今回はミニシアター系が多い。 本当はこういう映画もたくさん見たいですよね。
1998年 : アメリカ映画
監督 : デビッド・ウィンクラー
主演 : ハーヴェイ・カイテル、ジョナサン・シャーチ、
ブリジット・フォンダ
結婚式を終えたばかりのバイロンと妻の乗った車が列車と衝突してしまい、
妻は他界、幸せのはずの未来は打ち砕かれてしまった。事故から1年半後、
生きる目的を失ったバイロンは、漠然と車を走らせていたある日、
自らエルビス・プレスリーだと名乗るヒッチ・ハイカーに出会う。
エルビスは実は死んだのではなく、姿を隠していたのだと言う。
しかし、容姿からはまったく似ても似つかない彼は、エルビスの眠る
「グレイスランド」へ向かいたいのだと言う。
あまりにも唐突で半信半疑のバイロン。 しかし、行く先々で彼は奇蹟を起こす。
彼がエルビスだなんて事は、まったく信用していなかったバイロンも
徐々に彼に心を開いていくのだった。
私評:こういう癒し系のロードムービーは好きです。 また、この映画には良いせりふがたくさんある。
自分を世界中で1番不幸だと思っているバイロンの心を開く為、そして現実から目を背けてばかりいる
彼をリアリティーの世界に引き戻す為、 エルビスはバイロンに言葉を送ります。 その一言一言が
ラストで実を結ぶようだ。 『人生はやり直しがきくぞ』。 しかし、ハーヴェイ・カイテルは良い。
もちろん全然エルビスのなんか似てないけど、とても味のある奥行きの深い人間を演じている。
バイロン役はジョナサン・シャーチ。 見るからに堅物で真面目。 「すべてをあなたに」でも
真面目なバンドのリーダを演じていたけれど、この映画でもその魅力は遺憾なく発揮されている。
そしてブリジット・フォンダ。 なんだかこっちが恥ずかしくなっちゃうようなマリリン・モンローの
ソックリさん役。 ちゃんとステージで歌って、踊るんですよ〜。
1998 年 : アメリカ映画
監督 : 田代廣孝
主演 : フランク・マクレイ、ナンシー・クワン、ロイド・キノ
ベトナム帰還兵ブルースはLAの寿司屋「江戸寿司」の職人。彼は黒人である以外
普通の寿司職人であった。しかし、彼は毎晩ベトナムの悪夢にうなされていた。
女子供、そして赤ん坊まで殺した自分をいつまでも責めつづけていた。彼の妻は日本人
のミツコ。 二人は質素ながら幸せに暮していた。ある日、ブルースは店長の座を
約束されたが東京の本社はそれを却下。 怒ったブルースは支配人の横山を殴ってしまう。
そして彼は自分の店を持つことを決意。 ミツコと二人で資金繰りに奔走しやっとの思いで
店を開業。その名を「Mr.Pのダンシングスシバー」と名づけた。 店は予想以上に大繁盛。
彼らは成功者としての生活を手に入れる。 しかしそれとは裏腹に夫婦の関係は冷めていく。
一人になったブルースは、過去の悪夢を振り切る為に一人ベトナムに向かう。
私評:この映画は全然情報を頭に入れずに見に行きました。 タイトルからしてコメディーか?
しかし、田代監督の前作品「あふれる熱い涙」を見ていた私はとても期待していました。
映画は予想と相反し、けっこうシリアスなドラマ。 国の壁、人種の壁に阻まれた人々の孤独、絶望。
そして戦争による悲劇を描いている。 監督が日本人だから逆にうわべだけを見てサラリと作れるのかも
しれない。日本人妻ミツコは香港の女優が演じています。 でも、ネイティブ・ジャパニーズの私が見ても
何の違和感もありませんでした。日本を捨て前夫と息子を捨て、単身アメリカにやって来た彼女にも悲劇が
訪れる。 そして最後にMr.Pの意味を知らされて、妙に納得してしまった。
なかなか侮れない映画ですよ。
1999年 : 松竹映画
監督 : 森田芳光
主演 : 内野聖陽、田中美里、西村雅彦、大竹しのぶ
金沢の保健会社に努める若槻の元に怪しい女から1本の電話が来る。
自殺者にも保険金は下りるのか? 彼女が自殺すると思った若槻は
必死に説得するが電話は切れてしまう。 翌日、菰田と名乗る男から
若槻宛てに電話があり、家を訪ねると隣の部屋で菰田の息子和也が首を
吊って死んでいる現場に遭遇する。 社に戻ると少年には保険がかけられて
いた。若槻はこれが自殺ではなく殺人であると直感した。 そして自分はまんまと遺体の第1発見者
にされたのだ。 その日から毎日保険金の受け取りの確認の為会社を訪れる菰田。そしてついには
保険金は支払われることに。しかし、事件はこれで終わらなかった。 今度は菰田自身が仕事中に
機械に手を挟まれ両腕を失ってしまう。 そして菰田の妻、幸子から今度は彼の分の保険金の支払い
を要求される。 そしてついに本性を表わしはじめる幸子・・・・。
私評: シノプシスは書こうと思えば、もっとディテールも書けるのですが抑え目にね。
原作は超・売れっ子作家の貴志祐介。 彼の小説は全て読んでいる私の,この作品への期待は
とても大きかったのですが、見事に応えてくれました。小説自体はけっこう暗くて重い雰囲気。
特に保険会社の社員の苦労はホラー以上に辛い。 それを映画はけっこうコミカルに描いている。
ところが、物語の半分くらいから俄然映画の雰囲気が変る。 サイコな大竹しのぶが現れてからは
本格的なホラーに大変身。息をもつかせぬ畳み込み。追う女、追われる男という普通のホラーとは
逆のシチュエーションもおもしろいです。 (危険な情事みたい??)。 ちょっとネタバレ。
映画が始まる前に舞台挨拶があり、内野聖陽が「大竹さんの大きな胸を借りて・・」と言ってました。
また、監督が貴志祐介に言われた「なんで小説の舞台の京都から金沢に移したのか?」
もう一つ情報。 この映画のチョイ役で山崎まさよしが出てます。
1997年 : イギリス映画
監督 : チャールズ・マクドガル
主演 : クリストファー・エクルストン、サスキア・リーブス
ケイト・ハーディ、リス・エヴァンス
20才の青年の乗ったバイクが、ドラッグ中毒の女の運転する車と事故に遭い
脳死状態になる。生前彼はドナー登録をしていた為彼の心臓は心臓疾患を持つ
ゲイリーに移植される。ゲイリーは自分の心臓が誰からのものかを探し、ついには
彼の母親のマリアに辿りつく。 マリアは彼の心臓の鼓動を聞き、彼の中で生き
続ける息子の心臓を想い、ついにはゲイリー本人に感情を寄せ始める。ゲイリーの妻
テスは心臓の悪かった夫が性交渉ができなかった為愛人を作っていた。しかし、
すっかり元気になった夫がいる為、愛人のアレックスには別れを告げるが彼は執拗に
彼女を追ってくる。そしてマリアもゲイリーを追ってストーカーの如く
つきまとうのだった。
私評:おもしろい! グッチャグチャの人間関係と異常な執念。 そして、意外な結末!!
息子の心臓を想うが為にその心臓を持った男自身まで欲しくなってしまうマリア。彼女の過去は
多くは語られていないが16才で息子を産んだ。夫もいない。それゆえに息子だけが心の支え
だったのでしょうね。軌道を逸した行動もなんとなくわかる。 ゲイリ−も妻の不貞を知りキレル寸前。
それに加え、愛人のアレックスが巧みに彼を挑発する。 なんとも嫌な奴なんですが、
この男がリス・エヴァンス。あのノッティングヒルの恋人でヒュー・グラントと同居する変な奴でした。
変れば変るもんだ・・。そして一番最後のシーンで、また「やられた〜!!」と思った。
ちょっと怖いけど、おもしろいですよ。