今回はどの作品でもイチ押しに出したいくらいだ。 悩んだ末、今の私の心情を揺さぶったこの映画にしました。
天国までの100マイル | 監督:早川喜貴 | 主演 : 時任三郎、八千草薫、大竹しのぶ、柄本明 | |
A Hundred Mile | 2000年 日本映画 | ||
今週のイチ押し作品! バブルの崩壊で何もかも失ってしまった安男。 どん底まで落ちてしまった彼に怖いものなどなかった。そんな折、彼の母親が心臓の疾患で入院してしまう。担当の医師は自分の手では、これ以上できない旨を告げ、鴨川にいる優秀な執刀医を紹介する。このまま何もしないで母を失うよりは・・と、安男は独自で母親を鴨川に連れて行く事を決意する。東京鴨川間の160km(100マイル)の旅が始まる。 |
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私評:確かにウソ臭い話ではあるのです。映画に出てくる人のほとんどが良い人ばかりだし、そんなうまい話がある訳ないと言ってしまったら、その時点で、あなたはこの映画に置いて行かれるでしょう。でも、そんな浪花節みたいな映画があっても良いじゃないか。しかも、この話は原作者の浅田次郎が実際に経験した話。もちろん、脚色されているでしょうが・・。 とにかくこの映画の強さはキャスティングだと思った。 主演の時任三郎の自然な演技。 八千草薫も良いお母さん役がピッタリ。安男の別れた妻役が羽田美智子。彼女も目立たないのですが優しい心の持ち主の元妻をしっかり演じてました。でも、誰よりも私の心に響いたのは大竹しのぶ。 いわゆる「あげまん」の女。彼女が愛した男は皆、成功を納め彼女の元から巣立って行く。しかし、彼女を捨てるのではなく、彼女から去って行くんです。 大粒の涙をポロポロ流しながら、「私は安さんが好き!」と繰り返すシーンはとても好きだ。とにかくこの映画には日頃は、口に出すのも恥ずかしいいようなセリフがたくさん出てきます。特に感謝の気持ちを、口に出す事の美しさ、そして大切さを教えてもらいました。 両親、友達、そして自分の大事な人に言い忘れている言葉はありませんか?? |
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バーティカル・リミット | 監督:マーティン・キャンベル | 主演 : クリス・オドネル、ビル・パクストン、スコット・グレン | |
Vertical Limit | 2000年 アメリカ映画 | ||
私評:またしても、自然の前での人間の弱さを見せつける映画の登場です。登山家の家族で育ったピーターとアニー。しかし、ある事件が元でピーターは山から遠ざかっていたが、一方アニーは登山家としてその名を馳せていた。アニーの今回の仕事はK2の登頂。しかし、一行は雪崩に遭い生き残ったのはたったの3人。アニーもその中の一人だった。彼らを救うべくピーターをはじめとする命知らずの登山家が立ちあがった・・・。オープニングからいきなりのすごいシーンの連続。高所恐怖症の私は、足が地に着かず下半身がスースーするような気分でした。とにかく、すごいアクションシーンの連続。 爆破、雪崩、絶壁・・・そしてジャ〜ンプ。 自然が作り上げた究極の芸術作品に果敢に挑む勇者たち。 これがこの映画の見所でしょうね。MI−2でもトム・クルーズがロック・クライミングをするシーンがありましたが、この映画のクライミングシーンは半端じゃない・・。めっちゃ怖かったです。クリス・オドネル、ロビン・タニーの兄妹役はピッタリでした。 そしてビル・パクストン、スコット・グレンという二人の重鎮がこの映画をグッと引き締め、良い緊張感を持続させてくれていました。 ハラハラドキドキのアクション映画を見たい方には超お薦めです。 理屈なしに楽しめるアクション映画だと思いますよ。 | |||
ペパーミント・キャンディ | 監督 : イ・チャンドン | 主演 : ソル・ギョング、ムン・ソリ、キム・ヨジン | |
Peppermint Candy | 1999年 韓国映画 | ||
私評:人間は長い人生の中で日々変わって行くもの。この映画はある男の20年間に渡る人生の出来事を時間を遡って描いていく。 20年ぶりに開かれた同窓会。そこに現れたキム・ヨンホは荒れていた。そして列車の高架に登ってしまう。向かってくる列車。しかし彼は避けようとはしなかった。「昔に帰りたい!」彼は叫ぶ。 一体、彼の身に何が起きたのか?実業家として成功してた時代、刑事だった時代、兵役に出ていた時代・・。彼の人生の決定的瞬間が語られる。 今回「天国への100マイル」がなかったら、きっとこの映画がイチ押しコーナーに出ていたと思います。 とにかく辛い映画です。私の中で韓国映画のすごさを見せ付けられた映画は「シュリ」や「カル」ではなくて、昨年の東京国際映画祭で上映された「虹鱒」という映画です。 「ペパーミント・・」は「虹鱒」に似た手法でとにかく絶望や人間の弱さ、醜さ、そして愚かさを見せ付ける映画だった。 それはごく当たり前の日常の中で突如として襲ってくる。 この映画の場合、主人公を追い詰めて行く物は「愛」だったり、「社会」だったりする。 オープニングが絶望で、エンディングが希望なのですが、20年間という長い時間が彼の人生が彼の希望を、そして夢を踏みにじって行く。なんともやるせない映画なのですが、心にずしっと来る映画でした。 | |||
マイ・ドッグ・スキップ | 監督 : ジェイ・ラッセル | 主演 : フランキー・ミューニース、ケビン・ベーコン | |
My Dog Skip | 1999年 アメリカ映画 | ||
私評:一匹の犬と少年の心温まる物語。しかし、それだけでは語りきれぬ、数々の人々の交流が素晴らしい。1940年代、ミシシッピー州の田舎町がこの映画の舞台だ。いじめられっ子の少年ウィリーは9歳の誕生日に一匹の犬を両親からプレゼントされる。この犬はスキップと名付けられた。ウィリーとスキップは心を通わせ、いつしかいじめられっ子のウィリーが肉体的にも精神的のも成長を遂げて行く。犬を好きな人には堪らない映画ですね。特に少年少女時代に犬を飼ったことがある人には、ウィリーの気持ちが手に取るように分かるのではないでしょうか? 実際、この映画の原作は作者のウィリー・モリスの少年時代の思い出を綴った、いわば回想記だ。それゆえにスキップへの思い入れや、それこそ普通の日常のシーンまでもが、リアルに、そして爽やかに描かれていて、映画を見る人を引き込んで行く。ウィリー少年を演じるフランキー君がめっちゃ良い。彼の悩み、怒り、悲しみがスクリーンからビンビン伝わってくる。スキップとの交流も彼の演技力なしでは茶番になってしまうだろう。 そして良いのが、ケビン・ベーコン、ダイアン・レインの夫婦。 戦争で片足を失い、ウィリーに対しては厳格ながらも理解のある父親のケビン、そして優しく誰よりもウィリーに愛情を注ぐ理解ある母親のダイアン。 この二人の存在もこの映画にとってはとても大きなファクターだ。そして最後にスキップ君。 彼は他の映画にも多数出演している。「マスク」ではジム・キャリーと共演しているし、最近では「ワンダーボーイズ」にも出演している。 動物にここまで感動させられるとは・・・。 | |||