2003/10/19

今週は予想もしなかった、韓国映画の伏兵がイチ押し。
この映画は面白すぎます。私はめちゃめちゃ気に入ってしまいました。

ほえる犬は噛まない  監督:ポン・ジュノ  出演:ヘ・ドゥナ、イ・ソンジェ
Barking Dogs Never Bite  2000年 韓国映画
今週のイチ押し:大学の教授を目指しているが、なかなか職に就けない男ユンジュは、年上の妻にはあごで使われストレスが溜まっていた。しかも、彼が住んでいるマンションのどこかで飼われている犬が毎日吼え、彼の神経を逆撫でした。そんなある日、彼は一匹の犬がマンションのドアから出るところを見つけ、地下に閉じ込めてしまう。これで静かになる・・はずだったが、吼えていたのは別の犬だった。しかも、地下に閉じ込めた犬は声帯を手術し吼えないようになっていたのだ。さっそく地下に降りると、閉じ込めたはずの犬がいない!するとそこに鍋と野菜を持った警備員が現れる。彼の下げていたバケツの中に入っていたのは行方不明の犬だった。彼はその犬を鍋で煮込んで食べてしまう・・・。その頃犬の持ち主の少女はマンションの管理事務所に訪れ、張り紙を依頼した。そこに働くヒョンナムは、少女のために張り紙を手伝う事に。そんなある日、ヒョンナムは友達のチャンミとマンションの屋上から双眼鏡で景色を見ていた。すると、彼女の視界に入ってきたのは犬をマンションの屋上から放り投げる男の姿だった・・・・
私評:ボイラー・キムの話を知ってますか?イーン、イーンって音がするでしょう??・・・・すごい!めちゃめちゃ面白い。今年見た映画の中でも上位入賞確実の映画でした。いや〜、でもとてもアヤシイ映画なのです。実はこの映画の監督は今年の東京国際映画祭「アジアの風」の超目玉作品「Memories of Murder」の監督ポン・ジュノ。「ほえる犬・・」は彼の長編デビュー作なのです。それゆえ、この監督の素性を知る(?)ためにもぜひ見ておきたかったのですが、まさかこんなに面白い映画とは!!描かれているのは、普通の日常なのです。そしてそこに登場するのも、どこにでも居そうな人々ばかり。ところがひとつの事件は、次々と人を巻き込み、そしてそれはまた全然違う事件を誘発するのです。導火線に火がついた爆竹が次々と破裂するように、映画は行き先の分からないエンディングに向かってただ、ひた走るのです。きっと、初めてこの映画を見る人は、物語がどう転がっていくのか、まったく予想できないでしょう!そしてこの映画はめちゃめちゃ笑えるんですね。またしても、韓国映画の底力を思い知らされました。ユンジュ役は「アタック・ザ・ガスステーション」「エンゼルスノー」のイ・ソンジェ。今回は壊れたキャラクターを怪演!!そしてヒョンナムを演じるのは韓国で人気爆発中のベ・ドゥナちゃん。いや〜、彼女は最高です!!今年の映画祭で上映される「復讐者に憐れみを」そして日本の「リング」のリメイク「リング・ウィルス」にも出演しています。しかし、韓国人ってマジで犬を食べるの??
女神が家にやってきた  監督 :アダム・シャンクマン  出演:スティーブ・マーチン、クイーン・ラティファ
Bringing Down the House  2003年 アメリカ映画
今週のイチ押し:超真面目な弁護士ピーターは、とにかく仕事人間。家族も放ったらかしで働きすぎてついに妻は家を出てしまう。そんな彼の最近の楽しみは出会い系のチャットだった。そこで彼はシャーリーンという女性と出会う。彼女からの写真に写っていたのはブロンドの美女だった。そしてついに彼女とご対面の日がやってくる。ところがそこに登場したのは、黒人の大女。しかも、彼女は脱獄犯だったのだ。彼女は数年前に銀行強盗の犯人として投獄されていたのだが、自分が無罪だと言い張る。ピーターの弱みを握ったシャーリーンは彼の家に居つき、次々と事件を巻き起こして行く?しかし、今まで小さな殻に閉じこもっていたピーターは、彼女との出会いにより徐々に変化を遂げていく。そしてその変化は自分から遠ざかりつつあった、彼の家族を少しずつ引き寄せていくのだった。しかし、そんな時彼らの前にシャ−リーンに罪を着せた意外な犯人が登場する・・・・。
私評:「パパ〜、ヌードって何??」「国の名前だよ!!」・・・・こういうハートフルなコメディって良いですよね。映画会社がディズニー系のブエナ・ビスタだから、それこそ大人から子供まで楽しめるコメディです。真面目だけが取り柄だった男が、シャーリーンと出会いどんどん変わっていく様がとても面白いです。また、見た目はトンでもないシャーリーンが、彼の周りにはなぜかウケがイイんですね。それはピーターが、かつては知る芳もなかった不思議な「暖かさ」や「ユーモア」がシャーリーンにはあるからなんですね。どんなに立派な家でも、笑いがない家なんて最低でしょう?・・・。それが証拠に映画の最後には、登場人物の誰もが笑顔になっていますよ。ところが、こういう作品は日本ではなかなか受け入れてもらえないんですね。今回も銀座シネパトスの単館公開。まあ、初日なのに半分も入っていなかったから仕方ないか・・。主演はこういう映画はお得意のスティーブ・マーチン。そしてシャーリーン役は今回製作総指揮もも兼ねている「シカゴ」のクイーン・ラティファ。そしてシャーリーンに一目惚れしてしまうピーターの同僚は「アメリカン・パイ」シリーズのユージン・レビィ。男の子役のアンガス・T・ジョーンズ(オールド・ルーキー)が高木ブーに似てるんですよ・・。個人的にはそれが可笑しくて・・
恋は邪魔者  監督 :ペイトン・リード  出演:レニー・ウィルゼガー、ユアン・マクレガー
Down With Love  2003年 アメリカ映画
1962年、ニューヨーク。この街に一人の女性が降り立った。彼女の名前はバーバラ・ノヴァック。実はメイン州で司書として働いていた彼女が書き上げた「恋は邪魔者」という本が出版されることになったのだ。早速、編集者のヴィッキーを訪ねたバーバラは出版社のお偉方に自分の作品のプレゼンを行うが、時代遅れのオヤジたちには理解できなかった。そこで彼女たちは独自の方法で売り出しを図ろうとした。それはこの街一番のプレイボーイで人気男性誌のライターでもあるキャッチャー・ブロックに彼女の記事を書かせようという作戦だった。しかし、キャッチャーは約束を3回もスッポかしバーバラはついに切れてしまう。ところが、バーバラの本は「エド・サリバンショー」で紹介されたちまち世界中の女性のハートを掴み、ベストセラーとなる。キャッチャーはその時、逃がした魚の大きさを知った。ところが偶然が彼に味方をした。街で偶然バーバラを見つけたキャッチャーは自らの素性を隠し、彼女に近づいた。そして始まった二人の付き合い。しかし、二人の間には仄かな感情が芽生え始める・・・・。
私評:最低の男?シャツを替えるように女を次々と替える男。キャッチャー・ブロックです・・・なぜ、いま60年代が持て囃されるのでしょう?この映画といい、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」といい、60年代をとてもオシャレに、そして華やかに描いて大ヒットをしていますよね。しかし、不思議なのがどちらの映画も古めかさを感じさせないところですね。ましてや「恋は邪魔者はとても新しい感じがするのです。もちろん、当時のモノクロテレビやでかい車、アナログレコードにダイヤル式の電話などは、当時のままなのですが、今の若い人たちは見たことのない、逆に新鮮なアイテムに思えるのでは??また、1962年は私の生まれた年なので、よけいに思い入れもあるんですね(笑)。バーバラを演じるのはハリウッドのトップ女優の一人レニー・ゼルウィガー。彼女って本当に毎回違うキャラを演じているのに、それぞれうまい具合に同化しちゃうんですね。今回は着せ替え人形のように、次々と服を着替えるのも見所ですね。キャッチャーはどう見てもプレイボーイには見えないユアン・マクレガー(笑)。彼は真面目すぎない??また、この映画のバーバラの秘密は、実に面白いどんでん返しでした!!そしてエンドクレジットでの、レニーとユアンのデュエットは最高でした〜!!
マッチスティック・メン  監督:リドリー・スコット  出演:ニコラス・ケイジ、サム・ロックウエル
Matchstick Men  2003年 アメリカ映画
詐欺師のロイとフランクは自らを騙しのアーティストと自負している。カモにするのは善良なる市民。大きなヤマには手を出さずにいた。ロイは「病的なまでに潔癖症」という問題を抱えていた。ところが仕事になるとその病気は鳴りを潜めるのだった。フランクに紹介された精神科医の勧めにより、彼は分かれた妻との間にできたアンジェラという娘と初めて会う。意気投合した二人は、次第に多くの時間を一緒に過ごすようになる。すすと不思議なことにロイの病は消え始めた。しかし、ついにアンジェラにロイの稼業のことが知れてしまう。ところがアンジェラは詐欺の仕方を教えてくれとせがむのだった。そんな時フランクが大きなヤマを持ち込んでくる。最初は乗り気でなかったロイもついに折れ、二人は着々と作戦を進めていく。最後の部分でもう一人の協力者が必要となり、ロイはアンジェラにその役を任せる。しかし、その事が後々裏目に出るとは、この時は知る芳もなかった・・・・。
私評:ルールNo.1、仕事はなるべく遠くで行うこと。ルールNo.2、決っしてメモを取るな・・・リドリー・スコットという監督は、本当にすごい。こんなにオールマイティな監督も珍しいでしょう? 「エイリアン」「グラディエーター」「ハンニバル」「ブラックホーク・ダウン」を撮った人の作品とは思えないくらい、軽くてノリノリの映画でした。また、この映画の良さは主役の3人のコラボレーションでもあります。ロイ役はニコラス・ケイジ。潔癖症の男役というのが、また良いんですよ。病気の症状が出ている時の喋り方なんて最高!そしてこのところ、私の中で胡散臭い役をやらせたらNo.1の俳優サム・ロックウエル。今回もアヤシイ男でしたね〜。そして最高なのがアリソン・ローマン。今回は14歳の少女役でしたが、彼女って24歳なんですよね。アリソンは「ホワイト・オランダー」でミシェル・ファイファーの娘を演じた時から、目をつけていたのですが、今回の少女役にはビックリしましたね〜。しかも、14歳に見えてしまうのがすごい。この映画のニコラスとアリソンのシーンを見ていて思い出したのが「ペーパームーン」。なんだか、ほのぼのと見ていたのですが、最後にあんなどんでん返しが待っているとは思いもしませんでした。ちょっと悲しかった・・・・。
キューティ・ブロンド ハッピーMAX 監督:チャールズ・ハーマン=ワームフェルド  出演:リース・ウィザースプーン、サリー・フィールド
Legally Brode 2  2003年 アメリカ映画
晴れて弁護士になったエルは、仕事も充実しているし、大好きな彼との結婚式の日も迫り幸せいっぱいの毎日。その時、エルは愛犬のブルーザーの母親にも結婚式に出てもらおうと考えた。実はブルーザーは捨て犬だったのだ。町一番の探偵を雇い母親の居所を突き止めたエルは、とんでもない物を見てしまう。ブルーざーの母親がいたのは化粧品の開発のために動物実験を行う会社だった。何とかしてブルーザーの母親を救い出さなければ!そこでエルはワシントンDCに飛び、新しい法案を定義する事にした。その名も「ブルーザー法案」!!製品開発のための動物実験を撤廃する法律だ。しかし、ピンクの服のブロンド娘は、ここでも爪弾き。そこでエルは彼女なりのやり方で周囲を巻き込んでいく。そしてついに・・・・
私評:お昼にエステに行って、そんなすぐに厚化粧するなんてありえないわ・・・。あの飛び切りキュートなエルがスクリーンに帰ってきた。ハーバード大学を卒業した彼女は、相変わらず能天気で、マイペース。しかも、ストーリーもはちゃめちゃで、法律家の映画なのに無法地帯となっていました(笑)。この映画は登場する飛び切り元気な女性陣のテンションに着いていけないと、とんでもなくつまらない映画になってしまうかも知れませんが、幸い私はノリノリで楽しめました。この映画の8割はリース・ウィザースプーン1人の魅力で持っている感じがしました。ピンクのブランド品をケバケバしく着飾っても、限りなく能天気でも、彼女だと許せちゃうんですよね〜。今回、彼女をサポートする下院議員のひとりにサリー・フィールドが登場。しかし、アカデミー女優の彼女の存在をかき消してしまうくらいリース嬢は輝いていました。前作から引き続き登場し、今回ついにエルと結婚するのが、添え物のような扱いのルーク・ウィルソン。でも、良いのだ!この映画はリースの、リースによる、リースのための映画なのだから・・。
ティアーズ・オブ・ザ・サン  監督:アントワン・フークワ  出演:ブルース・ウィリス、モニカ・ベルッチ
Tears Of The Sun  2003年 アメリカ映画
ナイジェリア国内でクーデターが起こり、反乱軍は大統領の家族を殺害。事態は深刻な内戦状態に陥った。そこでナイジェリアにいるアメリカ人の救出作戦が始まった。任務遂行成功率100%のウォルターズ大尉の部隊は、ジャングルの奥で難民の治療に当たっていた女医リーナ・ケンドリックスの救出を言い渡される。早速、ジャングルに降り立ち、リーナの元を訪ねたウォルターズは、彼女に避難を勧告するが、彼女は難民を残して自分だけが逃げる事はできないという。一度は彼女を騙して、ヘリで空へ飛び立ったもののウォルターズは引き返して、けが人と子供をヘリに乗り込ませた。彼は命令を破ったのだ。ウォルターズと彼の部隊の精鋭7人は、残りの難民を率いて国境を目指す。しかし、反乱軍は彼らのあとを追っていた・・・。
私評:彼らは荷物じゃない・・・・舞台設定はちょっとリアルさに欠けるかもしれませんが、それは映画として、作り物として見ればすごく面白いです。それにしてもこの映画の戦闘シーンの迫力はめちゃめちゃすごいです。敵は長距離からロケットランチャーをガンガン打ち込んでくるのに対し、アメリカ軍は機関銃と手榴弾で対抗。しかし、絶対数が違うので勝負は・・そしてひとり、またひとりと銃弾に散っていくというのが、私のツボなんですね。戦友のため、そして今回は守るべき難民のため身を捧げるという、ちょっと任侠的な演出が私は好きです。主演のブルース・ウィリスはとにかくはまり役でした。今回の大尉役は彼以外の人選は思い浮かばない。しかも、あれだけのアクションもこなすのだからやはりたいしたもんです。そしてリーナ役はモニカ・ベルッチ。今回はスッピンだし、華やかな衣装も着ないし、しかも顔が泥だらけなのに、彼女は美しい!!やはり、彼女の場合美しさのレベルが違いますね。そしてウォルターズの小隊を危険に追いやる(?)大佐役はトム・スケリット。しかし、最後のシーンは「なぜ、もっと早く動かなかったんだ!?」とツッコミを入れてあげてください。


前回の記事も読んでね〜!



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