2001/12/17号

今週もハリウッドの大作を押さえて邦画が上位にランク・イン!
まさかの2作品が私のイチ押しになりました。

 修羅雪姫  監督 : 佐藤信介  主演:釈由美子、伊藤英明、佐野史郎、嶋田久作
Shura Yukhime  2001年 日本映画
時間も空間も違う別世界。そこでは隣国からやって来た建御雷(たてみかづち)家は、報酬さえ貰えば誰でも殺す、殺人集団となっていた。彼らのメンバーの一人・雪も、他のメンバーと同じく冷徹に殺戮を繰り返す,殺人マシーンとして育てられた。しかし、彼女は母親の死の原因を知り、建御雷家を逃亡する。追っ手との死闘の末、彼女は反政府の活動家・隆と出会う。今までまったく感情を持たなかった彼女の中に何かが芽生え始める。しかし、彼女の追っ手はすぐそこまで迫っていた・・・・
私評:私には誰かに残せるものなんてない・・・。グラビアモデルで有名な釈由美子が映画デビューを飾った。TVで見る彼女は、なにやらふにゃふにゃだったが、この映画の彼女は違う!とにかく表情がすごく良い。そして体を張ったアクションシーンにも果敢に挑んでいる。そのアクションを担当したのが香港映画から,ハリウッドに飛翔したドニー・イェン!ワイヤーアクションはもちろん、格闘シーンも凝りに凝ってる。得意の「踵落とし」も忘れていません!CGもかなり良い感じで折り込まれています。共演の伊藤英明、佐野史郎らもすごく良いのですが,この映画は釈由美子の独壇場。とにかくカッコイイです。監督は「LOVE SONG」でデビューした佐藤信介。雪と隆の微妙な関係はお手のものですね。ただし、シナリオにはちょっと難ありです?? それでも私は大満足!!(ついでに、釈由美子IN修羅雪姫のDVDも買っちゃいました。しかも、ポスターも・・。ああ,なんてミーハーなんでしょう)
犬夜叉  監督 : 篠原俊哉  声:山口勝平、雪乃五月、桑島法子、辻谷耕史
Inu_Yasha  2001年:日本映画
神社の娘,日暮かごめは境内の井戸から戦国時代へとタイムスリップをして、その地で封印された犬夜叉を解き放つ。お弁当を作り戦国時代へと飛んだかごめは、犬夜叉、子狐妖怪の七宝(しっぽう)、僧侶の弥勒(みろく)、そして妖怪退治の珊瑚(さんご)と出会うがそこに、大サソリの怪物が襲う。そんな彼らを見つめる男がいた。それは大陸の大妖怪・飛妖蛾(ひょうが)の息子瑪瑙丸(めのうまる)だった。実は飛妖蛾は200年前に犬夜叉の父と戦い,この地に封印されていたのだ。彼の封印を解くには、犬夜叉の刀・鉄砕牙の力が必要だったのだ。そして封印が解かれた時、瑪瑙丸は最強の魔人となるのだ・・・・。
私評:俺にはお前が大切だ。そんな事もわからねえのか??・・・高橋留美子原作で、少年サンデーに連載中の大人気漫画がスクリーンデビューを飾りました。しかも,劇場用のオリジナルストーリー。犬夜叉の鉄砕牙が炸裂し、かごめのの巫女の矢が空を飛び、珊瑚の飛来骨が唸りを挙げ、そして弥勒の風穴がすべてを飲み込む・・。でも、私みたいなファンでなくても、冒頭で犬夜叉の登場人物、そして必殺技の簡単な説明がありますのでご安心を。でも、ちょっとでもこのマンガを知っていると,また一段と楽しめるはず。とにかく高橋留美子の漫画はキャラクターがすごく良いです。個々のキャラが光ってるし、みんなが印象に残るんですよ。迫力の戦闘シーンはもちろん楽しいのですが、七宝と冥加(通称ノミじじい)らのギャグも見逃すことなかれ!いつもケンカばかりのかごめと犬夜叉の恋の行方も見所の一つです。私は弥勒のHなギャグがけっこう好きです(笑)。しかし、今回の敵は強い!果たして勝敗の行方は???
まぶだち  監督 : 古厩智之  出演:沖津和、高橋涼輔、中島裕太
Mabudachi  2000年 日本映画

長野県の小さな村に住むサダトモ、テツヤ、そして周二は中学2年生。リーダー各のサダトモのアイデアで3人は万引きをする。学校に通報があるものの、サダトモの巧みな受け答えでその場はしのぐ事ができた。テツヤはそんなサダトモに憧れと妬みの両方を抱いていた。翌日、3人は気の弱い2人のクラスメートを唆し、ふたたび万引きをする。しかし、今回は学校にばれてしまう。担任の小林は罰として原稿用紙30枚の反省文を書かせる。今まで怒ったことがない父親に殴られ、サダトモはショックを受け,その気持ちを思いきり書き連ねる。そして「僕はたまねぎ」という反省文を書き上げる・・・・。

私評:イヤです。僕はクズでイイです!!・・・。もっとほのぼのした、日本版「スタンド・バイ・ミー」みたいな映画を想像していました。しかし、想像とはかなり違っていた。主人公の3人はリリィ・シュシュの登場人物と同じ14歳の少年たち。彼らの一夏の物語だ。ただし、リリィと違うのは、この少年たちには「心」がある。でも、もやもやした不安を持っていると言う事はまったく同じ。この頃って成長の過程で、すごくませていて大人びた奴もいるし、成長の遅い子供みたいなのもいるよね。まさに、この主人公の3人がそんな違った成長過程の少年たち。小学生の時にはすごく仲の良かった友達が、ドンドン大人になり遠くへ行ってしまうような、そんな気持ちを抱いた事はないでしょうか?私は体も小さかったし、(今でも小さいけど)、どちらかと言うといつまでも子供っぽかったので、そんな経験があります。そして今まで仲良しだった仲間のバランスが崩れて行く。そしてその差が歴然となってくるとき、悲劇が起こる。その悲劇の理由については、色々な想像ができるが、置いて行かれる自分が惨めだったからでは?なんとなく思い当たる経験があり、よけいに辛かった。少年はいつを境に、大人になるのでしょうね?主人公の沖津和少年がすごく良かった・・。
バニラ・スカイ  監督 : キャメロン・クロウ  主演:トム・クルーズ、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス
Vanilla Sky  2001年 アメリカ映画
死んだ両親の後を継ぎ、大企業の若きオーナーとなったデヴィッド。彼にはジュリーと言う女友達がいた。親友のブライアンには「ジュリーはセックス・フレンド」と言っているが、ジュリーは本気だった。デヴィッドの誕生パーティーの席で、彼はソフィアという美しい女性と出会う。彼女はブライアンの恋人だった。そのパーティーに呼びもしないジュリーが現れる。デヴィッドはソフィアに恋人のフリをしてくれと懇願する。そして部屋を抜け出した二人は、お互いに恋に落ちてしまう。ソフィアの部屋から出てきたデヴィッドを待っていたのはジュリーだった。彼女の車に乗り込み話をしていると,ジュリーがいきなりアクセルを踏み込み・・。車は橋から落ち、ジュリーは即死。そしてデヴィッドは顔に怪我をしてしまう。以来、彼は夢と現実の間をさまよい始める・・・・

私評:目を覚ますのよ・・・、Open Your Eyes・・・。スペイン映画「オープン・ユア・アイズ」に惚れ込んだトム・クルーズが映画化権を買い,リメイクした作品。監督はトムとは「ザ・エージェント」でコンビを組んだキャメロン・クロウ。共演は「オープン・・」にも出演しており、今回同じ役どころを演じるペネロペ・クルス、そしてジュリーには今、一番輝いている女優キャメロン・ディアス、精神科医にはカート・ラッセルという最強メンバーが揃った。しかし、映画はオリジナルの「オープン・ユア・アイズ」をほとんど,そのままなぞっただけで、オチまで一緒というお粗末な内容だった。映画の中の細かいシーンのシチュエーションまでそのまま使っている。これだったらキャメロン・クロウを使わず、オリジナルのアレハンドロ・アメナーバルを使えば良かったのに・・。しかしながら、最強のキャストの演技、音楽、そしてNYの街中を空っぽにして撮影したシーンなど,見所も満載です。逆にオリジナルを見ていない人の方が,楽しめる映画かも?でも、「オープン・ユア・アイズ」は,私以外にもファンが多いので、私と同じ意見の人も少なくないはず・・。インターネットのブロードバンドライブで、トム・クルーズがこの映画のヒントを5つ挙げていました。(知りたい??) しかも映画の中にあのスピルバーグがカメオ出演しているとのこと。私は気付かなかった・・。(トムの次回作「マイノリティ・レポート」繋がりか??)
ビューティフル 監督 : サリー・フィールド   主演:ミニー・ドライバー、ハリー・ケイト・アイゼンバーグ
Beautiful  2000年 アメリカ映画
モナは家族の愛を知らずに育った。頭痛持ちの母にはいつも怒鳴られ、養父には変な目で見られ・・。そんな彼女の心の支えはミス・アメリカになることだった。また、彼女は子供の頃からミス・コンテストに勝つことに,異常なほどの生き甲斐を見出していたのだ。しかし、彼女は不注意から妊娠をしてしまう。そんな彼女に手を差し伸べたのは親友のルビーだった。生まれた子供はルビーの娘として育てられた。ついに、彼女はミス・イリノイに選ばれる。そんなある日、ルビーが無実の罪で投獄されてしまう。娘のヴァネッサと二人きりになったモナは、今まで気付かなかったヴァネッサへの愛情が湧き出してくることに気づく。そしてとうとうヴァネッサの口から「私たちはどうしてこんなに似ているの?」という疑問を投げかけられる・・・。

私評:世界中の少女の偽りの憧れになること?それとも一人の少女の温もりを受けいれること??・・・・・単純明快なタイトルどおり、シナリオも思いきりど真ん中に直球勝負の映画でした。監督が女優のサリー・フィールドだから、そんな小ざかしい技を使うより、女優たちの演技で勝負したかったのでは?もし、それがサリーの思惑なら,この映画は大成功です。もう,最後のオチまでミエミエの映画なんですが、それでもウルウルさせられてしまうのは,主演のミニー・ドライバー、ハリー・ケイト・アイゼンバーグ、そしてルビーを演じるジョーイ・ローレン・アダムスがメッチャ良いからですね。なんでミニー・ドライバーがミス・アメリカ??なんて思っていたのですが、この映画を観終って、このキャスティングは間違ってなかったと思いました。でも、一番はやっぱりハリーちゃん。彼女の演技には驚きの連続です。素直な気持ちで、爽やかな涙を流して下さい。女性はきっと元気が出る映画ですよ! 
SEX:EL  監督・主演:ジャン・マルク・バール  主演:ロザンナ・アークエット、エロディ・ブシェーズ
Too Much Fresh  2000年 フランス映画
イリノイ州のランキン。この小さな町は町全体が家族のようだが,裏を返すとプライバシーがない。悪い噂はすぐに町中に広がる。そんな町でとうもろこしを栽培するライルとエイミーの夫婦。しかし、二人の間には結婚以来5年間,肉体関係がない。ライルは初体験の相手に,自分の性器が大き過ぎると言われ、それがトラウマになっていたのだ。また、エイミーは最初に結婚した夫を事故でなくして以来、いまだに彼への愛を貫き通し、ライルに体を許さなかったのだ。しかし、ライルの体は確実に女性を求めていた。そんなある日、町を出て作家として成功したヴァーノンがフランス人の女ジュリエットを連れて、この町へとやってくる。その夜、ライルはジュリエットと結ばれ,今までの自分の悩みが実にバカげたことだと知る。そして今までの憂さを晴らすかのようにジュリエットと逢引を重ねる。しかし、その噂は着実に村中に浸透していくのだった・・・。

私評:僕の性器は,女性を壊す凶器だ・・・。舞台がアメリカの片田舎だからと言って,こんな事も分らないのか??しかし、この舞台がなんともモラルでがんじがらめになった町で、なんとなくそんな事まで納得できそうなんです。半ば人生を諦め、ただ飲み食いをして、畑を耕し、行き場のないストレスを、町の小さなバーで狂ったように踊って紛らす。そして畑の中でマスターベーション・・。ところが,このライルと言う男は本当に良いヤツなんでしょう。妻にも気を使い,村人にも笑顔を振り撒く。ところがそんな彼の前に現れたフランス娘が、彼の今までの鬱憤を晴らし、欲望を掻きたてそして満たして行く。こうやって活字で書いていくと,すごくエロチックな映画みたいですが、映像は非常に大人しいです。邦題も「SEX:EL」なんて仰々しいタイトルだから、勘違いされやすいかも?(ちなみにELはエクストラ・ラージ」の略<笑>)。どちらかと言うと、メンタルな部分を表に出した映画です。ジャン・マルク・バールとロザンナ・アークエットといえば、リュック・ベッソンの名作「グラン・ブルー」での共演が思い浮かびますね。しかし、フランス人の二人がアメリカで夫婦と言うのも,なんだか不思議な感じでした。そしてもうひとつに見どころ、出演する映画ではほとんどヌードになるという(by 夢珠さん)エロディ・ブシェーズ。その名の通り、エロティックです。映像は最近流行りのデジタル・カメラの映像です。かなり、粗い画面です。果たしてこの夫婦の行く末は??


前回の記事も読んでね〜!



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