな進化を見せるのか?


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