10/16号

サン・ピエールの生命

監督 パトリス・ルコント

主演 : ジュリエット・ビノシュ、ダニエル・オートゥイユ、エミール・クストリッツァ
La Veuve de Saint-Pierre  1999年 フランス映画
今週のイチ押し作品! 
1849年、サンピエール島に流れ着いた二人の荒くれ漁師がいた。彼らは酔った勢いで殺人を犯し死刑を宣告される。移送中の事故で一人は死亡、片割れのニールは刑までの間、投獄される事に。実はこの島には死刑用のギロチンがなく、死刑を執行する人間もいなかった。従ってパリから船でギロチンを運ぶことにしたのだ。この島の軍隊長ジャンの妻、ポリーヌは彼の中の純真で優しい部分を見出し、刑までの間、島の為に彼を連れまわし、奉仕作業をさせることにした。最初は怖がっていた島民も、徐々にニールに心を開いていく。ポリーヌはニールに対し、深い愛情を抱くようになるが、それは夫への愛情とは別のものだった。ジャンも決して彼女を疑う事はせず、彼女を見守っていた。そしてついに、ギロチンを乗せた船が島に到着した・・・・。
私評:素晴らしい映画でした〜。パトリス・ルコントの映画はどちらかと言うとエロスが匂うのですが、この映画はピュアでプラトニックな愛が描かれている。愛情の形は違うにせよ、ポリーヌのニールに対する愛、そしてジャンに対する愛、ジャンのポリーヌに対する愛、ニールのポリーヌへの愛、そしてニールとジャンの微妙な関係と信頼。全てがとても深い愛なのですが、形が違う。特に私はジャンのポリーヌに対する愛情には、打ちのめされた。信じる心、許す心、そして見守る心。寛大と言う一言で言い表すにはあまりに深い彼の愛。ラストは受け入れがたい結末に、ジレンマでした。たぶん、この映画をもう一度見ると、きっと違う感慨が湧いてくると思う。次回はニールの気持ちになれるかもしれない? そしてポリーヌの心に近づけるかもしれない?  
 愛のコリーダ 2000  監督 : 大島渚 主演 : 藤竜也、松田英子
L'empire Des Sens  1976年 フランス映画
私評:愛し方は人に依って様々。これが良いと言う型はないはず。この映画はあの有名な「阿部定事件」を取り扱っている。この事件とは・・・料亭の主人、石田吉蔵が死体で発見される。犯人は料亭の女中であり、吉蔵の愛人阿部定。映画は二人の愛欲の日々をこれでもかと言うばかりに見せ付ける。定の異常なまでの愛情が極地に達した時、彼女は吉蔵を殺し、彼のいち物を切り取ってしまう・・。私はこの映画を見ていて一番痺れたのは、吉蔵の愛だ。何もかも許し彼女の愛に応えようとする。それはセックスの快楽でもあり、そして定を裏切らないための儀式のようでもあった。私はきっと、好きな人を殺す事はできない。でも殺されても良いと思うくらいの気持ちは持てるような気がする・・・。

ナッティ・プロフェッサー2 監督 : ピーター・シーガル 主演 : エディ・マーフィ、ジャネット・ジャクソン
Nutty Professor 2  2000年 アメリカ映画

私評:アメリカン。コメディ大好きの私には堪らん作品でした。やっぱりエディ・マーフィはすごいですね。(余談ですが私は彼と同級生)前作で彼の分身として現れたバディが、またまた、クランプ博士をいたぶります。しかも、今度は誰もが喉から手が出るくらい求めている若返りの薬をめぐってのドタバタ。笑わせていただきました。前作に引き続きエディは9人のキャラを演じ分けます。 これも天才エディだからこそなせる技。さすがです。そのキャラの中でも私はシモネタ大好きおばあちゃんが好きです〜。クランプ家はみんな半端じゃないデブ一家なのですが、その中に居ても違和感のないジャネット・ジャクソンって違う意味ですごいと思った。(笑)


ダンサー 監督 : フレッド・ギャルソン 主演 : ミア・フライア、ガーランド・ウィット
The Dancer  1999年 フランス映画
私評:リュック・ベッソン提供のダンス映画はやはり一味違う。全編に渡りめまぐるしく動き回るカメラが、とても気持ちが良い。そしてやはりこの映画のメインは主演のミアのダンスだ。天性のリズム感の良さ、鍛え上げた体、そして表現力。この映画の中で、彼女は言葉を話せない女性の役なのですが、言葉なんて不用。彼女の動きが全てを語るんだ。こう言う映画の定番通り、チャレンジ→挫折→栄光という筋書きですが今回はダンスでの栄光だけではなく、人間の内面のグレードアップ、そして人と人の繋がり(兄弟、友情、そして恋)も上手く語られます。 
 ギャラクシー・クエスト  監督 : ディーン・パリゾット 主演 : ティム・アレン、シガニー・ウィーバー、アラン・リックマン
Galaxy Quest  1999年 アメリカ映画

私評:こんなに面白い映画なのに、単館公開になってしまうこの映画。昨年アメリカでは大ヒットを飛ばしたのに・・。すごいSFXの映像とめっちゃナンセンスなお話が、うまい具合にマッチしていて、最高に楽しめました。今や伝説にもなったテレビのSF番組「ギャラクシー・クエスト」のメンバーが、エイリアンに頼まれ本物の宇宙戦争に参加する話です。でも、TVの時のように上手くは行かず、失敗ばかり。そしてサーミアンという名のエイリアンたちのキャラが最高です、女性エイリアンを演じていた女性は、先日の「スペースカウボーイ」でNASAの職員を演じてました。そして金髪でグラマーなだけが売りの、シガニー・ウィーバーも笑わせてくれました。合言葉は「ネバー・サレンダー、ネバー・ギブアップ!!」。 見てのとおりこの映画のベースになっているのは「スター・トレック」。ここまでパロってしまって良いのか?? しかも、この映画を作ったのはスピルバーグ率いるドリームワークス。 特撮もすごいですよ〜。アクション、笑い、そして(ちょっぴり)感動の超大作です。

グリーン・デスティニー 監督 ; アン・リー      主演 : チョウ・ユンファ、 ミシェル・ヨー、 チャン・ツィイー
Crouching Tiger, Hidden Dragon 2000年 アメリカ・中国合作映画

私評:台湾の監督がハリウッド向けのエンターテイメントを香港のキャストで撮った映画という感じです。ただ、私的にはどうも中途半端な感じな映画。素晴らしいアクションシーンの数々は目を見張る。特にワイヤーで空を舞うシーンは華麗で、しかもめちゃカッコイイ。(会場では笑いが起こっていたが、「みなさんここは笑うシーンではないよ!」と声を大にして言いたかった)しかし、ラブ・ストーリーとしての描き方が私には、どうも伝わらなかったんです。名刀グリーンデスティニーの使い手リー・ムーバイとその弟子シューリンの純愛。そして武侠の世界に身を投じようとする娘イェンと砂漠の盗賊ローの愛。この描き方がけっこう薄っぺらで、また長いんです・・。(笑)やはり見所はアクションシーンでしょうね。チョウ・ユンファがめっちゃカッコイイです。特に剣の使い方は、かなりの練習を積んだものと思われます。そしてシュー・リン役のミシェル・ヨー。もう、彼女のアクションは折り紙付きですからね!(個人的にはジャッキー・チェンの「ポリスストーリー3」の時のアクションが好き!)そしてとてもカワイイチャン・ツィイー。彼女のアクションもすごいですよ〜! 


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