7月31日版

 今回は4作品。バラエティに富んだ作品群です。 相変わらず私の見る映画に一貫性はない・・・。

 マイ・ネーム・イズ・ジョー(My Name Is Joe)

 1998年 :  イギリス映画
 監督  : ケン・ローチ
 主演  : ピーター・ミュラン、ルイーズ・グッドール、デヴィッド・マッケイ

 1997年 イギリスのグラスゴー。断酒会の集まりでアルコール中毒を見とめることで
 酒を断つことができたと告白している男がいる。 彼の名はジョー。 37才。
 アル中から立ち直った彼はあらゆる事に貪欲だった。サッカーチームもその一つ。
 弱小チームではあったが彼には掛買いのない時間を過ごせる、仲間たちでもある。
 そんなある日健康管理センターで働くセーラと出会う。彼女の家の壁紙を張り終え、
 二人でピザを食べながらの会話で自分がアル中だったことを告白するジョー。二人は 素直な気持ちで惹かれ始めて
 いた。二人はその後もデートを重ね、急速に近づいて行った。ジョーの甥、リーアムと妻のサビーナは麻薬に手を出し、
 元締めマガウアンに追われていた。彼らから借金をし、返済ができないでいたのだ。 リーアムの両足を折るか、
 サビーナに売春をさせるか? そんな彼らを見るに見かねたジョーは昔からの知り合いである
 マガウアンに談判をするが、彼は一つの条件をつきつけてきた。しかし、これが元で彼の人生の軌道は狂い始める・・・。 
 

 私評:監督のケン・ローチの意図は今までの映画と変ることはない。感情豊かな主人公の姿を描くのがメインだ。
 しかし、彼の周りの厳しい社会状況を描くことも忘れない。 ユーモア溢れる生活、そして彼らの会話。
 この映画のラストの怒涛の落ち込みはちょっと私にはきつかった。 ジョーのとった行動は許せぬ行いだったか?
 また、それが元で軌道修正できない暴走列車のように奈落に向かってまっ逆さまに落ちて行ってしまうジョー。
 イージーな気持ちで見れる映画ではありません。 社会への批判なのか? 人間の弱さ。愚かさを思い知らされた。
 楽しいだけが映画じゃないと改めて考えさせられた。 


 運動靴と赤い金魚(Bacheha-ye Aseman)

 1997年 : イラン映画
 監督 : マジッド・マジディ
 主演 : ミル・ファルク、 ハシェミアン・バハレ

 少年アリは修理したばかりの妹の靴をなくしてしまう。 ごみ屋が間違えて
 持って行ってしまったのだ。母親は仕事に忙しくしかもギックリ腰にも悩まされ
 切り出すことができない。 仕方なくアリと妹のザラは1足の靴を二人で使って
 履いていたがザラの足にはぶかぶかで気に入らなかった。 ある日、なくなったザラ
 の靴を履いている子を見つけた。返してくれと言おうと思ったが、彼女の家はアリとザラ
 の家よりもっと貧しくとても言い出せなかった。 父親に良い仕事を見つけてやっと
 目途をつけたのもつかの間、父親は自転車で転び骨折してしまう。絶望の中、アリの元に
 朗報が入る。 小学校のマラソン大会で3位になれば靴がもらえる。 妹の為、アリは
 出場を決めた。 

 私評:貧しさに負けずに生きる、なんとも逞しい子供たちの物語です。しかし、今の
 日本の子供たちに(大人もだけど)爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。大人たちは
 貧乏から、貧しい心の持ち主になってしまう。 しかし、子供はそれをバネに楽しんじゃうことができるんですね。
 でも、貧乏がメインのテーマじゃないです。 兄弟の涙ぐましい演技には泣かされる。 妹ザラ役の子は年がまだ
 いかないのでなんとなく我侭を言ってしまうんですね。でも、それをしっかり受け止めるお兄ちゃん。 
 ストーリーはととてもシンプル。 そして清々しい涙を私たちにプレゼントしてくれます。 アリ君と一緒にマラソン
 を走っているような気分になりました。 


踊れトスカーナ (IL CICLONE)

 1997年 : イタリア映画
 監督・主演 :  レオナルド・ピエラッチョーニ
 主演 : ロレーナ・フォルテーザ、 バルバラ・エンリーキ

 イタリア・トスカーナ地方の田舎町で会計士の仕事をしているレバンテ。彼は 
 単調な毎日の繰り返しの中で地道な生活を送っていた。家族は一見普通の
 農夫だが恐ろしいいびきをかく父親、レズビアンの妹、死に魅せられた弟と
 ちょっと変わった人ばかり。 ある日、ホテルの看板が倒れてしまっていた為
 一台のバスが迷い込んでいた。レバンテはバスから降りてきた一行を見て目を輝かせた。
 今まで見たこともない美しい女神が現れたのだ。 しかも、ホテルがキャンセルされて
 いて一行は、レバンテの家に留まることになる。 その日からトスカーナは俄かに
 浮かれ出す。 彼の家から聞こえるフラメンコの音楽。 しかし彼女らのマネージャーは
 この町で仕事が取れず、しかも今後の仕事も続けられないので、彼女たちに故郷に帰る
 ことを促す。明日からはまた、何も起こらない毎日が来るのか? レバンテはダンサーの
 一人カテリーナにメロメロ。 彼女がまだとなり町のフィレンツェにいることを突きとめ
 会いに出かける・・。

 私評: これは最高のコメディー映画でした。 めっちゃ元気なれます。 フラメンコってあまりしみじみ聞いたことが
 無かったけど、この映画で聞いていてやっぱりラテンの音楽だなーって再確認した。 体が勝手に動くんだよね〜。
 コメディーと言うジャンルで括ってしまって良いのかどうか分からないけど、ラブストーリーとしても秀逸です。 
 登場人物も皆、濃〜〜いキャラクターで印象的な人ばかり。 特に会計士の女友達。 彼に恋心を抱いているんだけど
 超淫乱で、しかも酒癖が悪い。 ピリーリ〜♪という謎の言葉を発する。 フィレンツェのレストランでのシーンは
 最高だった。 また、カテリーナ役の女の子がめっちゃきれい。 スタイルもめっちゃゴージャス。
 楽しい気持ちになりたい人は、どうぞこの映画を見てください。 ハッピーになるマジックワードは「オーレー!」 
  


アイズ・ワイド・シャット (Eyes Wide Shut)

 1999年 : アメリカ映画
 監督 : スタンリー・キューブリック
 主演 : トム・クルーズ、ニコール・キッドマン

 若き医師とその妻。 可愛い娘にも恵まれ外見的にはなに不自由なく
 幸せなカップルだ。ある日パーティー会場で夫婦それぞれ、他のゲストと
 エロチックな会話を交わす。 家に戻ると妻のアリスは夫にこう尋ねた。
 「女性患者に性的な魅力を感じないの??」 「私は以前に若いネイビーに
 抱かれたいと思ったことがある・・。」思いも寄らぬ妻の告白に困惑する
 ウィリアム。往診の為外出した彼は死んだ患者の娘に告白されたり、売春婦に
 誘われたり・・、そしてついには、友人のピアニストから妖しい「社交クラブ」
 の話を聞かされ、吸い寄せられるように足を踏み入れてしまう・・・。

 私評: キューブリックの遺作であるこの作品には、妙な思い入れもあり他のみなさまとは
 その時点で見方が変わってしまっているかもしれません。が、私はこの作品をとても楽しみました。
 観客をあざ笑うかのように、紆余曲折するストーリー展開。 効果的に使われるピアノの調べ。
 私は見事にキューブリックワールドにはまってしまった。 ラストの二人の会話のシーンで
 アリスが口にする言葉が、はっと頭に浮かび一緒に声に出したら同じ言葉だったので、鳥肌が立った。
 (きれいな言葉ではないし、ネタバレになりそうなんで、ここでは伏せておきます。)
 見た方は分かりますよね。 トム・クルーズは思ったよりはずっと良かったと思う。 確かに、この
 役を他の演技派が演じたらもっと良かったかもしれませんが、私は彼で良かったと思う。 
 ニコール様は文句のつけようがないですね。 あまりの美しさにため息が出た。
 あのメガネがまた、良いんです・・・・(^^ ; )  



前回のも見てね!


 
I Love Movies に戻る