今回も面白い映画ばかりでした。しかし、「男気」溢れるサムライ映画が
今週のイチ押し。最高でした・・。
ラスト・サムライ | 監督:エドワード・ズウィック | 出演:トム・クルーズ、渡辺謙、真田広之、小雪 | |
The Last SAMURAI | 2003年 アメリカ映画 | ||
今週のイチ押し:いまでは、すっかり酒びたりの生活になっているオールグレン中尉。彼をここまで貶めたのは自ら従軍したインディアンの大虐殺だった。女、子供まで容赦なく銃が放たれた。それ以来、彼の中ではいつも「戦う事の意味」が問われていたのだ。そんな彼に日本から来客があった。近代化を目指す軍の指南役を命ぜられたのだ。破格の給金にも惹かれ彼は日本の地に立った。そしてオールグレンは軍に抵抗を試みる「サムライ」たちの残党の征伐を引き受けた。銃も持たぬ彼らを甘く見たオールグレンの軍は、あっという間に倒され、彼は「サムライ」たちの虜となってしまう。彼らを率いるのは勝元という男。オールグレンに興味を持った勝元は、彼から色々と情報を引き出そうとする。オールグレンは異国の地の、しかも敵の村でいつしかある安らぎを覚え始める。そしてそこに暮らす男たちの中に自分が追い求めていた「生き様」を見出すのだった・・・ | |||
私評:「完璧だ!」・・・・トム・クルーズが親日家である事はすごく有名ですが、彼がここまで日本に傾倒しているとは・・。今まで外国人が日本の映画を作ると、絶対と言っていいほどピントハズレで、日本人は思わず苦笑いしてしまいたくなるシーンが多かったと思うのですが、この映画は違う。まさに日本人の美徳である「義」「礼」「忠」、そして侍が一番大切にする「誉」を見事に描いていました。それらに感化され、本来自分が「男として」求め続けていた美徳に出会うオールグレン。まさに目から鱗が落ちたような気分だったのでしょうね。トムのような超有名人が日本人独特の「スピリット」の美しさを映画という媒体を通して世界に訴えかけてくれたことは、日本人としてじつに嬉しい事です。また、お恥ずかしながら自分が忘れそうになっていた「男としての気概」をも思い出させてくれました。最近どうも弱気になっていた自分の心に「渇!」を入れてくれた映画でもあります。トムの演技もすごく良かったのですが、素晴らしかったのは渡辺謙です。来年のアカデミー賞に彼の名前が挙がることを期待しています。真田広之はサブに回っていたのですが、それでもすごい存在感。そして地味ながらも日本女性の「慎ましさ」と「強さ」の双方を見事に演じた小雪も素晴らしい。また、嫌われ者の役で登場の原田眞人が、いい演技を見せます。昨日の試写会、そして今日の劇場と2日連続で見て、確信しました。「最高の映画です!!」 最後に、昔からやたらと武士道をネタに、「男とはこうあるべき」と私に語って聞かせてくれた父親に、この映画をぜひ見せたいと思いました。 | |||
昭和歌謡大全集 | 監督 :篠原哲雄 | 出演:松田龍平、樋口可南子、岸本加世子、池内博之 | |
2003年 日本映画 | |||
都内に住む6人のガキ。彼らを結び付けていたのは、自分たちが組んだセットでのカラオケ・パ−ティー。しかし、その一瞬だけ燃え上がり、あとは漠然と日々を過ごしていた。その中の一人スギオカは寝不足からくる情緒不安定で、苛立っていた。そんな時、買い物帰りのオバサンのビニール袋が彼にぶつかった。無視して先を急ぐオバサンにキレタ、スギオカは隠し持っていたナイフで彼女の首を・・・。彼女の名前はヤナギモトミドリ。彼女はミドリ会というグループの一員だった。ミドリ会とは全員がミドリという名前で、しかも離婚経験アリの女たち。しかも、みんなオバサン。ヤナギモトミドリが殺された事はミドリ会がバカにされたこと・・。オバサンたちは犯人を捜し復讐をしようと企てる。目には目を"刃物には刃物を"。オバサンたちのひとりイワタミドリは、立ちションをしようと今まさにいちもつを出したスギオカの咽喉に包丁を突き刺した。彼の頭の中では「チャンチキおけさ」が響き渡った。オバサンたちの復讐を受けてたつガキたち。彼らの戦いはどんどんエスカレートしていく・・・・・ | |||
私評:チャンチキおけさは日本のブルースだよ。こんなに悲しい歌をこんなに陽気に歌うなんて・・・村上龍原作のとんでもないお話に、日本映画の素晴らしい面子が集結。すごく面白い話なのですが、内容があまりにブラックで思い切りは笑えません(笑)。また、この映画って「ガキ」か「オバサン」のどちらの立場で映画を見るかによって見方もかなり違うんでしょうね。私は同性である「ガキ」側で映画を見ていたのですが・・。ガキ側は松田龍平(相変わらず演技が下手・・・)池内博之、村田充、斉藤陽一郎、近藤公園、そして安藤政信という旬の若者たち。対するオバサンたちは樋口可南子、岸本加世子、森尾由美。細川ふみえ、鈴木砂羽、そして内田春菊という面子。脇役人に市川美和子、原田芳雄、古田新太ら・・・。しかも監督は「命」、「木曜組曲」、そして「オー・ド・ヴィ」と私のHPで3回もイチ押しになった篠原哲雄!!もちろん、昭和の歌謡曲がてんこ盛りで、それらの歌のそれぞれの解釈も頷けます。エンド・クレジットで流れる尾崎紀世彦の「また逢う日まで」は最高!!そして映画の冒頭でガキたちがピンキーとキラーズの格好で「恋の季節」を歌うシーンがあるのですが、あのスタイルって「時計仕掛けのオレンジ」の不良たちと同じ。これってやはり先の展開とリンクさせてあるんでしょうね??しかし、日頃の鬱憤を抱える私には、スカッとする清涼剤となりました。 | |||
イン・アメリカ 三つの小さな願い事 | 監督 :ジム・シェリダン | 出演:サマンサ・モートン、サラ&エマ・ボルジャー姉妹 | |
In America | 2003年 アイルランド・イギリス映画 | ||
アイルランドからNYへと移ってきた家族がいた。父親のジョニー、母親のサラ、そして二人の娘クリスティとアリエル。役者のジョニーは新しい仕事得るため、チャンスを求めてこの地へとやってきたのだ。しかし、いっこうに仕事にありつけない。そんな家計を支えていたのはサラだった。貧しくも温かな家庭の中で、二人の娘の笑顔は大事な宝物。しかし、ジョニーとサラは一人息子のフランキーを亡くしており、その悲しみから立ち直れずにいたのだ。彼ら住むアパートは変人の巣窟。しかし、ハロウィンの夜、二人の娘は孤独な画家マテオのドアを叩いた。二人は恐ろしい形相でキャンバスに向かっていた彼の心を掴み、いつしかマテオは家族の大事な友人になっていく・・・・ | |||
私評:俺はお前を愛しているんだ。お前の美しい妻も、そして二人の可愛い娘も、みんな愛している・・・。この映画は監督のジム・シェリダンの半自伝。夢と希望を求めてやってきたNY。貧乏なだけではなく、以前に亡くした息子のフランキーの事が、家族のわだかまりになっている。しかし、フランキーの事で一番心を痛めていたのは意外な人だったのです。この映画は10歳の長女クリスティの語り調になっています。彼女はいつもビデオカメラを持っていて、家族や自分の回りの事をスナップのように撮っている。スナップ写真というのは、あとになって見直したとき不幸って写っていないものですよね。アルバムをめくると、たとえその時代に辛い事があっても不思議と写真には写っていない。そしてそういう気持ちで写真を見かえせる時には、その頃の辛さも笑い話になっているもんですよね。この映画は、まさに家族のスナップ写真であり、小さな幸せを積み重ねてみんなの笑顔を引き出す家族たちの話です。家族の誰もがみんなを愛していて、誰もが幸せになりたいという気持ちがあれば、きっとこんな幸せを育むことができるのでは??私はサマンサ・モートンが見たくてこの映画を見に行ったのですが、娘役のサラ&エマ・ボルジャー姉妹にすっかり見とれてしまいました。この二人は可愛いだけではなく、見事な演技を見せてくれます。そして劇中で使用される「E.T.」がすごく効果的。「E.T.」の見方が変わりました・・・。 | |||
シャンハイ・ナイト | 監督:デヴィッド・ギブソン | 出演:ジャッキー・チェン、オーウェン・ウィルソン | |
Shanghai Nights | 2003年 アメリカ映画 | ||
アメリカ西部の保安官を勤めるチョン・ウエンの元に、一通の手紙が届いた。それは妹リンからの手紙で、彼の父親が殺されたと言う内容だった。彼の家系は代々中国皇帝の「龍玉」の番人で、父親もその大役を果たしていた。一人息子のチョンは本来なら父の後を継ぐはずだった。リンは犯人を追いイギリスへと向かった。チョンはかつての冒険の名コンビロイを訪ね、NYへと向かった。ところが彼に預けたはずの財産はすっかりなくなっていて、彼は無一文になっていた。しかし、二人の友情は変わってはいなかった。名コンビ復活で二人は船に密航しロンドンを目指した。しかし、この街で二人を待っていたのは更なる冒険と、危機また危機の連続だった。そしてビクトリア女王在位50周年の式典の最中、花火見物に集結したロイヤルファミリーに銃口が向けられる・・・・。 | |||
私評:「シャンハイ・ヌーン」の続編映画です。それゆえ、前作を見ていないと分からない箇所も幾つかあります。しかし、そんなものは不要かもしれません。なんたってジャッキーの映画の見所はアクション。もう、彼って50歳くらいなんですよね。それなのにあの身の軽さは本当に舌を巻いてしまいます。今回のアクションはかなりコミカルな要素を取り入れていて、そのアイデアにはビックリ。やっぱり、ジャッキーのアクションは一味違います。そしてジャッキーに負けず劣らず大活躍のオーエン・ウィルソン。彼も本当に芸達者です。今回も体より口の方がよく動く男ですが、ここ一番で良いアクションも見せてくれます。紅一点のファン・ウォンも可愛くて魅力的。(彼女って31歳には見えない・・)しかし、香港の女優さんってみんなすごいアクションをこなしますよね。彼女の蹴りはじつに美しい。そして映画を見るまで知らなかったのですが、なんとドニー・イェンが出ているじゃないですか!!ついにジャッキーVsドニーの対決を見る事ができて、これだけでも大満足。二人の戦いの結末は・・・?(言わずにおきましょう・・)ストーリーも凝っていて、「シャーロック・ホームズ」ネタやチャップリンのネタまで、色々と面白いオチがあって、この辺りはさすがにブエナ・ビスタの映画って感じ。ラストにNG集があるのですが、エンドクレジットとは別にあるんですよ。これはやはり、スタッフ、キャストへ気配りなのでしょうか?? | |||