今回もバラエティー豊かなラインナップ。 グアムで見てきたアメリカ最新映画とあのホラー映画を
ビデオで観たので・・・。 6作品をご紹介します。
1999年 : アメリカ映画
監督 : ウィリアム・マローン
主演 : ジェフリー・ラッシュ、 フェイムク・ジェイソン、テイ・ディッグス
絶壁の上に聳え立つ孤高のビル。 そこはかつては病院であった。
しかし、医師たちは患者を実験材料にして切り刻んでいたのだった。 ある日
患者たちは謀反を起こす。 しかし、このビルは夜にはシャッターが閉まり
外には出られない仕組みになっていた。 そして中で起こる火災。 もちろん
生存者いなかった・・・。 そして現代、アミューズメントパークの絶叫マシーンの
制作をしているステファンは、恋人エヴリンのお願いで、惨劇の館での誕生パーティーを行う事にした。 招待された
ゲストは4人。 翌日までビルの中で生き残れれば100万ドルを差し出すと言う。 曰くつきなゲストたちもその額に
目がくらみ、一夜を過ごす事に。 そして惨劇はまた繰り返される・・・・。
私評:めちゃめちゃテンポが良くて、面白かった。ビルに備え付けのカメラに時々映し出される
霊(?)はヘルレイザーに出てきたキャラみたいだった。人を脅かす事が大好きなジェフリー・ラッシュ
扮するステファン。 今までのイメージとはちょっと違った新しいジェフリーをみれます。
もちろん、「ホーンティング」に負けない、いや上回るSFXの数々も見物です。
こんなに金をかけたスプラッターが今までにあっただろうか?
最初にアミューズメントパークの取材に来るテレビ局とジェフリーの掛け合いは最高!
ラストも、その後どうするんだろう?? というツッコミを入れてしまいましょう。
1999 年 : アメリカ映画
監督 : ダニエル・マイリック&エドラド・サンチェス
主演 : ヘザー・ドナヒュー、マイケル・ウィリアムズ、ジョシュア・レナード
大学の論文のテーマにブレアウィッチ(魔女伝説)を取り上げ
取材に出発した3人。 行く先々でこの恐ろしい伝説についての
インタビューをしながら、核心に迫っていくつもりでいた。
そしてついにその森の中に彼らは足を踏み入れた。 過去にいくつもの
忌まわしい事件が起きた森へ・・。 途中で地図をなくしてしまった
彼らは森で迷い、精神的にも追いこまれて行く。そしてついに得体の知れない
何かが彼らを襲いはじめる。 助けを求めても、叫んでも彼らの声は
虚しく森に吸い込まれて行くのだった・・・・。
私評:はっきり言って、怖いです。実際にあった事件です。
(スミマセン。 実話ではないそうです。 私の勘違い!)
撮影開始当初の仲の良い人がだんだんと狂って行くさまが、まず
恐ろしい。森の中で迷って出られないと言う苛立ちから喧嘩ばかりに。
そしてそれに追い討ちをかけるように、姿の見えない何者かが、
執拗に彼らにモーションをかける。 上に書いた「ハウス・オン・・」とは
まったく違う分野のホラー。 あまり書かないようにしましょう。
1999年 : 日本こぶしの会
監督 : 米内山明宏、 大澤豊
主演 : 忍足亜希子、 田中実、 岡崎愛、 不破万作
高野幸子、 植村梨奈、 関千里、 砂田アトム
静岡に暮らす水越朝子は聾者。 しかし、優しく理解のある夫とちょっと
おませな娘・愛と幸せに暮していた。 しかし、ある日愛は学校で朝子の
手話を見た男の子にいじめられる。 朝子は自分が原因で娘がいじめられた
ことにショックを受ける。 そして自分は障害を持っていても前向きに一生懸命
生きている姿を愛に見せうようと友人の聾者の劇団に入ることにした。
それぞれに悩みや問題を抱えた団員たち。 そんなある日、彼らの劇団が
大観衆の前で演じるチャンスが巡ってくる。 果たして公演はうまく
行くのでしょうか???
私評:障害者の映画だから・・と、ちょっと構えて行った私です。 ただ単にお涙頂戴で
ボランティアの押しつけや彼らへの同情を買う映画だったら・・。 という思いがあったから。
この時点で私と聾者の方の間に”バリア”があったんですね。映画はそんな思いはまったくさせません。
確かに聾者の方の不便さや、社会からの中傷は織り込んでありますがそれ以上に大切なメッセージは
家族や友人の大切さや、前向きに人生を生きることです。 娘役の愛ちゃんがこの映画の一つのキーです。
彼女の純粋な目を通して人生の喜怒哀楽をのぞいて見ましょう。 脇役人の不破万作、西村知美、
(松本明子のだんな)本宮泰風ら、脇役人もすごく良いです。 ちなみに上のパンフの写真の親指、
人差し指と小指を立てるのは手話の”アイ・ラヴ・ユー”です。 忍足さんきれいですね。
1998年 : アメリカ映画
監督 : ジョアン・チェン
主演 : ルールー、 ロブサン、 ガオ・ジエ、 ベイ・シェン・チェン
1970年代半ば、こちら日本は高度経済成長で裕福さが感じられ始めた頃、
中国では文化大革命の一環として、下放政策という都会の少年少女に労働を
学ばせる為辺境の地へ送ると言う制度があった。 シューシューもその一人
としてチベット男、老金(ラオジン)の元で放牧を教わる事になる。革命の理念に
燃えいつか両親の住む都会へ帰れると信じてひたすら働いた。老金は若い頃は
暴れもので手が付けられず、ついには男性器を切り取られてしまっていた。
シューシューの迎えはいつになってもやって来なかった。 そんなある日、
彼女の元に行商の男がやってくる。彼が言うには「他のみんなはもう帰ってしまった。
しかし、都会に帰るには書類が必要で自分はそのコネを持っている」と・・・。
そして彼に身を任せるシュ−シュー。その日から次々と彼女の元を訪れる男たちは
彼女の便宜を図るからと言っては彼女を抱いていく。 自暴自棄に陥る彼女とそれを
黙って見つめる老金・・・・・。
私評:中国では20年前までこんな事が行われていたのですね。1966年から
76年は中国ではプロレタリア文化革命が吹き荒れる中、毛沢東が言った一言
「若者は農村へ行け!」がこの下放運動の発端だと言う。 シューシューは特別
だったかもしれないがこんな残酷な青春を送った若者もいたんでしょうね。 しかし、本当に残酷なストーリー。
主役のルールーがめっちゃかわいいだけに、余計にうそつきな男たちに腹が立つ。そしてシューシューと老金の
純愛。 肉体的には結ばれない二人は、心の深いところで繋がりあっていたのでしょうね。 監督のジョアン・チェン
はラストエンペラーやツインピークスでおなじみの女優。 彼女が描いた祖国の恥部とも言えるこの物語は国への
反発ではなく、愛が感じられる。 しかし、彼女が祖国の大地を踏む事はもうないと言う・・。
1999年 : WOWOW+バンダイビジュアル
監督 : 諏訪敦彦
主演 : 三浦友和、渡辺真紀子、高橋隆大、梶原阿貴
レストラン経営をしている哲郎はいま、デザイン会社に努めるアキと同棲している。
お互いがいやになるまでこの生活を続け、結婚はしない。哲郎は前妻との間に息子がいて
月に1度会う事になっていた。 そんなある日、前妻が交通事故で入院。 急遽、息子を
1ヶ月間預かる事にする。今までお互いの生活を尊重し合っていた二人に突然襲って来た
嵐。 二人の間にもだんだんと不協和音が・・。 しかし、純真な子供に怒りの矛先を
向ける事もできずアキはイライラしはじめる。 また一方では彼女の母性本能が目覚めて
来ている事も確かだった。 アキはついに家を出る決心をする。 そして一人で
アパートを探しはじめるがどこもしっくり来ない。 一ヶ月がたち前妻が退院することに。
預かっていた息子も返す事になり、これで以前の生活に戻れると確信していた哲郎。
しかし、そんなに甘いものではなかった・・・。
私評:英会話教室のコマーシャルで「マザー。 Mを取ったら他人です」という
のがあるけど、この映画は逆で他人にもMを付けるとマザーになっちゃうという
話ですね。三浦友和演じる哲郎は、めっちゃ分かりやすい性格。 人に気を使い
淋しがりや。 アキともとにかく波風を起こさないよう努力をしている。 一方、
アキはどちらかと言うとマイペース。仕事に燃えていてキャリアも積んでいるが、心のどこかに母親になる憧れ
を持っている。 それも時間の波に押し流され・・。 音楽は映画の最初の方ではギーギーと歯が浮くような
バイオリンのノイズ。時間と共にきちんとした音になり、そして音楽になって行く。 逆に二人の生活は不協和音。
諏訪監督はシチュエーションだけを役者に与え、後は役者が即興で演じている。 だから、会話がめちゃ普通で、
日常のワンシーンを切り取ったようだ。 こんな会話劇を2時間30分も延々と見るのはけっこうキツイです。
私は哲郎にめっちゃ感情移入ができたからまだ、耐えられたけど・・・・。
1998年 : アメリカ映画
監督 : ジョン・ウォーターズ
主演 : エドワード・ファーロング、クリスティーナ・リッチ
リリ・テイラー、マーサ・プリンプトン
母親から中古のカメラを譲り受け、すっかりカメラ小僧になってしまったペッカー。
片時もカメラを放さず、常にシャッターチャンスを狙っている。 彼はバイト先の
ファーストフード店で個展(?)を開く。 近所の仲間たちや家族が押し寄せる中
ニューヨークでギャラリーを持つローレイが訪れる。 彼女はペッカーの写真を
一目見て気に入りNYで個展を開きたいと申し出る。 この個展がまたまた大成功!
ペッカーは一躍時の人となるが、被写体となっていたボルチモアの人たちは面白くない。
また、マスコミも面白がって中傷的な記事を書き連ねた。 そしてローレイは
名門ホイットニー美術館で写真展を開こうと持ちかけてくる。 しかし、ペッカーは
「有名になる前の僕の人生を返してくれ〜!」と叫ぶのだった。
私評:おバカな映画です〜。 めっちゃ面白かった〜。 とんとん拍子に成功の階段を
登って行く前半と、挫折の中盤、そして挽回の後半ととにかくテンポが良い。 テンポの
良さを惹き立てているのが音楽だと思う。 軽快な音楽がストーリー展開に拍車をかけている感じ。
ジョン・ウォーターズといえば「ピンク・フラミンゴ」。 あのお下劣なマーブル夫妻は私の大好きキャラ。
その彼が普通の映画を取るはずないと思ったら、やっぱり普通じゃなかった。 最初からR指定にするつもりだった
のかゲイバーのシーンもお下劣。 ペッカーの父親の向いの家のヘアー丸出しストリップバー「裸の館」・・。
そんなネタも満載です。 いつもは一風変な役が得意なリリ・テイラーが1番普通に見える。 クリスティーナ
リッチー嬢が相変らずシュールでカワイイ〜。 ペッカーの妹クリッシーが夜中にお菓子をつまみ食いしている所を
激写するシーンで「シックス・センス」を思い浮かべたのは私だけではないはず・・。