2001/10/25号

映画祭の前にきっちりと記事をアップしておかなくちゃ。今回も盛りだくさんです〜!!

Rain  監督 : オキサイド&ダニー・ハン兄弟  出演 :パワリット・モングコンピシット
Bankok Dangerous  2000年 タイ映画  
耳が不自由なコンは射撃場で仕事をしている時、一人の男に銃を撃ってみないかと言われる。彼の名はジョー。そしてコンは、見事に的を撃ちぬいた。ジョーの仕事はヒットマンだった。その日から,コンはジョーによってヒットマンになるための訓練を受ける。そして今では,コンは腕利きの殺し屋になっていた。ある日、コンは薬屋で働くフォンと出会う。初めての恋を知った。また、ジョーは恋人のオームが”ボス”の客にレイプされ、復讐を果たす。しかし、客を失ったボスは、今度はジョーに刺客を放った。復讐はまた、復讐を呼び起こしついには泥沼に落ちていくコン。 そしてコンが取った最後の手段とは?? 
私評:僕が何をしているか君は知ってしまった。でも,君に会えて良かった・・・。タイのバンコクを舞台にしたサスペンスアクション映画です。タイ映画というと、どうも垢抜けない、そして作品のクオリティーも低いと思っていたのですが、この映画はそんな私に考えを一気に覆してしまった。一番の見所はスタイリッシュな映像だ。スローモーション、高速撮影、ネオン、鮮血、銃弾、光りと闇、雑踏のノイズ、そしてサイレンス・・。香港映画の編集を手がけていたハン兄弟は、そのテクニックを如何なく発揮している。 (途中で香港への出張殺しのシーンもあります。 このシーンも香港の地下鉄ならではのシーン) 主演の4人がそれぞれ良い演技をしてました。 コン役のパワリットは寂しげな表情と、恋人の前での無邪気な表情を上手に使い分け、新しいヒーローになるのではないでしょうか? 映画が始まってすぐ、この映画の世界にどっぷり浸かってしまい映画が終わった後は、しばらく席を立てなかった・・。 新しいタイプの映画との出会いでした。しかし、バンコクにはこの手の殺し屋が山ほどいるらしい。しかも、意外と安価で雇えるんですね。タイに行く時には、周りのみんなに憎まれないようにしましょう。さもないと、いきなり銃口を向けられるかも??(冗談ですよ)
アメリ  監督:ジャン・ピエール・ジュネ  主演:オドレィ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ
Le fabuleux destin d'Amelie Poulain  2001年 フランス映画
医師であった父親に心臓病と誤診され、学校にも行けなかったアメリは、一人で遊びながら空想に更けるのが好きになってしまう。大人になってもそんな部分が抜けない彼女だったが、変な人が集うパリのモンマルトルのカフェで仕事をしていた。ある日、自分の家のバスルームの穴から40年前の少年の宝箱を見つける。自分の昔の宝物が40年ぶりに届いたら??ワクワクしながら当人を探すアメリ。そしてついに宝箱は彼の手に・・・。その時の彼の笑顔が忘れられず、アメリは次から次へと人々に夢を与えようとする。そんなある日、駅のスピード写真の捨てられた写真を必死に集める男と出会う。彼と目が合った瞬間、アメリの鼓動はスピードアップ。これって恋なの??・・・・
私評:アメリが好きな事はクレーム・ブリュレのカリカリになった焼き目をスプーンで壊すこと、サンマルタン運河での水切り、穀物が入った袋にできるだけ深く手を入れること・・・。本当に楽しい映画に会う事ができました。フランスではアメリ現象まで起きたという。それは幸せ症候群。この映画を見て、たくさんの人がハッピーになったんです。登場人物がたくさんいるのですが、それぞれのキャラが面白くて、そして可笑しい。しかし、そんな変人たちもアメリが与えた小さなきっかけが元で笑顔になっていく。その顔の輝きが私たちをハッピーにしてくれるんですね。めっちゃキュートなアメリを演じるのはオドレィ・トトゥ。彼女が最高です。(元々はエミリー・ワトソンが配役されていたとか・・・アンビリーバブル)彼女の振るまいが笑顔が、そして映画を通して伝わってくるドキドキ感がタマリマセン!!監督は「デリカッセン」「ロスト・チルドレン」「エイリアン4」のジュネ監督。この映画の映像の凝り様は半端じゃないです。とにかく細かいシーンを切り貼りで繋げ、次から次へと画面が変わっていく。まさに映像の洪水。特に空想シーンは最高です。また、すごいボリウムの特撮もお見逃しなく。そしてもう一つ、音楽も超チェックです。何度も何度も見てみたい映画です。最高〜!!
 メメント  監督 : クリストファー・ノーラン  主演:ガイ・ピアース、キャリー・アン・モス
Memento  2000年 アメリカ映画
レナードは妻の殺害現場で犯人に頭を強打され失神した・・。その時から自分の記憶を10分しか保てなくなってしまう。事件の前の事は全て覚えているのに・・。そして彼は妻を殺した犯人を探し始める。10分間の記憶を忘れれないために、インスタントカメラを持ち歩き、メモを欠かさず、そして重要なことは体にタトゥーを入れた。そしてそんな記憶の断片を継ぎ合わせ、彼は犯人を探し続ける・・・。

私評:10分前、俺は何をした??・・上のシノプシスは映画の進行とはちょっと違います。と言うのも、この映画はスタートが結末だから。記憶をなくした男レナードが、何者かを追い詰めそして銃弾を叩きこんだ。そして映画は時間を遡り、彼がどういう過程でここに辿り着いたかを描いていく。最初に持っていたメモの意味、インスタント写真の数々、そして体に彫られたタトゥーなどの意味を、そして原因を少しずつ解き明かしていく。そして映画は最後に妻の殺害現場に戻っていく。まず、この発想が面白いです。既に過去に起きたことに謎が隠れているなんて、誰が想像できるでしょう。 映画は既に振られた事象が、なぜ起こったのかを追っていく。ちょっとコミカルなところも、この映画を楽しめる要因では??主演のガイ・ピアースも、良かったのですが、私はキャリー・アン・モスがすごく良かった。果たしてこの映画の謎にどこまで近づけるか?? 私もまだまだ理解しきっていないかも?? 
助太刀屋助六  監督 : 岡本喜八  主演:真田広之、鈴木京香、仲代達矢
Sukedachiya Sukeroku  2001年 日本映画
助六は一旗上げようと、生まれ育った村を捨て旅に出た。旅の途中でひょんな事で仇討ちの手助けをして金を儲け、すっかりその家業に味をしめてしまう。彼は自ら「助太刀屋助六」と名乗り、ちょっとした小金持ちにはなっていた。そして久々に戻った故郷で、母親の墓参りを済ませた助六は、そこに添えられていた1輪の花を見つけた・・。その頃、村の中では偶然にも仇討ちが行われようとしていた。しかも、その仇は母の墓に花を添えた男だった。いったい、この男は??

私評:喜寿の岡本喜八、いまだ現役・・。 岡本監督は前作の「イースト・ミート・ウエスト」が、私的にはイマイチだったんで不安もあったのですが、今回の「助太刀屋助六」は面白かった。ストーリーはいたって簡単なんだけど、それぞれのエピソードにまつわる、細かい演出が冴えてます。また、真田広之を始めとする登場人物が、まさに適材適所に配置されていて、彼らがそれぞれの役を実に楽しそうに演じているのが伝わってきます。真田広之は久々に身の軽いところを見せてくれたし、鈴木京香も田舎ッペのねーちゃん役を(もしかしたら地なのか??)楽しげに演じていました。また、一人渋い演技を見せるのが仲代達矢。彼がいるだけで、映画がピシっと引き締まる。さすが、と言う感じでした。悪者役はもう全ての日本映画に出ているのでは?と思うくらい映画で良く見る岸部一徳。イヤらしい役をやらせると、いい味を出します。もう一つ注目して欲しいのが音楽。山下洋輔のお祭りのような音楽がゴキゲンです。ラストは見え見えだったけど、まあ良いのでは?90分に満たない作品なので、お気軽に楽しんでくださ〜い! 
Electric Dragon 80000V  監督: 石井聰互  主演:浅野忠信、永瀬正敏
Electric Dragon 80000V  2000年 日本映画
幼少時代、高圧電線に触れそれ以来「電気と感応し爬虫類と心を通わせる男」になってしまった竜眼寺盛尊。すぐにキレてしまうのは、感電した際に脳の爬虫類的な部分が目覚めたせいだ。日々募るストレスを解消するため、エレキギターをかき鳴らし、その爆音で心をなだめていた。しかし、ある日彼が家に帰ってみると大事な爬虫類のペットたちは虐殺され、しかも、命より大事なドラゴンギターもズタズタ。犯人は「電気を修理し怪電波をキャッチする謎の男」雷電仏蔵だった。彼は電波を正しく使用しない者たちへ、制裁を加える仕置き人だったのだ!!そして運命に導かれるかのように二人は出会いそして今、怒涛の電気バトルが開始された・・・・。

私評:電気は〜ッ! 大切に〜〜ッ!!!!・・・・。 一言で言うとすごい映画です。何がすごいって・・・とにかくパワフルなんです。とって付けたようなペラペラのシナリオを強引に1時間の映画にしている感じ。もしかしたら、最初に映像ありきだったのか??電気の炸裂する音、浅野忠信がかき鳴らすギターの音、そしてその他の色んな音が何十倍にも増幅され劇場のスピーカーをぶっ飛ばすくらいの迫力で観客を襲う。そう、これはまさに感じる映画。大人しく映画を堪能したい人にはお薦めしません。石井相互監督の前作「五条霊戦記」の音もすごかったけど、この映画の音はもっとすごい。それゆえこの映画は環境が許す限り最大限の音響で見なくては何の意味もないのだ。ビデオを待とうなんて、そりゃ邪道ってもんですよ。物理的に見れない人は別ですけど・・・(ミニシアター系の映画なんで、公開されない地域にお住みの方はビデオで鑑賞する時も、ヘッドフォンを装着の上いつもよりボリウムの数字を倍くらいに上げて鑑賞して下さい。)映画の終わった後の、あのなんとも言えない心地良い疲労感・・・・。あ〜、この映画が好きだ〜!! 
ブレス・ザ・チャイルド  監督:チャック・ラッセル  主演:キム・ベイシンガー、ルーファス・シーウェル
Bless The Child  2000年 アメリカ映画
ニューヨークの病院で働くマギーの前に、2年間消息不明だった妹のジェナが突然訪ねてきた。しかし、ジェナは生まれたばかりの娘コーディを残し、姿を消してしまう・・・。そして6年後、マギーはコーディを自分の子供のように育てていた。その頃NYでは、子供を誘拐しては無残に殺害するという事件が起こっていた。彼らが次のターゲットに選んだのはコーディだった。12月16日生まれの子供で、特殊な能力を持った子供を彼らは捜していたのだ。そしてその力を利用し、神を滅ぼし悪魔の君臨する世界を築き上げようと・・・。コーディーを守るためマギーの孤独な戦いが始まった・・・。

私評:私は世界を滅ぼすために生まれてきたの??・・・・アメリカでは昨年の春に公開されていたので、日本には1年半も遅れて到着です。お蔵入りだと思っていたので、劇場公開してくれたギャガさんありがとう。この映画はいわゆる正統派ホラー映画といえると思います。神Vs悪魔の戦いを描いた作品です。 コーディの癒しのパワーはまさに聖母マリアの力、そしてその力を悪用しようと企む、謎の宗教団体(??)。 特撮も使われていますが、そんなに多用するわけでなく効果的にドーンとその画像を挿入してくる。それは悪魔の姿だったり、他の邪悪な動物だったりするのです。この辺りは監督の映像センスの良さが光ります。その監督は「マスク」「イレイザー」を監督したチャック・ラッセル。 ある意味、彼の得意な分野の映画かもしれない。主演はアカデミーでオスカーを獲ってから、どうも目立たなくなったキム・ベイシンガー。今回はアクションシーンもこなしています。(でも、どん臭い・・) 悪の権化、組織の首領はルーファス・シーウェル。前回の「ロック・ユー」の時にも書きましたが、彼は悪人顔なのでこんな悪魔の手先役はぴったり!事件のカギを握る謎の女がクリスティーナ・リッチ。今回は脇役です。しかも、あんなに酷い・・・(以下ネタバレ自粛モード)。そしてホンのちょっとしか出番がないイアン・ホルム・・。キャストは完璧だし、シナリオも面白いし、見応えのある映画でした。
タイガーランド  監督:ジョエル・シューマカー  主演:コリン・ファレル、マシュー・デイビス
Tigerland  2000年アメリカ映画
ベトナム戦争も終わりに近づいた1971年・・。戦地に赴く前の訓練地に若者が送りこまれる。ボズは新兵の中の反逆児で上官に逆らったり、除隊を希望する者に悪知恵を仕込んだりしていたため、上層部から目を付けられる。しかし、仲間の新兵たちの中では、一目置かれる存在ではあった。 ところが、彼を疎ましく思う人間もそこにはいた。ボズにプライドをズタズタにされたウィルソンは、虎視眈々とボズの首を狙っていた。そしてこのトレーニングの最終段階であるタイガーランドでの訓練が始まった。過酷を極め、体力の限界まで新平を追い詰めていく1週間が始まる・・・

私評:みんなここで殺られなくても、ベトナムで殺られる・・・・。 これはベトナム戦争を描いた作品ではない。確かに時代はベトナム戦争の末期を描いた作品だったけど、現代でも通用する平和へのメッセージ、家族、恋人への愛、そして訓練所で育まれる友情・・、それらを大事にしようと言う強いメッセージを感じた。主人公のボズが常に疑問に思っている「戦争の意義」が、映画の至るところで主張される。ある者は「国のために戦う」という。 しかし、自分が犠牲になる必要があるのか?死んでしまってはなんの意味もないではないか? そんな主張をすることを弱虫と言うのか? 映画の中で色んな問いかけがありました。でも、結局は戦争は何も生みはしない、失うだけ・・・。 監督はジョエル・シューマカー。 今回はドグマの形式を用いて、手持ちの35mmカメラでの撮影。 その画面の粗さが、ドキュメンタリーのようなリアリティーを一層醸し出します。 主演のコリン・ファレルもすごく良かった・・・。 こんな時代だからこそ、平和について、そして命について考えるべきなのでは?? 
キャッツ&ドッグス  監督:ローレンス・グータマン  主演:ジェフ・ゴールドブラム、エリザベス・パーキンス
Cats and Dogs  2001年 アメリカ映画
人間のペットとして、勢力を争う犬と猫。 その戦いは人間の目の届かないところで壮絶を極めていた。猫の首領ミスター・ティンクルズには、ある企みがあった。そのためにはブロディー教授の研究を阻止せねばならない。と言うのも、ブロディーは画期的な犬アレルギーの特効薬を開発していたのだ。もし、この薬ができてしまったら、人間と犬の距離はまた一段と近づいてしまう。次々と刺客を送りつづける。それに対抗するのはブロディー家のペット犬、ビーグルのルーは、犬の仲間たちと力を合わせてリンクルズの野望に待ったをかける・・・。

私評:世界はどちらの肉球に・・・・。この映画も発想が面白いですよね。確かに犬と猫と言えば、人間の古くからのパートナーであり、友達であり、そして2大勢力のペット。この映画の中では猫が悪者になっているので猫好きの方にはちょっと不満が残るかも?? 私は犬派なんでめっちゃ楽しめました。本物の犬・猫の演技はもちろん、特撮もすごい!!まさにマトリックスを超える映像の数々に唖然・・・そして感動。まさに映像のマジックですね。実はこの映画は甥っ子と見に行ったので私が見たのは「日本語吹き替え版」。でも、なんの違和感もなく映画を楽しめました。しかし、オリジナルの声優陣はすごい面子です。トビー・マグワイア、スーザン・サランドン、アレック・ボールドウィン、マイケル・クラーク・ダンカン、そしてチャールトン・ヘストン・・・。 演技する方では主演のジェフ・ゴールドブラムが子供をなおざりにして研究に没頭する変な科学者を怪演。奥さん役のエリザベス・パーキンスもとぼけた母親役がピッタリでした。家族で楽しめる映画です。
トレーニング・デイ 監督:アントニー・ヒュークワー  主演:デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク
TrainingDay  2001年 アメリカ映画
自らの希望で麻薬課へと異動になったジェイク。実は彼の中には、危険な麻薬課で実力を誇示し出世をしたいという希望があった。配属の初日、ジェイクは麻薬課のベテラン刑事アロンゾとコンビを組む事に。アロンゾは数々の功績を挙げた伝説の刑事だ。そしてアロンゾはジェイクに全てを叩きこむ約束をする。しかし、アロンゾのやり方は常軌を逸していた。あまりに過激な捜査の手口に言葉を失うジェイク。 そしてジェイクは正義と悪との微妙な境目を何度も選択させられる。しかし、ついにアロンゾが本性を見せた時、ジェイクの怒りは爆発する・・・。 

私評:お前は羊になるか?それとも狼になって生き残るか?どっちだ!?・・・・ 善人の代表のようなデンゼル・ワシントンが極悪非道の悪徳刑事を演じる。これは見ずには居られないでしょう??しかし、これがまたハマリ役でした。さすがですね。共演のイーサン・ホークが、前半はグット押さえ目な演技をして、デンゼルを盛り上げておいて、後半にドカーンと爆発する。この二人のアンサンブルもこの映画の見所です。デンゼルをここまで悪者に仕立てられるのも、監督が黒人だからでしょうか??そしてカメラはLAの超危険地帯にどんどん踏み込んでいく。もう、その場所に居る事だけで伝わってくる緊張感、そして恐怖感。でも、そんな場所が実在するんですね。この映画の中で、ジェイクは何度も「正義」を試される。しかし、毒を制するために毒を使うのが当然なのか?それとも正義を貫くべきなのか?次から次へと試されるジェイクの信念。きっと、「私ならこうする」と思うシーンが、みんなにあるのではないでしょうか??
リベラ・メ  監督:ヤン・ユノ  主演:チェ・ミンス、ユ・ジテ、キム・キュリ
Libera Me  2001年 韓国映画
刑務所から出所したばかりのヒス。彼が去ると同時にボイラーが大爆発を起こした・・。それから数ヶ月後、釜山市で原因不明の火事が多発する。85消防署のサンウとヒョンテは、今日も炎に包まれたビルの中で戦っていた。絶体絶命のピンチを何度も潜り抜けてきたサンウは今日も果敢に炎に挑んでいく。そんなサンウの姿を見て、ヒョンテは尊敬と同時に恐怖を覚えるのだった。そしてサンウは現場近くで、何者かの鋭い視線に気付が・・。怪我人が運び込まれる病院の中にヒスの姿があった。彼は障害を持った子供たちのカウンセリングの職についていたのだ。そして暴かれていく彼の悲惨な過去。しかし、放火事件は後を断たず、そしてその敵意の矛先はサンウ、そしてヒョンテへと向けられていく・・・。

私評:「Libera Me」それはラテン語で「我を救い給え」の意味・・・・。 消防士の映画というと「タワーリング・インフェルノ」「バックドラフト」などの名作が思い浮かぶ。 そしてこの「リベラ・メ」はそれらと肩を並べるド迫力のアクション映画だ。映画の冒頭からいきなりの大爆破シーンに度肝を抜かれ、その後もビルで、ガソリンスタンドで、そして病院で次々と火災を起こしていく。これらがCGやセットではなく(一部CGも使っています)、本物の火事を起こして撮影しているらしい。実際、釜山の街のビルに火を放ち、大爆発させるシーンがあるのですが、その迫力たるや・・。当然の如く、日本では撮影不可能です。しかし、そんな映画を作り上げてしまう韓国のパワーは素晴らしいです。ところが、この映画はほとんど「バックドラフト」のパクリ。特に映像の部分で「バックドラフト」で使われたシチュエーションが、何度も登場する。しかも、音楽までそっくり(笑)。しかし、そうだと分かっていても充分過ぎるくらい楽しめる映画です。消防士の悲劇も、見え見えではあるのですが感動させられてしまう。これもひとえに、韓国映画のパワーなんでしょうか?
おいしい生活  監督・主演:ウディ・アレン  主演:トレイシー・ウルマン、エレイン・メイ、ヒュー・グラント
Small Time Crookes  2000年 アメリカ映画
NYで細々と暮らす皿洗いのレイとネイルショップのフレンチーの夫婦。元々、レイはしがない泥棒で、1度刑務所に入れられた事もある。そんな彼が新聞越しに何やら企んでいるようだ・・。チョコレートのお土産を手に家に帰ったレイは、いつも通り悪口雑言を浴びせるフレンチーに相談を持ちかける。「銀行の2軒隣の店が売りに出ている。その家の地下を掘って銀行の金を盗むんだ。その間カモフラージュのためにお前はクッキーを焼いてくれ。」乗り気がしない彼女だったが渋々承諾した。地下ではトンネルが堀進めらるが、一方でフレンチーのクッキーも大当たり!マスコミにも取り上げられ大ブレイク。最後にはフランチャイズ化し、ふたりは巨万の富を得る。まさに「おいしい生活」を手に入れたのだ。でも、これって本当に幸せなの??

私評:僕はチーズバーガーが食べたいんだ〜!久々にウディ・アレン節炸裂!今回のウディは自惚れやでオチコボレ。いわゆるインテリ役が多い中、教養のないちょっと下品な男役です。これがまた、良いんだ!しかし、ウディの影が薄いのは共演のトレイシー・ウルマンとエレイン・メイの二人のオバちゃんパワーに圧倒されているからですね。マンガでダメオヤジってのがありましたが、まさにそんな感じ。ロー・ソサエティーの世界を愛しながらも、ハイソサエティな世界に憧れていたフレンチーがやっと手に入れた金、物、そしてプライド。でも、本当に大切なものってなに??手に入れた物と引き替えに大事なものを失ってしまうのでは?これがこの映画のテーマであり答えなんです。(でも、どれも大事にすれば良いんだよね)ラストシーンは思わずニンマリ。これぞウディ・アレン映画の醍醐味です。音楽はいつもの如く最高。この辺りのセンスの良さがウディの持ち味ですね。 ヒュー・グラントはいつもの、ヒュー君でした。 


前回の記事も読んでね〜!



I Love Movieに戻る