毎度のことながら・・、レビューを溜めてます。少しずつ書かねば!!
今回のイチ押しは切なくも美しい珠玉の人間ドラマ。
アルバート氏の人生 | 監督 : ロドリゴ・ガルシア | 出演 : グレン・クローズ、ミア・ワシコウスカ | |||
Albert Nobbs | 2012年 アイルランド映画 | ||||
今週のイチ押し:19世紀のアイルランド。アルバート・ノッブスは誰もが認める優秀なウエイター。細かな気配りと堅実なサービスで顧客も多い。そんな彼には誰にも言えない秘密が合った。実は“彼”は"彼女“。つまり女なのだ。彼女は14歳の時にウエイターの募集を見つけ、男と偽って職を得てからずっと男として生きてきたのだ。そんなある日、彼女の部屋にペンキ職人のヒューバートが泊まる事になった。そしてアルバートの秘密がばれてしまう。しかし、ヒューバートも秘密を抱えていた。自分の思うままに生きるヒューバートの人生に感化されアルバートも自分らしさを取り戻していく。そして彼女の長年の夢であった”小さな店を持つ“ことを実現させるため動き始める・・・ | |||||
私評:私と結婚してください・・・名女優グレン・クローズが1982年にオフ・ブロードウェイの舞台で「アルバート・ノッブス」を演じてから30年。以来、彼女はずっと映画化を夢見てきたそうです。そしてついにその夢が叶った。この映画はコミカルな演出の前半と、嗚咽しそうになるくらい切ない後半のバランスが絶妙です。自分らしさを封じ込めて生きる事はとっても空しい。そういう意味では、この作品のアルバートは自らの性別までも偽り、自分のしたい事もせずに40年もコツコツと生きてきた。しかし、ヒューバートとの出会いから彼女がどんどん変化していく。その表情たるや・・・、まさに感動でした。主演は「危険な情事」のグレン・クローズ。ヒューバート役には「ウーマン・イン・ブラック 悪霊の館」のジャネット・マクティア、アルバートが心を寄せる若いメイド役には「永遠の僕のたち」「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ、ホテルのボイラー職人の若者役は「キック・アス」のアーロン・ジョンソン。監督は「パッセンジャーズ」のロドリゴ・ガルシア。 | |||||
鈴木先生 | 監督 : 河合勇人 | 出演 : 長谷川博巳、土谷太鳳 | |||
2013年 日本映画 | |||||
中学校の教師の鈴木章は、理想のクラスを作る上で必要なスペシャルファクターとして、ひとりの女子生徒・小川蘇美を重視していた。しかし、そうしているうちに蘇美の魅力にとりつかれ、教師としてはあるまじき妄想をしてしまう。妊娠中の妻・麻美に心配をかけまいと、なんとか自分を律して日々を過ごしている。そんなある日、彼の天敵が復職する。女教師の足子だ。彼女は学校に戻るなり自身の理想を高々と掲げた。そして近く行われる生徒会の総選挙の投票率を上げようと教師たちに訴えた。一方、この中学の卒業生の風間と田辺は引きこもりになり、ようやく近所の公園で自分たちの居場所を確保するが、中学校からの要請で喫煙スペースが排除され、彼らは“不審者”とみなされてしまう。行き場を失った田辺は家庭内暴力を起こし、逮捕されてしまうが・・・・ | |||||
私評:俺は教育だけが世界を変えられると思っている・・・テレビ東京で放送されていたドラマが映画化された、放送当初は視聴率2%と低迷していたが、ドラマの質の高さから徐々に人気が出てきた作品です。私もDVDを借りたり、ネットで見たりしていました。この作品の面白さは教師と生徒が同じ目線で描かれている事。鈴木先生も完璧ではなく不安を抱えながら、そして教師ではあるまじき行動をしたりするところがすごく身近に感じる。しかし、一度口を開けば彼の理想と生徒への愛情が次々と溢れ出してくる。伝説の学校ドラマは数々あれど、「鈴木先生」はそれらと肩を並べるくらいの名作です。鈴木先生役は「家政婦のミタ」の長谷川博巳、彼の妻役は「色即ゼネレーション」の臼田あさ美、彼の同僚には「ふがいない僕は空を見た」の田畑智子、そして小川蘇美役は土屋太鳳ちゃん。彼女がとても印象的です。監督は河合勇人。 | |||||
東京家族 | 監督 : 山田洋二 | 出演 : 橋爪功、吉行和子、妻夫木聡 | |||
2012年 日本映画 | |||||
瀬戸内海の小さな島に住む平山周吉ととみこは、東京に住む子供たちに会うために上京した。長男の幸一は開業医で妻と二人の息子がいる。長女の滋子は美容院を営み、夫はサラリーマン。そして末っ子の昌次は映画や芝居の美術セットの作成をしている。幸一の家に着いた周吉ととみこは歓迎されるが、翌日幸一家族と東京見物をするはずが急患が入り、ピンチヒッターで昌次がふたりをバスツアーに連れ出した。滋子の家に移ってもふたりは何をする訳でもなく、厄介払いのようにホテルに行かされるが間が持たない。いよいよ家に帰る事を決めたふたりは、それぞれ気になっている場所を尋ねることにした。周吉は昔の同僚を訪ね、とみこは昌次の家を訪ねた。周吉は止めていた酒を煽り、滋子の美容室で大暴れをしてしまう。一方のとみこは昌次の恋人の紀子を紹介される。ひと目で紀子を気に入ったとみこは、翌日ニコニコで帰宅する。しかし、その直後とみこは幸一の家で倒れ、病院に担ぎ込まれてしまう。そして翌日の朝、とみこは静かに息を引き取った・・・・ | |||||
私評:東京に来て、本当に良かった!・・・・昭和の名匠・小津安二郎監督の名作中の名作「東京物語」をベースに、今も元気に活躍中の名匠、山田洋次監督が作り上げた平成の家族の物語。そこに起こるのはどこの家族にもあるごく普通の出来事。しかし、そこにフォーカスを当てると、在り来りな日常がとんでもないドラマになるんですね。小津監督作品の特徴である“淡々とした口調”は、この映画でも取り入れられているようだ。周吉の口調は、まさに笠智衆と同じトーンでした。しかし、“小津節”だけを利かせている訳ではなく、きっちりと“山田節”も取り入れてあります。昭和と現代の違いもうまい具合に取り入れられていて、今の若い人にもとっつき易い作品になっている。出演者は橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中島朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優という個性豊かな役者が勢ぞろい。中でも蒼井優はすごく良かったな~・・・。監督は「男はつらいよ」「おとうと」「母べえ」「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」と常にヒット作を作り続ける山田洋次。 | |||||
ロンドンゾンビ紀行 | 監督 : マティアス・ハーネー | 出演 :ハリー・トリーダウェイ、ラスムス・ハーディカー | |||
Cockneys Vs Zombies | 2012年 イギリス映画 | ||||
イースト・ロンドンの工事現場で古代遺跡が発見された。中に入り込んだふたりの作業員に突然遺体が襲いかかる。そこは封印された呪われた墓地だったのだ。アンディとテリーの兄弟と従姉のケイティ、そしてふたりの仲間は祖父が入居している老人ホームが財政難のために取り壊されると知り、銀行強盗を思い立った。人質を取り250万ポンドを強奪した彼らを待ち受けていたのは大量の警察隊。しかし・・・、その背後にはおびただしい数のゾンビがいて、あっという間に警官たちをゾンビに変えてしまう。兄弟はなんとかその場を逃げ出し、祖父のいる老人ホームへと向かった。しかし、老人ホームもすでにゾンビの襲来を受けていた。大量の重火器を持ちこんだ兄弟は老人たちとゾンビ征伐を始めるが・・・・ | |||||
私評:ゾンビ怖いよ~・・・「28日後・・・」「ショーン・オブ・ザ・デッド」等でロンドンもすっかりゾンビのメッカになりましたね。今回はおバカな若者たちと老人ホームのジジババが手を組んで、ゾンビ軍団に立ち向かいます。しかも、軍隊並みの重火器を手に大暴れ。痛快で、しかも大爆笑のゾンビ映画でした。特に老人軍団とゾンビの対決が笑えます。老人の動きが遅いため、最近流行りの"走るゾンビ“は御法度。ノロノロのチェイスは大爆笑でした。おバカ兄弟はハリー・トリーダウェイ&ラスムス・ハーディカー、ケイティ役はTVシリーズ「バイオニック・ウーマン」で人気爆発のミシェル・ライアン。兄弟の祖父役は「エクソシスト・ビギンズ」のアラン・フォード、そして元気なおばあちゃんは「007ゴールドフィンガー」のプッシー・ガロアや「おませなツインキー」でお馴染みのオナー・ブラックマン!!監督はこれが劇場初長編となるマティアス・ハーネー。 | |||||