6月19日版

 今回は3作品だけ・・。 まあ、これが本来のペースなんですけど・・・。 

 クール・ドライ・プレイス(A Cool Dry Place)

 1999年  :  アメリカ映画
 監督   : ジョン・N・スミス
 主演   : ヴィンス・ヴォーン、モニカ・ポッター、ジョーイ・ローレン・アダムズ

 妻が幼い息子を置いて家を出て以来、シングル・ファーザーとして子育てをしてきた
 ラッセル。彼は元々有能な弁護士であったが、仕事と育児の両立はできず、シカゴの
 一流法律事務所を辞めカンザスの田舎で、つまらない仕事をこなしていた。そんなある日
 彼は一人の女性に恋をする。しかし、新しい出会いにときめき始めた矢先、別れた妻が
 訪ねてくる。息子の事が忘れられない彼女は、今までの溝を埋めようと息子に精一杯の
 愛を注ぐのだが・・・。

 私評:この映画のテーマはまるで、あの名作「クレイマー・クレイマー」を思い出させた。
 しかし、今回の主人公ラッセルはキャリア、妻への未練、息子への大きな愛情、そして
 新しい恋と様々なジレンマに悩まされます。しかし、その一つ一つが実にリアルで彼に
 思い切り感情移入してしまった。全てを手にすることはできない事は分かっていても、
 何を切り捨てるのか?この映画を観て色々と考えさせられた。「クール・ドライ・プレイス」
 と言う言葉は映画の中で、モニカ・ポッターが1回だけ口にするのですが、暑さからも雨
 からも守られた場所、つまり居心地の良い安全な場所と言う意味です。ヴィンス・ヴォーンがめっちゃ
 優しいお父さん役で好印象。モニカとジョーイの二人もキュートなだけじゃない悩める女性を熱演。
 心に染みる良い映画でした。

 クロスファイア(Cross Fire)

 2000年 :  日本映画 
 監督  : 金子修介
 主演  : 矢田亜希子、伊藤英明、長澤まさみ、原田龍二、桃井かおり

 青木淳子は子供の頃から、自分の特殊能力を憎んでいた。彼女は念力で炎を起こすことが
 できる「パイロキネシス」を持っていた。社会では人目を避け、ひっそりと暮らして
 いた。そんな彼女に心を寄せる男がいた。多田一樹。同じ会社に勤める青年だ。彼に
 呼ばれた寮のパーティに出席した淳子は、彼の妹雪江と出会い、純真で、しかも淳子に
 懐いた雪江を妹のように感じた。しかし、雪江はその夜暴行された上、殺されてしまう。
 犯人は未成年者のグループ。しかし、彼らは未成年であるがゆえ、社会的制裁を逃れて
 いた。淳子は多田に自分の力を見せ、彼女の復讐を誓った。もう、誰も彼女を止める
 ことはできない・・。

 私評:特異な力を持ってしまったがゆえの淳子は、常に自分の力を憎んできた。人生の
 楽しみもそして恋さえも諦めていた彼女が、好きになった男と殺された彼の妹の為に力を
 使う。すべてが無意味に思えた自分の能力をこんな形で発揮することで、初めて人の役に
 立てると信じ、彼女は行動を起こすんですね・・。
 淳子の悲しみ、そして次第に自分の中で崩れて行く「正義」がとても悲しく、そして心が
 締めつけられた。金子監督の映像は、どこまでも美しい。人を焼き尽くす炎さえも。そして
 雪の中のラブシーンは、私の生涯でも屈指のロマンチックなシーンだった。淳子役の矢田亜希子
 がすごく良かった。ただのモンスターではなく、一人の女性として思い悩む役を見事に演じきった。
 そして多田を演じる伊藤英明が良かったな〜。原作の宮部みゆきさんは私のお気に入り。彼女ならではの 
 繊細な描写もすごく生きていたと思います。大満足!! 
 


 エドTv (EDtv)

 1999年  :  アメリカ映画 
 監督   : ロン・ハワード
 主演   : マシュー・マコノヒー、ウディ・ハレルソン、マーチン・ランドー

 ケーブルTV 局 "トゥルーTV" の会議室。企画の中身はといえば、「台本、俳優、編集ナシ。
 すべて現実、本物。主役は"フツーの人"。24 時間ぶっ通しで、その人の生活をカメラが追う」
 というもの。女性ディレクターのシンシアには、まさにキャリアを賭けたプロジェクトだった。
 さっそく始まった主役選び。夜のバーでうだつの上がらない連中の中でオーディション中、
 カメラの前で大騒ぎするレイの隣で彼を見守る弟エドに、白羽の矢が立った。31才、独身、
 ビデオショップ勤務の男が、番組が進むに連れて大スターになって行く。しかし、彼を悩ました
 のは、自分の周りの人間にまで及んだプライバシーの侵害だった・・。

 私評:どうしても「トゥルーマン・ショー」と比較されてしまいそうだけど、
 「トゥルーマン・・」より、私はこちらの方が好きです。
 有名になること=プライバシーがなくなる事。これはどこの国でも
 同じでしょうが、その辺りの皮肉がタップリと込められていた。せっかくできたステキな恋人も家族も
 一般の普通人であるはずなのに、一皮剥いたらボロボロ。そんなところもカメラは逃さず押さえて、
 タイムリーにTVに流してしまう。 その辺りはちょっと怖い気もしました。 しかし、この映画の
 面子がすごい! 主演のマシュー他、義理父のマーチン・ランドー、彼を捨てて出て行った本物の父は
 デニス・ホッパー、ぶち切れた兄にウディ・ハレルソン。監督のロン・ハワードは私の大好きな監督。
 ヒューマニティ溢れる優しい眼差しのようなカメラ。しかし人生の、そして社会への皮肉がタップリ
 込められています。お薦めです〜! 



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