2004/8/25

今回もたったの3作品。さびしい限りです・・・

LOVERS  監督:チャン・イーモウ  出演:金城武、チャン・ツィイー、アンディ・ラウ
 2004年 香港映画
今週のイチ押し:唐の時代の中国。腐敗した国家に対し反旗を翻す反政府軍が乱立。中でも飛刀門という軍団は朝廷を脅かす存在だった。その飛刀門のスパイが牡丹坊に踊り子として潜入しているという情報を得た役人のリウは、同僚のジンを客として遊郭に送り込んだ。そこで彼の目の前に現れたのは、盲目の踊り子シャウメイだった。あまりの美しさに驚きを隠せないジン。しかし、彼は約束どおり騒ぎを起こし、そこへ駆けつけたリウによってシャウメイは逮捕されてしまう。リウの想像通り、シャウメイは飛刀門の女だった。しかし、翌朝ジンはシャウメイを逃した。それはリウの策略で、彼女を自由に泳がせて敵の本拠地を探るのが目的だ。しかし、ジンの中でシャウメイに対する気持ちに変化が現れる。いつしかそれは「愛」に形を変えていく。そしてシャウメイの気持ちも・・・。逃げるジンとシャウメイを執拗に追う朝廷の密使たち。そして竹林での戦いで絶体絶命のピンチを迎えたとき、森の向こうから剣が飛んでくる。それは飛刀門の必殺剣だった・・・・。 
私評:どうして戻ってきたの??・・・・上のシノプシスはかなり端折って書いてあります。というか、これ以上は書けないのです。次から次へと物語が展開して行き、驚くべき事実が次々と明らかになっていく。そのネタのひとつでも書こうものなら、映画の面白さを削り取ってしまうからだ。できることなら、上の話も読まないほうがイイかも?(ってもう遅いか??)今回、一番の注目はチャン・ツィイーです。冒頭の遊郭での彼女の舞の素晴らしいのなんのって・・。激しくも美しいその舞に、しばし目が点・・。長い袖の服の意味も映画をご覧になれば理解できます。そして途中からは男の服をまとい、次々と襲い来る刺客に立ち向かっていく。その動きもまた、美しいのです。やはり、彼女はアジアン・ビューティ!!そして今まで一度もイイと思ったことがない金城武が、今回は良かったです。前半のプレイボーイぶりは、ちょっと鼻につきましたが物語が進むにつれて、どんどん彼の世界に引き込まれていった。まさに迫真の演技でした。そしてもうひとりの主役、アンディ・ラウは、でしゃばりすぎず着実に物語を引き締めてくれました。それにしてもチャン・イーモウの映画にハズレなしの私。数多い彼の作品の中でも、私的には上位にランクインさせたい映画です。面白かった!! 
華氏911  監督 : マイケル・ムーア  出演:ジョージ・ブッシュ
Fahrenheit 9/11  2004年 アメリカ映画
アメリカ合衆国の現大統領、ジョージ・W・ブッシュ。彼の当選には数々の疑惑があった。対抗馬のゴア氏はフロリダで当選確実とされ、各テレビ局がその報道を流した。しかし、フォックスTVがブッシュの当選を放送すると、各社がこぞってブッシュに情報を転換していったのだ。疑惑だらけの選挙戦・・。そしてブッシュ大統領にとって悪夢の日9月11日がやってくる。その日、彼はフロリダの小学校で生徒たちと本を読んでいた。そこに事件を知らせるニュースが。しかし、彼は行動を起こさなかった・・。テロの犯人グループに多く含まれていたサウジアラビア人との癒着、イラク攻撃の真相、そしてイラクの実情をマイケル・ムーアのカメラは侵入していく・・・・
私評:「ボーリング・フォー・コロンバイン」でドキュメンタリー映画の力を見せつけたマイケル・ムーアがアメリカ大統領に真っ向勝負。数々の疑惑を次々と叩きつけ、観客はよもや洗脳寸前!?しかし、この映画の内容が全て真実だったら、ブッシュは極悪犯罪人です。どこまでが真実でどこからがフィクションなのか?(もしかしたら、本当に全てが真実なのかもしれないけど・・)見極めることも大切かもしれません。この映画がカンヌでパルムドールを取ったとき、審査委員長のタランティーノが「ただ、この映画が面白かったから賞を与えた。政治的な意図はない」と言っていましたが、私もまさにこの映画の「作り」が面白いと思いました。しかし、私たち日本人が得ている情報は本当に乏しいですね。テレビのニュース、新聞だけでは到底知ることができない、アメリカ国民の「叫び」もこの映画にはふんだんに取り込まれている。それは911で、そしてイラク戦争で家族を亡くした「家族の叫び」だ。映画の中でその原因を辿っていくと、やはり行き着くところはブッシュなんですね。世界をリードするアメリカ。そのトップに君臨する男が、あんなどうしようもない男であって欲しくない。これは私の切なる希望です。
デビルマン  監督 :那須博之  出演:伊崎央登、伊崎右典、酒井彩名
Devilman  2004年 日本映画
幼馴染の不動明と飛鳥了は同じ高校に通っている。軟弱で気が小さい明とは対照的に、了はスポーツ万能だが、暴れだすと手がつけられない男だった。明の両親は交通事故で死んだため彼は叔父夫婦の家に住んでいた。その家の娘、美樹は明の憧れだった。そんなある日、了は明を自宅へと招いた。了の父親が自殺したというのだ。そして了はデーモンが地球を狙っていることを明に告げる。人魂のように浮遊するデーモンのひとつが明の体に入りこんだ。デーモンは他の生物と合体をして、相手の能力を奪うことができるのだ。デーモンは明の体を乗っ取ろうとするが、明の心がデーモンを勝った。明は逆にデーモンの体を手に入れたのだ。しかも、デーモン界の勇者アモンの体を手に入れたのだ。了もまた、悪魔の体を手に入れたという。了は彼を「デビルマン」と呼び、二人はデーモンと戦う決意をする。明の元へと次々と刺客が訪れる。妖鳥シレーヌ、ジンメン・・。しかし、明と了を一番脅かしたのは、悪魔狩りを始めた人間だった・・・・・・
私評:明・・・、眠ったんだね・・・・もう、30年近く昔、私はこの「デビルマン」に出会った。永井豪の原作は当時、ものすごくセンセーショナルだった。悪魔の恐ろしさ。そしてその恐怖に耐え切れず、狂っていく人間たち。そして救いようがない幕切れ。まだ、小学生だった私は怖くて,その夜眠れませんでした。そして今日まで、この原作本を何度読んだことか・・。とにかく大好きな作品です。その作品が21世紀の今日、ついに実写化された。原作者の永井豪は長年に渡りハリウッドからオファーを受けていたにも関わらず、断り続けついに日本で映画化されることになった。その期待たるや・・・。言葉では表せません。しかし、この映画の展開にはちょっと失望しました。ビジュアル的に一番期待していた「妖鳥シレーヌ」との戦いのあっけなさ。そして原作の中で一番怖かった世界中で同時間に「魔将軍ムザン」が現れ、世界中をデーモンが覆いつくすシーンもない。しかし、原作どおり作ったらレイティングに引っかかるというハンデも背負っている作品なんですよね。また、ところどころでふざけているとしか思えない台詞があったり・・。本来なら緊張感いっぱいのこの話に何度水を差されたことか・・・。救いは悪魔狩りのシーン。ここは良くできていました。しかし、いかにもロー・バジェットという感じが拭いきれませんでした。しかし、この映画の一番の失敗は主演の伊崎兄弟。演技ヘタすぎでしょう・・・。宇崎竜童と阿木燿子の夫婦出演も話題になりましたが、全然冴えない。シレーヌ役の冨永愛もイマイチだし、ボブ・サップなんて勘弁してくれ!!唯一、美樹役の酒井彩奈とミー子役の渋谷飛鳥が良かったです。ここまで厳しく書くのは、本当に原作が好きだからなのです。原作を超えることはできないと思ってはいましたが、あまりにもギャップがありすぎました・・。いや〜、こんな気分は宮部みゆきの「模倣犯」以来です・・・。


前回の記事も読んでね〜!



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