8月15日版

 さくや 妖怪伝

 2000年  :  日本映画
 監督   : 原口智生
 主演   : 安藤希、逆木圭一郎、塚本晋也、嶋田久作、松坂慶子

 霊峰・富士が噴火したとき、この世と異界を隔てる結界が破られた。次々と魔界から現れる妖怪たちを退治できるのは、ひとりの美しい少女だけだった。彼女の名は咲夜 (さくや) 。この世で唯一、妖怪の命を絶つために作られた妖刀「村正」を代々受け継ぐ妖怪討伐士だ。しかし、村正が妖怪を斬るたびに、彼女の命の残量は減っていく。やがて、咲夜は父が手にかけた妖怪・大河童が残した子どもを弟として育てることを決意する。そこでは人類の存続を賭けた壮絶な戦いが待っていた……!

 私評:不思議な目をした少女が主人公のこの映画。さくや演じる安藤希ちゃんは口を開けば、まだ幼い少女だが、まっすぐとカメラに向かうその目は、鋭くそして色気がある。う〜ん、今後が楽しみな女優だ! 日本映画が気張って気張って、ハリウッドの特撮に追いつこうという姿勢と、日本ならではの妖怪を持ってきているところ、そして子供も楽しめる・・といった辺りがこの映画のマーケットの狙いなんでしょうね。しかし、どれもが中途半端。でも、作品自体は最後まで飽きずに見られたのでOK!上映時間も90分を切るのでお気楽に見れます。巨大な松坂慶子を見るだけでも、十分価値ありかも??? 



 クリクリのいた夏(Les Enfants Du Marais)

 1999年 :  フランス映画
 監督   : ジャン・ベッケル
 主演   : ジャック・ガンブラン、ジャック・ヴィユレ、ミシェル・セロー

 1930年代。田舎の沼地に住むガリスとリトンの家族たちは自給自足の生活を送っていた。あるときはすずらんの花を、そしてあるときはエスカルゴや蛙を市場で売って・・。ある日、ガリスは大きな屋敷のメイドのマリーと出会い、一目で恋に落ちる。屈託のない彼女の笑顔を、もう一度見たくて、沼地に来るよう誘う。一方、リトンは酔った勢いでボクシングのチャンピオン、ジョーの連れの女性に絡み、大騒ぎになる。すっかりキレてしまったジョーは大暴れをし刑務所に入れられ名誉も財産も失ってしまう・・。町の大金持ちの老紳士ぺぺが沼を訪れた。彼は元々は沼の出身でここに住む人々の自由さに憧れていたのだ。そんな彼らを少女のクリクリはいつも見ていた・・・。

 私評:いわゆる、癒し系の映画ですね。私は好きだな〜。なんと言っても登場人物に嫌な奴が一人もいない。見ていて本当にほのぼのとしてきますよ。そしてフランスの片田舎の風景の美しいのなんのって・・。現代人の自然への回帰願望を満たしながらも、最後のオチで「なかなかそう、うまくは、・・・」と〆るあたりも監督の演出のうまさを感じました。予告編だけ見るとロッタちゃんみたいな映画だと思っていたのですが、良い意味で騙されました。ガリスを演じるジャック・ガンブランがカッコイイ。私的にはムーミンに出てくるスナフキンのように映ったのですがいかがでしょう? そして「奇人たちの晩餐会」のジャック・ヴィユレ。まさにはまり役でした。


 カット(CUT)

 2000年 :  オーストラリア映画 
 監督  : キンブル・レンドール
 主演  : モリー・リングウォルド、ジェシカ・ネピア、カイリー・ミノーグ

 「熱い血」の撮影中に、一人部屋でくつろぐ監督のもとにこの映画の殺人鬼のマスクをつけた男が乱入してきた。さんざん悪口雑言を並べた女性監督は舌を切られ、惨殺される。しかし、主演女優の反撃で事件は終わったかのように思われた。製作途中で終わってしまったこの映画を完成させようとしたり、フィルムをまわしたりすると必ず死者がでるので封印されていた。しかし、事件から12年後、映画を勉強する大学生がこの映画の撮影を再開する。しかも、主演女優には12年前のヒロインをそのまま起用することに。そして惨劇は開始された・・・。

 私評:オーストラリア産のスプラッター映画です。スプラッター映画としてはどうも貧弱ですが発想は面白いかも? 「プリティ・イン・ピンク」のモリー・リングウォルドが、めっちゃおばさんになってて怖かった〜。(そういえば、この間ミセス・ティングルにも出てた・・)カイリー・ミノーグとセットで看板にしているけど、映画のチープさは隠せなかったな〜。オーストラリア産といえば「ブレインデッド」というグチャグチャスプラッターがあったのでそう言う内容を期待していたんだけど・・。最近、ホラーを見てもなんとも思わなくなってきた私・・。今回もピクリともせずに映画を見てました。 


 最後通告(Vollmond)

 1998年 : スイス映画 
 監督  : フレディ・M・ムーラー
 主演  : ハンスペーター・ミューラー、リロ・バウアー

 満月の翌朝、10歳の少年トニーがが突如失踪してしまう。神隠しにでも遭ったかのように・・。時を同じくしてスイスの国内でほかにも11人の少年少女が姿を消す。警察の懸命な捜索もむなしく手がかりはまったく掴めない。子供たちの家族はそれぞれ抱える問題が原因なのでは?とざわめき始める。誘拐? 警察は失踪した子供たちの親たちの取調べを行うが共通項は皆無。そんな時、それぞれの家族のもとに子供たちから手紙が届く。意味不明が内容の最後に、「期限は次の満月まで・・」というくだりが・・。次に親たちは子供たちの夢を見る。しかも、すべての親が。そこには失踪した12人の子供と一緒に黒人の少年が一人。彼はトニー部屋のポスターに写っていた少年だった・・。

 私評:真実はすべて闇の中。超常現象が発端となっているがこの映画では、そのこと自体はあまり意味を持たない。むしろ、その事件を発端に踊らされる周りの大人たちが滑稽だ。果たして人知を超えた事件が起こったとき、目の前にある現実など何の意味も持たない。そしてこの映画の中でそれを受け入れているのはこの写真の少女〔トニーの妹)と盲目の老人だけ。ピュアな心を持った少年たちが行きついたユートピアと現実にがんじがらめになっている大人たちの二つの世界が、合いまみれて物語りは複雑でそして不可解なエンディングを迎えます。敢えてきちんとした答えや事実は、この映画では語られていない。つまり、ある種のメッセージや警告、そして腐ってきた私たちの感性への挑戦のようにも受け取れました。この物語の続きは私の想像力で作り上げてみましょう。


 

 ひまわり

 2000年 :  日本映画 
 監督  : 行定 勲
 主演  : 麻生久美子、川村彩、袴田吉彦

 ある日、TVを見ていた輝明は小学生時代のクラスメートの朋美が船の事故で死んだことを知る。記憶からほとんど消えかかっていた少女の記憶が蘇ってくる。そして級友たちと久々に訪れた故郷の町。葬式に集まった友人たち、朋美の家族、そして彼女を取り巻く男たち。なぜ彼女は海へ出かけたのか? そして少しずつ明かされる等身大の朋美。そして級友たちとの会話から、輝明は朋美との微妙な心のふれあいと行き違いを思い出すのだった。

 私評:物語は現在の朋美の葬式、そして死ぬ間際の朋美の行動とそれを取り巻く男たち、そして小学生時代と3つのストーリーが同時進行していく。とても丁寧な映画の作り方で映像もすごくすてきだ。小学生時代の朋美と輝明のやり取りがとても好きだ。うそっぽくないんです。好きな子へのいたずらや、友達の手前の悪口とか、私にも経験があります。なんだか、忘れかけていた少年時代のそんな幼稚な気持ちが蘇ってきて心地よかった。それと「朋美」というキャラクターがめっちゃ良いんです。つかみ所がないんだけど、ちょっと放って置けないタイプかな? それゆえに同級生の女性からは影が薄いのに、彼女を取り巻く男たちは翻弄されっぱなし。麻生久美子がそんな彼女をうまく演じてました。日食の太陽を背に振り返る少女の顔がとても印象的。良い映画でした。


 


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