2005/1/11

今回は小粒だけど見逃すことはできないミニシアター系が中心。
イチ押しは感動のリアル・ストーリー。

五線譜のラブレター  監督:アーウィン・ウィンクラー  出演:ケビン・クライン、アシュレイ・ジャド
De-Lovely  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:1964年、音楽家のコール・ポーターは孤独の中で人生の最後の時を静かに過ごしていた。するとそこにひとりの男が現れ、ポーターを古びた劇場へと誘った。彼の名前はゲイブ。ゲイブの号令でステージの上には、ポーターの人生の縁の人々が次々と現れた。ポーターの人生を辿る「ショー」が始まった。1920年代。ポーターはパリで悠々自適な生活を送っていた。彼は社交界の集まりで、一人の女性に目を付けた。彼女は「パリで最も美しい離婚女性」と歌われたリンダ・リーだった。ふたりは交際を始めついには結婚に至った。ふたりは生活の場をヴェニスに移し、音楽活動がスランプだったポーターの新たなスタートの地にした。そんなある日、彼らの元に人気作曲家のアーヴィング・バーリンが訪れる。ポーターの才能を見抜いたアーヴィングは、ブロードウェイの仕事をポーターに紹介した。「自信がない」と弱気なポーターを後押ししたのは妻のリンダ。そして彼女の予言どおりポーターは大成功を納めた。そして彼は一躍時の人となり、多忙な毎日を送ることになるが、いつも彼の隣にはリンダの姿があった。しかし、ハリウッドへの進出を折りに彼は自堕落に陥り、リンダも彼の元を去ってしまう。そして事もあろうか落馬の事故で、両足の自由まで奪われてしまった・・・
私評:僕の歌はすべて君の歌だった・・・・コール・ポーターと言えば粋なプレイボーイというイメージがある。しかし、彼が紡ぎだした名曲の数々はまさに宝石。音楽に詳しくない人でも「ビギン・ザ・ビギン」や「エニシング・ゴーズ」などは知っているでしょう!?実際、彼が作った歌は870曲もあるのだそうですが、私はそのうちの数十曲しか知りません。ところが、この映画に登場する曲はいわゆる彼のスタンダードで有名な曲ばかり。にわかファンの私でさえ、つい口ずさんでしまいました。それくらいコール・ポーターの曲は有名なんですよね〜。そんな彼の波乱万丈な人生がミュージカルの舞台と相俟って、ドラマを築き上げて行きます。その展開は本当に素晴らしいです。そんなコ−ルを演じるのはオールマイティな役者ケビン・クライン。まさに、彼のはまり役。そしてリンダを演じるのは美しさに磨きが掛かったアシュレイ・ジャド。彼女もまさに「粋な女」が似合う女優です。そして注目すべきはコールの歌を歌い上げるミュージシャンたち。ナタリー・コール、シェリル・クロウ、エルヴィス・コステロ、ロビー・ウィリアムス、マリオ・フラングリース・・・・。ちなみに私が一番好きなコールの歌は「So In Love」です。
巴里の恋愛協奏曲  監督 :アラン・レネ  出演:サビーヌ・アゼマ、オドレイ・トトゥ
Pas Sur La Bouche  2003年 フランス映画
1920年代のパリ。リッチな結婚生活を送っている実業家ジョルジュと美しい妻ジルベルト。だが、妻は刺激を求めて男との火遊びがやめられない。目下の相手は若き芸術家シャルレ。彼はいつしか本気でジルベルトを愛し始めていた。ところが、恋とはうまく行かないもの。若く美しい娘ユゲットがシャルレにお熱を上げている。そんなある日、ジルベルトの前に、「彼女の過去を知る」男が現れる。女の扱いはお手の物と豪語するジョルジュが、仕事で知り合い自宅に招いた男性こそ、なんと、ジルベルトの元夫のアメリカ人。こうしてジョルジュ夫妻、シャルレ、ユゲットに元夫、そしてジルベルトの妹、アルベルトをも巻き込み思わぬ展開へと進んでいく。果たして恋の行方は??・・・・・
私評:メルシー、メルシー、まだ、見ていてくれたのですね〜♪小粋なフレンチミュージカルは、毒気も多いけどなんともオシャレです。そしてフランス語の歌というのがとても耳に心地良いのです。しかも、今回は吹き替えなしで、出演者がみんな自分で歌って踊って・・。映画のチラシや予告だけ見ると、なんとなくオドレィ・トトゥが主演のようですが、彼女は脇役。主演はサビーヌ・アゼマ。しかし、彼女なんてすっかりオバアさんなのに、この映画ではモテモテの人妻役。この辺りからギャグなのでしょうか?(笑)彼女はレネ監督の「恋するシャンソン」にも出演していましたね。そして注目はアメリカ人元夫を演じるランベール・ウィルソン。「マトリックス リローデッド」でフランス語を巧みに操った彼が、この映画では逆に英語を巧に操ります。そしてこの映画の狂言師役で登場のダニエル・プレヴォーには大爆笑(なんと彼はアパートの「女」管理人役で登場します)。そしてもちろんキュートなオドレイ・トトゥにも要注目。アメリカのミュージカルとはひと味違った、フレンチミュージカル。監督は御歳80歳を超えてもいまだ現役の、アラン・レネです。
ホワイト・ライズ  監督 : ポール・マクギガン  出演:ジョシュ・ハートネット、ダイアン・クルーガー
Wicker Park  2004年 アメリカ映画
広告代理店に勤めるマシューは故郷のシカゴに戻っていた。中国の会社とのビジネスを成功させた彼は婚約者を交え、祝杯をあげていた。その時、彼はひとりの女性を目撃する。それは2年前に彼の前から忽然と姿を消してしまった女性リサだった。2年前、彼は彼女にひと目惚れをした。そして運命に導かれるかのように二人は近づき、そして付き合うようになった。別れの理由も分からぬまま、彼の元を去ったリサが目の前に・・。彼はリサを探す事を決意する。彼女がいた電話ボックスに残されていたホテルの鍵。そしてついに彼はあるアパートへと辿り着く。そこには忘れかけていたリサの匂いが残っていた。しかし、彼の目の前に現れたのは、やはり「リサ」と名乗る別の女だった。その場の雰囲気から一夜を共にしたふたり。果たしてふたりのリサの関係とは?そして2年間ずっと隠されていたある真実が浮かび上がる・・・・・
私評:もちろん、答えはYESよ・・・・一面の雪が本当に美しいシカゴの街。そこで繰り広げられる男と女のミステリー。前半で多くの謎を観客に振り、後半に一気に解き明かしていく演出は実に面白かった。小さな事でもネタバレになりそうなので、あまり書けませんが実に巧妙であるかのような「謎」は、真っ直ぐに人を好きなったからこそ起きてしまった「嘘」の積み重ねだったのです。映画は過去と現在を行ったり来たりしながら、欠けていたパズルのピースをひとつひとつはめ込んで行くような展開。最後にピタッと収まるのですが、思わず膝を叩きたくなるような演出でした。主演はジョシュ・ハートネット。リサを必死に追うのはイイのですが、仕事は放り出す、婚約者は騙すといういい加減な男。それが私的には、なんとなくドラマの感動を削ぎ取っているんですよね〜。昔のリサ役は輝くような美しさのダイアン・クルーガー。「ミシェル・ヴァイヨン」「トロイ」そしてこの作品とどれをとっても彼女は本当に美しい。そしてもうひとりのリサはやはり「トロイ」でブラピのハートを奪った(?)ローズ・バーン。そしてマシューの親友役で「スクリーム」のマシュー・リーランドが出演しています。監督は「ギャングスター・No.1」のポール・マクギガンです。
TAXI NY  監督:ティム・ストーリー  出演:クイーン・ラティファ、ジミー・ファロン
Taxi  2004年 アメリカ映画
ニューヨークの町を1台の自転車で疾走する。ヘルメットを脱いだ彼女は今日限りで自転車便の仕事を辞め、彼女の希望だったタクシーの運転手になった。彼女の名前はベル。自らチューンナップしたタクシーが轟音を轟かせ街へと繰り出した。彼女の最初の客はビジネスマン。渋滞の町中を縫うように彼女のタクシーは疾走した。一方、NYPDのドジな刑事ウォッシュバーンは覆面捜査中。しかし、車の運転が苦手は彼は犯人を取り逃がし、しかも甚大な被害を及ぼしてしまう。彼のGFで上司のマータも呆れ顔。そして彼は巡査に格下げになってしまう。そんな時、彼は銀行強盗事件に遭遇。偶然通りかかったベルのタクシーに乗り込んだ彼は、犯人のBMWと壮絶なカーチェイスを繰り広げるが、惜しくも犯人を逃してしまう。汚名挽回とベルと張り込みをするが、またしても失敗。彼はついにクビになってしまう。しかし、彼はそんなことではへこたれない??ベルと一緒に犯人逮捕に向かう。美女4人組の強盗団の次なるターゲットを知った彼はマータに強力を仰ぐが・・・・・・
私評:座席を直して、ハンドルは10時10分、ミラーを直して、後方確認・・・・フランスで大ヒットしたリュック・ベッソンの「TAXI」がハリウッドでリメイクされた。しかも、最強のチューンナップを施したイエローキャブが、マンハッタンを疾走する。しかし、こんな撮影を町中でガンガン行えるアメリカは本当にすごい国だ。こんな撮影を日本の銀座で撮ろうとしても絶対に無理でしょうからね・・・。ストーリーの大半はフランス版と同じ。ただ、大きく違うのはタクシードライバーが女性で、犯人も女性だという事。この辺りがいかにもアメリカらしい??その恐るべきタクシー運転手を演じるのは「シカゴ」のクイーン・ラティファ。冒頭、自転車で疾走してヘルメットをとったら、彼女の顔が出てきた時は「ありえね〜!!」と大爆笑でした。そしてドジなウォッシュバーン役はジミー・ファロン。(私はこの人をまったく知りませんでした・・)ちょっとマイク・マイヤーズに似た彼のドジぶりにも大爆笑。そして強盗団のひとりに、あのレオナルド・ディカプリオを夢中にさせたトップモデル、ジゼル・ブンチェンが扮しています。彼女のお色気シーンも要チェックだ!とにかくカーチェイスと笑いでぶっちぎりの90分。見て損はさせません!!


前回の記事も読んでね〜!



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