2002/11/25号

年の瀬になって、さすがに色々と忙しくなってきました。
果たして、今年中に、あと何本映画を見れるだろうか??
今回の私評はちょっときびしいかな??

ハリー・ポッターと秘密の部屋  監督 :クリス・コロンバス  出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント
Harry Potter and the Chamber of Seacrets  2002年 アメリカ映画
今週のイチ押し:新学期を目前に控えたハリーは、相変わらず実家では叔父家族に虐められてばかり。「早くホグワーツに帰りたい・・」しかし、そんなハリーの前に屋敷僕の妖精トビーが現れる。「「ハリー・ポッターはホグワーツに戻ってはなりません」。しかし、ハリーはホグワーツに戻り、大好きな友人ロンやハーマイオニーと再開を果たした。次々とハリーに降りかかる不吉な事象。壁に書かれた血文字。開かれた秘密の部屋とは??それはこの学校の創設者の一人スリザリンによって作られた部屋だった。ハリーらは少しずつ謎を解き明かし、ついに秘密の部屋へとたどり着くが・・・
私評:トビーめは警告しに参りました・・・・・大ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズの第2弾がやってきました。すでに原作を読んでいる私は、このすごいお話をどうやって映像にしていくのかが一番の楽しみでした。しかし、私の期待は裏切られることなく映像化されていました。それはホグワーツ魔法学校の様子や、クィディッチの迫力はもちろん、登場人物の一人一人が原作のイメージを損なうことなく、しかもうまい具合に味付けされているのです。もちろん、原作を読んでない人もメチャメチャ楽しめるでしょう。また、「賢者の石」はどちらかというと序章という事もあり、説明じみた展開でしたが今回はのっけからすごいアクション&アドベンチャー。見たこともない特撮、そして小気味良いテンポで、あれよあれよと言う内にあっという間に2時間40分が過ぎていきました。主人公の3人もちょっと大人になって(特にハリーとハーマイオニーはちょっとスリムになった)ますます役にのめりこんでいるようでした。また、新たな布陣として登場は新任教師ロックハート役のケネス・ブラナーが登場。原作以上に味わいがあり(?)、コミカルなキャラなのですが、マンガチックにせず、子供たちの悪い手本を見事に演じていました。また、ハリーの宿敵ドラコの父親はジェイソン・アイザック。憎憎しい敵役がやっぱり似合います。旧メンバーのアラン・リックマン、マギー・スミスらも、もちろん登場します。ダンブルドア校長役のリチャード・ハリスはこの映画が遺作となりました。とても残念・・・。
 
恋に唄えば♪  監督:金子修介  出演:優香、竹中直人
Koi・Ni・Utaeba  2002年 日本映画
デパート勤務のユミは大好きなサトルと恋愛の真っ最中。まさに、幸せの頂点にいた。そして今日はサトルの誕生日。手作りの熊のぬいぐるみを渡すつもりで臨んだデートだったが、なんとサトルの口から「俺と別れてくれ」と告げられる。ショックのあまり、落ち込むユミの前に奇妙なツボの精が現れる。そして一つだけ彼女の望みを叶えてくれるという。ユミはサトルを取り戻したいと願ったが、魔法で人の心を変えることはご法度。ツボの精とユミはサトルを追いかけ、オーストラリアへと渡るが・・・・・。
私評:だいじょぶー、だいじょぶー、お金なんかなくってもー♪・・・平成ガメラシリーズ、クロスファイア、そして昨年のゴジラと日本映画に新風を吹き込んでは、私を楽しませてくれた金子監督。それなのになぜ?・・ラブストーリーで、ミュージカルで、コメディなんだけど、こんなにも中途半端な演出でいいのか??シナリオは取って付けたような内容だけど、これは映画が映画だけに仕方ないかも??ところが、こんなアホみたいな作品なのに、最後までしっかり見れてしまったのが不思議。これも金子マジックなのか?私的にこの映画の一番のウイーク・ポイントは竹中直人です。彼は本当にいろんな作品に出ていますが、ことコメディになると本当にワンパターン。この映画でもそれがすごく鼻についてしまいました。それに引き換え良いのは優香です。彼女ってコメディエンヌの素質がありますね。歌はお世辞にも上手いとは言えませんが彼女の溌剌としたキャラは、この映画の一番の収穫だったと思います。優香&金子監督の次の作品に期待したいです。
ゴスフォード・パーク  監督:ロバート・アルトマン  出演:マギー・スミス、エミリー・ワトソン、ヘンレン・ミレン
Gosford Park  2002年 日本映画
1932年。ゴスフォード・パークと呼ばれるクラブハウスに、続々と人が集まってきた。彼らはイギリスの貴族で、いわゆる高ビーで鼻持ちならない奴等だ。贅沢をすることが彼らの勲章で、そして人々を見下すことが、彼らの日常。今回のホスト役はマッコードル卿夫妻とその娘。そしてゲストは夫人の叔母、夫人の二人の妹夫婦、マッコードル卿の従兄弟の映画俳優、そしてその友人の映画プロデューサーなどなど。そしてもちろん、彼らの周りのお世話をする従者たちも同行していた。こうしてゴスフォード・パークは「貴人」たちが集う、「上の階」とパークの従業員と従者が行き交う「下の階」で、それぞれがゴシップ話に花を咲かせていた。一つ屋根の下でお互い探り合うかのように。2日目の夜、事件は起こった。映画プロデューサーが次の映画の題材について語っていた「殺人事件」のとおり、マッコーゴルが何者かによって殺害されたのだ・・・。
私評:こんなカントリークラブが舞台で、真夜中に殺人事件が起こり全員が容疑者。犯人は映画を見てのお楽しみ・・・・アルトマン得意の群像劇なのですが、どうも歯切れが悪いんです。というか、面白い題材をすごく駆け足で演出してしまった感が否めない。映画の前半でこのクラブハウのルールや、登場人物、そして彼らの関係がすごい勢いで説明されます。この関係をしっかり頭に入れておかないと、後の話はさらに複雑になってしまう。だいたい、映像を見ているのに名前と顔が一致しないなんて・・。これは私が鈍いだけなのでしょう??しかし、なんとか頭の中で整理をしてみました。物語の大半は登場人物の間に行き交うゴシップ話と陰謀、淫らな関係、そして傲慢なプライドが歯に衣を着せぬセリフでバンバン飛び交います。これもオリジナルの英語が理解できれば、さらに面白いのでしょうね。殺人事件はこの映画の中ではかなり後半になってから起きます。このエピソードはなかなかいい話ですよ。もうひとつの見所はやはりこの豪華な顔ぶれでしょう。特に印象的だったのはマギー・スミスの従者役のケリー・マクドナルド。ちょっとケイト・ウィンストン似の彼女は「トレイン・スポッティング」ヒロインでした。そして怪しい方言を使う映画俳優の従者役がライアン・フィリップ。マッコードル婦人はクリスティン・スコット=トーマスなどなど、超豪華な顔ぶれです。
月に沈む  監督:行定勲  出演:浜崎あゆみ、伊勢谷友介、香川照之、糸井重里
Tsuki Ni Shizumu  2002年 日本
<おまけ>森の中の精神病院に入院しているみなもは、夜毎悪夢に悩まされていた。人間の前世の記憶から救済し治療するというこの病院の医師は、みなもに特殊な装置を取り付けた。時は古代。みなもの前世、かがりは儀式のいけにえにされようとしていた。それは「月返し」と呼ばれる儀式だった。そこに現れた一人の若者の手により、かがりはその場は脱出に成功する。しかし、追手は二人に近づいてくる・・・・・・・・
私評:僕達はこの長い旅路の果てに何を想う・・・・・・・・これは劇場映画ではありません。浜崎あゆみの歌「VOYAGE」にインスパイアされた、行定勲監督が作った長編ミュージックビデオです。幻想的な映像とトリッキーな撮影を駆使し、かなり凝った映像ができました。もちろん主演は浜崎あゆみ。めちゃめちゃ演技もセリフも下手です。そしてまた、共演の伊勢谷が輪をかけてセリフが下手[笑]。香川照之なんて、なぜこの役のために出演したのか謎です。もしかして、あゆのファンだったりして。「輪廻転生」という壮大なテーマを40分間の中では描ききれてはいませんが、このような試みもすごく面白いと思いました。昔、マイケル・ジャクソンが「スリラー」でジョン・ランディスを、そして「BAD」でマーティン・スコセッシを使ってミュージックビデオを撮ったように、このような作品がもっともっと登場して良いのでは??歌は映画のためにはすごく良い素材だと思うのですが、いかがでしょう? でも、「VOYAGE」って良い歌ですね〜。 


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