2003/6/24号

今週はこの後、名画週間ということで新作はさっさとアップしちゃいましょう。
イチ押しは賛否両論出そうな超問題作。

バトル・ロワイアルU 鎮魂歌  監督 :深作欣二、深作健太  出演:藤原竜也、前田愛、竹内力
Battle Royal 2  2003年 日本映画
今週のイチ押し:3年前のバトル・ロワイアルで逃亡に成功した七原秋也と中川典子。秋也はバトル・ロワイアルで多くの友人を亡くした。そして逃亡先の国でも悲惨な子供たちの姿を見せ付けられ、秋也は自ら大人たちを倒すためテロリストとして立ち上がった。彼がリーダーとして組織した「ワイルド7」によって高層ビルが爆破された。そして秋也は大人たちに宣戦布告する。その頃、大人たちは彼らへの報復のために新しい憲法を成立させた。それは「バトル・ロワイアル法U」。今回のミッションに選ばれたのは落ちこぼれが集まる鹿之砦中学校3年B組。担任のRIKIによってゲームの開始が告げられる。今回のルールは至って簡単。孤島に立てこもった七原秋也を3日以内に殺すことだった。しかし、同じ出席番号はペアになっていて、一人が死ぬと自動的にもう一人の首輪が爆破することになっていた。そしてついに彼らは秋也が身を隠す島へと渡る。しかし、ワイルド7の攻撃も激しく次々と犠牲者が増えていく。そして生き残った者たちがついに秋也の元へとたどり着いたとき、秋也の口からとんでもないことを知らされる・・・。
私評:川田・・、ノブ・・・、俺、ちゃんと戦えているよな・・・。ついにヴェールを脱いだ超問題作。オープニングでいきなりビル崩壊のシーンがあり、「NYの人には見せられないな〜・・」などと考えてしまいました。今回は深作欣二監督がこの映画の撮影中に亡くなられたという事もあり、映画に対する思い入れもひとしお。しかし、私の期待を大きく上回る作品でした。細かい設定や強引な展開など、かなり粗が見えますが、そんな事はどうでも良いのです。この映画が始まる前の舞台挨拶で深作健太監督が言った言葉が、この映画の全てだったように思えます。欣二監督の言葉なのですが「映画はお祭りだ。祭りは大勢の人が集まったほうが面白い。そして若い人が多いほうが面白い。そして大人たちがちょっと眉をひそめるくらいの方が面白い」その通りです。前作でもそうでしたが、この映画でも「モラル」を問われているようです。子供たちが戦争に行き、血だらけになって死んでいく。そして大人たちも巻き込んでの大銃撃戦で、画面は死体の山。でも、「映画なんだから」良いじゃないか。しかも、殺し合いの中でだからこそ見出せる「友情」「信頼」、そして「平和に対する渇望」がしっかり描かれているところが好きです。こんなぬるま湯に浸かったような今の世の中にいたのでは本当の平和の意味も、命の大切さも霞んでいるのかもしれない。こんな極限の中だからこそ見えてくるものもあるのです。この映画は本当に好き嫌いがはっきりと分かれる作品でしょう。この流血に耐えられない人もいるでしょう。でも、私は声を大にして言いたい。「この映画が好きだ〜!!」 
ソラリス  監督:スティーブン・ソダーバーグ  出演:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マケルホーン
SOLARIS  2002年 アメリカ映画
謎の惑星「ソラリス」の探査の宇宙船"プロメテウス"が突如として地球とのコンタクトを絶った。探査クルーの一人ジバリアンは、彼の友人の心理学者クリスにメッセージを残し交信を絶った。「クリス、君はここに来るべきだ。」そしてクリスは"プロメテウス"救出のため一人宇宙へと旅立った。宇宙ステーションに着いたクリスはそこで夥しい血痕をと死体を発見する。そして生き残っていた2人のクルーゴードンとスノーは極度の神経衰弱に陥っていた。ある夜、クリスの枕元に死んだはずの彼の妻が現れる。彼が心の中に封印していた、「ある感情」が再び彼を苛む・・・・・
私評:ゆっくり寝たければ、ドアのロックは掛けたほうが良いですよ・・・監督:ソダーバーグ、製作はジェイムズ・キャメロン、そして主演はジョージ・クルーニーという贅沢な顔ぶれの大作なのに、興行的には大コケだった作品です。そもそもこの映画はポーランドの作家スタニスワフ・レムの名作「ソラリスの陽のもとに」の映画化。1972年に旧ソ連で、タルコフスキー監督が映画化しており(惑星ソラリス)、SF映画の金字塔と評されています。実際私も「惑星ソラリス」は見ているのですが、強烈なインパクトのある作品ではありませんでした。しかし、今回の「ソラリス」は「惑星ソラリス」の上映時間の半分の長さ。つまり、回りくどい解釈を全てそぎ落としています。これが良いか悪いかは別として、私の受けた印象は「軽い映画になってしまった」という感が拭いきれない。重厚で威厳があり、じわりじわりと深い解釈を得られる旧作に対して、ビジュアルとジョージの一人芝居で一気に答えを導いていくこの作品。どっちが良い??ソラリスとは何か??そしてそこで出会う奇怪な現象の謎を解く鍵は??答えを考えてみてください。主演のジョージ・クルーニーの見事な(?)お尻は要チェック!
ALIVE  監督:北村龍平  出演:榊英雄、りょう、小雪、國村隼
ALIVE  2002年 日本映画
恋人を暴行され、死刑囚となった八代天周はついに執行の日を迎え電気椅子に。しかし、彼は2つの選択肢を与えられる。このまま死刑になるか?生き続けるか??しかし、執行人は「ここで死んだ方がずっと楽だ」という。しかし、天周は「生」を選んだ。彼は無機質な部屋に入れられる。するとそこにはもう一人の男がいた。数々の婦女暴行を繰り返してきた変質者の権藤だった。そこはある種の実験施設だった。彼らは食事制限をされたり、室温の調整をされ、そして何より部屋に閉じ込められ次第に正気を失っていく。9日目、今まで閉ざされていた扉のひとつが開いていた。ガラス窓の向こうには一人の女が立っていた。彼女は自分を「魔女」だという。欲望の権化となった権藤は彼女の誘いに乗り、天周を殺そうとする。しかし、その一方で天周はガラスの向こうの魔女に、失った自分の恋人を重ね合わせる。天周の怒りが頂点に達したとき彼の心の中の闇が目を覚ます。しかし、研究員たちが企んでいたのは「魔女」の中に潜む、邪悪な何かを天周の体に移すことだった・・・・。
私評:なあ、教えてくれ。俺の中にいるこいつは何なんだ?・・・週間「ヤングジャンプ」に連載されていたマンガの映画化です。監督は「あずみ」の北村龍平。彼の作品は「VERSUS」「あずみ」とも私的にはかなり面白かったので、この作品も楽しみにしておりました。「あずみ」の後だとどうしてもチープな感は拭いきれませんが、低予算ながらアクションシーンはかなりの迫力でした。映画の雰囲気は「es」にも似ている。しかし、物語のコアな部分が見えてくると話は俄然面白くなっていきます。ラストはちょっと感動してしまった。主演はダイヤモンドのCMが印象的だった榊英雄。北村作品には欠かせないキャストです。そして権藤役は杉本哲太。今回はぶち切れてます!魔女役はりょう。そして彼女の妹の研究員に小雪。その他、國村隼、ベンガル、小田エリカ、そしてVERSUSでも榊と戦った坂口拓が、怪しいキャラで登場します。面白かったです。
テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる  監督:ナム・ギウン  出演:イ・ソユン、キム・デトン
Teenage Hooker Became Killing Machine in DaeHkRoh  2000年 韓国映画
夜のテハンノをさ迷う制服姿の女。彼女のサングラスは男の欲望を見透かす。そして今日も一人の男をゲット。物陰に隠れて激しい情事の最中、彼女の前に現れたのは担任の先生。退学させられそうになった彼女は5万ウォンのスペシャルコースで許してもらう。しかし、彼女は先生に恋をしていた。そしてその夜、彼女は彼の子供を身篭った。それに激怒した先生は「ホクロ3兄弟」に依頼し、彼女をバラバラにして殺してしまう。しかし、彼女は謎のサングラスの男(エージェント・スミスか??)によりサイボーグとして復活させられる。そして彼女は今となっては憎き担任を探し始める・・・・。
私評:「4万ウォンのコースは?」「走りながらやるのよ」「走りながらって・・?」「知らないの〜??遅れてるう〜」・・・・この長くて意味不明なタイトル。そしていかにもアヤシイ予告編。だからすっごく見たかったんです。正直、どれくらいつまらない作品なのかを確かめに行った感があります。そして映画がどうだったかというと・・・、これは酷いもんです(笑)。しかし、その酷さの中にも妙にメランコリックだったり、そしてめちゃ笑えたり・・。時折挿入される、オペラがすごく効果的に使われています。しかし、サイボ−グになった女子高生の最初のミッションのシーンは、リュック・ベッソンの名作「○キータ」の完全なるパクリ。そしてクライマックスは「○ボコップ」にそっくり。しかし、そんな事はこの映画の魅力を語る上では、何の障害にはならないでしょう??しかし・・、正直、誰にもお薦めはいたしませんが、今新宿のレイトショーで話題騒然なことは確か。私が見に行った日も、若者からご年配までマニアックな映画好きが集まり、映画館はほぼ満館。これは単なるブームなのか?それとも映画のニュー・ウエイブなのか??


前回の記事も読んでね〜!



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