2001/10/1号

今回イチ押しの作品は作品は、新宿の単館でしかも
レイとだけ・・。 私はメッチャ好きなんですけど・・。

デュエット  監督 : ブルース・パルトロウ  出演 : グウィネス・パルトロウ、ヒューイ・ルイス
Duets  2000年 アメリカ映画  

・リッキーとリヴ:カラオケバーで、カラオケ自慢に勝負をふっかけて金儲けをしているリッキーは、妻の死を知らされラスベガスへ。そこで彼を待っていた若い美女リヴは,なんと彼の娘だった。いまやベガスの人気ショーガールの彼女は父との再会を心待ちにしていたのだ。
・トッドとレジー:トッドは企業戦士。出張に次ぐ出張で心身ともにボロボロ。しかも、家族はそんな彼に労いの言葉もない。ひょんな事から立ち寄ったカラオケバーで、彼はカラオケの虜になる。そして家族を捨て宛てもない旅に出る。途中,ヒッチハイクで拾った黒人レジーと友情を深めて行く。
・ビリーとスージー:タクシー運転手ビリーは友人に妻を寝取られ、気分はどん底。そんな時カラオケバーでスージーという女と出会う。カリフォルニアを目指す彼女は、車に乗せてくれるなら,道中は心から尽くしてくれると言う・・・。
そして、6人の最終ゴールはオクラホマで行われるカラオケ大会。なんと賞金は5000ドル!!!
私評:マイクを握ってステージに立てば、あなたもスーパースター・・・。カラオケ大好きな私はタマラン映画でした。今でこそ「カラオケボックス」が主流になってしまいましたが、私が学生の頃はスナックの小さなステージで小さなスポットライトを浴び、みんなの前で歌うのが快感だった。でも、そういった目立ちたがり屋精神は日本人向けじゃないのでしょうね。(私は好きだけど・・)ところが,アメリカ人は違う!!この映画の主人公たちも歌って踊って、観客を喜ばせる即席エンターテイナー。日本産のカラオケは今や世界の合言葉。私も思わず歌いたくなってしまった。この映画の「デュエット」というタイトルはカラオケのデュエットの意味でもありますが、人と人の心のハーモニーのこと。友達同士も恋人同士も父娘も、誰もが一人ぼっちじゃ寂しい。でも、心を開いて分かり合えるパートナーと出会い、親交を深めれば二人の間に素晴らしいハーモニーが生まれる。 とても楽しい、そして心和む映画でした。(ちょっと悲劇もあるけど・・・)。 主演の6人が6人とも素晴らしいです。特にトッド役のポール・ジャマッティが最高。 グウィネスの歌も要チェックです。 まさか,こんなに上手いとは・・・。
空の穴  監督:熊切和嘉  主演: 寺島進、菊地百合子
Sora no Ana  2001年 日本映画
北海道の片田舎でドライブ・イン「空の穴」を営む市夫。毎日が同じ、なんの刺激もない生活にちょっと疲れている。一緒に店を切り盛りしている父親は道楽好きで、ギャンブル旅行に出てしまう。そんな時,彼の店に妙子という女がやってくる。恋人と口論の末、置き去りに去れてしまったのだ。無一文の彼女は「空の穴」で無銭飲食をしようとするが,市夫に捕まってしまう。しかし、淋しそうな妙子の姿を見て,彼女を許してしまう。その夜,妙子が野宿に使っていたサイロが火事になり、妙子は市夫の家に転がり込む。そして始まった二人の生活。徐々に妙子に惹かれて行く市夫だったが、いつかは自分の元を去って行ってしまうだろう。しかし、彼の中で妙子の存在は大きくなり過ぎた・・・。
私評:やさしさって?・・・・ 熊切監督といえばあの「鬼畜大宴会」でぶっ飛びデビューを果たした新鋭映画監督。しかし、今度の作品は心に染みる映画だった。妙子の不思議な魅力と、いずれは自分の元を去って行ってしまうのだろうけど「もしかしたら・・」に賭ける市夫が悲しいくらいダサくて、カッコ良かった。そして思いきり共感して泣いた。 つっぱって生きてきた無骨な男なのに、彼女に対しては情けないくらい弱い。そして彼の唯一の武器が「やさしさ」。市夫の見せる一途な優しさに涙が出てきた。しかし、彼にそこまでさせる妙子もとても魅力的だ。なんとも掴み所がない女なのですが、そんなアンニュイな雰囲気がイイんです。だから,市夫があそこまで入れ込む気持ちもすごくよく分かる。市夫役は寺島進。日頃はヤクザっぽい短気な役が多いような気がしますが、この映画の彼は違った。私の好きな谷崎潤一郎の小説に出てきそうな男だった。妙子のためならなんでもやってしまいそうな・・・。妙子役は、これがまたピッタリの菊地百合子。彼女のもつ独特な雰囲気が,私はすごく好きだ。最後に「空の穴」という店の名前の由来が映画の中で語られるのですが、あまりにダサイので笑ってしまった。しかも、それを映画のタイトルにしてしまうなんて・・(笑)。 
 エボリューション  監督:アイバン・ライトマン  主演:デビッド・デゥカプニー、ジュリアン・ムーア
Evolution  2001年 アメリカ映画
アリゾナの砂漠のど真ん中に隕石が落ちた。生物学者のアイラと彼の同僚ハリーはさっそく隕石の調査に向かった。すると隕石からは地球上には存在しない生命体を発見された。しかも、その生命体は驚異的なスピードで進化をはじめる。単細胞だった生命体は地球が46億年かけて遂げた進化をわずか,1ヶ月で達成してしまう。そしてその生命体は砂漠のトンネルを使用し,街へと散らばり始める。事態を知った国家は軍を出動させ研究にあたったが、その事実に到達できたのはアイラだけ。しかし、軍は彼の考えには耳を貸さなかった。「それなら自分がやるしかない!」 アイラとハリー、そして消防士見習い?のキャディーは即席エイリアン・バスターズを結成した・・・。

私評:MIB+ゴースト・バスターズ??・・・メッチャ面白い〜!アイデアも然ることながら、登場人物のキャラ、そして続々と登場するアヤシイ生物たち。とにかく、ビジュアルで見せまくる映画でしたね。クリーチャーたちはもちろんCGなのですが、これがなんともユーモラスで,しかもリアル。そしてドキドキ感の高まる中、笑いをいっぱい織り交ぜてくれて・・・。私は大満足でした。主演は「Xファイル」シリーズで超・有名なデビッド・ドゥカプニー。今回,彼がリチャード・ギアに似ているという事実を発見(笑)。そしてめっちゃ笑わせてくれるのがハリー役のオーランド・ジョーンズと「アメリカン・パイ」のショーン・ウィリアムス・スコット。二人がおバカで,大爆笑でした。そして紅一点のジュリアン・ムーアがめっちゃチャーミングで、ドジな女性を好演。またまた、ジュリアンの新しい一面を垣間見て,この女優の奥行きの深さを思い知らされた。しかし、こんなキャラの女性は大好きです。監督は「ゴースト・バスターズ」のアイバン・ライトマン! やっぱり・・。
スコア  監督:フランク・オズ  主演:ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、マーロン・ブランド
The Score  2001年 アメリカ映画
超一流の泥棒ニックは完璧な仕事がモットー。彼の信条はヤバイ仕事には手を出さない、地元では仕事をしない、そして仲間を持たないこと。しかし、25年来の友人のマックスが今度持ってきた仕事は,まさに彼の信条をぶち壊す内容だった。ヤバイ仕事だけに報酬も破格の400万ドル。実はニックはこの仕事から足を洗おうと考えていたのだ。悩んだ挙句に最後の仕事を引き受けた。今回のヤマはモントリオールの税関に眠るフランス王家の秘宝の笏を盗み出す事だった。しかも、そこで働く若造ジャックがパートナーだった。ジャックは「ブライアン」という偽名で、しかも身障者のフリをして税関にもぐり込み所内を調べ上げていたのだ。しかし、決行日が近づいてもニックとジャックの溝は深まるばかりだった・・・。

私評:最後に笑うヤツは誰だ??・・・・デ・ニーロ、ブランド、そしてノートンという面子を聞いただけで,私は必ず見に行こうと決意していました。でも、こんなにすごいメンバーの中でも、やっぱり一番オイシイところを持っていくのはデ・ニーロだった。冒頭の金庫破りのシーンで見せる,職人技はデ・ニーロならではのこだわりがあちこちに垣間見れる。どんな役を与えられても、その役になりきり、しかも観客に違和感なく見せる彼の演技は、まさに天才。彼に絡むのが若手No.1の曲者エドワード・ノートン。二人の演技が火花を散らしていました。それに引き換え、すっかり威厳が失せたブランドは逆にそれを活かして,上手いサブを演じていました。ディテールにまで拘りを見せる、強盗シーンは手に汗を握った。そしてどんでん返しに次ぐどんでん返しの果てに、一体誰が笑うのか?劇場でお確かめ下さい(笑)。
スイート・ノベンバー  監督: パット・オコナー  主演:キアヌ・リーブス、シャ−リズ・セロン
Sweet November  2001年 アメリカ映画
広告代理店のエリート社員ネルソンは常にビジネスを頭に置き、自分の成功だけを信じ,それをバネにして生きてきた。しかし、皮肉にも彼は仕事を失い,恋人まで彼の元を去ってしまう。そんな時、不思議な女サラに出会った。執拗に彼を追いまわした挙句、1ヶ月間一緒に暮らそうと持ちかけるサラ。自信たっぷりに,ネルソンを幸せにすると言うのだった。しかし,彼女の予言通り,ネルソンの中の何かが変わり始める。今まで見えなかったもの,目を逸らしていたものに気づき始める。そしてサラへの気持ちも愛情へと変わり始める。 しかし、サラは自分自身の事は何も話そうとはしなかった。ネルソンは彼女の隠していた秘密を探り当ててしまうのだが・・・・。

私評:私は不幸な男を救うのが特技なの・・・。シャーリズ・セロンが私のところにも来てくれないかな・・。美しいSFOの町を舞台に美男美女の愛が育まれて行く。天真爛漫,明るくてポジティブな性格のサラに面食らいながらも,彼女のペースに乗せられて、そして頑なに守ってきたプライドという殻を一枚ずつ脱ぎ捨てていく。しかし、そんなスイートなだけの映画ではありませんでした。サラが「今」を大切にする事、そして美しい思い出だけに執着する「理由」が明らかになった時から、物語は急転直下悲劇へとひた走る。私の好きな映画で「ラストコンサート」という映画があるのですが、良い意味で展開が似ていて,物語りに入り込めた。今回の一番のお目当てだったシャリーズ・セロンは、本当に美しい。長い首の上に乗ったあの小さいけど美しい顔・・。最高ですね。 キアヌ・リーブスも今回はすごく良かった。最後のプレゼントは笑えたけど、すごくカッコ良かった・・。そして効果的に使われるENYAの「オンリー・タイム」がすごく良かったです。
獣人雪男  監督:本多猪四郎  主演:宝田明、河内桃子、根岸明美
Half Human  1955年 日本映画
冬の日本アルプスにスキー合宿にやってきたK大山岳部のメンバーのうち二人の青年が吹きすさぶ雪の中で遭難した。翌日、一人は死体で発見され、もう一人は行方不明に。そして彼らが泊まっていた山小屋の周りには人間のものとは思えない巨大な足跡が残されていた。彼を探すために、そして事件に関わる謎の動物の実態をさぐるため、彼の妹、弟、友人、そして動物学者の小泉博士も彼らに同行するが、この謎の動物に目をつけたのは小泉だけではなかった。金儲けのために珍しい動物を捕えようとする悪徳興行師の大場が子分たちを従えて彼らの後をつけていた。そしてついに巨大な獣人が現れる・・・・。
 

私評:あれを見ろ!人間だ!ゴリラだ!!いや、獣人だ!!・・・・。東宝がゴジラの次のキャラをと,世に送り出したのがこの獣人なんだそうです。しかし、こんな作品をフィルムで見れたこと自体が奇跡のような気がする。(ただし、フィルムはかなり傷んでいてノイズ、飛びが多かったのは仕方ないでしょう・・)。ちょっと,キングコングを意識しているのかな〜と思われる展開もあります。本多監督の作品に付き物の,出演者による合唱は微笑ましかった。今,見るとどうしてもチープに見えてしまう特撮ですが、本当に工夫が凝らされていましたが,逆にそんな所まで特撮にしなくても・・と思われるシーンもチラホラ。しかし、これは特撮が看板の映画ですからね。河内桃子がお嬢さんっぽいキャラなのに対し、根岸明美が山の中の取り残されたような村の娘で、健康的なお色気を振りまいていました。 この円谷特撮シリーズは、銀座シネパトスでまだまだ上映されるので,できるだけ見に行きたいと思ってます。


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