2008/1/22

すごくゆっくりのペースで映画を見ています。
今回の一押しは感動の戦争映画と、デップ&バートンの話題作

勇者たちの戦場  監督:アーウィン・ウィンクラー  出演:サミュエル・L・ジャクソン、ジェシカ・ビール
Home Of The Brave  2006年 アメリカ映画
今週のイチ押し:アメリカ占領下でのイラク。しかし、テロ行為は絶えることなく戦士たちは長きにわたり駐留を強いられていた。しかし、前線基地のデルタの兵士たちに帰還の許可が降りた。帰国を心待ちにしている彼らの最後の任務下された。それは医療機器と医師たちを運ぶという簡単な任務と誰もが思っていた。ところが現地に到着した彼らはテロリストの奇襲にあってしまう。トミーとその親友ジョーダンは必死に応戦するが、トミーの目の前でジョーダンが敵の銃撃に遭い命を落としてしまう。車両課のヴァネッサは路上に仕掛けられた爆弾で重症。そしてジャマールは一般市民の女性を射殺・・・。それぞれが心に大きな痛手を負ったまま母国に帰国するが・
私評:「息苦しくて涙が止まらないんだ。」「それは私も同じよ」・・・あらすじに書いたのは映画の冒頭20分の出来事。壮絶な戦闘シーンで頭の先からつま先まで痺れてしまったあとは、社会復帰できない戦士たちの苦悩や怒りが切々と語られます。私はもちろん戦争に行ったこともなければ、人に銃を向けたこともありませんが彼らの感情を(たぶんわずかでしかありませんが)掬い取ることができたような気がします。そしてある者はトラウマを振り払い、新たな一歩を歩み始める、ある者は精神的なプレッシャーから逃げ出せず、そしてある者は戦場へと帰っていく。この作品は戦争アクション映画ではなく、戦場で抱えたトラウマを抱えた兵士たちの深い人間ドラマなのです。出演はサミュエル・L・ジャクソン、ジェシカ・ビール、ブライアン・プレスリーと新旧の個性は俳優が揃いました。監督は「海辺の家」「5線譜のラブレター」のアーウィン・ウィンクラー
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師  監督:ティム・バートン  出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーター
 2008年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ロンドンに一隻の船が入港してきた。その船で異彩を放つ不思議な男がいた。彼はスゥイーニー・トッドと名乗った。ロンドンに降り立った彼はまっすぐに、フリート街のパイ屋を目指した。かつて、彼はベンジャミン・バーカーと名乗り、理髪店を営み小さいながらも幸せな日々を送っていた。しかし、美しい彼の妻に横恋慕したターピン判事により、彼は無実の罪を着せられ終身刑になってしまったのだ。あれから15年、ベンジャミンはスウィーニー・トッドと改名し、ターピンへの復讐を胸に生きながらえてきたのだ。パイ屋の女主人のミセス・ラベットから、その後の妻と娘の事を聞かされ、さらに憎悪を滾らすトッド。彼は理髪店を再会し、ターピンへの復讐の時期を虎視眈々と狙っていた。その間も彼はこの世の悪と思われる男たちを次々と殺し、その人肉をラベットがパイにして売っていた・・・
私評:リ〜ベンジ〜♪リ〜ベン〜ジ♪・・・いまや世界一の人気俳優?ジョニー・デップの新作。しかし、今回の映画はR15指定のかなり強烈な映画。血の量が半端じゃないです。しかも、今回の作品はミュージカルなのでジョニー・デップを初め出演者がみんなが歌いまくります。これがまた、皆さんお上手でビックリ!私はてっきりブラックコメディだと思っていたのですが、かなりシリアスな作品でした。しかし、この映画をティム・バートンが選んだのは正解でした。というのも、彼の出世作である「バットマン」のテイストなんですね。私はとにかくこの映画に魅了され、最初から最後までうっとりと見ていました・・。出演はティム監督とは6度目のコンビになるジョニー・デップ。そしてミセス・ラベット役はヘレナ・ボナム・カーター。彼女は本当にすごいです。「眺めのいい部屋」の時の純真な少女がこんなに○○になってしまうなんて・・・。そして憎きターピン役はスナイプ先生役が有名なアラン・リックマン。彼はやっぱり悪役が似合う!サントラ盤買いました!
パルス  監督 : ジム・ソンゼロ  出演:クリステン・ベル、イアン・サマーハルダー
Pulse  2006年 アメリカ映画

大学図書館をふらふらと歩く学生のジョシュ。彼の視界には怪しい白い人影がついて回る。車のミラー、窓ガラス、そして図書館の本の隙間にも・・。そしてついに彼の目の前に何かが現れた。それから1週間後。ジョシュの元恋人のマティは、いまだに彼に未練を持っている。そんな時、ジョシュからの留守電を聞いたマティは何やら異変を感じ彼の住むアパートに向かった。そこには魂を抜かれたようにぼんやりしたジョシュがいた。そしてほんのわずかな隙を見て、彼は首を吊って死んでしまう。トラウマを抱えたマティを友人たちがチャットで励ますが、そこに突然死んだはずのジョシュからのメッセージが入り込む「Help Me Help Me Help Me・・・・」。性質の悪いいたずらと思った友人のストーンはジョシュのアパートを訪ねるがそこにPCはなかった・・・

私評:幽霊に会いたいですか?・・・これは黒沢清監督の「回路」のアメリカ版リメイクです。これはけっこう怖かったですよ〜!当初はホラー映画の大御所、「エルム街の悪夢」のウェス・クレイブンが監督をするということでかなり期待したのですが、結局は脚本に名を連ねただけ。しかし、「エルム街・・」を思わせるシーンがあり、私は思わずニヤリとしてしまいました。「回路」は迷宮に入り込むような複雑で、しかも独特のスローテンポが印象的だったのですが、ハリウッド版はストレートで、かなり分かりやすく作られています。これは映画的には成功だったと思います。しかし、「回路」で印象的だった"袋をかぶった男やラストの"飛行機などが、いい感じで取り入れられていてオリジナル版へのリスペクトを感じました。主演はテレビシリーズ「HEROS」のクリステン・ベル。彼女と一緒に事件を追う青年は「LOST」のイアン・サマーハルダー。そして「Be Cool」で新人歌姫を演じたクリスティナ・ミリアンがマティの友人役で登場します。監督は新人のジム・ソンゼロ。
アース  監督:アレステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド  出演:ホッキョクグマ、ライオン、アフリカゾウ
Earth  2007年 ドイツ・イギリス映画
北極の長い冬が終わり、春の訪れとともにホッキョクグマの親子が顔を出した。しかし、地球温暖化の影響で氷の溶けが年々早くなる。それは彼らにとっては死活問題。少し南下してカナダのツンドラ地帯ではカリブーの群れが大移動を行う。それを虎視眈々と見つめているオオカミの群れ。また、南下するとそこは広葉樹が広がる。命を育む美しい自然は私たちの目を捕らえて離さない。赤道直下の熱帯雨林は生命の宝庫。地球上のわずか3%の面積に地球上の動植物の約半数が生きている。やがてカメラはサバンナ、そして母なる海、そして南極へと至る・・
私評:地球は奇跡の星なのだ・・・私はこういうドキュメンタリーは大好きです。「ディープ・ブルー」「プラネット・アース」「WATARIDORI」そして「皇帝ペンギン」とすべてを映画館で見てきました。そして今回の「アース」はそれらの集大成とも言える映画です。とにかく現在地上にある大自然の美しさ、壮大さ、そしてその息吹を最新型のハイテクカメラで撮影。そして今まで見ることができなかった映像をこれでもか!というくらいに見せ付けてくれます。そして今回、特にこの映画を映画館で見ていただきたい理由は「音響」です。真夜中のサバンナのライオンの咆哮、海中に響き渡る鯨の鳴き声、そして雄大な滝の壮絶な音。それらは音響のすばらしい映画館でぜひとも体感していただきたい。そしてもうひとつ、この映画は地球温暖化を始めとする、地球が現在抱えている自然に対する問題も提起しています。「不都合な真実」とセットでご覧になられることをお勧めしたい。私たちが生きているこの星を、もっともっと知りたい。それは私だけが思っていることではないでしょう??
Hey Japanese! Do You Believe Peace, Love and Understanding?2008 2008年、イマドキジャパニーズよ。愛と平和と理解を信じるかい?  監督:松村亮太郎  出演:いしだ壱成、原田佳奈、神田沙也加、小松千春
 2007年 日本映画
東京のどこかの街・・。1台のバンから降りてきた女子校生が3人。コンビニエンスストアを目指す。そこで彼らは店長にXXしながら万引きをし放題。店を出た娼婦は彼女にフラれたばかりの男に目をつけラブホテルに連れ込む。そこで二人は不思議な時間を共有する。あるアパートではニートの男がふたり、合コンで出会った女子校生の話で盛り上がっている。しかし、その女子校生は怪しい男たちに監禁されていた。また、どこかの家ではお通夜の真っ最中。そこに若い妊婦がやってくる。彼女が言うには、その家の主人との間にできた子供だという。そしてついにはその家の妻との壮絶な舌戦を繰り広げることに。同じ時間を共有するジャパニーズたちの慌しい一夜が、凄まじい勢いで過ぎていく・・
私評:登場人物は総勢58名!そんな彼らが絡まりあって、もつれ合って、そして不思議な時間を紡いでいく。細かいエピソードをごちゃ混ぜにしたこの映画はさながら「闇鍋」映画とでも言うべきか??しかし、そのごった煮感を独特の演出で一気に見せてしまうのがこの映画。見終わった後は、なんだか台風が去った後のような、そして長距離を走り終えた後のような感じがしました。この疾走感は編集のうまさと、音楽の使い方のうまさが秀でているからでしょう。出演は松田聖子の娘:神田沙也加、桜塚やっくん、鈴木沙羽、原田佳奈、橋本じゅん・・・などなど。監督は松村亮太郎
はじらい  監督:ジャン・クロード=ブリソー  出演:フレデリック・ヴァン・デン・ドリエッシュ
 2006年 フランス映画
画像がないんです・・ 新作の構想を練る映画監督のフランソワは、映画出演に興味を示す何人もの女性と面談するが、重要なシーンのカメラテストを前に女性たちは次々と去って行く。今回の作品の根底にあるテーマは「官能」、そして「タブー」。そして彼はカメラの前での女優たちにマスターベーションをすることを要求した。そんな中、ジュリー、シャーロット、ステファニーの3人が残る。彼女たちはカメラをあることを忘れ、カメラに官能を刻み込んでいく。そしてついには3人がひとつのベッドで絡み合い、快楽を貪るにまでいたる。ようやく手に入れた理想の女優たちに満足するフワンソワだったが、彼女たちの心の内には気づいていなかった・・
私評:私の孫をあまり苛めないでおくれ・・・いわくつきの映画というのはよくありますが、この映画はすごい。監督のジャン・クロード=ブリソーは前作の「ひめごと」の撮影中に女優たちにセクハラで訴えられ、1年間の執行猶予と多額の賠償金を支払わされたのです。まさに、この映画は「俺はそんなことしてねーよ」と訴えるために作られたのでは?と勘ぐってしまう。しかし、監督自身は「ひめごと」より前にこの映画を着想していたといっているのですが・・。というわけで、この映画はR18指定。しかし、美しい女優たちの妖艶な演技は一見の価値ありです。そしてこの女たちを監督に結びつけるのが、劇中に登場する(たぶん)天使と悪魔の女性。これもちょっと監督の言い訳がましい演出なのですが・・・。出演は監督役にフレデリック・ヴァン・デン・ドリエッシュ、女優たちはマルーシア・デュブリワ、リーズ・ベリンク、マリー・アラン。


前回の記事も読んでね〜!



I Love Movieに戻る