2011/1/17

今年一番のオスカー候補作を押しのけ
私のイチ押しはやはりホラー映画です!

デッドクリフ  監督:アベル・フェリー  出演:ファニー・ヴァレット、ラファエル・レントレット
Vertige  2009年 フランス映画
今週のイチ押し:クロアチアの大自然の中、ロッククライミングに向かう一行がいた。登山経験豊かなフレッドとその恋人カリーヌ、看護師のクロエとその恋人のルイック、そしてクロエの元彼のギョームの5人だ。彼らが目指す山に差し掛かるとそこには立ち入り禁止の表示があったが、フレッドはみんなをリードして崖を登り始めた。彼らの罪悪感も最初のうちだけで、絶壁からの素晴らしい眺めは彼らをハイにした。そしてついに今回のクライマックスである高さ200mの高さに架かる吊り橋へと辿り着いた。橋の途中でパニックになるルイックが渡り終えたその瞬間、橋を支えるワイヤーが外れかかる。最後に吊り橋に残っていたカリーヌは命綱一本でワイヤーにぶら下がり・・・・。山から出るために垂直の断崖を登り始めるフレッドとカリーヌ。山の上で彼らを待ち受けていたものとは??・・・・
私評:こんな山はガキでも登れるぜ・・・昨年末に突如として公開を知ったこの映画。しかし、なんともイージーなネーミングです。確かに「クリフハンガー」とホラーをくっつけたような内容なのでピッタリではあるのですが・・。しかも「レッドクリフ」に響きも似ているし・・この映画は低予算で作ったため特撮などほとんどありません。したがって、絶壁をよじ登るシーンなどは全てホンモノ。しかも、メンバーのひとりがパニックになるシーンでは崖下に向かってカメラをグルグル振り回すので、(クレヨンしんちゃん風に言えば・・)お股がヒューンとしてしまいました。高所恐怖症の私には特に刺激が強かったです。ところが途中からこの山に住む変な男が登場し、物語はスプラッターホラーに変わっていきます。強引とも思える展開ですが、これもありですよね。そして歪んだ人間ドラマにも、ニヤリとさせられてしまった・・・。主演のクロエを演じるのはフランスのTVシリーズで活躍するファニー・ヴァレット。ホラー映画に付き物の”巨乳”を揺らしながら走り回ります。ルイック役は「ルビー&カンタン」のジョアン・リベロー。彼は映画では初心者の設定ですが、実はかなりの登山家らしい。でないと、あんなシーンは撮影できないですね。監督はこれまた登山愛好家のアベル・フェリー。最近のフランス製ホラー映画はやっぱり面白い!!
僕と妻の1778の物語  監督:星護  出演:草彅剛、竹内結子
 2011年 日本映画
SF作家の朔太郎と銀行勤めの節子は仲睦まじい夫婦。仕事柄、空想が大好きでちょっと間が抜けた感のある朔太郎だったが、節子はそんな朔太郎を理解し、彼の作品の一番の理解者でもあった。そんなある日、節子は妊娠検査で病院に行くが、大腸ガンが見つかってしまう。すぐに手術が行われたが、節子の体内ではすでにガンがあちこちに転移していて助かる見込みはなかった。医者は余命が1年と告げた。自宅に戻った節子のために朔太郎は何かしようとするがやる事なす事、失敗ばかり。そんな時、担当の医師から「笑い」が免疫力をあげるという話を聞き、彼は節子のために毎日短い小説を書き、彼女を笑わせる事を決意する。こうして世界でただ一人の読者のための創作活動が始まった。彼の小説は節子に笑顔をもたらした。そんな彼の努力が実ったのか、節子は治療を開始してから4年間も生き続けた。しかし、病魔は着実に彼女の体を蝕んでいた・・・・
私評:とうとう最終回になってしまいました・・・SF作家の眉村卓さんと亡くなった奥様の話がベースになった実話です。私は実際に眉村さんが書いた「日がわり1話」と「日がわり1話 第2集」は、5-6年前に読んでいて、奥様とのいきさつも知っていました。しかし、5年間も毎日書き続けたという事がすごい。継続は力なりと言うけど、それだけのアイデアを絞りだしたという事に驚きです。私は映画の中で朔太郎が創作した小説が挿入されるシーンがまた好きです・・。また、映画の中で朔太郎が小説を書いてきた事に対して“懺悔”をするシーンのセリフには泣かされました・・。私を含め、映画館の中の人たちはほとんどが号泣でした。主演は「BALLAD 名もなき恋のうた」「日本沈没」の草彅剛。彼ってセリフも棒読みだし、演技がうまい役者だとは思わないのですが、今回の朔太郎役はピッタリでした。節子役は「チーム・バチスタの栄光」「ゴールデン・スランバー」の竹内結子。いつもは元気はつらつなイメージの彼女がこの役を演じているところが良いんです!実はこのふたり「黄泉がえり」で共演しているんですよね。その他、谷原章介、大杉漣、吉瀬美智子、風吹ジュンなどが脇を固めています。監督は星護。
ソーシャル・ネットワーク  監督 :デヴィッド・フィンチャー  出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド
The Social Network  2010年 アメリカ映画
2003年.ハーバード大学に通うマーク・ザッカーバーグは天才的な頭脳でインターネットを操っていた。彼が最初に作ったのは寮生の女性たちの写真をハッキングして盗み、対抗戦で投票させて勝負をさせるサイト。大学の全女性を敵に回したマークだったが、彼の才能はさらにすごいウェブサイトを作り上げた。大学内のサイトに自分の登録をするだけで、友達を増やし語り合う事が出来る「ザ・フェイスブック」は瞬く間に大学生の間に広まって行く。マークと親友のエドゥアルドは「ザ・フェイスブック」を育て、ハーバードだけではなく他校へも拡大をしていく。しかし、マークに最初にハーバード内での“ともだちサイト”を提案したウィンクルボスは、勝手に独り歩きを始めたSNSサイトに怒りを隠せない。そんな時、マークは音楽ダウンロードソフト“ナップスター”を創設したショーン・パーカーと出会う。ショーンの言葉にマークはどんどん傾倒していく。しかし、ショーンを警戒するエドゥアルドは、徐々にマークとの間に溝を築いてしまう・・
私評:「ザ」は取った方がいい。フェイスブックの方がクールだ・・・今年のアカデミー賞の最有力候補です。現在、世界で5億人が使っている最大のSNSサイト「フェイスブック」の誕生と成功の過程、そしてその成功と引き換えに多くの物を失ったマークの姿を描いている。しかし、それは自業自得で、映画の前半でマークが恋人から浴びせられるセリフが全てを現しているのです。天は二物を与えず・・、天才的頭脳を持ちながらも、人との交流が下手すぎる主人公はある意味、悲しい人間に見えました。私は地元の映画館で観たのですが、けっこうお年寄りが多くて、映画の後に「カタカナが多すぎて意味が分からない」という声が聞こえてきました。確かにこの映画はインターネットやSNSについてある程度の知識がないと、まったく分からない映画かもしれません・・・。主演は「ゾンビランド」でも虚弱オタクを演じたジェシー・アイゼンバーグ。すごいセリフの量を立て板に水を流すように喋りまくる芝居はすごいです。エドゥアルド役は新しい“スパイダーマン”のピーター・パーカーに抜擢されたアンドリュー・ガーフィールド。ショーン・パーカー役は歌手として有名なジャスティン・ティンバーレイク。監督は「セブン」「ファイトクラブ」「エイリアン3」のデヴィッド・フィンチャー。
スプライス  監督 :ヴィンチェンゾ・ナタリ  出演 : エイドリアン・ブロディ、サラ・ポーリー
Splice  2008年 アメリカ映画
遺伝子操作の実験の科学者クライブとエルサの作り出した新たな生命体。それは肉の塊のようなその生物で“つがい”になり、それらからは人類の病気の治療を飛躍的に助けるたんぱく質を抽出することに成功した。そしてついにそれらを観衆の前で公開したその時、2匹は殺し合いを始める・・・。しかし、エルサは新たな実験に取り組み始める。それは肉の塊の生命体に人間の卵子を組み込むことだった。それは法と倫理を犯す禁断の実験だった。そして彼らは新たな生命体を産み出し“ドレン”と名付けられた。ドレンは急速に成長し“女”へと変貌を遂げていく。高い知能も備わったドレンだったが、彼女はクライブに淡い感情を抱きはじめる。そして彼女の魅力の前でクライブは理性を失ってしまう・・・・
私評:失うものなんかないわ・・・2008年に製作され、危うくお蔵入りしそうになっていた映画が、都内で1館だけの公開になった。禁断の領域へと踏み込んだ科学者の夫婦と新生物が、まるで家族のように過ごす前半。しかし、物語は急転直下、恐ろしい結末へとひた走って行きます。チープさは隠せないのですが、私はけっこう好きな映画です。色々な生物の特性を持ったドレンの変身ぶりには思わず「お~!」と感嘆の声を出してしまいました。オチはなんとなく読めましたが・・・。主演は「プレデターズ」「ジャーロ」のエイドリアン・ブロディと「ドーン・オブ・ザ・デッド」のサラ・ポーリー。豪華な顔合わせです!そしてビックリなのですが、この映画の製作総指揮は「ヘルボーイ」のギルレモ・デル・トロと「マトリックス」シリーズのジョエル・シルバーなんですね。監督は「CUBE」のヴィンチェン・ナタリ。


前回の記事も読んでね~!



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