今回は3作品だけ・・。 まあ、これが本来のペースなんですけど・・・。
1999年 : アメリカ映画
監督 : ジョン・N・スミス
主演 : ヴィンス・ヴォーン、モニカ・ポッター、ジョーイ・ローレン・アダムズ
妻が幼い息子を置いて家を出て以来、シングル・ファーザーとして子育てをしてきた
ラッセル。彼は元々有能な弁護士であったが、仕事と育児の両立はできず、シカゴの
一流法律事務所を辞めカンザスの田舎で、つまらない仕事をこなしていた。そんなある日
彼は一人の女性に恋をする。しかし、新しい出会いにときめき始めた矢先、別れた妻が
訪ねてくる。息子の事が忘れられない彼女は、今までの溝を埋めようと息子に精一杯の
愛を注ぐのだが・・・。
私評:この映画のテーマはまるで、あの名作「クレイマー・クレイマー」を思い出させた。
しかし、今回の主人公ラッセルはキャリア、妻への未練、息子への大きな愛情、そして
新しい恋と様々なジレンマに悩まされます。しかし、その一つ一つが実にリアルで彼に
思い切り感情移入してしまった。全てを手にすることはできない事は分かっていても、
何を切り捨てるのか?この映画を観て色々と考えさせられた。「クール・ドライ・プレイス」
と言う言葉は映画の中で、モニカ・ポッターが1回だけ口にするのですが、暑さからも雨
からも守られた場所、つまり居心地の良い安全な場所と言う意味です。ヴィンス・ヴォーンがめっちゃ
優しいお父さん役で好印象。モニカとジョーイの二人もキュートなだけじゃない悩める女性を熱演。
心に染みる良い映画でした。
2000年 : 日本映画
監督 : 金子修介
主演 : 矢田亜希子、伊藤英明、長澤まさみ、原田龍二、桃井かおり
青木淳子は子供の頃から、自分の特殊能力を憎んでいた。彼女は念力で炎を起こすことが
できる「パイロキネシス」を持っていた。社会では人目を避け、ひっそりと暮らして
いた。そんな彼女に心を寄せる男がいた。多田一樹。同じ会社に勤める青年だ。彼に
呼ばれた寮のパーティに出席した淳子は、彼の妹雪江と出会い、純真で、しかも淳子に
懐いた雪江を妹のように感じた。しかし、雪江はその夜暴行された上、殺されてしまう。
犯人は未成年者のグループ。しかし、彼らは未成年であるがゆえ、社会的制裁を逃れて
いた。淳子は多田に自分の力を見せ、彼女の復讐を誓った。もう、誰も彼女を止める
ことはできない・・。
私評:特異な力を持ってしまったがゆえの淳子は、常に自分の力を憎んできた。人生の
楽しみもそして恋さえも諦めていた彼女が、好きになった男と殺された彼の妹の為に力を
使う。すべてが無意味に思えた自分の能力をこんな形で発揮することで、初めて人の役に
立てると信じ、彼女は行動を起こすんですね・・。
淳子の悲しみ、そして次第に自分の中で崩れて行く「正義」がとても悲しく、そして心が
締めつけられた。金子監督の映像は、どこまでも美しい。人を焼き尽くす炎さえも。そして
雪の中のラブシーンは、私の生涯でも屈指のロマンチックなシーンだった。淳子役の矢田亜希子
がすごく良かった。ただのモンスターではなく、一人の女性として思い悩む役を見事に演じきった。
そして多田を演じる伊藤英明が良かったな〜。原作の宮部みゆきさんは私のお気に入り。彼女ならではの
繊細な描写もすごく生きていたと思います。大満足!!
1999年 : アメリカ映画
監督 : ロン・ハワード
主演 : マシュー・マコノヒー、ウディ・ハレルソン、マーチン・ランドー
ケーブルTV 局 "トゥルーTV" の会議室。企画の中身はといえば、「台本、俳優、編集ナシ。
すべて現実、本物。主役は"フツーの人"。24
時間ぶっ通しで、その人の生活をカメラが追う」
というもの。女性ディレクターのシンシアには、まさにキャリアを賭けたプロジェクトだった。
さっそく始まった主役選び。夜のバーでうだつの上がらない連中の中でオーディション中、
カメラの前で大騒ぎするレイの隣で彼を見守る弟エドに、白羽の矢が立った。31才、独身、
ビデオショップ勤務の男が、番組が進むに連れて大スターになって行く。しかし、彼を悩ました
のは、自分の周りの人間にまで及んだプライバシーの侵害だった・・。
私評:どうしても「トゥルーマン・ショー」と比較されてしまいそうだけど、
「トゥルーマン・・」より、私はこちらの方が好きです。
有名になること=プライバシーがなくなる事。これはどこの国でも
同じでしょうが、その辺りの皮肉がタップリと込められていた。せっかくできたステキな恋人も家族も
一般の普通人であるはずなのに、一皮剥いたらボロボロ。そんなところもカメラは逃さず押さえて、
タイムリーにTVに流してしまう。 その辺りはちょっと怖い気もしました。 しかし、この映画の
面子がすごい! 主演のマシュー他、義理父のマーチン・ランドー、彼を捨てて出て行った本物の父は
デニス・ホッパー、ぶち切れた兄にウディ・ハレルソン。監督のロン・ハワードは私の大好きな監督。
ヒューマニティ溢れる優しい眼差しのようなカメラ。しかし人生の、そして社会への皮肉がタップリ
込められています。お薦めです〜!