7月11日版

 今回も4作品をご紹介。 ムーンライト・ドライブ、マトリックス、輝きの海 そしてサイモン・バーチ。
 どれも個性的な作品で、どれも秀作。 私好みの作品ばかりでし・あ・わ・せ。

 ムーンライト・ドライブ(Cray Pigeons)

 1998年 : アメリカ映画
 監督 : デヴィッド・ドプキン
 主演 : ヴィンス・ヴォーン
      ホアキン・フェニックス
      ジョージナ・ケイツ

 チョット女癖は悪いがモンタナの片田舎で普通の生活を送ってきたクレイ。
 しかし、友人が彼の目の前で妻との浮気を責めて彼に殺人容疑をかぶせて
 自殺した。さっそく死体の始末をするクレイ。 親友の女房とは確かに
 浮気をしていた。その淫乱で性悪な女房には逆切れされ交際を迫られる始末。
 そこに気の良い昔からクレイをよく知っている保安官。 居眠りばかりし
 ていて何の役にも立たない保安官助手。 勤続12年の敏腕女FBI捜査官
 らに生活を掻きまわされるクレイ。 しかしそこに現れたのはテンガロン・ハット にウエスタンシャツ、ちょっとテンションが高いが、面白く
 そしてなによりどこか他人と違う妙な魅力を持った男。 しかし、彼は
 FBIが追いかけていた、連続殺人犯だった。急転直下、減速不能、行き先不明の「ムーンライト・ドライブ」
 が始まった・・。 

 私評:友人の女に手を出したら危ない! それが元でどんどん奈落の底に落ちていく主人公
 ホアキン・フェニックス演じるクレイ。このキャラクターと対照的に明るく、友情に厚い
 シリアルキラー=ヴィンス・ヴォーン。 この二つの濃いキャラクターに曲者たちがまた絡んで
 話はどんどん転がって行く。一つの嘘を隠すためにたくさんの嘘をつきすぎて結局は
 にっちもさっちも行かなくなる主人公。でも、そこまでのプロセスが面白いんだ。
 原題のClay Pigeonsとは粘土の鳩という意味。または、射撃における素焼きの標的、
 もう一つの意味はカモになりやすい人。 どちらの意味からもこの映画の解説はできます。 
 しかし、南部の人はみんなブルージーンにチェックのシャツの袖をまくって着ているのか?  

 終始流れつづける軽快なカントリー・ミュージックも良いですよ

 


          

 マトリックス(Matrix)

 1998年 アメリカ映画
 監督:ウォシャウスキー兄弟
 主演:キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス

 NYでコンピュータープログラマーとして働くネオの裏の顔は
 天才ハッカー。ある日彼は自宅のコンピューターに謎のメッセージが・・。
 「起きろ! ネオ。 マトリックスが見ている」実はこの世の中は
 コンピュータによって作られたバーチャルリアリティの世界である事を知らされる。
 新時代のメシアとして選ばれたネオは、本当に”救世主”として人類を
 救う事ができるのか?? 

 私評: すごい映画だった。 何がすごいってまずはCG。 とにかくリアリティが
 ある。見た事もない不思議な映像の数々は圧倒的。 そしてスピード。目にも止まらぬ
 早さのカメラワーク。 隅々まで妥協を許さない画面は、一度ではとても見きれない。
 クイック・スロー・ストップのタイミング、見せ方がうまい。 そして香港映画ばりの
 ワイヤースタント。空中を浮遊するかのようなワイヤーワークにCGがかぶさるとまさに見た事のない映像が
 生まれる。360度嘗め回すようにくねるカメラワークも必見。もう一つおまけに、キアヌ・リーブスがカッコイイ。
 きっと、見るたびに面白さが増す映画なのでは?? 劇場公開が始まったらまた、必ず見に行きます。 
     

        

 輝きの海(Swept From The Sea)

 1997年 イギリス・アメリカ映画
 監督 : ビーバン・キドロン
 主演 : レイチェル・ワイズ、ヴァンサン・ペレーズ、
      イアン・マッケラン、キャシー・ベイツ

 イギリス南西部、コーンウォール。美しい海を見下ろす村でエイミー・フォスター
 は孤独で単調な日々を送っていた。村中から疎ましく思われている彼女の心の
 慰めは海から流れ着く漂流物たちだった。そんなある日、船が難破し多くの死体が
 村に流れ着く。その中で一人生き残った男ヤンコ。 彼は新しい生活を求めアメリカに
 渡る途中だった。異国から流れ着いた男の噂は小さな村にはすぐ知れ渡り彼もまた、
 村人から疎ましく思われる。しかし、そんな彼に一目置いていたのが村の医師ケネディ
 だった。ヤンコはまたひと目見たときからエイミーの美しさと心やさしさに惹かれていた。
 やがて二人は付き合いを始め、愛し合うようになる。普通の人々と同じようにお互いを
 慈しみ愛し合う二人。 しかし、村人の対応は冷たかった。やがて、二人の間には子供
 も生まれる。本来なら幸せの絶頂であるはずなのに・・。 ヤンコは肺を病んでいたのだ。
 病状は日々悪化し、そして嵐の夜にヤンコは高熱に襲われる。

 
 私評 : 
悲しい映画です。運命は時としてこんな悲劇を生むのでしょうか?
 ただ、愛し合い添い遂げたがる男と女。村人の偏見にあっても強く逞しく生きようとする。
 しかし、そんな彼らに運命はとてつもなく重い試練を与えます。熱にうなされ瀕死のヤンコ。
 外は信じられぬほどの豪雨。落雷が医師の行く手を阻む・・・。
 100年前の小説の映画化ですが、いつの時代も変わらぬものは男と女の愛、ねたみや僻み、偏見、
 そしてつまらぬ誤解。 レイチェル・ワイズの演技は素晴らしい。言葉を多く語らぬヒロインを
 目と動きで演じます。 そして、何よりも誰よりもコーンウォールの風景は素晴らしい。 
 海を見下ろす断崖絶壁。どこまでも続く草原。 歴史ある石造りの家々。どれも私の好きな絵ばかり。
 脇役のイアン・マッケラン、キャシー・ベイツがまた良いんです。映画館で見るときは必ずハンカチと
 サングラスを!!   


 サイモン・バーチ(Simon Birch)

 1998年 アメリカ映画
 監督 : マーク・スティーブ・ジョンソン
 主演 : ジョセフ・マッゼロ、イアン・マイケル・スミス
      アシュレイ・ジャッド、オリバー・プラット + ビッグなカメオ

 1952年メイン州の田舎町で一人の少年が産声を上げた。あまりに小さい彼は
 母親がくしゃみをしただけで生れ落ちた。すぐに死ぬと医者に言われながら、
 12歳になった。彼の名はサイモン・バーチ。親友ジョーと元気に飛びまわる、
 体の小さい事以外は他の少年と変わらぬ、いやいやむしろできすぎた少年だ。
 彼の悩みは、”神が何故、小さな体を与えたのか? そして彼の存在が奇跡なら
 神は自分に何をしろと言うのか?!”と言うこと。 彼はいつか訪れるであろう
 チャンスを心待ちにしていた。ジョ−との友情。ジョーの母親への愛情。女の子へ
 の興味。 みんなみんな経験して、彼はヒーローになる日を待っていた。
 そしてその年の冬、彼はついにヒーローになる。しかし、それと引き換えにとてつもなく
 大きな代償を払うことになる。  


 私評 : まず、ビックリしたのがオープニングのシーン。 どこかで見た事がある人だと思ったら
 ジム・キャリーだった。 しかも、カメオ出演だという。 つぎにビックリしたのがサイモン役の少年。
 小さい体でも利発で、ユーモアがある。 この映画のサイモンは彼以外には考えられない。
 とにかく私の中では最高の映画でしたね。また、人生の大事なテーマを思い出さされました。
 サイモンが言うこの世に生まれてきた理由、使命。 日常に流され、日々を過ごすのに精一杯の
 私に彼が問いかけてきました。 神とか宗教とかは興味ありませんが、生まれてきた事を誇れる
 ヒーローになりたい。生まれて良かったと思って生きたい。長く生きる事ができないサイモンは
 自ずと短い生涯でそれを達成しようとあせっていたんでしょうね。 
 その他にも他の登場人物の複雑な人間模様や、日常の他愛もない笑いや涙もうまく描かれています。
 心がジーンと熱くなる映画です。 涙が止まらなかった。 
 



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