2004/7/25

今回は全部イチ押にしたーい。断腸の思いでふたつに絞りました。

ワイルド・レンジ 最後の銃弾  監督・出演:ケビン・コスナー  出演:ロバート・デュバル、アネット・ベニング
Open Range  2003年 アメリカ映画
今週のイチ押し:19世紀、西部の大平原で牛を放牧しながら旅を続ける4人のカウボーイがいた。ボスと呼ばれるリーダーと、彼の片腕のチャーリー、料理人のモーズ、そしてまだ、少年のバトン。彼らは大地と共に生き、星空の下で眠る。ある日、長雨にあった一行は食料を補給するためにモーズを町に買出しに行かせるが、戻ってこない。ボスとチャーリーはモーズを探しに町に出向くと、なんと彼は悪徳牧場主とその手下の保安官によって拘留されていた。牧場主はボスに「この町を通る時は通行料を払え」と告げるが、ボスとチャーリーは受け入れなかった。ふたりはモーズを連れてキャンプに戻るが、二人がそこを離れた隙にモーズは殺され、バトンは重症を負う。ボスとチャーリーはふたりの復讐のため、そして長年自分たちが信じて生きてきた正義のために銃をとった。土砂降りの雨が上がった町に何発もの銃声が響き渡った・・・・
私評:「これからこのキスを1000回する」「いいわ。約束よ」・・・ケビン・コスナーって映画の中で人生を淡々と語るのが実に上手い。本当ならあくびが出てきそうな展開でも、彼の手腕にかかると見事なドラマになっていく。「ダンス・ウィズ・ウルブス」の頃の彼の良さが、この映画で復活した感があります。しかも、彼が得意なアメリカン、ヒストリー。これが面白くないわけがない。2時間20分が短く感じられました。そして宣伝文句にもなっていた「ラスト20分間の銃撃戦」は最高でした。とてもリアルで、しかも大迫力。カッコ良さな微塵もないけど、これがリアルなバトルなのでしょう。そして4人の男たち、町の人々、そしてアネット・ベニングス演じる町の医師の姉が紡ぎ出すドラマも秀逸。これは使い古された古い手法の映画ではあるのですが、今見るとこれはすごく新鮮に映るのです。主演はもうハリウッド映画界の重鎮ロバート・デュバル。さすがに動きは遅いですが、貫禄十分の演技。そしてこの映画ではめっちゃカッコイイ、ケビン・コスナー。そして紅一点のアネット・ベニングス。この映画の彼女って「シェーン」のジーン・アーサーを意識していますよね。ケビン・コスナーにはまた、こんな映画を作って欲しいです。
箪笥  監督 :キム・ジウン  出演:イム・スジョン、ムン・グニョン
A Tale of Two Sisters  2003年 韓国映画
今週のイチ押し:ソウル郊外の静かな田舎町に美しい姉妹、スミとスヨンが到着した。ふたりを迎えたのはふたりの新しい母ウンジュ。しかし、姉のスミは彼女を毛嫌いしていた。ふたりが到着した夜から、不思議な事件は起こった。妹のスヨンの部屋を何者かが侵入したのだ。スミの部屋に逃げ込んだスヨンに対して、スミは「必ず守ってあげる」と約束する。その夜以来、家の中では数々の事件が起こる。それと同時にスミとウンジュの仲も日増しに溝が深まっていく。そしてついには憎悪に・・。しかし、そんなある日、スミは父親のムヒョンからとんでもない「事実」を知らされる。それはあまりに悲しい家族の悲劇。そして全ての謎が紐解かれていく・・・・
私評:「お前はこの一瞬を一生後悔する」・・・・久々にホラー映画を食い入るように見てしまった。この映画は「ホラー」であると同時に「家族の悲しい物語」で、そして謎が散りばめられた「ミステリー」なのです。映画のいたるところに「ヒント」らしきものが隠されていて画面の隅から隅まで食い入るように見てしまいました。一瞬だけ現れる、怪しい人物や物体を見逃したらタイヘン!悠長にのんびり字幕を読んではいられません。そして最後にすべての異変の発端となる「ある事件」が明らかになる。しかし、それはあまりに悲しい事件なのです・・・。そして映画を見終わった後も、謎がいっぱい。あ〜、誰か答えを教えて〜。この映画のメインは家族の4人ですが、この4人がすごく演技が上手い。姉妹のふたりは可愛いのですが、良い演技を見せます。特に姉のイム・スジョンの演技はかなり怖い。そしてヒステリックな継母役のヨム・ジョンアの演技も印象的。監督は「クワイエット・ファミリー」「反則王」のキム・ジウン。本当に韓国映画中毒になりかけの私。ヤバイ・・・。
キング・アーサー  監督:アントワーン・フークア  出演:クライヴ・オーウェン、キーラ・ナイトレイ
King Arthur  2004年 アメリカ映画
西暦415年。ローマ帝国の支配下にあったブリテンでは、アーサーと無敵を誇る騎士たちによって守られていた。しかし、ブリテンは新興勢力のサクソン人と、ブリテンの原住民ウォード人が勢力を伸ばしていた。アーサー一行は長い戦いの日々から解放され、自由を約束されていたが、最後のミッションを言い渡される。それはウォード、サクソン両陣営の中央を突破しローマ人貴族の家族を救出する事だった。アーサー一行は森の中でウォード人と遭遇するが、なぜか彼らはアーサーたちを見逃した。なんとか貴族たちの元に辿りついたアーサー一行はそこで貴族たちによって農奴としてこき使われる異教徒たちと、拷問の末に洞窟の底に幽閉されていたグウィネヴィアという美しい女だった。アーサー一行は農民たちをも率いて逃げるが、彼らの後を極悪非道のサクソン人たちが追いかける。そんな時、ウォード人の首領からアーサーにある申し出が・・・・。・・・
私評:今回の私の戦いはローマのためでも、神のためでもない・・・以前、「エクスカリバー」という映画でアーサー王のことはなんとなく知っていたのですが、今回はほとんど情報を入れずにこの映画を見ました。それについ最近見た「トロイ」となんとなくかぶるような気がしてそそられなかったんですよね。ところが、俄然この映画が見たくなったのは、監督が「トレーニング・デイ」のアントワン・フークアだったからです。アメリカのアフリカ系の監督がイギリスの歴史的ヒーローをどう描くのか?そしてあの切れ味鋭い演出が楽しみでした。正直言います。この映画はメチャ面白かった。「トロイ」と比べると、かなりこじんまりした感じですが、ブリテン島という島の中だけなのだから、しっかり史実に基づいている。そして今まで見たこともない氷上での対決(このシーンは最高!)そしてクライマックスの強烈なバトルはかなり見応えあり。いや〜、面白かったです。アーサー王を演じるのはクライヴ・オーウェン。誠実そうな感じはイイのですが、イマイチ華がないのが気になりました。それに引き換えめちゃめちゃ華があるのがキーラ・ナイトレイです。戦う女がこんなに似合うとは・・。ただのお嬢様女優じゃないです。サイコーです。そしてアーサーを囲む「円卓の騎士」たちがそれぞれ素晴らしいキャラクターでグッドでした。
テイキング・ライブス  監督 :D・J・カルーソー  出演:アンジェリーナ・ジョリー、イーサン・ホーク
Taking Lives  2004年 アメリカ映画
バスの中で出会った二人の青年は意気投合した。バスのエンジントラブルにあった二人は車を買い目的地へと走る。しかし、その車もパンク。タイヤ交換の最中、突然ひとりが向かってくる車に相手を押し出した。しかも、瀕死の男の顔に大きな石を・・・。数年後、カナダのモントリオールで事件が起こった。地元の警察署に派遣されたのはFBIのトップ・プロファイラーの1人、イリアナ・スコット。彼女の天才的な観察力は、犯人像を絞り込み確信へと近づいていく。犯人は残忍な手口で相手を殺した後、被害者になりすまし彼らの人生をも奪っていくのだ。彼はそんな生活を20年以上も続けていたのだ。彼の名前はマーティン・アッシャー。しかし、そんな時、マーティンの母親が彼をこの街で見たと警察に告げる。果たしてマーティンは誰になりすましているのか?イリアナの周りの男たちの誰かになりすましているのか?・・・・・・
私評:テイキング・ライブス。彼はそれを繰り返しているの・・・・猟奇殺人事件を追う、警察とFBIの女性捜査官。これは「羊たちの沈黙」と同じ設定なので、なんとなく雰囲気も似ています。しかも、この映画はかなりスプラッターです。アンジェリーナ・ジョリーの捜査官は、なかなか様になっているのですが彼女のイチバンすごいところは、殺人現場の目を覆いたくなるような写真を目の前にして、肉料理を食べたり、そんな写真をベッドの天井に貼り付けたりするところ。しかし、彼女のそんな奇行なんて全然可愛く見えてしまうほどの共演陣の怪しさがこの映画のイチバンの見所です。警察の人なのに、見た目が怪しいチェッキー・カリョ。そして彼の部下でめちゃ胡散臭いオリビエ・マルティネス。殺人事件の目撃者のイーサン・ホークが登場した時に「犯人は絶対にこいつ!」と思ったのですが、次に登場のキーファー・サザーランドの怪しさに圧倒されてしまった。この面子の誰が犯人でもおかしくないでしょう?しかも、犯人の母親役で登場のジーナ・ローランズに至っては、顔が怖い!!ついに犯人が明らかになってからも、事件はどんどん転がって行きます。そして最後に控えているどんでん返しも・・・。唯一、気になったのはアンジーの銃の構え方。ヘナチョコです。
マッハ!!!!!!!!  監督 :ブラッチャヤー・ピンゲーオ  出演:トニー・ジャー、
Ong Bak  2003年 タイ映画
ノンブラドゥの村に住むティンは、この村の祭典である「木登り旗取り」で優勝した。しかも、彼はまっすぐな性格でムエタイの猛者でもあった。しかし、彼の師匠からムエタイを「人を傷つける道具」として使うことを硬く禁じられていた。そんなある日、この村出身のドンという男によって、この村の平和を守ってきた仏像の首が盗まれる。事の重大さを知ったティンは、自ら仏像の頭を取り戻しに、大都会バンコックへと向かった。そこで彼が訪ねたのは、やはりノンプラドゥ村の出身のジョージ。ところがジョージは孤児の少女とコンビを組んで盗みを働いていた。ドンを追った一行はアンダーグラウンドの賭博場へと足を踏み入れる。そこではルール無用の格闘技が行われ、常に大金が動いていた。しかも、アクシデントからティンはリングへと上がることになるが、屈強の男をなんと一撃でKOしてしまう・・・・・
私評:これを持って出家いたします・・・タイからやってきた興奮度150%の超アクション映画。あの強烈なインパクトを残した予告編に偽りはありませんでした。スタントなし、CGなし、ワイヤーもなし。しかも、ムエタイの格闘技アクションだけでなく、カーアクション、そして機械体操のようなアクションまで、「これでもか!」というくらい詰め込んであります。そしてそんなアクションの中に、しっかりとした物語も書き込んである。それにしても凄いのはムエタイです。その破壊力たるや・・。これは実際に画面でご確認いただきたい。今までの格闘系の映画が霞んでしまうほどのど迫力でした。主演はすっかり名前を覚えてしまったトニー・ジャー。映画の前に舞台挨拶があり、実際に彼のアクションを生で見ることができたのですがビックリです。まさに超人!!いきなり映画を見たら、「これは特撮でしょう!?」言ってしまいそうなすごいジャンプを目の当たりにして言葉を失くしました。そして彼が対戦する相手も個性的な面々が揃っています。けっこう、笑えちゃうんですけど・・。それにしてもこれからはタイ映画からも目が離せなくなりました・・。しかし、配給のクロックワークスさんってこういう作品を見つけるのがうまい。


前回の記事も読んでね〜!



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