9月21日版

 今週は2回に分けたので、今回は2作品です。 怪しい日本映画と感動の家族ドラマを紹介します。 

 双生児(Gemini)

 1999年 :  東宝映画配給
 監督  : 塚本晋也
 主演  : 本木雅弘、りょう、筒井康隆、田口トモロヲ 

 明治末期、大徳寺医院の跡取雪雄はりんと言う美しい妻も娶り
 幸せな日々を送っていたが、ある日突然不幸に襲われる。 父、母が立て続けに
 不幸な死に見舞われたのだ。 それに加え自分にまとわりつく怪しい視線に悩ま
 されていた。ある日、庭にいた雪雄は背後から首を絞め付けられる。驚いたことに
 その男は自分と瓜二つの顔を持っていた。その男の名は捨吉。 彼は雪雄を井戸に
 放りこみ蓋をすると何食わぬ顔で雪雄に成りすまし、大徳寺の家に入りこんだ。 
 時折、井戸の底を覗きこんでは地獄の苦しみを味わっている雪雄に謎の言葉を投げつけた。
 りんとの夜の生活の話は雪雄を半狂乱にした。 しかし、りんと捨吉は意外なつながりを
 持っていた。 

 私評:乱歩の小説の映画化はたくさんありますが、この映画は中でも特に面白かった。貧民街の
 パンクで過激な彩りのシーンと大徳寺家の短調で静かなトーン、そして井戸の中の暗闇。 
 映像自体が凄いインパクトを持っている。 そして本木雅弘が演じる捨吉と雪雄の狂気と怨念。
 謎の女りんを演じるりょうの怪しい魅力。 怖さの中に美しさがあります。 そして贅沢に
 使われた脇役陣たち。 竹中直人、内田春菊、石橋蓮司、浅野忠信らがチョイ役で登場します。 
 そしてあの音楽が印象的。逆回転のようなオーケストラ、思いっきりフェイド・アウトする音楽、
 目新しい試みがたくさんあって面白い。また、何度か見てみたい映画です。   


ディープエンド・オブ・オーシャン 
(The Deep End Of Ocean)

 1999年 :  アメリカ映画 
 監督  : ウール・グロスバード
 主演  : ミシェル・ファイファー、トリート・ウィリアムズ、ウーピー・ゴールドバーグ

 誰もが認める幸せ家族を突然襲った悲しい事件。家族の愛情を一身に集めていた3才の次男
 ベンが突然消えてしまう。 絶望の底に叩き落され、心を閉ざす母。そして次第に噛み
 合わなくなる家族の歯車。必死に家族の気持ちを繋ぎとめようとする父と弟の失踪は自分の
 責任と人知れず悩みつづける長男のウィリアム。 しかし、9年後のある日、ベンが突然
 家族の元に舞い戻ってくる。 奇蹟のように成長したベンが・・。 指紋もベンと一致し
 晴れて彼を受け入れるのだが、彼は本当の家族のことは何も覚えていなかった。
 唯一、兄とかくれんぼした時に隠れた、チェストの香りだけがベンの記憶には残されていた。
 彼らの9年間のギャップは埋められるのか?

 
 私評:とても不条理な人生を強いられた家族が、少しずつ心の隙間を埋めながらお互いの絆を
 繕っていく様は、歯がゆいようでいて物悲しい。なぜなら、本当に血の繋がった親子、兄弟が
 こんなにもすれ違い、噛み合わないからだ。でも、実際まったく違う家庭で子供の時から育てられ
 たら他人も同然なんでしょうね。 3才と言えばまだ、記憶はほとんどが真っ白なキャンバス。
 そして一番多感な少年時代を他人の家で描き込まれた少年を、また新しい家庭の色に染め直す事は
 容易ではないからです。 しかし、この家族は諦めず心を開いて行きます。 家族って? 兄弟って?
 親子って? 色々と考えさせられました。一緒にいるのが当たり前に思える自分の家族を、もう一度
 見直して見るのも良いかもしれない?  



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