2006年の一発目
イチ押しは私の大好きなホラー映画と心癒されるタイ映画です。
輪廻 | 監督:清水崇 | 出演:優香、香理奈、椎名桔平 | |
Rinne | 2005年 日本映画 | ||
今週のイチ押し:新進気鋭の映画監督の松村は次の彼の作品の題材として、昭和45年に起きたホテルでの無差別殺人事件を選んだ。その事件はホテルに宿泊中だったひとりの医者が家族はもとより他の宿泊客、ホテルの従業員までも惨殺したという恐ろしい事件だった。映画のオーディションで選ばれたのは杉浦渚という新人だった。監督の松村が直感で彼女を選んだのだ。その日から渚の周りでは不思議な現象が起きはじめる。彼女が演じる惨殺された少女が彼女に付きまとう。そして監督の意向でキャストの全員が事件の現場のホテルへと連れて行かれる。そこで渚は少女が殺される現場を目の当たりにする。時を同じくして女子大生の木下弥生にも不思議な現象が起きはじめる。行った事がない赤い屋根のホテル、そして玄関に置かれていた人形。その夢ばかりを見てしまうのだ。BFの友人の助言から彼女はホテルでの殺人事件の被害者の生まれ変わりなのではないかと言う疑問を抱きはじめる・・ | |||
私評:私、そこに行ってはいけない気がするの・・・・『呪怨』で世界を黙らせた清水崇監督の新作は『輪廻転生』を題材にしたホラー。35年前に起きた大量殺人事件が一本の映画とひとりの女子大生が糸口になり、全貌を見せはじめる。それは殺された人たちの怨念。彼らはそれぞれ転生を果たしているのですが・・・??物語の最後でとんでもないどんでん返しがあって、思わず「お〜!」と声に出しそうになりました。『呪怨』のように畳み込むような恐怖はないものの、じわりじわりと真綿で首を絞められるような恐怖はまさに清水節。ハリウッドでのリメイクもされるそうです。主演の優香、香理奈、椎名桔平の3人がそれぞれ素晴らしい。中でも優香の怖がる演技は良いです。これからはホラー映画で活躍して欲しい。そして三條美紀がベテランらしい重厚な演技で、ちょっと不気味な老婆を演じます。そして不思議な力を持つ少女役の松本まりかもちょっと印象的。面白かったです!! | |||
風の前奏曲 | 監督:イッティスーントーン・ウィチャイラック | 出演:アヌチット・サパンポン | |
2004年 タイ映画 | |||
今週のイチ押し:ひとりの老人が今人生の幕を閉じようとしている。タイでは知らない人がいないほど有名な「ラナート」(タイの伝統的な楽器)奏者のソーン・シラパバレーン。19世紀末、ソーンは生まれた。彼のラナート演奏は天才的だった。しかし、やはりラナート奏者だった彼の兄がライバルに殺害されていらい、父親はラナートを封印してしまう。しかし、ソーン少年はそっとラナートの腕を磨き続けた。青年になったソーンは数々のコンテストで並み居る競合を抑え続け、いつしか傲慢な奏者になってしまう。そんな彼の前に現れたのはインというラナート奏者。彼の素晴らしい演奏を目の当たりにして、ソーンは初めて敗北を味わうのだった。あまりのショックから立ち直れなかったソーンはいつしか街を離れ大自然の中で新たな才能を開花させる・・ | |||
私評:ラナートは素直な楽器。感情が音に出るのです・・・私はこの映画で初めてラナートという楽器を知ったのですが、木琴のような作りの楽器です。これがまた良い音色を出すんです。また、この映画の主人公であるソーン師は実在のラナート奏者です。そんな彼がこの映画に込めた思いは『伝統音楽の伝承』。タイも近代化の波でモダン化してきているのはご存知のとおりですが、軍事政権下で伝統音楽の禁止がありラナートの継承も難しくなっているのだそうです。しかし、この映画は本当に素晴らしい。心に染み入る音楽はもちろんですが、ソーン師の音楽の根源が大自然の織り成すメロディーだったと言うのが良いですね。美しい大自然の映像とラナートの奏でる音楽が一体化したときの感動は計り知れません。主演のソーン師の青年時代を演じるのはアヌチット・サパンポン。彼は行定監督の「春の雪」でタイの王子役として出演しています。監督はイッティスーントーン・ウィチャイラック(長い名前だ・・) | |||
シリアナ | 監督:スティーブン・ギャガン | 出演:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン | |
Syriana | 2005年 アメリカ映画 | ||
ボブ・バーンズは中東で活躍するCIAの諜報員。数々の修羅場を乗り越えて来たが彼も第一線から身を引くことを決めた。彼の最後のミッションはテヘランで武器商人を殺害する事だった。しかし、その現場で彼はミサイルを盗まれてしまう。ワシントンに戻ったボブはミサイルの行方を追うことを主張するが、彼に下されたミッションはアラブの某国の王位継承者の殺害だった・・。エネルギー・アナリストのブライアンはその手腕を買われ、アラブ某国の王が主催するパーティへと招かれる。しかし、そのパーティの最中彼の最愛の息子が事故死してしまう。その事を遺憾に思った王子はブライアンを彼の相談役の大抜擢する・・・・ | |||
私評:裏取引だけが勝つ手段だ・・・上に書いたふたりの物語の他に巨大石油企業の合併、そしてパキスタンから中東へとやってきた青年の突然の解雇から、イスラム教の過激な教義にのめり込んでいく話の4つが複雑に絡み合いながら、衝撃のラストに向かって疾走していく。一触即発の緊張感漂うやりとり。騙すか?騙されるか?そして個人の戦い、企業の取引き、そして国家をも巻き込み壮絶なラストは呆気にとられてしまった。その間128分。緊張が途切れることはありませんでした。それぞれの話がすごくリアルなのです。そして何事もなかったかのような醒めたラストシーンがまた、なんとも印象的でした。主演はジョージ・クルーニー。最近ちょっとおちゃらけた映画が多かった彼ですが、いよいよ本領発揮か?そしてインテリ役はお手の物のマット・デイモンが野望を抱く若者を好演。その他にもジェフリー・ライト、ウィリアム・ハート、クリス・クーパーなどそうそうたる顔ぶれが揃いました。監督は『トラフィック』の脚本家のスティーブン・ギャガン。新年早々、スゲー映画を観てしまった・・。 | |||
天空の草原のナンサ | 監督:ビャンバスレン・タバー | 出演:ナンサル・バットチュルーン、 | |
The Cave of the Yellow Dog | 2005年 ドイツ映画 | ||
モンゴルの遊牧民の家族がいる。羊飼いの父親と優しい母親、6歳の女の子ナンサとその妹と幼い弟の5人家族。そんなある日、ひとりで手伝いに出かけたナンサは小さな洞穴で子犬を見つけて家へと連れて帰った。彼女は犬に「ツォーホル」と名づけるが、父親は犬を飼うことを許してくれなかった。両親に黙って犬を飼うことにしたナンサは放牧で出かけた草原でツォーホルとはぐれてしまう。時間も忘れて馬でツォーホルを探すナンサ。すると辺りは薄暗くなりしかも突然の雨・・。そんな時、どこからともなく優しい歌声がナンサの耳に届いた。雨宿りをさせてくれたおばあさんからナンサは「黄色い犬の伝説」という話を聞かされる。家の戻ったナンサは草原を移動することになる。父親はツォーホルを連れて行ってはいけないという。ナンサは母親から一番下の弟の面倒を見るように言われていたが、つい目を離してしまう・・・・ |
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私評:世の中にはどうしようもないこともあるのよ・・・『らくだの涙』のダバー監督が天空に一番近い国モンゴルを舞台に作った家族の物語。所違えど親が子供に抱く愛情は同じ。そして好奇心いっぱいの子供もまた同じ。しかし、一番我々と違うのは生活がとてもシンプルで、余分なものを持っていない事。だからこそ家族に意識を集中できて愛情が深くなるのかもしれませんね。それにしてもモンゴルの高原の美しい映像にはため息が出てしまった。そして私たちが知らないモンゴルの生活を映画の中でたくさん観ることができます。そしてナンサを演じるナンサル・バットチュルーンちゃんがちょっと生意気なんだけど可愛いんですよ〜。そして注目は名演技を魅せる「ツォーホル」。この犬はカンヌ国際映画祭で『パルムドッグ賞』(最優秀主演犬)を受賞!!(マジです)最高の癒し系映画です。朝青龍もおススメ。 | |||
スタンドアップ | 監督 : ニキ・カーロ | 出演:シャリーズ・セロン、フランシス・マクドーマン | |
North Country | 2005年 アメリカ映画 | ||
夫の暴力に耐えかねたジョージーは二人の子供を連れて家を飛び出し、彼女の故郷である北ミネソタの町に舞い戻った。鉱山の町であるこの町には古いしきたりが依然としてはびこり、出戻りのジョージーには周囲から冷たい視線が浴びせられた。しかし、彼女は二人の子供を自分の手で育て上げるという強い気持ちがあった。そんなある日、彼女は古くからの友人のグローリーと再会し、彼女が男の職場である鉱山で働き、そこで良い収入を得ている事を知る。しかし、鉱山での仕事を得た彼女を待っていたのは過酷な仕事環境だった。それはいわゆるセクハラで、ここで働く女は金のためにただじっと耐えるしか手段がなかったのだ。男たちの卑劣な嫌がらせはジョージーにも容赦なく浴びせられる。そしてついに彼女の怒りは爆発し、会社を去ることに。そして彼女はそんな職場を法的に訴えることを決意する・・・・・ |
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私評:俺の娘の話を聞け!・・・これは実話に基づく作品です。今でこそ女性の立場は確立されましたが(と言うか男より強い女が多い・・)、この映画の舞台では「女はじっと耐える」のが美学みたいに思われている。そんな中で異分子とも言えるひとり女性が「立ち上がる」のです。男の私が見ても、ここの男たちの行為は常軌を逸しているのですが、こんなのが当然のように行われていたのですね・・。それにしてもシャリーズ・セロンがキレイ過ぎ。あんな女が男ばかりの職場にいたら、セクハラしたくなる男の気持ちも少しだけ分かるような気がしました・・(笑)。でも、私が一番好きなのは彼女と彼女の父親のシーン。これはここでは言わずにおきましょう。シャリーズ嬢はもちろん、素晴らしいのですが脇役もすごい面子です。ジョージーの友人グローリー役はフランシス・マクドーマンド。彼女の夫役にショーン・ビーン。ジョージーのために立ち上がる弁護士役にはウディ・ハレルソン。ジョージーの両親はリチャード・ジェンキンズとシシー・スペイセク。最強です!監督はニュージーランド出身の女性監督ニキ・カーロです。 |
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シャークボーイ&マグマガール3−D | 監督:ロバート・ロドリゲス | 出演:ケイデン・ボイドン、テイラー・ロートナー | |
The Adventures of Sharkboy and Lavagirl | 2005年 アメリカ映画 | ||
夢見がちの少年のマックスの唯一の友人は、彼の夢に登場するスーパーヒーローたち。中でもシャークボーイとマグマガールは彼の一番のお気に入りキャラ。ふたりの事はマックスの夢日記に克明に記されていた。その事を授業で話したマックスはみんなの失笑を浴びて、しかもいじめっ子に夢日記を奪われてしまう。あくる朝、マックスが目を覚ますとなんと彼の家にシャークボーイとマグマガールがいるではないか!ふたりはマックスに『よだれ惑星』に来て二人を助けて欲しいという。なぜなら、彼らの創造主はマックスだったから。『よだれ惑星』についたマックスは夢で見た惑星とあまりに違っていて愕然とする。そこで悪の権化になっていたのはマイナス。いじめっ子のライナスの成れの果てだった。マックスは7つの立体の夢の世界を攻略しなければならない・・・・ | |||
私評:よだれ惑星が大変なの・・・『スパイ・キッズ』のロバート・ロドリゲスがまたまたぶっ飛びの3D映画を作っちゃいました。アメリカでは3000スクリーンで公開された大作なのですが、どうなんでしょうね?完全にキッズ用の映画です。決してつまらない映画ではないのですが、最近映画が大好きになった甥っ子も「この映画はパス!」と言っているし・・。しかし、今回は日本でも屈指の大スクリーンを保有する新宿ミラノ座で見たので、3Dの醍醐味は存分に味わえました。そして奇想天外な「よだれ惑星」のトラップはさながらアミューズメントパーク。ここで3Dの威力が発揮されていました。主演のマックス役は「ミスティックリバー」のケイデン・ボイドン、シャークボーイを演じるのは格闘技のジュニアワールドチャンピオンのテイラー・ロートナー、マグマガール役はこの作品がデビューとなるテイラー・ドゥリー。マックスのパパ役で『スクリーム』のデイヴィッド・アークエットが出演しています。90分を切るお手軽な作品なので、暇つぶしには持って来いかも?? | |||