2002/9/3号

今回の一押しはすごくマイナーな扱いの映画。でも、そんな映画がめちゃ面白かったりすると
嬉しいですね〜。今回も個性的な映画がいっぱいです。

ゴシップ  監督:デイビス・グッゲンハイム  出演:ジェイムズ・マーズデン、リーナ・ヒーディ、ノーマン・リーダス
Gossip  2000年 アメリカ映画
今週のイチ押し:同じ大学に通うルームメイトのデリック、ジョーンズ、そしてトラビス。ある日、ジャーナリズムの授業で「ニュースとゴシップの違い」についての講義を受け、興味を持った3人は実際にありもしないゴシップを流布し、それがどのように枝葉をつけ伝わっていくのかに興味を持った。そこで彼らのターゲットになったのは大学の高嶺の花、ナオミだった。彼女に言い寄る男は多かったがセックスはしないという評判だったが、デリックは偶然キャンパスのプレイボーイ、ボーの腕の中で酔いつぶれてしまうナオミを見てしまう。そして彼女がボーと関係を持ったという噂を流すと、噂はあっという間に大学中に広がり、噂は尾ひれをつけて成長していった。眠っているナオミをレイプしたのでは??そしてボーは無実の罪を着せられ逮捕されてしまう。事の重大さを知ったジョーンズは、事実を話そうと言うが・・・・・・。
私評:ゴシップとニュースは今や一緒のもの。昔からどんな人でもゴシップは大好きなのさ・・・。全然目立たず、ひっそりと公開された映画です。私はケイト・ハドソンが出演しているので見に行ったのですが、これが実に面白かった!ありもしない噂を撒き散らすことだけで、簡単に他人を陥れることができる今日この頃。この映画では口コミだけだったけど、これがマスコミ、ネットを利用したら・・・。実際、そんな情報操作に私たちは踊らされているんですよ。この映画ではそのゴシップが広まるさまもすごく面白いのですが、3人のうちの一人の過去がどんどん暴かれて行くのも面白いです。しかも、映画が終わる5分前にすごいどんでん返しも待ってます。主演のジェイムズ・マーズデンは「Xーメン」のサイクロップスを演じた二枚目。今回の映画のキーマンです。そしてルームメイトの紅一点ジョーンズを演じるのは「イフ・オンリー」のリーナ・ヒーディス、そしてアーティストを目指す寡黙なトラビスを演じるが「処刑人」のノーマン・リーダス。そしてお金持ちのお嬢さんで今回のゴシップのターゲットになるのがケイト・ハドソン。やっぱり彼女はいいですね〜。 90分間一気に見れる快作でした。 
竜馬の妻とその夫と愛人  監督:市川準  出演:木梨憲武、中井貴一、鈴木京香、江口洋介
 2002年 日本映画
幕末の志士、坂本竜馬が死んで13年が経った。かつての彼の仲間だった勝海舟、谷千城、そして菅野覚兵衛は、竜馬の13回忌の打ち合わせをしていた。そしてその席に竜馬の妻おりょうを呼ぶことになった。さっそくおりょうを訪ねた覚兵衛だったが、おりょうはすでに松兵衛という男と再婚しており、みすぼらしい長屋暮らしをしていた。しかも、おりょうは竜馬そっくりの男の虎蔵という愛人まで作っていて、松兵衛の元にはほとんど戻ってこなかった。「これ以上竜馬の名を汚すようなことをすれば、おりょうを斬れ」という命が覚兵衛に下る。ところが夫の松兵衛は、お人よしで気が小さいため、何もすることができない。そこで覚兵衛は松兵衛を手助けしようとするが・・・・・
私評:ねえ、時間は大丈夫??・・・・・・・・これは元々舞台で演じられていた作品を、映画化したものです。それゆえすごく限られた空間の中で4人の登場人物が入れ替わり立ち替わり事件を巻き起こしていくという構成になっている。しかし、2時間近い会話劇なのですがこれが実に面白い。この辺りが三谷幸喜の手腕なのでしょうね。とにかく憲武と中井貴一のどたばた漫才を見てるだけでも私は十分に楽しめる作品でした。そして話が進むにつれて隠されていた色々な事実が、どんどん出てくる。嘘で塗りか固めていた、誰にも知られたくない事実が・・・。この映画の中で光っているのは鈴木京香です。前半は尻軽で淫乱な女みたいですが、実は・・・。この映画って会話を紡ぎながら、どんどん事実が発覚していくのですが、その構成がとても新鮮で、しかもビックリなのです。それゆえあまりネタは書かないようにしましょう。でも、これだけは言わせて!!最後の最後にとんでもない事実が発覚します。このオチは私は最高でしたよ!!
STICKMEN  監督:ハーミッシュ・ロスウェル  出演:ロビー・マガシヴァ、パオロ・ロトンド
STICKMEN  2001年 ニュージーランド映画
ジャック、トーマス、そしてウエインの3人は仲良し不良コンビ。酒が好きで、女が好きで、そしてなによりビリヤードが好き。「彼らはスティックメン」と呼ばれていた。きょうも3人はデイブが経営するバーで玉を突いていた。ところがデイブのバーは多額の借金を抱え破産寸前。そこで3人は高額な賞金が出るビリヤードのトーナメントに出場することに。彼らの実力の前に挑戦者は次々となぎ倒されていく。しかし、このトーナメントの主催者は両手がフックになっている不気味なマフィアのドン、ダディ。彼は3人の快進撃を阻止すべく数々の刺客を送りつける。そしてプライベートでもトーマスに謎の女が近づいてくる。果たして彼らは賞金を手に入れることができるのか???・・・・・・
私評:明日のために突くべし!突くべし!!・・・・ニュージーランド産の痛快映画がやってきた。しかし、役者も監督も無名だから都内はミニシアターのレイトだけという寂しい扱いです。この映画の面白いところはなんといっても簡単明瞭なストーリーと登場人物。主演の3人はもちろん、悪者たちも憎めないんですよ。そして次々と3人に襲い掛かるビリヤードの挑戦者たちがまた、めっちゃ面白い。スパンコールにパツンパツンのシャツを着たゲイ、全身タトゥーとピアスのマゾ、笑顔が武器のセールスマンなどなど、妙なやつらが次々と現れます。テンポの良さは天下一品なのであっという間の94分。スカッとしたい人にはお勧めの映画です。ちなみに・・・・、私はビリヤードが下手です。学生のときにハスラーという映画を見て、ビリヤードをカッコよくプレイする男を目指したのですが、ちっとも上手くならないんです・・。この映画を見て、「やっぱりビリヤードはカッコいい」と再確認しました・・・
インソムニア  監督:クリストファー・ノーラン  出演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムス、ヒラリー・スワンク
Insomnia  2002年 アメリカ映画
アラスカのナイトミュートで17歳の少女が殺された。その死体は髪を洗われ、爪を切られ、全裸のままごみ袋に入れられていた。事件の解決のためにLAから二人の刑事が派遣された。ベテラン刑事のウィルとその相棒ハップだった。実は二人はある事件の事で警察内のxxxに執拗に嗅ぎまわされていた。そんな時、殺された少女の遺留品が発見される。その事を内密にしておいた警察の前に犯人が姿を現す。必死に犯人を追うウィルは霧の中で銃を発砲。しかし、銃弾は犯人ではなく、相棒のハップを打ち抜いてしまう。ショックを受けるウィルに犯人からの電話が入る。しかし、何よりウィルを苦しめたのは、この街の太陽だった。ここは白夜の街のため、陽が沈むことがない。そのためウィルは極度の不眠症に陥り、徐々に理性を失いつつあった・・・・・
私評:刑事の基本を見失うな。事実を追いかけろ・・・面白い!まさかこんな展開の映画だとは思いもしなかったけど、良い方に裏切られた映画ですね。事件の謎解きの楽しみはないけど、犯人とウィルの駆け引きは最高です。これは名優アル・パチーノとロビン・ウィリアムスだからこそできる演技でしょう。力強く、強引に押し切っていくアルと、冷静にそしてクールに対処するロビン・ウィリアムス。これはこの映画の大きな見所です。そしてヒラリー・スワンクも今回は脇役に徹していて、目立たないながらも別の視点で事件を追う新人刑事を好演。脇役がしっかりしているから、映画が締まるんですよ。そしてこの映画で、注目したいのは、ウォーリー・フィスターのカメラです。冒頭の切り立った雪原、雪を頂いた山々、美しい湖、そして森など、美しい自然を見事に押さえています。陰惨な事件とは対照的な美しい映像が、より一層、私を不思議空間に誘ってくれました。この対照的な2つが皮肉っぽくもあります。ストーリーは多くは書けませんが、2転3転しドキドキさせてくれます。
ジェイソンX 13日の金曜日 監督:ジム・アイザック  出演:ケイン・ホッダー、レクサ・ドイグ
Jaison X  2001年 アメリカ映画
21世紀初頭、ついにジェイソンは捕らえられた。クリスタル湖研究所で、今まさに冷凍保存されようとしていた。しかし、ジェイソンは鎖を抜け、研究所内で殺戮を開始する。そしてただ一人生き残った女性研究員ローワンの手により、冷凍化されるがローワンも巻き添えを食い一緒に冷凍されてしまう・・・。それから450年後、考古学者ロウ教授率いる研究チームは、調査のため崩壊した地球に戻ってきた。彼らはクリスタル湖研究所跡で冷凍保存された2人を発見し宇宙船に運び込んだ。ローワンの蘇生を成功した教授は、ローワンの反対を押し切り、伝説の連続殺人鬼をジェイソンをも生き返らせてしまう。最新の武器を持ってしても、ジェイソンを倒すことができない。そして宇宙船の中は阿鼻叫喚の血の海と化する…
私評:Kill Kill Kiill Kill・・・ah,ah,ah,・・・・9年ぶりに復活した、スプラッター映画のヒーロー、ジェイソン・ボーヒーズが帰ってきた。ホラーファンの私はこの映画をどんなに待っていたことか・・・オープニングでは、かなり期待どおりの殺戮を繰り広げてくれたジェイソンだったけど、時間を追うごとにコミカルになってしまい、ついには・・・・(これは言えない!!)だいたい、ジェイソンシリーズの面白さは、殺し方の壮絶さにあったのですが、今回の殺しで「おお〜!」と思ったのは一箇所だけ。あとは、ありきたりでした。まあ、13金シリーズのもうひとつの楽しみである、美女のヌードシーンは合格ラインと言えるでしょう(笑)。しかし、ジェイソンもあんなことになっちまって・・・。次回作では「エルム街の悪夢」のフレディ・クルーがーと戦うらしいけど、こんな事では先が思いやられます。いっそのこと、「ハロウィン」のマイケルも、「チャイルドプレイ」のチャッキーも、ついでに「エクソシスト」のパズズもみんな登場させて、ホラーキャラ、異種格闘技NO.1決定戦でもやれば良いのに。それだったらコメディーでも見に行きます(笑)。 どうかジェイソンさん、初心に戻って、ホラーキャラになってください。お願いしますm( _ _ )m
ドニー・ダーコ  監督:リチャード・ケリー  出演:ジェイク・ギレンホール、ジェナ・マーロン、ホームズ・オズボーン
Donnie Darko  2001年 アメリカ映画
1988年10月2日、銀色のウサギがドニー・ダーコの前に現れ、この世の終わりが28日後に来ることを告げた。翌朝、彼はゴルフ場で目を覚ました。家に帰ると、なんと自分の家に飛行機のエンジンが落ちてきて穴が開いていた。もし、彼がいつも通り部屋にいたら・・・。その日から彼の夢にウサギが登場する。彼の名前はフランク。そして彼はドニーに命令を下す。ドニーは学校の水道管を斧で壊し、ブロンズの犬の像の脳天に斧を突き立てた。翌日、学校は水浸しで休校。帰り道にドニーは美しい転校生グレッチェンが不良に絡まれているのを見て救い出す。その日から、彼らはつき合うことに。翌日からも説明ができないような不可解な現象が彼を襲う。そして今までになかった彼の中の何かも目を覚ます。ウサギが告げた世界の終焉にいったい何が待っているのか?そしてドニーの運命は・・・・
私評:生き物には運命がある。それが目で見えるなら未来も見えるはずです・・・・めちゃめちゃ不可解な映画です。でも、その雰囲気に呑まれ、最後まで目が離せなかった。世界の終焉に向かっていながらも、ドニーは何かを探そうとする。その答えは最後の最後に明かされるのですが、(途中にもそんな会話があるのですが、まさかそのものとは思いませんでした)そこに持っていくまでの回りくどい展開が・・、私は好きでした(笑)。でも、映画館の観客の反応は良くなかったです。最後まで見て答えは導き出されるのですが・・・・・私はその答えを見つけたときには、そんな感動はなかったです。でも、この映画はアメリカではリピーターが続出し、ちょっとした社会現象になったとか・・。パンフレットに書いてあった。主演は「遠い空の向こうに」のジェイク・ギレンホール。普通の高校生って感じがこの映画ではすごく良かった。決してスパーヒーローではないんですよ。恋人役は「海辺の家」のジェナ・マローン。私は彼女に目をつけています(笑)。彼の母親役は「ダンス・ウィズ・ウルブス」のメアリ・マクドナルド、ドニーの高校の教師役がなんとドリュー・バリモア!!彼女はこの映画の製作総指揮も務めています。怪しい宣教師を演じるのはパトリック・スウェイジ。まさか、彼がこんな役を演じるとは・・・。そしてドニーの精神科の医師を演じるのは「卒業」「明日に向かって撃て!」のキャサリン・ロス!!20年以上彼女を見ていませんでしたが、面影はそのままでした。もう、彼女も60歳を過ぎたんですね・・。また、ドニーの妹を演じるディヴィ・チェイスにも要注目!実は彼女はアメリカ版「千と千尋・・」で千尋の声を担当しています。また、ハリウッド版「リング」でも重要な役を演じているとか。どうです、難解な映画かもしれないけど、これだけの面子が揃えば、映画を見たくなりませんか???


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