2001/9/25号

日毎に秋が深まって行く今日この頃・・。映画も秋の新作映画が続々と公開中。
今回は3つの試写会で、新作をチェック。 でも、2つも見逃してしまった・・・・(泣)

陰陽師  監督 :滝田洋二郎  出演 : 野村萬斎、伊藤英明、真田広之、小泉今日子
Onmyouji  2001年 日本映画  

京の都,平安京は鬼、あやかしなどの魔物が跋扈していた。しかし、そんな悪の力に対し,不思議な妖術を駆使し対抗する者たちがいた。彼らは「陰陽師」と呼ばれた。帝に仕える陰陽師たちを束ねる道尊は,己のそんな力を邪悪な道に使用し、この世に暗黒をもたらそうと企てる。しかし、そんな彼の野望に待ったをかけるべく,立ち上がったもう一人の陰陽師がいた。彼の名は安倍晴明。そんな時、右近衛府中将、源博政は悪霊に憑かれた上官を救うべく晴明を訪ねた。これが二人の運命の出会いであった。天にまたたく2つの星が一つになった。これはこの世を救う者が2人現れるというサインだった・・・
私評:闇に交われ、光りを解き放て・・・。夢枕獏が書いた原作は超ベストセラー。映像不可能と思われていたこの作品がついに映像化。平安時代という舞台が、また目新しくてすごく良かったです。その独特の雰囲気に特撮を駆使した悪霊、鬼などが重なると、これまた摩訶不思議な世界が構築される。(特撮は所々チープなんですが・・) 主演の安倍晴明を演じるのは狂言の世界で有名な野村萬斎。彼がまた、めっちゃはまり役!!話し方、立ち振る舞いも一味違う。そして独特の(良い意味での)いやらしさが、この役にピッタリだった。舞うようなアクションシーン、そして舞台役者ならではの着物の袂を自在に扱うアクションは見物です。そして彼と友情を育む博政役は伊藤英明。そしてとんでもない秘密を抱える不思議な女を小泉今日子、そして悪の権化道尊を真田広之。完璧です。そして博政の心を奪う「望月の帝」を演じるのが、私の好きな夏川結衣。今回、まさかの・・・。 面白かった〜!!
ソードフィッシュ  監督:ドミニク・セナ  主演:ジョン・トラボルタ、ヒュー・ジャックマン
Swordfish  2001年 アメリカ映画
世界一と謳われた伝説のハッカー、スタンリーは、今は人の目を避け一人ひっそりと暮らしていた。そんな彼の元を一人の女が訪れた。彼女の名前はジンジャー。麻薬取締り局の極秘プロジェクト「ソードフィッシュ」の際に生まれた不正な闇資金を盗み出す作戦のハッカーとして彼が選ばれたのだ。 強行に断ったスタンリーだったが,彼が服役中に離れ離れになった彼の最愛の娘と会うために、どうしても金が必要だったのだ。そして彼が紹介されたのはガブリエルという男。盗んだ金で、世界中のテロリストを撲滅するという。しかも、彼は直接銀行を襲い人質を取るという大胆な行動に出た。しかし、そこには隠されたシナリオが・・・。
私評:全米がハメられた・・!! アメリカでテロ事件があったばかりなので、こういう映画を見て楽しんでいる自分はかなり不謹慎に思えた・・。でも、この映画のどんでん返しに次ぐどんでん返し、スタイリッシュなアクション、そしてすごい特撮(VFX)に圧倒されてしまった。とにかくオープニングの大爆発シーンからラストまで息をもつかさぬ展開。これぞアクション映画でしょう!トラボルタがまたキレてます(笑)。でも、今回の冷徹な悪のカリスマ役はピッタリでした。そしてメッチャカッコイイ、ヒュー・ジャックマン。Xメンのウルヴァリンのイメージが強かったのですが、素顔はめっちゃ二枚目。ハッカー役にしてはちょっとマッチョだけど・・(笑)。そして紅一点のハル・ベリーの美しいこと・・。スタイル抜群です。「狼たちの午後」の話が映画の中に出てくるのですが、それが上手い具合に映画とからみ、そして裏切られていく。ラストのどんでん返し、そして想像を絶するアクションシーンは見応えありです。お薦めです!!!
 ロンドン・ドッグス  監督:ドミニク・アンシアーノ&レイ・バーディス  主演:ジョニー・リー・ミラー、ジュウド・ロウ
London Dogs  1999年 イギリス映画
郵便配達員のジョニーは、幼なじみの親友ジュウドに頼みこみジュウドの叔父が束ねるノースギャング団に入れてもらう。いままでのダサイ生活にサヨナラしてクールに、そしてカッコ良く生きていこうと心に誓う。徐々にギャング家業にはまっていくジョニーだったが、当のギャング団は諍いよりカラオケが大好き。居ても立ってもいられないジョニーは単身、敵対するサウスギャングに牙を剥き抗争の引き金を引いてしまう。一人はしゃぎまわるジョニーだったが・・・・。

私評:ロンドンのギャングはカラオケがお好き・・・。 出演者がみんなカラオケが上手い! 私もカラオケは大好きだけど、イギリス人もそれは同じ。なんだか,とても嬉しかった(笑)。お気楽なギャングたちの中で、ひとりハードボイルドに生きるジョニー・リー・ミラー。可愛い顔して、やることがメッチャ大胆。そして彼の親友であり、世渡り上手なジュウド・ロウ。この二人のコンビは最高ですね。そしてボスの恋人役はジュウド・ロウの愛妻セイディ・フロスト!!サウスギャングのアブナイ組員はリス・エヴァンズ。彼は本当に芸域が広いですね。今回もキレルと何をするか分らないけど,意外と家族想いのギャングを熱演でした。 しかし、ギャングの組員たちの会話は最高でしたよ〜! 夫婦生活でインポに悩む男と,絶倫の男の会話。そして苛められキャラの太っちょアラン(しかし,彼は不死身!!)。 そんな笑いを振り撒きながらも,ラストは・・・。 あまり評判に上がらない映画ですが,これは拾い物の映画でした!!
赤い橋の下のぬるい水  監督:今村昌平  主演:役所広司、清水美砂、倍賞美津子
Akai Hashi no Shita no Nurui Mizu  2001年 日本映画
リストラされたサラリーマンの陽介は、死んだホームレスの老人の依頼で富山を訪れる。それは「赤い橋の隣にある家に宝物を隠した。それが今でもあるか確かめて欲しい」という内容だった。しかし、その家は実在した。そして陽介はその家に住む女サエコに出会う。きっかけを作り家に上がり込んだ洋介に,サエコはいきなり抱きつき,彼の耳元で「私の秘密を誰にも言わないで」と囁いた。実は彼女はセックスをしないと体の中に水が溜まり、自分をコントロールできなくなってしまうのだ。彼女は快感の中で大量の水を噴出する。そして陽介はその事に驚きながらも、彼女を愛しく思い始める・・・。

私評:いけない秘密ほど、いとおしい・・・。なんともすごい発想の映画。 サエコが大量の水を噴出すところは爆笑でした。しかも、その女性を演じるのは清水美砂。彼女の持っている雰囲気と、このキャラとのミスマッチが、また良いんですね。リストラ男を演じるのは,こういう役は彼しかできないであろう役所広司。 仕事もなくし、妻にも愛想を尽かされた男がそんな不思議な女と恋に落ちる。でも、映画を見ていると全然不自然な感じがしないんです。しかも、こんな内容なのにいやらしさをまったく感じさせない。監督の今村昌平は「うなぎ」でも役所・清水コンビを使ってますね。脇役の倍賞美津子、中村嘉葎雄、ミッキー・カーチス、不破万作,北村和夫らが、またすごく良かったです。 不思議なラブ・ストーリー、コミカルな音楽、そして日本海の美しい映像。 まさに今川節と言えるでしょう。 笑いの中に心にチクッと刺さるような哀愁が、この映画には漂っていました。
ヤマカシ  監督: アリエル・ゼトゥン  主演:チョウ・ベル・ディン、ウィリアムス・ベル
Yamakasi  2001年 フランス映画
ヤマカシとは運動神経抜群の7人のストリート・パフォーマンス軍団。今日も25階建てのビルの壁面を、彼らは軽々と登ってみせた。そして警察の到着とともに、疾風のように去って行く。 しかし、事件が起こった。彼らを真似した少年が木から落ちたのだ。しかも、彼は心臓を患っており早急に手術を受けないと命が危ない。しかし、貧乏な彼の家には手術代などない。そこでヤマカシの7人は、少年のために金持ちの病院の理事たちの家から金を盗むことにした。タイムリミットは正午。果たしてヤマカシ軍団は、金を集める事ができるのか? そして警察の手を逃れる事ができるのか??・・・・

私評:「日本は七人の侍、アメリカは荒野の七人、そしえフランスは七人のヤマカシだ!」・・・・・仕掛け人はリュック・ベッソン。しかも、この映画に登場するのは実在のヤマカシたち。それゆえ、有名な役者は配していません。 ヤマカシたちのその身の軽さ、すばやさ、そしてジャンプ力たるや・・・、とにかくビックリだった。オープニングでいきなりビルをスイスイと登りつめるところから、アクションに次ぐアクションの連続。 しかも、特撮はまったくなし。でも、彼らの実力はこんなものではないそうです。ゴキゲンなヒップホップの音楽に乗って、ヤマカシが飛ぶ。すごいですよ。ヤマカシとはコンゴのリンガラ語で「超人」の意味だそうです。私はてっきり日本語かと思った(笑)。高所恐怖症の私には、かなり怖い映画でした・・。  
エド・ゲイン  監督:チャック・パレロ  主演:スティーブ・レイルズバック、キャリー・スノッジレス
Ed Gein  2000年 アメリカ映画
1950年代のアメリカ,ウィスコンシン州。エド・ゲインは父親と兄を相次いで亡くした。そしてついには最愛の母親も亡くして、今では一人でひっそりと暮らしていた。その母親は異常なほどの潔癖なクリスチャン。その狂信的な教育はエドの精神を歪めていった。耐えがたい孤独の中で,彼は墓を暴いては女性の死体の一部をを家に持ち帰りはじめる。そしてついに彼の元に母親の亡霊が姿を見せ始める。街に住むバーの女主人の淫らな言動に対し「罪深き女を殺せ!」とエドに命じるのだった・・・・・。
 

私評:全てのサイコ映画の原点・・・・。実在の連続殺人犯エド・ゲインの物語だ。あの「サイコ」のノーマン・ベイツ、「悪魔のいけにえ」のレザーフェイス、そしてハンニバル・レクターも彼がモデルになっているというから、恐ろしい。削ぎ取った女の顔の皮を被り,月夜に踊ると言うおぞましいシーンはまさにレザー・フェイスを思わせた。そして解体した女たちを料理して食う様はハンニバルそのもの・・。しかし、彼の原動力になっているのは狂信的な母親の亡霊。彼女がまた、怖い女でした。「淫らな女は皆殺し!!」 主演のスティーブ・レイズバックが、あまりにイノセントであるがゆえ,狂気に走るエドを好演。ちょっとトミー・リー・ジョーンズに似ていて気になりました(笑)。 かなり,スプラッターなシーンが満載だけど、物語の展開は実に静か。しかし、それがまた不気味さを増しています。ホラー映画ファンは必見のサイコ映画です。でも、テーマがテーマだけに,誰にでも推薦できる映画ではありませんね。


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