2001/11/26号

今週は3本。しかし、本当はこの他に名画座で4本の映画を見ました。
とりあえず,今回は新作だけと言う事で・・・・

 ターン  監督 : 平山秀幸  主演:牧瀬里穂、中村勘太郎、倍賞美津子
Turn  2000年 日本映画
銅版版画の仕事をしている真希。ある日、車を運転中にセンターラインをオーバーしてきたトラックと交通事故に遭ってしまう。しかし、次の瞬間真希は自宅の藤椅子で目覚めた。返しに行ったはずの植物図鑑、投函したはずのハガキが・・。あの事故は夢だったのか?外に出てみるとそこにはまったく人影がない。誰もいない世界で一人夜を明かすが、次の日の午後2時15分になると、また自宅の藤椅子で目覚めた。そう,彼女は同じ日を何度も繰り返していたのだ。しかも、一人だけの世界で。そんなある日、彼女の家に一本の電話が・・・・
私評:これは1日だけの最高傑作ね・・・・。SFなんだけど、なんだかほのぼのしていて,不思議な暖かさのある映画でした。登場人物も少ないし、牧瀬里穂演じる真希が、一人ぼっちでいるシーンがほとんど。この映画を見ると果たして自分が彼女の立場になった時に,どういった行動を取るかを考えると思うんだけど、私には孤独は耐えられないと思った。向うの世界と繋がった一本の電話。それだけが彼女の救い・・。しかし、このパラレルワールドのSF作品には、落ち度がないですよ。その辺りの隙のなさはさすがは北村薫!私はこの小説は読んでないのですが、彼の小説は何作か読んでいて,その完成度の高さは認めてました。主演の牧瀬里穂は良いですね〜。ショートヘアーはあまり似合わないと思うのですが、真希の心情を上手く演じていました。電話で繋がった青年役の中村勘太郎も爽やかでグッド!しかし、めっちゃ良かったのが倍賞美津子。さすが!の演技でした!!
イースト/ウエスト 遥かなる祖国  監督:レジス・ヴァルニエ  出演:サンドリーヌ・ボネール、オレグ・メンシコフ、カトリーヌ・ドヌーブ
EST-OUEST  1998年 フランス映画

1946年。フランス人女性のマリーはロシア人の夫アレクセイと共に、ソ連を目指していた。西側に亡命していたロシア人に帰国の許可が出たため、家族でおっとの祖国を目指していたのだ。希望に胸を膨らませていた彼らの期待は、到着と同時に裏切られた。家族は引き裂かれ,逆らうものは容赦なく殺された。フランス人のマリーはスパイ容疑で暴行を受ける。しかし、アレクセイが優秀な医師と認めた政府は彼らを生かすことにするが、彼らにはまったく自由はなかった。「何があってもこの国を出て行くわ!」 マリーの小さな抵抗が始まる・・・。

私評:行くんだ・・・、必ず,また会える・・・、愛している・・・。強烈な映画でした。これは事実に基づいて作られた作品。時代の流れの中ではこんな信じられないような事があったんですね。しかも、このソ連の恥部とも言える歴史的事実を、ロシア人の役者が演じ、そしてそのロシアで大ヒットしたというのですから、それはまた違う意味ですごいですね。平和の大切さ、夫婦,家族の愛情、そして友情と、色々なテーマが盛り込まれていますが、一番のメッセージは「自由」の大切さだと思った。自由のない束縛だらけの世界で、ギリギリの精神状態の中での人間関係を、そして愛を貫けるのか??人間の尊厳を問う、大作です。しかし、テーマが重〜い。 気分がブルーな時は、オススメしません(笑)。主演のサンドリーヌ・ボネールはきれいなんだけど、なんだか普通のおばさんで、そこがまた良いですね。 カトリーヌ・ドヌーブはやっぱり輝いている。今回も脇役なのですが、彼女が出演するだけで映画がピシっと締まります。
伊能忠敬 子午線の夢  監督:小野田嘉幹  主演:加藤剛、加来千賀子、西田ひかる、榎木孝明
Tadataka Ino  2001年 日本映画
1783年、下総の国佐原の名主・伊能忠敬は伊能家の養子になって以来,働きづめで財を築き上げたが、妻の死を境に隠居する事を決意する。そして長年の夢であった子午線を使って地球の大きさを計測するため、新たな人生を江戸で過ごす事に。幕府天文方の高橋至時から教えを受けた忠敬は、自らの足を使い歩数から距離を割り出し、深川から蔵前までの歩測を続けていた。そんなある日、高橋から幕府が蝦夷の地図を欲しがっている旨を聞かされる。忠敬には渡りに船。蝦夷につくまで、南北に伸びる奥州街道の距離を測り、子午線の値を出そうと言うのだ。ところが忠敬の作った地図の素晴らしさに,幕府からじきじきに日本全国の地図をという,依頼が来るが・・・・

私評:大きな夢を見て下さい!・・・・伊能忠敬を知らない人は多いと思いますが、彼の出身地の佐原は私の実家がある成田の先。高校時代,友達もいたので,何度も遊びに行ってます。佐原では彼を知らない人はモグリですから、私も知らず知らずに彼の名前が頭にインプットされていました。まあ,私も「江戸時代に自分の足で歩いて日本地図を作り上げた人」という事しか,知らなかったのですが,この映画で色々と学びました。シンプルな道具で、あれだけ正確な地図を作れるんですね。しかも、彼のすごいところは50歳を過ぎてから、この大仕事を成し遂げた事ですね。映画の中ではそのために家族をなおざりにしているようなシーンがありましたが、これは致し方のないことか・・・??主演の加藤剛ははまり役でした。いかにも誠実で真面目な忠敬にピッタリ。脇役人もなかなか良いですね。(西田ひかるはちょっと・・・??) また、この映画の見所は北海道から鹿児島までの日本各地の四季折々の美しい映像です。佐原の船頭渡し、まこも隠れの花、秋祭りは地元の人たちにはタマラナイかも??? 


前回の記事も読んでね〜!



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